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オープニング
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オープニングタイトル

scene 01男が手にした金色のメダル
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うすぐらい工場のかたすみで、男が金色のメダルを次々にふくろにつめています。1枚(まい)のメダルを手に取ると、男はメダルを見ながらにやりと笑いました。

scene 02「ぬすんだの、ぼくです」
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「純金製(じゅんきんせい)ですか…」。金色のメダルを見ながらゼロがつぶやきました。国産の機関車が作られて100年を記念するメダルだそうですが、トレイ一つ分の2020枚(まい)が工場からなくなったのです。ゼロとイチはその捜査(そうさ)で工場に来ていました。すると、ものかげからその様子を見ていた男が、「すみません」と言って出てきました。「ぬすんだの、ぼくなんです」。工場で働く比留間俊夫(ひるま・としお)でした。「つい、出来心で…」。比留間はメダルの入ったふくろを差し出しました。「これでトレイ一つ分の2020枚です」。ゼロはイチに数えるように言いました。

scene 03重さと枚数は比例する
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「1、2…」とイチが数え出すと、比留間が「あ、あの、数えるの大変だから重さをはかったほうが早いんじゃないですかね。重さと枚数(まいすう)は比例(ひれい)しますんで」と、はかりを差し出しました。「あ、そうか」。イチがメダル1枚の重さをはかると、「8.0g」と表示(ひょうじ)されました。「じゃあ、メダル全部の重さは?」とゼロ。イチがメダルを全部はかりにのせると、「16160.0g」と表示されました。メダル1枚が8.0gなので、16160÷8=2020。「たしかにこれで2020枚です」とイチ。

scene 04鉄道が好きな男?
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「ほんとにごめいわくをおかけしまして…」。泣いてわびる比留間のハンカチには機関車の絵がありました。「刑事さん。かれも反省しているようですし、あんまり大事にはしないでいただけますか」と工場長が言います。しかしゼロは何か気になるようです。比留間のポケットからのぞくキーホルダーにも、鉄道グッズがたくさんついていました。「比留間さん、かなり鉄道がお好きなんですねえ」とゼロ。すると比留間は、「いや、別に、そんなことないですよ」と、ハンカチとキーホルダーをかくしてあわてて行ってしまいました。

scene 05落としたネジの数を数える
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ゼロが工場内を調べまわっています。犯人(はんにん)はわかったし、ぬすまれたメダルも返ってきたのですが、何か引っかかるようです。「なんで比留間は自分から名乗り出てきたんだ?」。そのとき、イチがネジの箱を落とし、ゆかの上にネジをぶちまけてしまいました。二人はネジを拾い集めました。ネジの箱に「1000本」と書いてあるので、1000本全部拾ったかたしかめます。1本ずつ数えようとするイチにゼロが言いました。「数えてるひまはないぞ。さっきと同じように重さをはかってみるんだ」。

scene 06ネジ一つは0.0g?
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ネジを一つはかりにのせると、「0.0g」と表示(ひょうじ)されました。「あれ? こわれてるのかな?」。イチがもう一つネジをのせると、今度は「0.1g」になりました。「二つで0.1gだから、ネジ1個(こ)は0.05gですね」。すると、「まて、イチ。ネジ四つだと重さは?」とゼロ。ネジ一つが0.05g。それが四つだから0.2gになるはずですが、ネジを四つはかりにのせると、「あれ? 0.3gです。おかしいな」。ゼロは気がつきました。「そうか。ネジが軽すぎてこのはかりじゃ正確(せいかく)にはかれないんだ。イチ、ネジを100個のせてはかってみよう!」。

scene 0710分の1の位までしかはかれない
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ネジを100個(こ)数えてはかりにのせると、「8.0g」と表示(ひょうじ)されました。「100個で8gだから、ネジ一つは0.08gです」とイチ。「このはかりは10分の1の位までしかはかれないんだ。だから『0.0』としか表示されないんだ」とゼロ。本当の重さは、2個で0.16g、4個で0.32gなのです。「じゃあ、ネジを全部はかると…。ぴったり80g。たしかに1000個ありました」とイチ。すると、ネジを見つめていたゼロがひらめいたようです。「うん? なるほど、そういうことか。犯人(はんにん)のトリックがわかったぞ!」

scene 08ポケットから出てきたメダル
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比留間がロッカーの前で帰るしたくをしているところへ、ゼロとイチがあらわれました。荷物を調べていいかと言われ、「別に…かまいませんけど」と平静をよそおう比留間。イチが比留間のバッグを調べますが、「別にあやしいものは入ってきませんよ」と比留間。ところが、ポケットの中を調べようとすると、あわててロッカーの中にかくれました。観念して出てきた比留間は、ポケットからメダルを取り出してゼロにわたしました。「ちなみに…なんでわかったんですか?」と比留間。

scene 09メダル100枚で808.0g
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ゼロはテーブルの上にはかりを置いて言いました。「先ほどメダル1枚(まい)の重さをはかりました。メダル1枚は8.0gと表示(ひょうじ)されます。メダル1枚の重さが8gだから、メダル100枚だと800gになるはずです。しかし実際(じっさい)にはかってみると…」と、ゼロがはかりに100枚のメダルをのせると、はかりの表示は「808.0g」になりました。「重さと枚数は比例(ひれい)するのに、おかしいですね」とゼロ。だまってしまう比留間。「実は、このはかりは100分の1の位が表示されません。だから、メダル1枚の本当の重さは…」。

scene 10メダルの重さをごまかしていた
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イチが続けます。「100枚(まい)で808gだから、メダル1枚の重さは8gじゃなくて8.08gです!」。ゼロが言いました。「あなたが返した重さ16160gのメダル。その数は、2020枚じゃなくて2000枚だったんです。あなたは重さをごまかして、20枚のメダルをぬすみ出そうとしたんです!」。うなだれる比留間。「どうしても、ほしかったんです…」という比留間にゼロが言いました。「メダルの重さはごまかせても、罪(つみ)の重さはごまかせませんよ」。

さんすう刑事ゼロ
2020枚のメダルを確かめろ ~比例~
盗まれたメダル2020枚を犯人が返却した。しかし大量のメダルは本当に2020枚か?ゼロはメダルの数を、枚数と重さが比例する特徴を使って確かめる。