ホーム » 証言 » 井上 繁さん

証言証言

証言をご覧になる前にお読みください。

証言一覧へ戻る証言一覧

タイトルタイトル: 「毎日餓死していく若い兵士」 番組名番組名: [証言記録 兵士たちの戦争] 飢餓の島 味方同士の戦場 ~金沢 歩兵第107連隊~
名前名前: 井上 繁さん(金沢・歩兵第107連隊 戦地戦地: ミレー島  収録年月日収録年月日: 2009年11月4日

チャプター

[1]1 チャプター1 ミレー島  03:04
[2]2 チャプター2 空襲  04:10
[3]3 チャプター3 機関銃対米軍機の戦い  03:31
[4]4 チャプター4 横行する盗み  04:35
[5]5 チャプター5 エネゼットへの移動  02:42
[6]6 チャプター6 取り残されたミレー島  03:36
[7]7 チャプター7 空からの日本兵狩り  03:11
[8]8 チャプター8 毎朝、誰かが死んでいた  03:58
[9]9 チャプター9 復員船・氷川丸  03:46

チャプター

1
2
3
4
5
6
7
8
9
番組名番組名: [証言記録 兵士たちの戦争] 飢餓の島 味方同士の戦場 ~金沢 歩兵第107連隊~
収録年月日収録年月日: 2009年11月4日

証言をご覧になる前にお読みください。

再生テキスト再生テキスト

今は航空のホテルになってるけど、あっこ、日通の会社やった。荷物積むとこやったわいね。あっこから乗って。はあ、こんでわしは金沢は見納めかなと思うたわ。ほいで汽車に乗って行った。ほうやのう、広島の宇品か、宇品まで行ったわね。

巡洋艦「龍田」。ロシア、日露戦争当時の、あれや、あそこの、軍艦や。巡洋艦やけど、今で言えば駆逐艦よりまだ悪いようなボロボロなやったわい。その人が「陸軍の兵隊は全部、甲板へ上がれ」て言うて。甲板士官長がわしらを集めて、ガダルカナルが落ちた当時じゃわい。「ガダルカナルが落ちたから、ああ、この中で何人残って帰れるや分からんぞ」と言うたわい。
ほいで、みんな心の中じゃあ、わしだけは助かると思うたわね。わしだけは死なんと日本へ帰れると思うたわね。これは今でも覚えとるわい。ガダルカナルが落ちた。その前にミッドウェーがやられたやろう。これからだんだん負けいくさや。うん。

艦隊を組んで行ったけど、豊後水道かいね、あっこを出るとき、あっこはやっぱアメリカの潜水艦の日本を狙い撃ちのとこなんや。あっこがやっぱ危ない。あっこさえ出れば楽やった。ところが途中で潜望鏡、こうなった。さあ、見張り、見張りというて。あんた、潜望鏡というたら一升瓶の底ほどのこんなもんやね。ほいてみんなして見張ったけど、ほいでとうとうやられたんだ。で、ジグザグというてね、こっち、こっち、こっち、こっちって行く。で、敵は、潜水艦が見てもこの艦隊はどっち行くや分からんがや。目くらましや。ジグザグ航路ばっかしや。

Q:でも、乗ってる兵士たちもどこに行くかも分からなかった。

分からん、分からん、分からん。大本営から命令一つだもんね。結局、わしらはほんとはトラック島の警備やと、こう思うとったわいね。で、楽やなあと。

屋根へ、ワスッ、ワスッ、ワスッと来るやろ。 防空壕へ入ったら、「おまえら、耳と目が飛び出る。耳と目をこう、こう、やっとれ」と。ズシーッと、ザーッと砂がかかるやろ。いやなもんや。今度はやられたか、この次はやられたかと思うわ。いつでもほうや。何回も受けると、今やられたか、今やられたかと思うわい。で、目が飛び出る。だから目をふさいどるやろ。耳は鼓膜が破れるさかいこうやって。真っ暗闇。ははは、うん。そんなのが毎日やった。

