地球の声を聞こう 土砂災害から命を守ろう

印刷

どうがを見る

scene 01 地球の声を聞こう

scene 01 地球の声を聞こう

大気や水にあふれるわたしたちの地球は、地震(じしん)や噴火(ふんか)が絶え間なく起こる、生きている星です。土砂(どしゃ)災害の研究に長年取り組んできた、土木コンサルタントの藤井俊逸(ふじい・しゅんいつ)先生といっしょに、土砂災害が起こる仕組みを学び、命を守る方法を考えましょう。

scene 01 地球の声を聞こう

scene 02 一年間におよそ1000件もの土砂災害

山の斜面(しゃめん)やがけが突然(とつぜん)くずれ落ち、家屋をおそう土砂(どしゃ)災害。2014年8月、集中豪雨(ごうう)に見舞(みま)われていた広島の住宅(じゅうたく)地が、突如(とつじょ)、大量の土砂に飲みこまれました。土砂は家を破壊(はかい)し、多くの尊(とうと)い命をうばいました。土砂災害は、実はわたしたちのとても身近なところにある災害です。日本で一年間に起こる土砂災害の数は、過去10年間の平均でおよそ1000件にもなるのです。

scene 01 地球の声を聞こう

scene 03 裏山のがけを観察してみると

藤井先生とみんなが島根県松江(まつえ)市にやってきました。先生がみんなを連れてきたのは、かつて土砂(どしゃ)災害があったという民家の裏山。ハンマーでけずると、ぽろぽろくずれてきます。ハンマーで簡単(かんたん)にけずれるほどのもろい土のがけです。こういう場所、みんなの家の近くにもありませんか。全国で土砂災害の危険(きけん)があるとされている場所は、53万ヶ所。国土の3分の2が山地である日本は、実は土砂災害がとても起こりやすい国なのです。「本当に身近に危険がたくさんあるということを覚えておいてほしい」(藤井先生)。

scene 01 地球の声を聞こう

scene 04 土砂の威力

では、土砂(どしゃ)の威力(いりょく)はどれほどなのでしょうか。藤井先生がみんなに見せたのは、土砂が入った袋(ふくろ)。先生がその袋を、すべり台の上から落としました。すると、すべり台の下に立てておいた板を簡単(かんたん)につきやぶりました。「この高さから落としてこんなになるんだったら、がけから落ちたらすごいことになると思う」と男子。「規模(きぼ)の小さいがけくずれでも、この袋600個分ぐらいの土が、もっと高い所からドーッと落ちてくる。ここに自分たちが住んでいると思ってごらん」と先生がみんなに言いました。

scene 01 地球の声を聞こう

scene 05 雨によって引き起こされる土砂災害

実際に土砂(どしゃ)災害が起こった瞬間(しゅんかん)の映像(えいぞう)。山がくずれ、電柱をなぎたおし、家屋も石垣(いしがき)もおし流していきます。もしこれにまきこまれたらひとたまりもありません。このような土砂災害がどのようにして起こるのか。そのヒントが、さきほど見たがけの下にありました。小さな木の小屋。中をのぞくと水があります。井戸(いど)です。この水はどこから来ているのでしょう。それは雨でした。「たとえば、山に雨がふります。ふった雨は、しみこむ」(藤井先生)。そう、土砂災害は雨によって引き起こされるのです。発生時期も、梅雨や台風など雨の多い季節に集中しています。

scene 01 地球の声を聞こう

scene 06 水がたまるとふんばる力がなくなる

実験模型(もけい)を使ってその仕組みを見てみましょう。日本の山の斜面(しゃめん)の多くは、かたく水を通さない地層(ちそう)の上に、もろく水を通しやすい地層がのっています。模型に水を入れていきます。これは地層に雨がしみこむ様子。ふった雨が下の層の上にたまっていきます。そして…、上の層が突然(とつぜん)すべり落ちて家を直撃(ちょくげき)しました。「これ、お風呂だと思ってごらん」と先生。お風呂につかると体重は軽くなります。軽くなるとふんばる力がなくなります。「雨がふって山の中に水がたまると、自分の体が軽くなってふんばる力がなくなるから、山が動いてしまう」。

scene 01 地球の声を聞こう

scene 07 雨がふったらつねに危険が!

もろく水を通しやすい土砂(どしゃ)が、水につかると、上におし上げられ軽くなる。ふんばることができなくなり、くずれ落ちるのです。一台のカメラがとらえた映像(えいぞう)。道路の奥(おく)の斜面(しゃめん)に注目して見ると、突然(とつぜん)山の斜面がくずれ、道路も電柱も木々も一気に下へおし流されてしまいました。この土砂災害も、台風による大雨で地下にたまった水が引き起こしたのです。雨がふったら、つねに土砂災害の危険(きけん)があると覚えておきましょう。

scene 01 地球の声を聞こう

scene 08 土砂災害の“前兆現象”

土砂(どしゃ)災害の危険(きけん)を事前に教えてくれる現象もあります。藤井先生がみんなを連れてきたのは、道路ぞいのがけ。がけからつきでている管(くだ)があり、その口から水が流れ出ています。わき水です。「この穴(あな)は、土砂災害を止めるためにほったもの」(藤井先生)。この管は、それぞれが30mほど奥(おく)につながっています。地中に雨水がたまって土砂災害を起こさないように、水をぬいているのです。ところが土砂災害の前、ここにある変化が現れるといいます。「雨がふってわき水の量が増えると、危険です。前兆(ぜんちょう)現象です」。

scene 01 地球の声を聞こう

scene 09 前兆現象があったらすぐににげる

わき水の量が急に増えたときは、排水(はいすい)が追いつかず、地中に水がどんどんたまっている可能性が高い。逆に、管から水が急に出なくなったときも要注意。土砂(どしゃ)によって地中の管がつぶれ、水を排出できなくなっていると考えられるからです。こうなると、水はたまっていく一方。とてもあぶない。このように、災害の前に起きる現象のことを、“前兆(ぜんちょう)現象”といいます。「大雨がふったときもにげなきゃいけないけど、前兆現象があったときも、すぐににげる。このことがとても大事です」(藤井先生)。

scene 01 地球の声を聞こう

scene 10 大雨の予想や前兆現象に注目!

ほかにも、斜面(しゃめん)に急にわれ目ができたり、小石が斜面からパラパラ落ちてきたり、山から「ゴロゴロ」、「ミシミシ」といった音が聞こえてきたりしたら、かなりあぶない前兆(ぜんちょう)です。すぐにその場からはなれましょう。ここで今日のBOSAIポイント。「土砂(どしゃ)災害は雨が引き起こす身近な災害。大雨が予想されるときは避難(ひなん)の準備をしましょう。山の斜面に注目し、前兆現象に気づいたらすぐ避難してください」(藤井先生)。