大河ドラマ『軍師官兵衛』
豊臣政権を支え、秀吉の側近として重用された石田三成。しかし、武闘派ぞろいの戦国時代には珍しい理詰めの合理主義者であったことから、周囲と反目。官兵衛とも敵対関係が続いた。そんな三成像について「役が決まったとき、三成目線の文献を調べたんですよ。そうしたらカッコよく描かれていた。ここまで忠義を尽くした武将はいないと、すごく好きになりました」と田中さん。それだけに第一印象から「よいイメージの三成を演じたい」と演技プランを練っていたそう。しかし、いざ出番が増えると三成はどんどんダークなイメージの人物像に…。「いつの間にか嫌われていました(苦笑)。福島政則からもムカツクと言われましたし。もともと考えていた役づくりとは違いましたが、『軍師官兵衛』のなかの三成を演じることが第一なので、ヒゲを付けてからはめちゃ悪い奴になりきりました」。
お互いに火花を散らす関係の官兵衛については「すごく嫉妬していると思う」と三成の胸の内を明かす。そのため、豊臣政権のナンバーツーという立場でありながらも、どこか官兵衛を超えることができないジレンマを大切に演じたという。その一方、演じる岡田准一さんについて聞くと「お話をさせていただけるだけで嬉しくなってしまう」と言うほどリスペクトしているのだとか。「岡田くんは官兵衛でいるとき、全く役がブレないんです。1年演じているからとも言えるけれど、逆に演じ続けて役柄に変化をつけるなかで、目線ひとつにもブレがないのは本当にすごいと思います」と笑顔を見せた。
多くのシーンで共演した秀吉役の竹中直人さんについては「三成は秀吉のことがとても好きだと思うのですが、僕も竹中さんのことをとても尊敬しているので、そういう意味では役作りの必要がなく、ありがたかったですね」。それだけに「秀吉亡き後、三成がどうなってしまうのか怖い」と話していた田中さん。ドラマの最後を締めくくる関ヶ原の戦いをどのように迎えたか聞くと「関ヶ原は勝つつもりで演じています!家康には悪いけれど、けっこう本気ですよ」と笑った。それほど役になりきって取り組んできた三成役もクランクアップし「ただただ、すがすがしい。」と晴れやかな表情を見せた。
最終回、最後のセリフは「如水への尊敬の念があっての言葉。長政への最後のエールです」。史実では関ヶ原の戦いで敗れる三成だが、その天下への夢がどのような形で終結するのかが見どころだ。