攻撃はあんた、飛行機って、グラマンとノースアメリカンや。あればっかやられる。ノースアメリカンちゃあ、ヤシの木すれすれに来るんや。ほじゃからよう落とされた、あの飛行機は。一番落とされたやろな、あれは。グラマンは急降下でウーッと来るわい。艦爆と一緒や、うん。

わしは1遍、やっぱ格納庫のあっこにおるときね、初めは防空壕へ爆弾が落ちんもんやと思うとったわいね。ほいで、あっこもやられた、ここもやられたやろ。 1回やっぱり7~8人やられた。それをわしは助けに行ったわいね。ほいたら、砂の中から引っ張り上げて並べてね。わしは若いときは肉屋へ行ったけど、あれと同じにおいやわ、肉と。バーッとやられたさかい、肉のにおいや。死んだ人たちを壕から引っ張り上げて、ズラーッ、ズラーッと並べてあるわい。どうすることもできん。肉屋へ行ったと一緒やったわい。

Q:壕に入ってても助からないわけですね。

助からんわいね。初め、壕ちゅうものは、ここが入り口、ここふさがっとるだろう。 ここをやられたら、ほんで、出れんがや。それで死んでしまうんや。それから、これから壕を掘るときはこっちにも穴をあけと。こっちにも穴をあけという命令が出た。ここだけやったら、ここがふさがったら、ほいで、出れんもん。ほいで、こっちも穴を開けとけと。こっちがやられたら、ここから出れるさかい。

Q:壕というのはコンクリートかなんかでつくってあるんですか。

ないない。わしらのおったとこはコンクリやった。トーチカやから。普通の壕やったら、陸軍が自分でエンピ(「円匙」=シャベル)でほじるさかい。ほいで、ヤシの木をこう立てて砂をこういうふうにしてあるだけの話や。あのう、標高3メートルぐらいやもん。あんまり深く掘ったら水が出てくるわい。

わしと滋賀県の同年兵で、ウネノというでかい男がおったやちゃ。あれがやっぱスタコラスタコラと防空壕に飛び込んでくるわい、何ぼ遠いとこでも。大きい男やし、こっけいなんやちゃな。ところが、それがやられてね、一つもなかった。こんな布一つなかった。どこへ行っちもうたやら。直撃受けて、爆弾の。恐ろしいもんやわ、何もないさかいに。ほんとに消えてしもうた。普通やったらこんな布ぐらい残るらんが、何もない。あれ、滋賀県。何で滋賀県からあんな金沢の部隊へ入ってきたもんやら。それから福井の兵隊もおるし富山の兵隊もおったわね。ウネノちゅう人は何もないようになった。ひどいもんや。

「撃て」「きょうは300発撃て」、「きょうは250発撃て」って命令が来て。ほしたらわしは分隊長やったろう、伍長やったけど。みんな隠れるんや。ひきょうな話やけど、上等兵でも兵長でも。ほいで、わしが撃たにゃあ叱られるから、「貴様、命が惜しいか」と叱られるやろ。 わしが撃たにゃあ撃つ者がおらん。いざとなりゃあひどいもんやね。みんな命が惜しい。みんなやわい、うん。ノースアメリカが先に大砲を撃ってくるわ、ドーン、ドーン、ドーンと。それから近づいたら雨あられや、撃って撃ちまくってくるわい。ほしたらアメリカは、わしらの機関銃じゃったらガスはって、ガスが入る筒がある。ネジ締めりゃあ締めるほど部屋が小っさくなるやろ。 ダダダダダダッと出る。アメリカはゾロゾロゾロゾロや。ダダといわんがや。ほんでも故障は起きんのや。わしらの場合じゃったら故障が起きる。大体、1発撃った、撃つやろ。出ていかんとさかい次の弾は、入れん。これを突っ込みちゅうや。これを直さんなんが。それが普通にダッダッダッダッと陸上を撃つようなんがあったら、こんな故障はない。わしらは早う撃たんにゃ飛行機が早う行っちまうやろ。 ダダダダーッて撃ちたかろう。 ほしたら故障いくんじゃ。故障いったら、今度は熱いやつを銃身の上から突かんなん。なかなかとれねえじゃ。飛行機を撃つときは早業でたくさん弾出さにゃあ、ワーッと早う行っちまうもん、撃つ間はない。ははは、うん。

