あらすじ一覧

博士の居場所を推理せよ ~立方体~

オープニング

オープニングタイトル

scene 01とじこめられた男

「わたしに協力する気はないということですね?」。うすぐらい部屋で男が言いました。「当然だ。何十年もかけてようやく開発した技術(ぎじゅつ)なんだ」。年配の男が答えました。「やむを得ません。気が変わるまでここで考えていただきます」。そう言うと男は部屋を出て行きました。ガチャリ。かぎをかける音がします。あわててドアにかけよる年配の男。「鈴木(すずき)博士! 鈴木博士!」。しかしドアは開きません。ため息をついた年配の男がポケットから取り出したのは、ロボットの顔がえがかれた立方体の箱でした。

scene 02ロボット工学の第一人者が行方不明に

さんすう課で、イチが雑誌(ざっし)を読んでいます。ロボット工学の第一人者、佐久間(さくま)博士が開発したスーパーロボット『サックマン』の記事です。イチは今話題のサックマンチョコをゼロにくれました。ロボットの顔がえがかれた箱です。そこへ、主任(しゅにん)からの指令です。「ゼロ、イチ、事件(じけん)よ。国立立体大学の佐久間直之(なおゆき)博士が3日前から行方不明になっているの。博士はその日、ライバルである西京大学の鈴木研一博士に会うと言って出かけたきりなのよ。至急(しきゅう)、西京大学へ向かって!」。

scene 03佐久間博士に会うはずだった鈴木博士

西京大学でゼロとイチが鈴木博士に話を聞いています。「たしかに約束はしていました。しかし結論(けつろん)から言うと、会っていません。約束の時間になってもあらわれなかったんで」と鈴木博士。鈴木博士は、自分が開発中のロボットがうまく機能(きのう)しなくて、佐久間博士にアドバイスをもらおうとしたようです。「とにかくわたしは会ってません! もういいですか。講義(こうぎ)の時間なんで」。そう言うと、鈴木博士は行ってしまいました。

scene 04落ちていた展開図

「佐久間博士、本当に来なかったんですかね」。キャンパスのベンチにすわったイチがふと見ると、足もとに紙飛行機が落ちていました。サックマンチョコの箱がはさまれています。箱は切り開かれ、テープで印がつけられていました。「これは立方体の展開(てんかい)図だな」。展開図と大学の建物を見くらべたゼロは、「やはり佐久間博士はあの建物にいるんだ」と言いました。展開図にある四角い印がおそらく入り口。博士はこの立方体の箱を建物に見立てて自分の居(い)場所を知らせようとしたんだ!」と、展開図の「×」印を指しました。

scene 05展開図を組み立てていくと

「それなら早く組み立てなきゃ!」。しかし、展開(てんかい)図は2つにちぎれていて、元の形がわかりません。組み立てられる形を順に想像(そうぞう)してみます。「まず始めに、いちばん下になる底の面を決めるとわかりやすいぞ」とゼロ。入り口の印につながっている面が底。まず左の面を立てて、入り口の面をたてます。次に奥(おく)の面を立て、右の面を立てると…。「あれ? 天井(てんじょう)がありません!」。この展開図は組み立てられないようです。次は、別のちぎれた辺と辺をあわせてやってみると…、今度は立方体になりました。「×」印は一階の右奥の部屋です。

scene 06部屋にはだれもいなかった

「ちょっと刑事(けいじ)さん、こまります! 佐久間博士は来てないって言ったでしょ!」。鈴木が追いかけてくるのもかまわず、ゼロとイチは一階の右奥(おく)の部屋に向かいました。「この部屋です」とイチ。ゼロがいきおいよくドアを開けました。ところがそこは、教室。だれもいません。「あれ? いない…」。鈴木は、「だからいないって言ったでしょ! もうお引き取り下さい!」とドアをしめました。

scene 07いろいろな展開図を調べる

「ぼくたちの推理(すいり)、まちがってたんですかねぇ…」。さんすう課にもどったイチが展開(てんかい)図をながめています。「ほかにも組み立て方があるんじゃないか。立方体のいろいろな展開図を調べてみよう」と、ゼロはサックマンチョコの箱をたくさんならべました。イチがはさみで箱を切り開いていろいろな展開図を作ります。この中に答えがあるはずと、いろいろ試してみるイチ。「これはちがうし…これもちがうな…」。すると、考えこんでいたゼロが気がつきました。「なるほど! 博士の居(い)場所がわかったぞ!」。

scene 08部屋をつきとめた!

「佐久間博士、協力する気になりましたか?」。そう言う鈴木に、「何度言っても意思は変わらん」と佐久間博士。すると、ガチャガチャッとドアが開いてゼロとイチがあらわれました。「佐久間博士、ここにいらっしゃったんですね」とゼロ。「どうしてわかったんだ?」とおどろく鈴木に、「佐久間博士が作った展開(てんかい)図のおかげです」とゼロが言います。「だれかが気づいてくれると信じてたよ」と、ほっとする佐久間博士。佐久間博士はサックマンチョコの箱を切り開き、印を付けて、紙飛行機にはさんで窓(まど)から外へ飛ばしたのでした。

scene 09みんなで展開図を組み立ててみる

「展開(てんかい)図って言っても、ちぎれてるじゃないか!」と鈴木。「そうなんです。そのため、正解(せいかい)にたどりつくまで時間がかかりました。佐久間博士が作った展開図はこの形だったんです」。イチが展開図を見せました。「この展開図を頭の中で組み立ててみましょう」。みんな、頭の中で組み立てます。底になる面に対し、まず左の面を立てる。次に入り口の面を立てる。奥(おく)の面を立て、右の面を立て、上の面をかぶせる。立方体の完成です。「×」印がしめすのは、屋上にある部屋だったのです。

scene 10成功は失敗の上にある

「鈴木博士。あなたはロボットの研究に行きづまり、佐久間博士が開発した技術(ぎじゅつ)をぬすんで自分の手柄(てがら)にしようとした。ちがいますか!」とゼロ。鈴木は、「わたしの研究は失敗続きだった。成功を手に入れて世間から注目されている佐久間博士がうらやましかったんだよ」と言いわけします。「わたしだって苦労したんだ。かんたんに成功したわけではない」と佐久間博士。するとゼロが、「成功は失敗の上にあります。やり続ければきっと光は見えてくる。さんすうだって同じです!」と言ったのでした。