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沢口靖子 沢口靖子

沢口靖子女優さわぐちやすこ

1965年生まれ、大阪出身。84年、映画『刑事物語3 潮騒の詩』でデビュー。連続テレビ小説『澪つくし』でテレビドラマ初主演以来、数多くのドラマに出演。『鉄道捜査官』『警視庁機動捜査隊216』『検事・霞夕子』『科捜研の女』などのシリーズ作品がある。舞台『シングルマザーズ』『男嫌い』、映画『ひめゆりの塔』『校庭に東風吹いて』など。NHKでは、ハイビジョンドラマ『坊さんがゆく』、『お登勢』『シングルマザーズ』、大河ドラマ『秀吉』などに出演。BS時代劇『小吉の女房』では、破天荒な夫・小吉を支える天真爛漫な妻・お信役で出演。

連続テレビ小説 澪つくし(1985)

古川かをる役

連続テレビ小説 澪つくし

インタビュー

 『澪つくし』のお話をいただいたとき、「あ、次は朝ドラのお仕事なんですね」と淡々と受け止めたことを覚えています。デビューした年のことでした。映画を2本、単発ドラマ1本に出演させていただいたとはいえ、まったくの新人で無知でしたから、朝ドラの偉大さや影響力の大きさを知らなかったんです(笑)。事務所の方や周りの方たちがとても喜んでくださったことで改めてその大きさを知ることになりました。

漁師の網本の息子・惣吉(川野太郎)と醤油醸造家の娘・かをるの悲恋の物語

 撮影に入る前には私と同じように新人だった川野太郎さん(吉武惣吉役)、友人役の方たちなど、5,6人で一緒に「NHKのリハーサル室で演技指導を受けました。発声練習や平衡感覚を保つ歩き方など基礎的なことを特訓していただいたんです。そんな中、苦労したのは大阪出身の私の関西なまりがなかなか抜けなかったこと。津川雅彦さん、加賀まりこさん、草笛光子さんといった名だたる俳優さんたちに囲まれてのお芝居の最中、私の関西なまりでNGを出してしまったらどうしようと、それが本当にプレッシャーでした。でも、現場の雰囲気は温かかったですね。休憩時間には津川雅彦さんが共演者全員に声をかけてくださって、食堂でみんなで一緒に食事をしたものです。

 スケジュールも過密でしたから、とにかくこなすことで精一杯。満員電車に揺られて渋谷で降り、NHKのスタジオに通う日々。最初から最後まで無我夢中で駆け抜けたという感じで、今思うと俳優としての自覚も無自覚の状態だったような気がします。

惣吉の母・とね(草笛光子)とかをるの父・久兵衛(津川雅彦)は犬猿の仲
母・るい(加賀まりこ)

 忘れられないのは、打ち上げの会場で脚本のジェームス三木さんが「今やっと女優の卵からヒナに孵(かえ)ったところですよ」とおっしゃってくださったこと。その時に、ああ、そういうことなんだと実感することができました。『澪つくし』のかをる役で全国の方に私の名前を知っていただくことができた、俳優としての私の原点となった作品だと思っています。

脚本家 ジェームス三木

大河ドラマ 秀吉(1996)

おね役

大河ドラマ 秀吉

インタビュー

 秀吉の描き方がとても斬新な作品だったと思います。そのうえ竹中直人さんのお芝居が破天荒で、台本に描かれている以上に秀吉が飛び出してくるようで、いつも新鮮な驚きを受けていました。

 おねも喜怒哀楽がはっきりしていて、感情を素直に出してしまう女性として描かれていました。忘れられないシーンがいくつかあります。秀吉の浮気にヤキモチを焼いたおねが、秀吉の顔を正面から拳固で殴ったら倒れた秀吉が鼻血を出しながら起き上がってきたシーン(笑)。ほかにも、やはり浮気に悩んだおねが酔っ払って信長様(渡哲也)に告げ口をしたり。時代劇で女性が悋気(りんき)を表に出すというのはとても珍しいことでしたが、これこそがおねの魅力だと受け止めて楽しんでチャレンジしていました。

秀吉(竹中直人)を“山猿”と拒んでいたおねだが…
熱心な求婚を続ける秀吉にしだいにひかれてゆく

 竹中直人さんは演じている間にもアイデアがどんどん浮かんでくる方なので、ご一緒している私の役もふくらんでいきました。従来の時代劇に描かれていたお姫様ではなく、のびのびと自然に感情を出すことができて私にとっても転機となった作品です。

金曜時代劇 お登勢(2001)

お登勢役

金曜時代劇 お登勢

インタビュー

 『澪つくし』以来の久しぶりのジェームス三木作品でしたね。共通点といえばやはりヒロインが一途な女性というところでしょうか。幼くして武家に奉公に出たお登勢ですが、勤皇の志士の津田貢様(葛山信吾)に一目惚れして幕末という時代のうねりに翻弄されながらも身分違いの恋に一途に向き合います。許されない恋というところは『澪つくし』の時と同じで、“ロミオとジュリエット”を思わせる設定でした。

