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scene 01町の人口の2割近くが外国人
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群馬県の大泉町(おおいずみまち)。関東地方の北部にある町です。町の様子を見てみると、目に飛び込んでくるのは緑・青・黄色の国旗、ブラジルの国旗です。さらに、ポルトガル語やスペイン語、ネパール語、アラビア語などさまざまな言語で書かれた看板が町のあちらこちらに並んでいます。実は、大泉町の人口の2割近くが外国人。群馬県全体では、ブラジル人以外にもベトナム人やフィリピン人などが多く住んでいて、人口に占める外国人の割合は全国3位です。どうして群馬県にはたくさんの外国人が住んでいるのでしょう。そこで今回の疑問、『なぜ群馬県には多くの外国人が暮らしているの?』

scene 02日本で最も広い平野「関東平野」
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今日のテーマは関東地方。関東地方には、日本で最も広い平野「関東平野」があります。南と東には太平洋、西と北は山地に囲まれています。関東地方には、日本の政治・経済の中心である首都東京があります。その東京を中心に、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県にかけて広がる東京大都市圏には、日本の人口のおよそ4分の1が集中しています。今日は、関東の北部に位置する群馬県に注目。なぜ群馬県に外国人が多いのか、見てみましょう。最初の見方は「産業」です。

scene 03北関東工業地域にある大泉町
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関東地方には日本有数の工業地帯があります。東京湾の沿岸には、京浜工業地帯や京葉工業地域があり、鉄鋼、石油化学などのさまざまな工場が建ち並んでいます。そして、群馬県、栃木県、茨城県などの内陸部には北関東工業地域があり、大泉町はこの地域に属しています。大泉町の面積はおよそ18平方キロメートル。群馬県で最も小さい町です。町を見回してみると、あちらこちらに工場があります。家電製品や食品加工、自動車部品工場など、その数は100を超えます。どうしてこんなに工場があるのでしょう。それは、北関東工業地域の成り立ちに関係しています。

scene 04北関東工業地域の成り立ち
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高度経済成長期以降、東京を中心とした大都市圏の人口が増加。そのため市街地が拡大し、工場を建てるための用地が不足しました。そこで注目されたのが北関東。土地が広く地価も安いため、工場が建てやすかったのです。また、高速道路などの交通網が整備されていて、大消費地・東京にも近い。そのため輸送の時間もかからず、コストも安くすみます。このメリットに目をつけた多くの企業が北関東工業地域に集まってきました。この地域の工業出荷額を見ると、1970年におよそ3兆円だったものが、2012年にはおよそ30兆円と、10倍近く増加しています。

scene 05日系人の積極的な採用
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しかし工業が発展するにつれ、労働者の不足が問題になってきました。そこで企業が注目したのが、外国人。大泉町では地元70社以上が資金を出し合い、海外に住む日系人の働き手を集めるための組織を作りました。採用担当者をブラジルに派遣したり、現地の新聞に求人広告を掲載したり。こうした求人活動によって、大泉町に多くの外国人が住むようになったのです。ある工場では働いている70人のうち10人がブラジル人。そのほとんどが20年以上ここで働いているベテランです。でも、いくら仕事があっても、町が住みやすくなければ住民はほかの町に引っ越してしまいます。そこで、次の見方は「町づくり」です。

scene 06外国人に移り住んでもらうための試み
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大泉町にあるスーパーマーケット。店内には、ブラジルなど外国人向けの商品が並んでいます。日本人も、海外の珍しい商品を買いにくるそうです。大泉町では、外国人と日本人がともに生きる暮らしが当たり前になってきているのです。これまで大泉町では、多くの外国人に移り住んでもらおうとさまざまな試みが行われてきました。地元の企業が行ったのは、資金を出し合って家賃の一部を負担したり、家財道具をそろえたりすること。手厚い待遇で外国人を迎えていました。

scene 07行政も外国人をサポート
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行政もさまざまなサービスを提供しています。外国人登録の窓口にブラジルの公用語であるポルトガル語の通訳を配置し、手続きがスムーズに行えるようにしました。大泉町の暮らしやルールに慣れてもらうため、ゴミの出し方などを解説したポルトガル語の『生活マニュアル』を配布しています。町の広報誌もポルトガル語に翻訳するなど、さまざまな行政サービスを行っています。町の教育委員会が主催する日本語の講習会では、外国人のために日本語の会話や文字を教えています。また、日本人のためのポルトガル語教室もあります。お互いの国の言葉を理解することで、コミュニケーションを深めているのです。

scene 08異文化の相互理解のための活動
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そして月に一度、交流を深めるためのイベントも開かれています。会場では町に住む外国人たちのふるさとの料理が味わえます。料理を通して、日本人と外国人の異文化への相互理解を深めています。イベントではサンバも楽しめます。一緒にサンバを踊ることでコミュニケーションを図ろうというのです。さまざまな活動が実を結び、今では外国人と日本人が共同で清掃活動を行うようになりました。住民たちはお互いの文化を理解し、暮らしやすい町づくりをめざしてきました。だから、外国人が多く住むようになったのです。「国籍問わずに、大泉町はみんなの町だから、みんなで一緒に清掃活動やるといいと思います。」(外国人)

scene 09関東地方はどうして農業も盛んなの?
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「産業」や「町づくり」という視点で見ると、今回の疑問、「なぜ群馬県には多くの外国人が暮らしているの?」の理由がわかりますね。では、関東地方のほかの地域はどうでしょう。関東では、工業だけでなく、農業も盛んです。どうして農業が盛んなのか、「気候」や「地形」、「人口分布」など、いろいろな見方で考えてみましょう。

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なぜ群馬県には多くの外国人が暮らしているの?~関東地方~
今回の疑問は「 なぜ群馬県には多くの外国人が暮らしているの?」。外国人の住む割合が全国で3番目に多い群馬県。なぜそうなのか、「産業」などの「見方」をもとに探る。