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道徳ドキュメント
「ちがう」ことを「ふつう」に

顔に大きなアザがあるためいじめられていた中谷さんは、同じようにアザがある人が書いた本と出会う。著者の姿勢に感銘を受け、人と関わりながら生きていこうと決意する。>>あらすじを読む

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オープニング
オープニング
オープニングタイトル
scene 01 ほかの人と「ちがう」ということ
scene 01 ほかの人と「ちがう」ということ
今回のテーマは、「ちがい」。性格や趣味(しゅみ)、得意なこと…。人間は一人ひとりちがいます。頭ではわかっていても、「ちがう」というそのことが理由で差別やいじめが起きてしまうことがあります。特に、見た目のちがいに人はこだわります。今回の主人公は、顔にほかの人にはないあざがある人です。
scene 02 生まれたときからの「あざ」
scene 02 生まれたときからの「あざ」
中谷全宏(なかたに・ともひろ)さんの顔の右側には、大きな赤いあざがあります。こわいものを見るような冷たい視線(しせん)を、受け続けてきました。そのため、外出するのが苦痛(くつう)でした。中谷さんのあざは生まれたときからのものです。皮膚(ひふ)の近くに血管が多くなり、赤いあざとなる「血管腫(けっかんしゅ)」です。いたみも、人にうつることもありませんが、中谷さんはこのあざのために、ずっとつらい思いをしてきました。
scene 03 「なんで自分だけ?」
scene 03 「なんで自分だけ?」
4人兄弟の末っ子として生まれた中谷さん。幼稚園(ようちえん)に入って、自分はほかの子とちがうんだと思い知らされました。「友だちはみんなふつうの顔なのに、なんで自分だけ?」。でも苦しんでいたのは中谷さんだけではありません。「子どものあざはわたしのせいではないか…」母親の照子さんも自分をせめ続けてきました。照子さんはおさない中谷さんを連れて病院を回りました。麻酔(ますい)なしにレーザーではだを焼くつらい治療(ちりょう)もしました。しかし、あざが消えることはありませんでした。
scene 04 自分を見る「目」がこわかった
scene 04 自分を見る「目」がこわかった
「おばけみたい、近づくな」、「こんな顔、人間じゃない」…。小学校に上がるといじめはますますひどくなりました。先生がいないときをねらって、毎日のようにあざのことをはやしたてられ、ばかにされました。やがて中谷さんは、人と話をするときも、人の話を聞くときも、相手の目を見ないようになりました。その理由は、「目がこわかったから」といいます。「ぼくを見る目はみんなぼくをバカにする目だと思ってたから。その目を見ないということで、にげてました」(中谷さん)。
scene 05 生きてるのをやめたい…
scene 05 生きてるのをやめたい…
母親の照子さんも、中谷さんのなやんでいる様子に心をいためていました。人の輪の中に入っていけず孤立(こりつ)していないかと心配で、たびたび、先生に様子を聞きにいっていたといいます。しかし中谷さんは、いじめのことを決して母親に話しませんでした。母も苦しんでいることを知っていたからです。つらい気持ちをひとりかかえこみました。「いじめられもするし、変な目で見られるから、生きてるのがつらかった」。それは、「生きているのをやめたい」ということ。そう思うときもあったといいます。
scene 06 顔に何らかの症状のある人たち
scene 06 顔に何らかの症状のある人たち
中谷さんのように、あざやきずあとなど顔に何らかの症状(しょうじょう)のある人は、全国で80万人以上いると考えられています。あざのある人。体の色素が少ないためはだやかみの毛の色がうすい人。全身の毛がぬけてしまう病気の人。それぞれの人が、なやみながら自分の症状とともに生きています。中谷さんもそのなかの一人です。幼稚園(ようちえん)のときからいじめにあい、自殺を考えたこともある中谷さん。「きっといつかいいことがある」。そう自分に言い聞かせながら高校を卒業します。そして転機がおとずれました。
scene 07 一冊の本との出会い
scene 07 一冊の本との出会い
人と接する仕事をさけ、自動車工場などで働いていた中谷さん、なぜ自分にだけあざがあるのか、答えのない問いを心の中でくりかえしていました。転機がおとずれたのは27歳(さい)のとき。きっかけは一冊(さつ)の本との出会いでした。その本とは『顔面漂流(ひょうりゅう)記』。顔にあざがある人が自らの半生を書いた、日本で初めての本です。理解してくれないまわりの人へのいかり。治らないことを受け入れるつらさ。これまで語られることのなかった率直な思いがつづられていました。
scene 08 見た目による差別をなくす活動
scene 08 見た目による差別をなくす活動
『顔面漂流(ひょうりゅう)記』を書いた石井政之(いしい・まさゆき)さん、46歳(さい)。自分と同じ、顔にあざなどのある人たちと「ユニークフェイス」という団体を作り、見た目による差別をなくす活動をしています。孤立(こりつ)感を持っている人たちの相談相手になったり、先輩(せんぱい)の知恵(ちえ)などを伝える場を作ることが目的です。「一生、人の目を気にして下を向いて生きる人生はやめてほしいなと。もっと自由に生きてほしいと思って」(石井さん)。
scene 09 勇気づけられた生き方
scene 09 勇気づけられた生き方
石井さんは、自分たちのことをもっと知ってもらうために、講演活動も行っています。差別をなくすために、自分から積極的に外へ出ていく石井さんの姿勢(しせい)は、中谷さんが考えたこともないものでした。「同じような人がいたんだ、と。そして、本を書いて自分の思いを発表するというのが衝撃(しょうげき)的だったんですよね。勇気づけられました」(中谷さん)。
scene 10 もっと人間と関わっていきたい
scene 10 もっと人間と関わっていきたい
中谷さんの心は少しずつ変化していきました。人の視線(しせん)をおそれる気持ちがうすれ、もっと人と関わっていきたいと考えるようになりました。そして5年前、一生をかけて取り組みたいことと出会いました。体の調子を整える「整体」という仕事です。最初はお客さんと話をするのがこわかったといいます。しかし中国の大学で研修を受け、資格を取るなかで、少しずつ自信をつけていきました。今では、初対面の人とも緊張(きんちょう)せずに接することができます。「やりがいはあります。喜んでもらえますから」(中谷さん)。
scene 11 ぼくにとっては「ふつう」のこと
scene 11 ぼくにとっては「ふつう」のこと
今、中谷さんは、本を書いた石井さんたちといっしょにさまざまな活動を計画しています。その一つが、全国の小中学校を回る講演会。かつては人の目をおそれ、下を向いて歩いていた中谷さん。今は人の前に立ちたいと思っています。「この顔でいることは、ぼくにとっては“ふつう”のこと。気になるんだったら話しかけてください。知ることは大事だと思いますよ。知らないから“ふつう”じゃない。知ってたらそれは“ふつう”になる」と中谷さんは語ります。