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田中美里 田中美里

田中美里女優たなかみさと

1977年、石川県出身。97年に連続テレビ小説『あぐり』のヒロインに選ばれ、女優デビュー。主な出演作はドラマ『WITH LOVE』『お熱いのがお好き?』『それぞれの断崖』、映画『能登の花ヨメ』『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』『みすゞ』『もみの家』、舞台『わが町』『かもめ』『高き彼物』、韓国ドラマ『冬のソナタ』などではチェ・ジウの声の吹き替えを務める。NHKでは『緋が走る』『一絃の琴』、大河ドラマ『利家とまつ』などに出演。

連続テレビ小説「あぐり」(1997)

望月あぐり役

連続テレビ小説「あぐり」

インタビュー

 『あぐり』でヒロインを演じたのは19歳のとき。出演が決まったときは、強い風が背中から「わっ」と吹いてきて、それに押されているような感覚でした。オーディションでは、パントマイムなどの課題もうまくできなかったので「受からないだろう」と思っていたんです。ですから、プロデューサーから「がんばってくださいね」と言葉をかけられたときも、しばらくは落ちたつもりで聞いていて、途中でハッとしたのを覚えています。

 あぐりのモデルは、90歳を過ぎても現役の美容師をされていた吉行和子さん、淳之介さんのお母様。父の急死により、家の窮状を救うためにエイスケさん(野村萬斎)と結婚し、文学を志す夫を支え、さらに夫を早くに亡くした後、女手ひとつで子どもたちを育てていった、激動の人生を歩まれた方です。

 ストーリー上、辛い出来事もたくさんありましたが、あぐりは困難に立ち向かうときも、どこかニコニコしているようなキャラクター。そうやって飄々(ひょうひょう)と笑っているイメージが私のなかにあって、ヒロインに抜てきしていただいやようなので、役のイメージに合ってよかったなと思っています。実際のお芝居でも、本来なら泣きながら暗く話すようなセリフを、笑って言いたいなと思える部分がたくさんありました。脚本の清水有生先生が、私の演技をご覧になって、暗いシーンをの時も笑顔のあぐりを想像して書かれるようになったそうです。

母(松原智恵子)との最後の別れも笑顔で

 クランクイン前のお稽古(けいこ)を含め、約9か月の間、あぐりを演じられたのは幸せな経験でした。当初は右も左も分からない新人だったので、それこそ画面に映っていなくちゃいけないのに、そのまま通り過ぎてしまったり(苦笑)。本当に初歩的なことすらできていなかったと思います。

初めてパーマをかけて喜ぶが…

 そんななか、夫のエイスケさんを演じる野村萬斎さんには、役を作り上げていく楽しさを教わりました。エイスケさんといえば赤いマフラーがチャームポイントですが、そういう小道具の一つ一つにもこだわって、役を作り上げるために様々なものを発注されていました。また、何気ないシーンでも萬斎さんと掛け合いをするうちに夫婦漫才のような面白い場面になっていたりと、台本の文章が何倍にも膨らむことを実感させていただきました。

夫・エイスケ(野村萬斎)と空を見上げて
エイスケ「あの雲、どこに流れていくのかな?」
あぐり 「さぁ、それは風が決めることだから」

 共演の星由里子さんはあまり食事ができていない私を気づかい、お弁当を持って来てくださいましたし、名取裕子さんには演技指導もしていただきました。里見浩太朗さんは不器用な私に「一か月でできたものは一か月の力の大きさだし、一年かけてできたものは一年の大きさになるよ」と声をかけてくださり、その言葉に救われました。今思えば、本当にぜいたくな顔ぶれの先輩方に、健康面や社会人としての振る舞い方に至るまで、親身になって導いていただけたことは、私の宝です。

あぐりを応援する義父・健太郎(里見浩太朗)
夢だった “お客さん一人のための美容院” を実現する

水曜ドラマの花束
「緋が走る〜陶芸青春記〜」(1999)

松本美咲役

水曜ドラマの花束「緋が走る〜陶芸青春記〜」

インタビュー

 山口県・萩を舞台に描いた、陶芸に青春をかける若者たちの青春群像です。私が演じたのはヒロインの美咲。陶芸家の父が急逝したことで、故郷に戻り、陶芸家を志す役でした。私自身、もともと職人さんに憧れはありましたが、ひたむきに土や器と向き合う姿を演じるうちに、私自身もこういうふうになりたいと思わされる役でした。