ほいで、初め、わしらは分からなんだ。戦闘機って、グラマンは戦闘機やわね。こうして行ってしまやあ、これがわしなら、これを狙うてガーッと行って、行ってしまやあ後ろから撃たんやろがね。次のがあんた来たら、艦爆と、艦上爆撃機と戦闘機と違うわいちゃ。あれは2人乗りや、艦爆ちゅうやつは。後ろから撃ちまくってくるんじゃ。いや、みんなびっくりしたわいな。戦闘機やとばっか思うたら、行った後に壕から出たやろがいな、バリバリバリバリーッと来る。あらららちゅう。大きさは戦闘機と艦爆もよけいに変わらんわいね。2人乗りや、艦爆は。艦上爆撃機。あれにはびっくりしたなあ。初めはみんな肝をつぶしたわい。戦闘機なら、行ったらはあ、後ろからもう撃たんもん。1人乗りやけん。艦爆は2人乗りやろ。 あれにはびっくりした。ははは、うん。油断も隙もねえ。

撃った、撃った。撃たにゃあ、きょうは300発撃てったら、明日250発撃てったら、命令が来るもん。指令が来るや。行って、あっこへやっぱり2か月おったかな。ほしたら、食糧が不足になった。ほしたら「現地自活せよ」と、こうなった。わしらエネゼット(ミレー環礁の島の一つ)へ行けと、こうなった。ははは、うん。

どんな船が来ても全部沈められるもん。食糧も弾薬も何も手に入らんね。

Q:そうすると、食糧は徐々に徐々にやっぱり減らされていったんですか。

減らされていって、しまいには何もないわい。

しまいに重湯になる。重湯さえ当たらなくなった。ほいたら上のほうも、「現地自活」。で、わしらにエネゼット(ミレー環礁の一部)へ行けと、こうなった。で、現地自活せよと。

Q:皆さんお腹がすくじゃないですか。我慢するんですか。それとも何かとって食べてたんですか。

我慢やね、食べるものがないもん。ネズミはまだおったわいね、ネズミが。ほいで、ネズミもおらんがになったわい。

ああ。みんな取るもん。ははは、見つけたら最後、あんた、徹底的に追いかけて、で、穴へヒョコッと入りゃそれで終わりや。どこへ行った、もう取れん。しまいにネズミも、で、エネゼットへ行ってもネズミもおらんがなった。みんな取るもん。それが仕事やもん。はははは、うん。

Q:あと、海軍は食べ物をやっぱり持ってたんですか。

海軍のは分けてもらろうた、後から来たわしらは。米一つも持たんと行ったやろ。 

まあいわば居候みたいなもんじゃ。

Q:ものを持ってる海軍のところに盗みに行ったりとかしたんですか、食糧庫だとか。

したね。

Q:どういうことをしたんですか。

それは、あんた、歩哨(警戒・監視にあたる兵隊)をつけて、あんた。ほいで、あっこはスコールが来るもんやけえ、トタンを上へかぶしてある。トタンが音がするんちゃの。これをまくらにゃあ下の食糧がとれんが。まあほうやな、名人もおったな。ヤシの葉を1枚持って、パーッと体隠して取ってきたちゅう名人もおらっちゃな。それから、麦ばっか取った人もおるし。ははは。麦じゃらもうない。ほいで防空壕で炊いて食べる。

