ホーム » 証言 » 土屋 清太さん

証言証言

証言をご覧になる前にお読みください。

証言一覧へ戻る証言一覧

タイトルタイトル: 「巻き込まれた沖縄の人々」 番組名番組名: [証言記録 兵士たちの戦争] 沖縄戦 住民を巻き込んだ悲劇の戦場 ~山形県・歩兵第32連隊~
名前名前: 土屋 清太さん(山形・歩兵第32連隊 戦地戦地: 日本(沖縄)  収録年月日収録年月日: 2008年3月

チャプター

[1]1 チャプター1 山を崩す猛攻  04:44
[2]2 チャプター2 負傷  03:08
[3]3 チャプター3 動けない重傷者の運命  01:59
[4]4 チャプター4 巻き込まれた沖縄の人々  01:27
[5]5 チャプター5 それでも、負けるとは思わなかった  04:50

チャプター

1
2
3
4
5

再生テキスト再生テキスト

戦争しているうちは、「日本は神の国である」と若いときに習ったよね。だから、神国ね。だから、日本は絶対戦争しては負けないんだと。負けたという戦争なかったもの、勝ってばかりいたもので。だから、大したことないと思っていたんだな。だけど、だんだん嘉手納という飛行場にアメリカが上陸して、どんどんと攻めてきたでしょう。

わたしとしては、まさか沖縄にはアメリカ攻めては来ないと。攻めるんだったら、本土を攻めるじゃないかなと思っていた。そしたら、南の島の方から次々と。沖縄の前は硫黄島だったか、サイパンだったか、どこかとって。また硫黄島もとって。島の重要なところ、アメリカとったんです。それで今度、本土攻める前に沖縄攻撃始まって。そうしたら海、軍艦からちっちゃこい船からで満杯ね。あれでドガドカと空から、それから陸上からもボガボガ来てよ。そして、嘉手納という飛行場あるところじゃないかな。あそこにあがられたんだね、最初。そして、どんどん攻めて来られて。同じ武器があるんならば、同じ程度の兵器だったら、日本は負けないのよ。それからめちゃくちゃに砲弾ばっかり飛んでくるの。

動かんないように。アメリカ、みんなボガボカ。「あそこいた」なんて言ったら、山崩れるほど撃ってよこすの。あれはひどい戦争なんだっけ。わたしらも兵隊に、戦に行く以上は「いつ死んでも悔しくない。いつ死んだっていい」というような覚悟で。だけども、自由な行動できないのよ。動くとね、あそこに日本の兵隊いるというと、吹っ飛ぶまで撃ってよこすの。めちゃくちゃに吹っ飛ぶまで。だから、アメリカの方からは見つからないように、と思って行動しないとよ、だめなんです。見つかると吹っ飛ぶまで撃ってよこす。大砲の弾というのは、1発ずつドーンと来るんでないのよ。十発、十何発がババババーンと来るんだもん。だから、自分のそばに来たといったら吹っ飛ばされるんだ。体めちゃくちゃにやられるね。だから、行動するに偽装するでしょう。木の葉っぱとかつけたりしてね。体にもつけて。そして動かないでいないと見つかるの。

「お前、こんな顔して国へ帰ったら、嫁来る人いなくなるよ」なんて言われて。「はあ」なんて言ったね。軍医って将校だもの。それを今度、はあ、なんていたっけ。だから「一針だけ縫ってやる。三針しかないのだ」と。これだ。一針ここ縫ってもらったきり、あとはここらは縫ってもらわない。顔だけ、一針だけ縫ってもらった。ここらだな。ここまでだもんね。そして、皮やられないのよ。口の中の皮残っているの。軽傷だね。軽い傷だ。ここも骨はやられなくて、ここダーッと、半分くらい肉切れていたっけ。ここは同じ。肩。見たところはもっとも重傷だな。血だらけだもの。顔はぐるぐる巻きになって、腕はぐるぐる巻いて、首につって。胸はここずっと厚い包帯かけてくれてね。あと、ここかけない。ここ傷ばかりで血も止まったと。軽傷なんだな、これで。

受けたときは痛くないんだ。ズーンと来るの。電気、ものすごい電気触って、ヒヤッとなるでしょう。ああいう気持ちよ。痛くないのよ。そして、しばらくたってから痛み感じてくるの。そして、あとは血だの、破片ひとつ取って、血が流れるのを見ていると、痛み感じてくる。痛くないんだ。一挙にババーンとやられるんだから。だから、痛くなくて、知らず知らずに電気に触ってバーンと感じた、その感じ方。そういうのだった。

「もうここ第一線になるから、みんな中隊へ帰れ」なんて言われたって、動けない患者いっぱいいるのだから。動けない患者が結局、「部隊に帰れ」なんて言われても帰れないから、注射で殺されると。こういうこともあったんだな。

だって、体動けないのを、そんなにしておけないもの。

野戦病院に下がって、5月の何日かで、そこの野戦病院もまもなく第一線になる。全部お前たち帰れ、と。野戦病院の医者。「歩ける者は歩いて帰れ。はって行ける者ははって行け」と。動けない人間はね、注射で殺すのね。注射。あの元気いい人いたっけの。あれ何も音もなくなったといったら、注射で殺したんだ。