 お登勢は貧しい農家の娘で田舎から女中奉公に出てきているので、前半は口紅も塗らず、顔色も少し黒っぽく日焼けをしているようなお化粧で素足で駆け回るなど、土の匂いがする素朴さとたくましさを意識して演じていました。後半になると恋をして大人の女性になっていきますが、そこで恋をした貢の許嫁(いいなずけ)が奉公先のお嬢様・志津(森口瑤子)だとわかり、三角関係の中で揺れ動くという切ない展開になりました。

貧しい農村から奉公に出る旅の途中、お登勢が出会った青年
津田貢(葛山信吾)はお登勢の奉公先の娘・志津(森口瑤子)の恋人だった…

 お登勢が恋い焦がれる貢を演じられた葛山信吾さんは飾らないさわやかさのある方でした。志津役の森口さんは年齢は近いのですが、お登勢の人生に影響を与えるという役の影響もあり、少し落ち着いたお姉さんのような印象がありましたね。

 困難に立ち向かいながら純粋に愛を貫こうとするお登勢の生涯が、とてもドラマチックに描かれた作品だったと思います。

お登勢は一途に貢を思いながら、激動の幕末をけなげに生きてゆく

ドラマ10 シングルマザーズ(2012)

上村直役

ドラマ10 シングルマザーズ

インタビュー

 この作品は、ドラマの前に舞台(劇作家・永井愛主宰の劇団・二兎社の公演)でも同じ上村直役を演じさせていただきました。役にどっぷりと浸かっていたので、今改めてドラマを振り返るだけでも涙が出てしまいます。

 役作りにあたっては、社会におけるシングルマザーの厳しい状況や、夫のDV、辛い経験が突然よみがえってしまうフラッシュバックについての資料や体験談を読みました。またそれらを体験された方にもお会いしてお話を聞かせていただきました。実際にその立場にいらっしゃる方がご覧になった時に、ウソの表現だと思われないように、失礼のないようにと心して演じたつもりです。ただ、そんな思いが強すぎて自分を追い詰めて役作りをしてしまったために、フラッシュバックのシーンなどを演じていると私自身が大きな精神的負担を感じて、ストレスから急性胃炎を起こしてしまったこともありました。

夫の暴力から逃れ、息子を連れて家を出た直に手をさしのべたのは…
不動産屋に勤めるシングルマザー・久美(北斗晶)だった

 忘れられないシーンの一つが第2話のラスト。夫のDVから逃れて着の身着のまま息子と家を飛び出した直が、浜辺で高畑淳子さん演じるシングルマザー団体の代表・燈子に苦しみや悲しみを打ち明けたシーンで、自然に次々と涙があふれ出てきたことを覚えています。シングルマザーの久美を演じた北斗さんもドラマ初出演とのことでしたが、懐の深いあねご肌の先輩という感じをとても自然に演じられていて素敵でした。

 この作品からは、人は一人で生きているのではなく、みんながいろんな人に助けられて生きているということ。シングルマザーは社会で肩身を狭くして生きていかなくてはいけないと思いがちだけれど、不完全でもいい、周りの人の助けでやっていける。そんなメッセージを送り届けることができたのではないかと思っています。

直はシングルマザー団体の代表・燈子(高畑淳子)にすべてを打ち明ける

BS時代劇 小吉の女房(2019)

お信役

BS時代劇 小吉の女房

インタビュー

 久しぶりの時代劇ということで不安もありましたが、山本むつみさんの本がほのぼのとした明るいお話で、新たな自分を発見する可能性が広がる作品になったと思います。

 夫の小吉(古田新太)は無役の旗本なので、貧乏所帯を切り盛りしているのがお信です。5歳の時から一緒に生活をしていて家を守ることに厳しいおばば様・登勢(江波杏子)に言わせると、小吉はダメ夫(笑)。でも、お信はちゃんと小吉の人間としての良いところをわかっている。喧嘩っ早いけれど困っている人を放っておけない情の厚さや、男気があるところ、心の優しさまでをちゃんと理解している奥さんなんです。お信自身が、のんびりおっとりしていて不器用。でも天真爛漫で明るい。夫が自由奔放に生きる姿を「なんとか、なりますよ」と許してあげるポジティブで楽天的な女性。とてもバランスが良い理想の夫婦なんですよね。

小吉を信じ、支えるお信は明るくおっとりした女房
お信の祖母・登勢(江波杏子)は小吉とうまが合わない

 小吉を演じる古田さんとは、以前舞台でご一緒させていただいて以来なので何十年ぶりにご一緒しました。古田さんならではの強烈な小吉が素敵です(笑)。古田さんは、やんちゃな少年がそのまま大人になったような方。それでいて色気もありますし、監督のどんな要求にもすぐに応えられるなど、久しぶりにご一緒してみて見習いたいところばかりでした。

 息子の麟太郎役は鈴木福くん(第5回~)。私は小学一年生くらいの福くんを想像していたのですが、すっかり大人のお兄さんになっていました(笑)。4人兄弟の長男で幼い弟や妹の面倒をよく見ているそうで、赤ん坊の扱いがとても上手なので現場ではよく助けてもらいました(笑)。

 今回、この作品に入って感じたことがあります。それは物が豊かでなかった時代は言葉が豊かだったということ。日本語の美しさを感じることができた作品でもありました。

お信は、気性の良い小吉が役目につけない世の中の方がおかしいと言う
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