半殺しやね、はははは、見つかったら半殺しや、うん。あんなもん殺されて埋められたら分からんもん。砂隠して。ほいで、あっこら暑いさかい、ちょっと草を植えときゃすぐ追いつくやろ。 分からんわ。1人死んだ、行方不明で終わりや。
そんな今の日本みたいに徹底的に調べんわいね。行方不明や。

Q:やっぱりそういう人も多分いたんだろうということですね。

おる、おる。

わしらこじきと一緒やった。こうしてタバコ欲しゅうてね、タバコ。見たら海軍が2~3人して飲んどるわい。あれらが行った後に、吸い殻を。わしらこじきと一緒や。拾うて、スー。これだけしかないが、「おい、わしに一口飲ませまい」ちゅうて。タバコ欲しかったなあ。海軍は前からおるさかい、タバコも米もみんなあるっちゃ。乾燥野菜から何でも持っとる、缶詰やら。しまいに、わしらヤシの葉っぱの茶色になった、新聞に巻いて吸うた。何もうまあないけど。

Q:同じ軍隊なのに、食べ物とか、そういうタバコとか、嗜(し)好品とかが量が違うって不公平だなとか思いました。

思わんわ。後から行った居候やけえ、仕方ないわい。後から行ったんやもん、上前はねとるんやもん。

現地自活ちゅうて、今のあっこへやられた、わしら。あの島も長いんちゃ。ここからここは何中隊、ここからここは何中隊、区切ってあった。わしらはここなら、この島は盗みにいく。ここにも。昼、見といて。ヤシの実が、ああ、ここにあるな、ここにあるな。普通の泥棒でもそうやろ、この辺の泥棒でも。あの家は入りやすいな、ここ入ったらここに逃げていくとそれ見てから泥棒に入る。陸軍も、兵隊も一緒や。

エネゼットへ行ってからは、今度は分隊員が全部、取ってきたものを分けて食べるようにした。だから、昼、見て歩く。ヤシの実を盗むんちゃ。昼、ああ、ここにあるな、ここにあるな見といて、夜。泥棒ちゅうのは夜明けが一番ええ。逃げて帰ってくるのは夜明けが一番ええ。泥棒しとるときは暗いときがええ。昼、見とって、ほいで・・分隊でも基地には10人おっても4~5人しかおらんわいね。ほいで鉄砲を持っていく。鉄砲はいくらでもあるさかい。ほいで、向こうも歩哨がおる。見張りや。「おい、貴様、黙っとれ。黙っとらんとこれやぞ」と。はははは、脅して。ところが、ヤシの実ちゅうのは下へ落ちたらドスンというわいね、あれが嫌でなあ。ほいで下、抱えて下りれんし。で、天幕で包んで。ところが、これだけのヤシの実でも皮をむきゃあこんなもんやわい。皮をむきゃあ数少ない。量できない。皮むいたこともあるな。あんまりむいとる暇はない、泥棒やさかい。早う逃げてこにゃ。自分の中隊のは取らんがちゃ。数、いうんであれ。上のもんがヤシが幾つあるなというて。ほかのとこのを取らにゃあ。だから、木登りできんもんと泳げんもんが先に死んだわい。泳げんもんは海へ入ってものを取れんやろ。 木登れんやつはヤシの実盗めんし。

Q:クエゼリンが落ちたというのを聞いたときは、もう後ろからの助けが来ないとか、そういうことは皆さん思ったわけですか。

思った、思った。だから、みんな自殺したわいね。食糧は来ん、日本へ帰れんわ。で、ちょっこ病気の者は、だから、手りゅう弾やら小銃はいっぱいあるもん。死んだもんが置いていくやろ。 小銃でバンとやりゃあきれいじゃな。手りゅう弾にやられたら汚いで、後始末しな。これで腰かけてカーンと安全栓抜いて、カーンとやってこうして持っとりゃあ、ドカーンといったら、はらわたで汚なでやった。スコップでこうして持っていって穴を掘ってそこへ埋めやっちゃった。あら、またやったじゃあ、またやったじゃあ、ドカーンとやるもん。わしはどうしても死ぬ気にならんだ。みんな死ぬけど。

