チャプターあらすじを読む
scene 01あと50年で石油や天然ガスがなくなる?
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愛知県岡崎(おかざき)市にある岡崎市立新香山(しんかやま)中学校。2年生のみんなは、べんりでゆたかなくらしにかかせない「電気」について考えていました。調べてみると、日本の電気の多くが火力発電で作られていることがわかりました。しかも、発電のもととなる石油や天然(てんねん)ガスは、このままのペースで使いつづけていくとおよそ50年でなくなってしまうかもしれないのです。「今のわたしたちはいいけれど、50年後の未来(みらい)の人たちがこまっちゃうと思いました」(女子)。どうしたら未来の人たちのくらしを守れるのでしょう。

scene 02太陽光発電について調べてみる
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みんなが注目したのは、地域(ちいき)でもたくさん見かける「太陽光パネル」です。「太陽光発電は、火力発電とちがって資源(しげん)もあまり多く使わないので、将来(しょうらい)にも期待できる発電方法(ほうほう)だと思います」(女子)。「地球にやさしく環境(かんきょう)にもいい」(男子)。この先、太陽光パネルがもっとふえるかどうか知りたい。みんなは太陽光パネルにくわしい人に話を聞いてみることにしました。学校に来てくれたのは、これまで10年以上(いじょう)太陽光パネルの設置(せっち)を手がけてきた友重(ともしげ)さんです。

scene 03太陽光発電についての意外な説明
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さっそくたずねました。「太陽光発電は必要不可欠(ひつようふかけつ)なものですか?」(男子)。すると、「現状(げんじょう)ではこの大きさで255ワットしか出ない」と友重さん。太陽光パネル1枚(まい)で作ることのできる電気は、100ワットの電球2.5個(こ)分だけ。だから大きな電力を作るには、たくさんのパネルをならべる広い土地が必要になるのだそうです。「日本のかぎられた土地では、設置(せっち)数がだんだんへっていくかな」と友重さん。さらに、「環境(かんきょう)のことも大事。でも、自然(しぜん)を伐採(ばっさい)して土地を造成(ぞうせい)し、太陽光発電所を作ることもあります」と友重さん。意外な説明(せつめい)でした。

scene 04どうやって未来の人たちのくらしを守る?
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太陽光パネルは広い土地が必要(ひつよう)。環境(かんきょう)にやさしくない面もある。それでどうやって未来(みらい)の人たちのくらしを守るのでしょう。「考えても、今以上(いじょう)のことは出てこないと思うので、頭のいい人にまかせておけばいい」(男子)という意見が。これに対して、「考えることもしなくなってしまったら、この現実(げんじつ)を知らないでどんどんみんな電気を使ってしまって、エネルギーがなくなってしまうので、未来に石油がのこらないと思います」(女子)という意見。さらに、「あまり知識(ちしき)がない人があれこれ口をはさむのはちがうかなって思います」(女子)という意見も。みんな、どうしていいかわからなくなってしまったようです。

scene 05「どう作るか」より「どう使うか」
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こまったみんながよんだのは、市内にくらす唐澤(からさわ)さん。なるべく電気にたよらずにくらしている人です。そのきっかけは、2011年に起きた東日本大震災(しんさい)。支援(しえん)でおとずれた避難所(ひなんしょ)で唐澤さんが見たのは、電気のうしなわれた生活でした。避難所の人たちが生きていくために使っていたのは、落ちていた木材(もくざい)や木の破片(はへん)。それ以来(いらい)、唐澤さんは電気にたよったくらしを見直そうと、身近にある木材を使ってくらすようになりました。「エネルギーはどう作るか、火力がいいのか、原子力がいいのかという話になってくるんですけれど、どう作るかよりも、それをどう使うかのほうが大事だよ」と唐澤さんは言います。

scene 06電気の大切さを知ってもらうアイデア
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唐澤さんの話を聞いて、「そんな大きいことをしなくても、自分たちにはまだできることがいっぱいあるからって言われた気がして。身近なことに関心(かんしん)を持ってみようかなって」と思った子。電気をどう使うか、ならいろいろできそうです。みんなはたくさん出てきたアイデアを、できることとできないことに分けて考えました。その結果(けっか)みんなが出した答えが、『電気の大切さを地域(ちいき)の人に知ってもらう節電(せつでん)』。地域にくらす3800世帯(せたい)に、夜7時からの3分間、いっせいに電気を消してもらう「完全消灯(かんぜんしょうとう)」をよびかけるのです。

scene 073分間の完全消灯
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3分間の効果(こうか)を知るために、まず自分たちの家で完全消灯(かんぜんしょうとう)をためすことにしました。電気を消してみると、まっくら。「じゃあ3分、いきまーす!」。3分間をはかります。すると…。「明かりって大事だね」とお母さん。3分間明かりを消すことで、電気の大切さを感じてくれたようです。お父さんが、「節電(せつでん)をやってみようって思える言葉、説明(せつめい)が大事かな」とアドバイスしてくれました。お母さんも、「みんなでやるとこれだけ節電になるとか、数字があればわかりやすい」と言います。なるほど。多くの人におねがいするなら、説得力(せっとくりょく)が必要(ひつよう)ということですね。

scene 083分間の節電が石油40リットル分の節約に
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さっそく、節電(せつでん)の効果(こうか)をみんなで計算してみました。3800世帯(せたい)が3分間の節電をすると、家庭で使う電気のおよそ8.5日分、石油40リットル分の電力を節約(せつやく)できるらしいことがわかりました。「けっこう多い」(男子)。「けっこう節電できているような」(女子)。みんなの思いだけでなく、データやグラフをのせたチラシを配って、完全消灯(かんぜんしょうとう)をよびかけました。「自分たちの孫(まご)の世代にも石油を少しでものこすために…」と説明(せつめい)する男子。2年生全員で、地域(ちいき)の人みんなに思いをつたえたのです。

scene 09ほとんどの家が協力してくれた!
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いよいよ、3分間の完全消灯(かんぜんしょうとう)の当日。みんな、まちの様子が気になって集まってきました。「少しのこっちゃうと思います。完全には消してくれないかな」(男子)。夜7時。「消えた、消えた!」。「ここらへん全部消えてる!」。「すごい消えてる!」。なんと、ほとんどの家が3分間の完全消灯に協力(きょうりょく)してくれたのです。

scene 10未来までつづけられる節電を考える
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次の日。学校にはたくさんのアンケートがとどいていました。「電気のありがたみを知りました」。「定期的(てき)にやってもいいと思います!」。でもなかにはこんな答えも…。「賛同(さんどう)できない。イベント的でざんねんです」。これに対して、「イベント的でざんねんっていうことは、自分たちがうれしいで終わっちゃだめで、地域(ちいき)の人たちにも共感(きょうかん)してもらえるようにしないといけない」(女子)という気持ちを持ちました。――「みんなは自分自身が未来(みらい)までつづけられる節電方法(せつでんほうほう)を考えることにしたの。それを地域の人たちにも広めて、いっしょに未来の電気を守っていきたいんだって」とコスル。「よ~し、今日からオレも節電するぞ~!」。

ドスルコスル
こうする!未来の電気を守ろう〜愛知県岡崎市立新香山中学校2年
人々の豊かな暮らしを支えている「電気」を未来まで守りたいと考えた愛知県岡崎市新香山中学校の2年生。地域の人々に節電を呼び掛ける活動を紹介する。