女の人たち(炊事担当)いるところはよ、いちばん(洞くつの)入口に近いところよ。だから、アメリカに見つけられて攻撃なんかされると、やられるんだね。

いちばん奥の方なんていて仕事にならないもの。だから、入口に近いところに食い物を作る道具、カマドがあって。

人間がこういうふうになって頭おかしくなった。ああ、頭おかしくなったのはひとりいた。

大隊砲撃ってていちばん砲で小さいんだけれども、そいつの小隊長が頭おかしくなった。みんな飯食べてるとき、おちんちん出して、その前で小便するんだもの。頭おかしいでしょう。おちんちん出してよ、みんなこうやっているのによ、おちんちん出して小便するのよ。

おれは、でも、アメリカ攻めてきたというところからよ、日本はアメリカが攻めてきたって負けるはずないと思ったな。だって、今まで負けたことないんだもの。だから、小さい島だと攻められれば皆全滅でとられたと。島とられた、全滅。そういうことはあっても、沖縄ずいぶん大きい島だから、なんぼアメリカに攻められたって、最後は勝つと思ったな。最初。あとになってから、これだめだ、沖縄もぶんどられるとなるような状態になったから、いやになったけれど。負けると思わなかったもんな。

負け戦はでもね、負け戦は哀れだよ。勝ってる戦も危ないけれどもね、いつでもやられるからね。負け戦も隠れてばかりいるのが長いような、負け戦もいやだ。

自分の自由にならないから。自分がこうしたいということ、されないもの。負け戦は。勝手な行動みたいなことはされないからだめ。昼間歩くったって歩けないし。すると、夜ばかり。歩くのは。いやだ。

この勝ち戦ばかりしていたとなれば、どうせどうなろうとも、日本がめちゃくちゃになろうとも、最後まで戦って勝つという気持ち、日本人はそういうのだったんじゃないかな。戦に負けたことがないから。外国と戦争して。それがアメリカと戦争したら、あまりにも武力が違うというのがわかって、アメリカにめちゃくちゃやられてしまった。「こんな戦争、最初から、日本の偉い人間たちが最初から考えて、こんな戦争起こさなければ良かったのに」というようにも思うんですな。日本勝っていると最後までやったよ、これ。例えば沖縄の戦争でアメリカをみんなやっつけたというなら、あんなのまだまだやっていたね。

年とったからね。あんまり戦争のことも、戦争前のことも、あんまり心配なことというの考えたくないの。あれは無駄な戦争だっけなということだけは思うことある。あんな戦争、なしてやったんだろうと。そういう考え方は出てくるな。

負けたからさ。勝てば、勝った勢いで、ますます鼻高くしていられるみたいだからね。負け戦争やってよ、しかも命がけでやって、死んだ人は気の毒だと思うな。

出来事の背景出来事の背景

【沖縄戦 住民を巻き込んだ悲劇の戦場 ~山形県・歩兵第32連隊~】

出来事の背景 写真昭和20年(1945年)3月、米軍は沖縄に迫り、4月1日沖縄本島中部に上陸を開始した。米軍の総兵力は54万。迎え撃つ日本軍は防衛召集した県民や鉄血勤皇隊などを含む10万人だった。

戦闘開始から1カ月半、圧倒的な兵力の差で戦い続ける事を強いられた日本軍は6万人あまりが戦死。米軍は沖縄本島の中部から北部を制圧し、5月下旬には那覇市北方、首里の日本軍司令部に迫った。司令部は、玉砕覚悟で首里にとどまるか、それとも南部にさがって持久戦をつづけるかの決断を迫られた。

5月22日、沖縄守備軍司令官、牛島中将は戦闘の継続を決断。歩兵第32連隊も南部、喜屋武半島への移動を開始した。しかし、この冷静を欠いた命令により、沖縄の住民をさらに戦闘に巻き込み、大きな被害をもたらす結果となった。後退する日本軍と避難する住民であふれる南部への道に向けて、米軍は容赦なく砲爆撃を繰り返した。道沿いには夥しい死体の山が築かれた。

沖縄本島南部で、日本軍は洞くつを利用した地下ごうにこもって戦いを続けようとした。また、住民も攻撃を逃れて洞くつに避難していた。6月中旬、米軍の掃討作戦は激しさを増し、「馬乗り攻撃」と呼ばれる洞くつへの掃討戦が始まった。壕に爆弾を投げ入れ、火炎放射を浴びせたのだ。投降の呼びかけに応じない場合、住民と軍が一緒にいた地下ごうにも容赦ない攻撃が加えられた。

6月23日、米軍は喜屋武半島を制圧。軍の幹部たちは次々に自決し、沖縄守備軍は壊滅、組織的な戦闘は終った。

本土防衛の最後の拠点となった沖縄。太平洋戦争中、類を見ない地上戦で、日本軍将兵9万4千人が命を落とし、ほぼ同じ数の一般住民が戦闘に巻き込まれて死亡した。

証言者プロフィール証言者プロフィール

1917年
山形県山形市にて生まれる
1938年
歩兵第32連隊に入隊
1945年
沖縄戦当時、27歳、曹長。復員後は山形県にて郵便局に勤務する

関連する地図関連する地図

日本(沖縄)

地図から検索

この証言に関連したキーワードこの証言に関連したキーワード

NHKサイトを離れます