「ああ、ほかの分隊、あらうれしや」と思うた。自分の分隊だったら自分で死骸を片付けんなん。ほかの分隊なら「あら、うれしや」と思うた。はははは。あのう、これがネチャーッとするわいね。死んだもんは、ここが。暑いとこやし。で、木の葉っぱをひっちぎってこうやって、「おい」ってひっかついで穴を掘ってドサーッと放る、かわいそうやけど。ほいで、まあ2日やね。きょう死んで埋めりゃあ、明日、ウジがわいて、あさってから静かーや。何もない。ヤドカリから、ウジから、みんな食べてしまうもん。2日やね。きょう死んだら、明日最高や。ウジで盛り上がっとるわ。ヤドカリは行くしね。3日目に行ったら、サーと静かーだ。骨だけになるやろ。

Q:そういうときって、片付けとかをしたわけですか。井上さんたちがやるんですか。

やるって、ほかの分隊なら知らんわいね。自分の分隊の兵隊は自分の分隊でやらにゃ。ほかの分隊は何ぼう死んだかて、わしは知らん顔をしとる。ははは。自分の分隊だけは自分らで始末せにゃあ。

Q:自分の分隊ではどのぐらいの人がそうやって自殺したりしてました。

あの、7個分隊あったのが3個分隊に減ったわい。みんな死んでいくもんやから。わしらの分隊で何人死んだかのう。何せ、左から死んでいくんちゃな。で、左へ行くのを嫌がってね、しまいに。はははは。ここから死んでいくちゃ、おかしなね。で、みんな左側嫌がって。自殺せんでも栄養失調で死ぬねん。足がピンピンになっちまうに。

Q:自殺をした人というのは、ミレー島でしたんですか。

エネゼットや。ミレー島じゃ、まだ戦する気満々やもん。

希望はあるし、まだ戦はいくらでもするやった。エネゼットへ行ってから弱気になった。

引き潮になると兵隊がこの島から行くから、敵も知っとるんちゃ。だから、その時分に来るんじゃ。ほいで、見つかったらバリバリバリーッとやられる。敵もみんな知っとって。島へ上がりゃあ隠れるさかい。島と島との間やったら・・。ナガイ上等兵ちゃあ一番肥えとった人は・・わしら、グラマン2台来るんやわ。バリバリーッとやっていくやろ。 ほいたら、やった次のやつが早ここへ来とる。今来たやつはここへ行っとる。逃げれんがい。またバリバリバリーッと。次いで、こう行ったやつは早、次にこう来とる。わしらの目の前でナガイ上等兵、助けに出れんがいじゃ。わしらは島におるさかい、ヤシの陰におるさかい。おーいって、助けに出たらこっちもやられるやろ。 とうとうあの人はやられてしもうた。ほいで、航空眼鏡って双眼鏡より優秀なのをつけとるやろ。 だから、死んだか、血が出たか、みんな分かるんじゃ、飛行搭乗員が。とうとうあの人、かわいそうにね。かたい男やった、わしらの目の前で殺されてしまった。2台おる、飛行機が2台来るさかいだめなんじゃ。1台なら、行ってしまやあ、その間にこっちへ逃げて上がりゃあいいけど、次のが早、旋回してここへ来とるもん。もう助からん。うん。海で見つかったら、死ぬまでやっていくもん。あれ、能登の人やな、ナガイ上等兵ちゃあ。一番元気があったやんか。
海に何で出るかというたら、砂があるんじゃ。ほいで、帯剣で掘ると、こんな貝が出るんじゃ。貝が欲しゅうて出る。いつもこうやっとる、飛行機を。一番、あっこはいつも風が吹いとる。風下から来た場合は分からんがいじゃ、爆音が。ほいで一遍、ヤシの木へ上がって、爆音。オーって、ゾーッとここがシャキシャキになるわい。あのう、あれと一緒やもん、シュロの木と一緒やもん。こうなっとる、葉っぱ落ちた後が。ザーッや、ヤシの木で上でやられたら。ほいでしまいや。下は珊瑚礁やから、ガーンとやったら、ほいで死なんならん。陸なら何とか・・何とか助かるけど、あれは爆音が風下から来たら全然分からんもん。弾が先に来る。バリバリーッと来る。敵は一番小さくても13ミリあるからね。日本のは7.7やけど、13ミリにやられたら、あれはだめだね。

