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オープニング
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(オープニングテーマ)

scene 01貴族、武士、仏教の影響を受けた文化
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鎌倉時代に入り、日本は武士中心の社会に変わりました。室町時代になると、その文化は貴族、武士、仏教の影響を受け、新しい形が生み出されます。今日は、鎌倉と室町、2つの時代の文化を見ていきます。

scene 02金剛力士像の写実的な表現
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奈良、東大寺の南大門(なんだいもん)。ここに、鎌倉時代を代表する仏像が置かれています。高さ8m余りの「金剛力士像」です。東大寺を守るための仏像で、運慶と快慶によって作られました。口を固く結んでいるのは、「吽形(うんぎょう)」。怒りの表情を表しています。吽形と向かい合う形で立つもう一体が、「阿形(あぎょう)」。大きく口を開けて雄叫びを上げる表情です。左手を大きく開き、来るものを制止して、威嚇しています。どちらも胸や腕の盛り上がった筋肉など、写実的な表現です。

scene 03武士の時代に合った表現へ
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一方、「大日如来座像(だいにちにょらいざぞう)」(円成寺所蔵)は、運慶がそれまでの伝統的な技法で作ったものです。なめらかな曲線で表現され、柔らかで優雅な姿です。運慶、快慶は金剛力士像を、武士の時代に合った形で力強く表現したのです。

scene 04新しい仏教(1)
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平安の終わりから鎌倉時代にかけて、武士による争いが繰り返されました。この時代、争いを続ける武士や、飢饉(ききん)で苦しむ人々の心のよりどころとなる新しい仏教が誕生します。法然は「浄土宗」を開き、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と唱えればだれでも極楽浄土に生まれ変われる、と説きました。その弟子親鸞は法然の教えを一歩進め、「浄土真宗」を開きます。一遍が開いたのは「時宗」。阿弥陀仏に救われる喜びを踊りによって表す「踊り念仏」を通じて人々に教えを広めました。

scene 05新しい仏教(2)
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日蓮の「日蓮宗」は、法華経(ほけきょう)の題目「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」を唱えれば、人も国も救われると説きました。一方、座禅を組み、悟りを開く「禅宗」という仏教も生まれます。栄西の「臨済宗」。道元の「曹洞宗」です。このように、多くの僧がわかりやすく実行しやすい新しい仏教を開き、人々のあいだに広めたのです。

scene 06室町時代を代表する金閣
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京都、北山に室町時代を代表する寺があります。鹿苑寺金閣(ろくおんじきんかく)。室町幕府三代将軍、足利義満が建てました。当時には珍しい3層3階建てです。1階には貴族の建物の造りが取り入れられています。その一つが「しとみ戸」。戸をつり上げると、部屋の中に光を取り込むことができます。2階には武士の建物の造りが見られます。建物の内と外を仕切るのは、武士の家で使われていた「引き戸」です。3階の丸みを帯びた窓は、寺の窓と同じ形。貴族、武士、仏教の文化を合わせ、足利義満は新しい文化を生み出そうとしたのです。

scene 07禅宗の影響が現れた銀閣
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八代将軍足利義政のころになると、禅宗の影響が強く現れます。京都、東山の慈照寺銀閣(じしょうじぎんかく)。美しい庭と、簡素で気品がある建物は、この時期の文化の特徴を表しています。銀閣の近くに建つ東求堂(とうぐどう)。中は、ふすまや障子などで仕切られ、床には畳がしきつめられています。また、書き物をするための「書院」や、「違い棚」といった、部屋のかざりが整えられています。こうしたつくりを「書院造(しょいんづくり)」といいます。

scene 08和室の原型「書院造」
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それまでの貴族や武士の暮らしを描いた絵をみると、部屋には間仕切りがなく、「御簾(みす)」とよばれるすだれなどを使い、部屋を仕切っていました。床は板の間で、座ったり寝たりする所にだけ、畳などを敷きました。室町時代に生まれた「書院造」は、現在の和室の原型になっています。

scene 09芸術として完成された能
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「能」は、室町時代の中ごろ、観阿弥、世阿弥の親子によって完成されました。鼓や太鼓の楽器に合わせて歌や舞を舞う「猿楽(さるがく)」。そこに物語を加え、独特の動作で人の気持ちを表したのが、能です。義満はこの能を手厚く保護し、芸術として高めたのです。

scene 10国宝「四季山水図」
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水墨画家、雪舟は、中国に渡って水墨画を学び、独自の作品を作り出しました。国宝「四季山水図」。長さ16mにもおよび、四季の景色が描かれています。春、険しい山を一人の男が登るところから始まっています。水辺の景色は初夏。柳の木のみずみずしさが描かれています。秋、村のにぎわい。道行く人の着物にわずかに色が施されています。そして冬、静かな山里です。雪舟は、自分が持っている技法のすべてを使って、四季折々の日本の美しさをこの山水図に描きました。室町時代、今に伝わる多くの文化が花開いたのです。

10min.ボックス  日本史
鎌倉・室町文化
武士勢力の伸長を背景にした文化が展開した。建築物、芸能、絵画などを通して鎌倉と室町の文化を理解する。