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西田敏行 西田敏行

西田敏行俳優にしだとしゆき

1947年生まれ、福島県出身。主演映画『釣りバカ日誌』シリーズなど、代表作多数。主な出演作に、ドラマ『西遊記』『池中玄太80キロ』『白い巨塔』『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』シリーズ、映画『敦煌』『学校』シリーズなどがある。NHKでは12作の大河ドラマに出演。『翔ぶが如く』『八代将軍吉宗』『葵 徳川三代』では主演を務めた。ほかに連続テレビ小説『瞳』、『ジイジ ~孫といた夏~』、『坂の上の雲』など。『西郷どん』では語りを務めている。

大河ドラマ おんな太閤記(1981)

豊臣秀吉役

大河ドラマ おんな太閤記

インタビュー

 当時「今太閤」と呼ばれていた田中角栄さんと秀吉役のイメージがすぐに直結してしまい、どこか意識して演技をしていました。“人たらし”として知られる秀吉ですが、それは角栄さんにも通じるところ。そういった意味で角栄さんを通して秀吉に近づこうと思っていたんです。

 この頃は『太閤記』で緒形拳さんが演じた秀吉像がひとつのモデルケースのようになっていたんですよ。吉川英治さんが書かれた原作の「太閤記」に忠実に描かれた秀吉像は、当時の若い俳優さんたちの目指すところだったんじゃないかな。そんななかで、僕は違った秀吉を演じてみようと思いました。脚本の橋田壽賀子さんには「サルというよりゴリラね」なんて言われましたが、逆にそれが僕自身の秀吉を作っていくための要素になりましたね。

1965年の大河ドラマ『太閤記』で秀吉を演じた緒形拳

 また、『おんな太閤記』では権力を握ると同時に秀吉の侵略欲、支配欲のようなものがどんどん出てきました。それが朝鮮出兵へとつながるのですが、どこかで反戦の意識を持って描いて欲しいと橋田さんにはお願いしたんですよ。橋田さんもまた「戦争は嫌だ」と思っていらっしゃったので、作品のなかでの朝鮮出兵のとらえ方が、演じる上でのひとつの鍵になりました。

 若い時はそれこそ“人たらし”らしく皆に愛され、希望に満ちた秀吉が描かれました。それが権力も持った途端、甥に不信を抱くようになるなど、欲にまみれた人間に変貌。家族から見ても「父ちゃんずいぶん変わってきたね」という作りになっていた。それは僕自身も演じたかったポイントだったので、橋田さんと思いを同じくしていたのだなと思いました。権力を持った人間がどう変わっていくのか、秀吉の思いを具象化したい、心のありようを具体的に演じたいと取り組んだ作品でした。今見ると、一年間大河ドラマをやりぬくための志のようなものが、若さ故にチラチラ見えて、自分で言うのもなんですが、好ましいですね(笑)。

一農民から天下人となる秀吉の生涯を正室・ねね(佐久間良子)の視点から描いた

大河ドラマ 翔ぶが如く(1990)

西郷隆盛役

大河ドラマ 翔ぶが如く

インタビュー

 西郷さんの国を思う気持ちを大切に、司馬遼太郎さんの原作に描かれた西郷吉之助、西郷隆盛を真摯に受け止めて演じなくてはいけないなと、まっすぐな気持ちだったことも覚えています。実は故郷、福島(会津)の人の多くは、完膚なきまでに会津を倒した新政府軍に対して、未だにある種の怨念に近いような気持ちを根底に抱いているんですよ。でも、僕自身はどういう訳か西郷さんだけは許せるというか、好ましいような気持ちで演じることができました。何でかな? 不思議ですが、それがおそらく西郷隆盛の持つ人間力なんでしょうね。

 28年前ですから、僕も当時は42歳。男としては働き盛り、飲み盛りですよね(笑)。皆と集まると熱く演技を語り、時代背景を語り、明治維新に命をかけていった青春に畏敬の気持ちと思いを込めて毎日乾杯していました。

西郷隆盛と盟友・大久保利通(鹿賀丈史)

 大久保利通を演じ、共に主演を務めた鹿賀丈史くんに対しては「我々は戦友だな」と思っていました。そんな鹿賀くんが今『西郷どん』で島津斉興を演じていて、これが結構憎らしいのでビックリ(笑)。ピュアな目で西郷を見つめていた、あの頃の鹿賀くんとは違うけれど、ロシアンルーレットのシーンなんかは、すごい迫力で久しぶりにいい芝居を見せてもらったなという感じがしました。

『西郷どん』島津斉興を演じる鹿賀丈史

大河ドラマ 八代将軍吉宗(1995)

徳川吉宗役

大河ドラマ 八代将軍吉宗

インタビュー

 将軍役ってやっぱり気持ちいいんですよ(笑)。だって目の前の人が皆頭を下げてくれるんですから。この気持ちを味わっちゃったら、ひとつ間違えば独善的にもなりうるわけで、権力って怖いなと思いますね。