分隊の中で、10人おれば元気な者はやっぱ5~6人。あと3~4人、食糧探しにも行けんようなざまたれや。元気な者が取ってきたもんを平等に分けて、分けるようになっとるけど、元気な者は現地で生で食べらいわ、タコでも。

まあ餓死がほとんどやわ。敵にやられるのはまあわずかや。毎朝それをこうやっとる。かわいそうなくらいや。毎朝毎朝、死んどるんや、へへ。

朝、足、ピンピンになっとるわいね。普通は足、こうやろ。 こうなっとるわい。大抵目開けとるわいね。目ふさいでも、まだパッチーと開けてくるわい。そやて、アリがここをこう、これは目やにが、目やにじゃない、アリがここ、目の。ここをこうやってアリがこうして。初め、目やにかと思うた。目の縁は甘い。毎朝毎朝やったなあ。

自然と死ぬのはそうやで。自殺はどっか出ていって死ぬ。朝行きゃあピンピンや、足がこんなになっとる。

地獄やね。あんな地獄やっちゃ。・・この短い、ズボンをこんな短いに切って、それ一丁。それで、ここに短剣差しただけや。裸や。ほいで何も。ほいでも夜になりゃあ毛布着んにゃ寝れんわ、寒うて。夏はぬくいんじゃ、あ、昼は。そんなとこで、おまえ、こんな山のもんがあんなとこでウロウロウロウロと、ははは。ヤシの陰やら、そういうところを何か生きとるものはおらんかって探して歩く。

ニワトリっちゃ、わしは取ったな。ヤシガラスと。ヤシガラスは狙うて狙うてドーンとやったら、あら、頭がない。どこへ弾が当たったか見たら、頭がなかった。この真ん中を狙うたけど頭に当たった。それから、ニワトリ取ったんは、戦友をうずんだやろ。 ほいでウジがわくわいね。ほいで、ニワトリがウジ食べに来とった。さあ、自分の兵舎へ帰って鉄砲を取って、あいつら一生懸命や。ズドーンとやったら1羽取ってね。あっこのニワトリは鳥みたいにザーッと立って歩かいぞ。

1遍もんがよう、「おまえは殊勲功や」ちゅうて刺し身食べたわ。わしが取ったもんやけん、刺し身をくれたわ、ニワトリの。そんな、あんた、ウジさらえて食べるくらいやもん。そんな、あんた、食べらにゃ。あんた、ウジも何も言うとれるかいね。

ほいで、チャガロー(ヤシの樹液)ちゅうのも取ったわい。チャガローちゃあ、ヤシの葉っぱがこうして出りゃあ、それが全部開かん先に、こうして、こう縛る。これを切るんや、毎日3回。で、汁が出る。あれで助かってんやから。

日の丸の旗を、船尾に旗ある。うれしゅうて、うれしゅうて、あんた、涙が出た。長いこと日の丸を見たことないもん。あっこの島に行ってから日の丸見たことないもん。見るのは星のマークばっかり。うれしゅうて、こんで日本へ帰れるわと思うた。うれしゅうて、うれしゅうて。

Q:乗って帰る途中でも、やっぱり亡くなる方もいたわけですね。

いた、おったんや。で、水葬や。ラッパを吹いて、何か日の丸の旗に包んでドボンや。水葬や。何人もおったらしいな。この隣の部落の人は帰ってきてから一月目に死んだ。で、船の中で死んだもんもおるし。かわいそうやね。

