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石橋蓮司 石橋蓮司

石橋蓮司俳優いしばしれんじ

1941年生まれ、東京都出身。劇団「第七病棟」主宰。中学生時代から劇団に所属。主な出演作に、映画『浪人街』『アウトレイジ』『今度は愛妻家』、舞台『ビニールの城』など。2018年9月に映画『散り椿』が公開予定。NHKでは大河ドラマ『義経』、連続テレビ小説『花子とアン』、『慶次郎縁側日記』『伝七捕物帳』『返還交渉人—いつか、沖縄を取り戻す』(2018年6月から同作の劇場版を全国各地で上映)などに出演。大河ドラマ『西郷どん』では、西郷吉之助を生涯支える書家・川口雪蓬役で出演。

土曜ドラマ けものみち(1982)

成沢寛次役

土曜ドラマ けものみち

インタビュー

 演出を担当された和田勉さんは、とても声の大きい豪快な方でした。役者にはダイナミックな芝居をさせるのですが、撮り方は非常に細かく繊細。“アップの和田”と言われたようにアップを多用し、大事なところはどんどんアップで押してくる演出法だったことを覚えています。それが力のある画となり、当時、役者はみんな和田さんと一緒に仕事をするのを楽しみにしていましたね。 僕はこのドラマが初和田作品でしたが、その後、何作か出演させていただいたので、あのころの和田演出の雰囲気はよく覚えています。

寝たきりの夫・寛次のために料亭の仲居として働く民子(名取裕子)
常軌を逸してひがみっぽくなった寛次に民子は殺意を覚える

 そういえば、この間、別の現場で名取裕子さんと久々に会ったら、僕に向かって「私が初めて殺した男」と言うんですよ。なんだよ、それと言ったら、『けものみち』って。なるほどと(笑)。まだ女優になって日が浅く、ほとんどデビュー作に近かったそうです。ちなみに僕は彼女の夫役で、病気で体が動かないのに放火されて死んでしまうという悲惨な最期でした(笑)。

NHKスペシャル 鬼太郎が見た玉砕
~水木しげるの戦争~(2007)

中隊長役

NHKスペシャル 鬼太郎が見た玉砕〜水木しげるの戦争~

インタビュー

 この作品は、ほとんどが水木さんご自身の戦争体験ですからリアリティーにこだわり、撮影もかなり過酷なものでした。非常にしんどかったことを覚えていますが、ある一つの戦場の過酷さを強く伝えるものになったと思います。

 僕が演じた中隊長は戦争のむなしさは知っていても、最後は軍人として命を捨てることを覚悟している人間です。しかし一般の兵士たちは自分のような職業軍人とは違う。彼らは、きのうまで普通の生活を送っていたのに、赤紙一つで戦場に連れてこられ、人を殺(あや)めるという状況に置かれている。「大日本帝国のため」といわれても、それは彼らのはっきりとした思想性の中で生まれたわけではない。そのことをよく理解していた人物でした。必ず戦争は終わるのだから彼らに本当の人間の姿で生活ができるようにしてあげたいという考えを持っていた。玉砕を決断した大隊長に彼らを犬死にさせてはいけないと説得したこの人物には非常に共感を覚えました。

玉砕命令のもと、負傷した中隊長は命を絶つ決意をする
 

 最終的には被弾して動けなくなり、兵士たちが安全な場所に運んでくれようとするのを制止。「降ろしてくれ、おまえたちだけで行け」と言って、一人戦場に残り自殺するという結末でした。そのシーンを撮るにあたって、僕の提案でタバコを吸う場面を作ってもらったんです。放送後、戦地に行かれた方から、「ああいう時、必ず最後はタバコを吸うんだよな」と言われたり、お手紙をいただいたりして、やって良かったなと思いました。

 演出は柳川強ディレクター(当時)でした。大河ドラマ『義経』で安宅の関の富樫役を演じて以来、彼とは何作か組んでいます。酒も飲みながら、いろいろな話をする機会があり、意見が合うことが多いので柳川作品に出演するのは楽しいですね。

中隊長は丸山(香川照之)に日本の家族への伝言を託し…

BS時代劇 伝七捕物帳(2016)

米次役

BS時代劇 伝七捕物帳

インタビュー

 米次というのは、伝七(中村梅雀)の女房・お俊(田中美佐子)の父親で、人殺しの罪で島流しになっているという人物でした。島で真犯人のヒントを得て、それを確かめるために島抜けをして江戸に帰ってくるのですが、1話からその正体を明かさないまま登場していました。時々妙に怪しげな形で出てくるけれど、「こいつは何者なんだろう」という感じで(笑)、どこで明かされるのかなぁなんて思いながらやっていました。他の出演者と芝居のやりとりをすることもあまりなかったですね。みなさんが話しているところを盗み見るとか、すれ違うといった程度で、一人で何かをしているという部分が圧倒的に多かったことを覚えています。

伝七(中村梅雀)は米次とお俊親子の苦悩を知り…

 もうほとんどラスト近くにようやく正体が明らかになり、娘に父親と名乗ることもできました。初めて2人で語り合うシーンは、そこに絞って役を作ってきたので、お互いの感情を出し合うことがうまくできたと思っています。残念ながら米次は江戸所払いになったので、第2シリーズでは出番がありませんでした。もし第3シリーズがあるなら、ぜひ江戸に戻って出演したいですね(笑)。

