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オープニング
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(オープニングテーマ)

scene 01今日のテーマは、「持続可能な社会」
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「今日のテーマは?」とタイイク。すると、「『持続可能な社会』。ぼくたちが生きているこの世界がこれからも続いていくように、何ができるか考えていこう!」とダルさんが言いました。「またまたぁ。世界が終わるなんて、そんなことあるわけないでしょ。あ、もしかして、巨大隕石(いんせき)が落っこちて人類が滅亡しちゃうとかそういう話?」とタイイク。「違うよ。このままだと人々の暮らしが維持できなくなるかもってことだよ」とダルさん。「えっ、そうなの!?」。

scene 02内戦、貧困、干ばつ、食糧不足…
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世界には人々の幸せな暮らしを脅かす問題がたくさんあります。中央アフリカ共和国では、2013年から2019年にかけて政府と武装勢力による激しい内戦が起こりました。町や農地は戦場となり、農作物の収穫は激減。内戦によって貧困や食糧不足が深刻化しました。人口の半数以上が食糧や医薬品など外国からの支援がなければ暮らせない状況が続いているのです。気候変動も社会の持続を妨げます。アフリカ諸国では、しばしば長期間雨が降らない干ばつに見舞われます。ソマリアでは2011年の干ばつにより、食糧不足によっておよそ26万人が亡くなりました。さらに2017年には620万人が深刻な食糧不足に陥りました。

scene 03社会を持続させるための17の目標“SDGs”
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社会を持続させるために私たちは何をすべきか。国連では、2030年までに達成すべき目標を掲げました。“SDGs(エス・ディー・ジーズ)”と呼ばれる目標です。めざす目標は17。一つの目標が、さまざまな問題解決につながっていきます。たとえば気候変動。気候が安定すれば食糧生産も安定し、飢餓や貧困がなくなっていきます。また、より多くの子どもたちが教育を受けられれば、社会や経済が安定し、貧困が解消していきます。一つひとつの目標達成が、持続可能な社会の実現につながるのです。

scene 04私たちも世界の貧困や飢餓の原因を作っている?
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「貧困、飢餓、環境の悪化…。こうしてみると、世界はいろんな課題を抱えてるんだなあ」とタイイク。「社会の持続可能性を妨げている要因は、地域や国によって違うんだ」とダルさん。「そうか…。でも日本はとりあえず平和だから、安心だね」。すると、「タイイク、自分には関係ないって思ってない?」とダルさん。「え…うん、ちょっと」とタイイク。「ぼくらがほかの国の貧困や飢餓などの原因を作っていることだってあるんだ」とダルさんが言いました。「え、うそ!?」。

scene 05先進国の豊かな暮らしを支えていたのは…
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2013年4月、バングラデシュでビルが倒壊。中で働いていた1000人以上が亡くなりました。そのビルに入っていたのは縫製工場。先進国のアパレルメーカーから仕事を請け負っていました。この事故の調査の過程で、ビルの中の過酷な労働環境が明らかになりました。先進国のメーカーは、人件費を抑えるためアジア諸国の工場に作業を発注しています。工場のなかには、大量の注文に応えるため、一日12時間を超える労働を強いるところもありました。それにも関わらず、給料はバングラデシュの平均月収以下。先進国の豊かな暮らしを支えるために、途上国の人々が苦しめられていることが浮き彫りになったのです。

scene 06途上国の労働環境の見直しを
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この事故をきっかけに、先進各国のメーカーは労働環境の見直しを始めました。カンボジアも先進国の下請け工場が多い国の一つ。日本の大手スポーツ用品メーカーの社員が、シューズの縫製を発注している工場を訪ねました。労働環境を細かくチェックするためです。チェックするのは建物の強度、火災対策など17の項目。労働者に契約以上の仕事をさせていないか調べてみると、残業の許可を一日ごとではなく一か月まとめて出していることがわかりました。メーカーは、このやり方では過重労働を招くと指摘、改善を求めました。途上国の貧困問題の解決には先進国側の積極的な取り組みが不可欠なのです。

scene 07“公正な貿易”という取り組み
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フェアトレード(公正貿易)という取り組みも注目されています。途上国の人たちが生産した農作物や製品を適正な価格で取り引きすることで、生産者の経済的自立を支えようという取り組みです。

scene 08日本でも持続可能性の問題が
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「ぼくたちが便利で豊かな生活をするために犠牲になっていた人たちがいたなんてショックだなあ」とタイイク。「安くていいものを買うのは消費者として賢い行動だけど、なぜこんなに安く買えるのか、一度考えてみることも大切だね」とダルさん。「難しいなあ。でも世界に目を向けないとね」。「うん。世界のことを考えるのはもちろん必要。だけど、日本にも持続の可能性が危ぶまれている問題があるんだ」とダルさんが言いました。「日本でも?」。

scene 09急速に高齢化が進む村
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群馬県南牧村(なんもくむら)。人口はおよそ2000。将来、村がなくなってしまう可能性が高いといわれています。かつては、こんにゃくいもなどの農業で栄えていました。しかし、1960年代に入るとこんにゃくいもの価格が下落。農業に見切りをつけ、村を出ていく人が増えていきました。その後、急速に高齢化が進み、現在では村民のおよそ6割が65歳以上。人口の減少とともに、商店や病院の数も減ってしまいました。

scene 102040年には896の自治体が消滅する?
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村では若い働き手を増やすためにさまざまな対策をとっています。その一つが、空き家の活用。改修した空き家の情報をホームページに載せて、移住者を募っています。こうした努力の結果、移住する人が毎年やってくるようになりました。しかし、高齢化率が高いため、人口はこれからも減り続けると予想されています。こうした問題に直面しているのは南牧村だけではありません。2040年には、896の自治体が消滅すると予想するデータもあるのです。

scene 11効率と公正の観点から
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「日本は大丈夫だと思ってた自分がなさけない…」とタイイク。「問題はそれだけじゃないよ。たとえば所得の格差。平均年収よりもうんと低い収入で暮らす世帯は15.7%。日本の貧困率は先進国の中でも高いほうなんだ」とダルさん。「え、そうなの? やっぱり格差のない、みんなが幸せな社会がいいよね。てことは、公正さが大事なのかな」。「でも、暮らしを豊かにするには競争や効率も大事だよね」とダルさん。「そうだよね。もしかして、今の社会は効率を重視しすぎてるんじゃないかな。だからさ、バランスを見直してみるべきなんじゃない? 利益のことを考えすぎてる気がするんだよね…。でもやっぱり、大切なのは他者を思いやる気持ちじゃない?」。「おぉ~!」。

アクティブ10 公民
“世界の終わり”がやってくる!?
2015年に国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)を紹介しながら、貧困、気候変動、経済格差など、世界や日本の持続可能性を妨げる問題について考える。