氷川丸に乗ったら、腹いっぱいご飯食べれるわいと思うたら、何じゃ、重湯の米粒が5つほどしかない、こんな茶碗に(米が)。でんちゅうたら死ぬがいと。一遍でそんなご飯食べさせたら死んでしまうと。やわやわやわやわと、浦賀に上がる時分にやっと雑炊みたようになったかな。あれは11日かかったぞ。真っすぐに来るさかい。行きしなはジグザグやけえ一月ほどかかった。ジグザグに行くさかい。帰りは真っすぐに来るさかい。でも10日ぐらいかかったんじゃないかな。

わし、山へ行ったら、キジが、今、おらんけど、あの時分バタバタバターッとやるわい。あらあ、飛行機かと思う、敵や敵の機関銃やと思うわい。バタバタバターッとやる。敵が機関銃を撃ったと同じ音やわ。ギョーッとするわい。夢に見るしね、兵隊、いくさのときの。

ああ、殺される~気するよ、ははは。パパパパーッと来る、弾がこうしてバババーッと行くわいね。顔が真っ青になるわいね。あんな赤道直下で何で顔が青いか。後から考えたら、風が、顔は真っ青や。風が当たりゃあ冷たい、顔に。あんな赤道直下のとこで冷たい風は吹くわけがない。顔が真っ青や。そのぐらい、今死ぬかちゅうときは真っ青になるわいね。何ぼ、あんな目におうたやら、爆撃と機銃掃射と。

日本へ帰ってくると思わなんだ。ははは。自殺せんでえかった。こうしてこれた。もう寿命は終わりやけど。ほんでも、かかももらやあ、子どももて、孫もできたし、喜ばんなん。一生こんで普通のとおりになった。

わしはうまいこと生きとるわい、ははは。もう死ぬ時期やけど、まあ、かかあももろうた。子どももおる。孫までおるさかい。何も言うことない。

出来事の背景出来事の背景

【飢餓の島 味方同士の戦場 ~金沢 歩兵第107連隊~】

出来事の背景 写真日本からおよそ4600キロ離れた太平洋中部ミレー島(マーシャル諸島のミリ環礁)。太平洋戦争中、5700人の日本陸海軍将兵が送られ、3100人が命を落とした。

このミレー島は、戦況の悪化とともにアメリカ軍の支配地域に取り残された。そのため2年近く補給が途絶え、兵士たちは耕作地のほとんどない環礁の島での自活を余儀なくされ、飢えのために次々と倒れていった。
多くの犠牲者を出したのが、石川県金沢市で編成された陸軍歩兵第107連隊第3大隊。この部隊が派遣されたとき、島にはすでに3000人を超える海軍部隊が配置されていた。補給が途絶えた島に駐屯した陸軍と海軍。食糧不足が深刻化すると、同じ日本軍でありながら、両者は食糧を巡って激しく敵対するようになり、食糧を盗んだ兵士が射殺されたこともあったという。

さらに、米軍は上陸してくることはなかったものの、海で漁をする兵士を機銃掃射の標的にした。

昭和20年(1945年)になると、第3大隊1000人のうちおよそ半数が亡くなっていた。
そうしたなか、同じ部隊同士でも食糧の配分を巡って対立するようになり、大けがを負わされた部下が小隊長を射殺する事件も起こる。先行きに絶望した兵士の中から自決する者も出た。

終戦後、第3大隊の生存者が島を離れることができたのは、昭和20年9月29日。復員船氷川丸に乗ることができたのは、300人足らずであった。

証言者プロフィール証言者プロフィール

1920年
石川県河北郡倶利伽羅村に生まれる。
1941年
現役兵として東部第49部隊に入隊
1943年
編制変えにて歩兵第107連隊、ミレー島へ
1945年
復員、実家の小間物店経営

関連する地図関連する地図

ミレー島

地図から検索

NHKサイトを離れます