米次に“生きていてくれてありがとう”と語るお俊(田中美佐子)

スペシャルドラマ 返還交渉人
-いつか、沖縄を取り戻す-(2017)

屋良朝苗役

スペシャルドラマ 返還交渉人-いつか、沖縄を取り戻す-

インタビュー

 僕は60年闘争や70年闘争の経験者で、沖縄返還のデモにも参加していましたから、屋良朝苗さんのことはよく知っていました。ところが、この作品の脚本を読ませていただいて驚いたのが、井浦新くんが演じた千葉一夫さんのことです。僕らは、どちらかというと反体制的な立場でしたから、体制側の人間は保守であり、彼らは日本のためというよりは自己保身に走ると思いがちでした。ところが外務省で沖縄返還交渉の実務を担当した千葉さんは大変な熱血漢で、アメリカという巨大な国家と闘い、日本の誇りを取り戻そうと奮闘した人物でした。体制の中にいて日本を自立させるために立ち向かった人間がいたことを知り、非常に感動しました。

琉球政府の行政主席屋良朝苗(やら・ちょうびょう)を演じる

 実はこの作品は当初、ドキュメンタリーで制作される予定だったそうです。しかし、より普遍性が生まれるということでドラマ化されることになったと聞きました。素晴らしい脚本が出来上がり、井浦くんも本当によくやってくれたし、僕もこの作品に関われたことは嬉しかったのですが沖縄弁には苦労しました。あまりにもふだん使っている言葉と違うので、歌を覚えるように言うしかなかったんです。沖縄が返還されるにあたって標準語を話すよう強制されたそうで、いまはこの当時の言葉を使える人はあまりいないとか。それもおかしな話ですね。

屋良は沖縄の人々の苦悩を返還交渉人・千葉(井浦新)に語る

 屋良さんを演じるにあたっては、いくつか資料も読ませていただきました。政治家的な暗躍をするタイプではなく、情念で、気持ちで、沖縄の解放を願っていた本当に素晴らしい方だと思いました。それだけに沖縄のど真ん中にある米軍基地を見ると、あの広大な土地を失った現地の方たちの悔しさがよりいっそう迫ってきます。それだけでなく、有事には真っ先に攻撃対象になる。あの悲惨な沖縄戦を体験した人たちの子孫が住んでいるところが、最初に戦場になるという焦りと悲しみ。それらを論理的な解釈だけでなく生理的に感じられるのが、ドラマという表現方法なのかもしれません。そういう意味では一回きりの放送というのがもったいないという思いが強くあったのですが、劇場版として映画館で上映されることになったことはとても良かったと思います。非常に評判もよく要望もあったということで、全国で順次公開されるそうです。僕もできる限りキャンペーンに協力させてもらうつもりです。

千葉をねぎらい貴重な紅型(びんがた)を贈る屋良

大河ドラマ 西郷どん(2018)

川口雪蓬役

大河ドラマ 西郷どん

インタビュー

 脚本を担当されている中園ミホさんとは『花子とアン』でもご一緒したのですが、ずいぶん前にある飲み屋で偶然お会いした時、もしかしたら『西郷どん』でもお願いするかも知れませんと言われたんです。どんな役なのかなと思ったら、すごい“酔っ払い”。これは二日酔いでやればいいから役作りがいらない(笑)、なんだ、そんなふうに見られていたのかなとも思いましたが、中身のありそうな酔っ払いでした。

雪蓬(せっぽう)は大酒飲みの風変わりな流人

 沖永良部に流された西郷と出会い意気投合するわけですが、最初は彼がどんな人間なのかわからない。ただ、聞き上手だったんでしょうね。酔っ払いながら相手の言っていることを瞬時に読み取ることができる。西郷という人間は、複層的に抱えているものがあり、そこで何を逡巡し何を選択したのか。非常に実直な人物ではあるけれど、数々の選択肢の中で切り捨ててきたものもあったはずで、それを表にだすことができない。そこをわかってあげるのが雪蓬の役割なんだろうと思います。

雪蓬は野ざらしの牢に入れられた吉之助(鈴木亮平)をたびたび訪ね…

 雪蓬は薩摩に戻ってからは西郷家の居候になり、西郷隆盛の墓碑銘も書いているということです。歴史的人物でありながら不勉強で雪蓬のことをよく知らなかったものですから、脚本が上がってくるたびに「なるほど」と思うことが多く楽しみです。学者でありナポレオンの思想性を自分のものにしようとしている人間として描かれていて、革命への強い意欲を持っている。このままでは行き詰まってしまうから、どう日本を変えていったらいいのか。それは西郷も大久保もみんなが思っていることで、雪蓬の世界観とどう融合させるのかというところですね。「革命じゃ」というセリフがあったのですが、久しぶりにこんな言葉を口にしてなんだか若返った気がしました(笑)。

 中園さんの脚本は役者に方向性は与えるけれど、「それをやるのは、あなたたちです」というもの。けっして縛ることはなく自由感のある本です。逆に役者は失敗したら全責任を持たなくてはいけないんですけどね。セリフ一つ一つに着想がいっぱい流れていて、どれを拾いますかと試されているようなところもあり、意地悪な試験問題みたいな感じもありますね(笑)。ただ、そんなふうに役者に自由に遊ばせてくれるところが中園脚本の魅力です。

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