 印象的だったのは、青年時代を演じた阪本浩之くんから本役の僕に変わるシーン。18歳くらいからバトンタッチしたのですが、疱瘡(ほうそう)を患い、顔を包帯でグルグル巻きにした頼方(吉宗)が治療を終えて包帯を取ると僕になっているという仕掛けで…大丈夫かなと思いました(笑)。

包帯をとると… 話題になったバトンタッチのシーン

 それからなんと言っても、息子である家重を演じた中村梅雀さんとの共演はいい思い出ですね。ドラマでは父・吉宗が息子に九代将軍としての自立を求めるのに対し、家重は将軍職に就きたくないと思っているというすれ違いが描かれました。父としては歯がゆい気持ちがあるのですが、やはりそれを上回る愛おしさがありました。

 芝居というのは相手役とのキャッチボールで9分9厘決まるみたいなところがありますから、そういう意味ではこの家重役が梅雀さんでよかったなと思っています。不思議なもので、相乗効果が出て、お互いに芝居を楽しめる域までいったのは、なかなかステキな経験でしたね。

心優しいが病弱で臆病な嫡男・家重(中村梅雀)は吉宗の悩みの種

月曜ドラマシリーズ ジイジ ~孫といた夏~(2004)

片岡英吉役

月曜ドラマシリーズ ジイジ ~孫といた夏~

インタビュー

 どうもお年寄りと教師を演じると故郷の福島弁が出ちゃうんですよ。子どものころに見ていたおじいさんのイメージとか、先生もみんな福島なまりがあったなという印象があってね。だから、『ジイジ』で演じた英吉さんが福島出身という設定で良かったなと思いました。

 ドラマは僕が演じたジイジこと英吉さんが絶縁状態だった家族と過ごすひと夏の物語。僕自身、母方の祖父にずいぶん懐いていたんですよ。なぜか祖父といると両親といるよりも安心感があるようで、身をゆだねていられる感覚があり、祖父の存在って大きいと思っていたんです。ですから、おじいさんと孫たちの関係を描いたこのドラマには、自然と共感できました。

突然やってきた“ジイジ”は遠慮なしに孫たちを叱る

 この後、連続テレビ小説『瞳』で再び祖父と孫を演じることになった榮倉奈々ちゃんがまだ18歳だったんですよね。おかげさまで評判も良くてシリーズ2も放送されたのですが、その知らせを受けたときは「また、あの家族に会えるんだな」とうれしかったです。共演者とは本当に家族のように過ごしていましたから。だから、シリーズ2のクランクアップの日、孫たちを演じた3人が色紙にメッセージを書いてくれたの。今でも大事に持っているんですよ。

しっかり者の長女あたる(榮倉奈々)にも家族に言えない悩みが

大河ドラマ 西郷どん(2018)

語り

大河ドラマ 西郷どん

インタビュー

 ナレーションを入れる作業は、その時々で違った思いを乗せて話せるのでとっても楽しいですね。例えば斉彬の気持ちになってみたり、今は思いを西郷さんにぶつけようとか、西郷さんが困った立場になっちゃったなというときには、一緒に困ってみようという風に毎回違うんですよ。

 ドラマの最後に言うセリフも実は違えているんです。毎回「きばれ〜」ばかりだと西郷どんが辛くなっちゃうでしょう。「チェスト」に込める思いも違いますし、言わないときだってある。今は静かに見守ろうとかね。

藩主・島津斉彬(渡辺謙)の“お庭方”を命じられた吉之助(鈴木亮平)

 気持ちとしては、西郷吉之助にとって一番身近に接することのできる神様みたいな目線かな。「西郷どんはこう言いたかったんじゃないか」ということも代弁もできるようなね。縦横無尽なんです。目線は西郷さんから外していないし、ある種の客観性も持っていなければいけないけれど、ちょっと肉親的なイメージ。「あんた誰?」と聞かれたら「身内の者です」と言えるくらいの近さではいたいなと思っています。俯瞰もできれば、あおることもできるし同じ目線でも見られる。そういう意味では、あまり自分の居場所を定めないで色んな目線で西郷さんを見ていたいなと思いますね。

 鈴木亮平くんと最初に2人で話したときに言ったのですが、スッピンのゼロ状態ではじまって、台本の進行状況に合わせて西郷さんの気持ちを追体験していけばいいんじゃないかって。ドラマが進むなかで、西郷としての体験を糧に、亮平くんが西郷どんになりつつあるプロセスがよく見えるので、それが愛おしいと感じます。よく頑張っていますね。これから歴史的に何が起こるのか、亮平くん演じる西郷はおそらく知らない状態でいると思うんですよ。だから、ご覧になるみなさんも彼と同じように、これからどうなっていくんだろうと思いながら見ていただくと面白いのではないかと思います。

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