番組冒頭、陶芸家の父から突然の電話

 陶芸シーンはすべて吹き替えなしで挑んだので、作陶シーンのある役者さんはみんな、かなりの時間をかけて陶芸を学びました。菊練り※からはじまって、30センチの壺を作れるようになるまで特訓したんですよ。『あぐり』のときは、美容師の役だったのでハサミやコテの使い方を練習しましたが、この役では陶芸をしっかりと学ばせていただき、一連の工程を丁ねいに教わったことで、役づくりにもとても役だったのを覚えています。
※陶芸などで材料なかの空気を抜くために行う土練りのこと

 土の感触や、お芝居のなかで作る作品の難しさなど、実際に陶芸をやってみたからこそ分かることは多かったですね。自分自身のちょっとした気持ちの変化に、作品の出来が左右されることも身をもって体験できました。そういう実感が、ひとつひとつのセリフにリアルさを増している気がして、特訓ができてありがたかったなと思っています。

 『あぐり』で息子の淳之介を演じた山田純大さんが、このドラマではライバルの一柳乙彦役でご出演されていて、とても心強かったです。久しぶりに顔を合わせたときは、何だか兄妹に再会したような不思議な感じしましたが、実は年上でドシッとした器の方なので、緊張しがちな私としては安心感がありましたね。

現代陶芸家の乙彦(山田純大)

 そんな山田さんと、父親の陶王役を演じた丹波哲郎さんのシーンで、ユーモアあふれる丹波さんのお人柄がよく分かる思い出があります。陶王が亡くなるシーンで、乙彦が「お父さーん」と叫ぶのですが、山田さんがセリフを言う前に「それでな」と丹波さんが何度も生き返って(笑)。それを大真面目にやってくださったのが印象に残っています。私は何ごとも真面目に考えすぎてしまうタイプだったので、丹波さんのように魅力的な俳優さんは、人としてもユーモアにあふれていて素敵だなと感じました。

陶王(丹波哲郎)が亡くなるシーン

時代劇ロマン「一絃の琴」(2000)

澤村苗役

時代劇ロマン「一絃の琴」

インタビュー

 宮尾登美子さんの小説のなかでも人気の高い同名作品を映像化した初めてのドラマでした。舞台は幕末から明治にかけての高知土佐。激動の時代を、一絃琴とともに生き抜いていくヒロイン・苗の半生が描かれました。

 全18回にわたって描かれたドラマでは、苗の娘時代から二度の結婚、そして一絃琴のお師匠さんになるまでの年月をじっくりと演じさせていただきました。そのため、当初は声を高くして若さを出し、物語が進むにつれて声を低くしていきました。それほど長く演じられたので、役にどっぷりと浸かった印象があります。

 『あぐり』では懸命に突っ走って、何も分からないまま演じられたのですが、『一絃の琴』では、演技の技術やノウハウなど、いろいろなことを知った分、自分のなかに壁が立ちはだかっているように感じて、行き詰まりを感じていました。どの役も大切に演じてきたつもりではいますが、振り返ると『一絃の琴』は、今までで一番命を削って演じた役だと思います。

 苗が生涯手放さなかった一絃琴は、誰かに聞かせるのではなく、自分を慰めるために弾く楽器。一本の糸しかないとてもシンプルな作りで、私自身、この作品ではじめて触れました。あまり親しんだことのない和楽器ということもあり、本当に一生懸命に練習しましたね。実は今もこの時に使った一絃琴は自宅にまだあるんですよ。

一絃琴

 この作品では苗が一絃琴と出会うきっかけを作った亀岡役の田中邦衛さんとの共演が印象に残っています。初めてごあいさつさせていただいたときに「おっ!田中だね。田中はいい人しかいないからね」とおっしゃって、気持ちをほぐしてくださいました。一絃琴を弾くシーンでは、高い音を出す場面で低い音を出していたりと、「うそでしょ?」と思うほど、演奏はめちゃくちゃ(笑)。でも、そんなことは吹き飛んでしまうくらい、出来上がった映像は、泣けるシーンでもないのに、涙が出てくるような佇まいで、お芝居の本質を垣間見たような気がしました。そんなお姿に接し、技術的な表現を追求することよりも、違和感すらも超越するようなお芝居がいつかできるようになりたいと思うようになりました。

苗は幼い頃に聞いた旅の絵師・亀岡(田中邦衛)の琴の音色に悲しさを感じた

大河ドラマ「利家とまつ」(2002)

市役

大河ドラマ「利家とまつ」

インタビュー

 主役の前田利家を演じられた唐沢寿明さんのことは、今でも兄貴のような存在だと思っています! 加賀百万石の礎を気づいた利家とまつ(松嶋菜々子)夫婦を中心に描いた歴史群像劇で、唐沢さんはいつもキャストの中心にいて、引っ張ってくださいました。共演やスタッフのみなさんにニックネームをつけたりして、ひとり一人を大切にされている印象がありましたね。

信長の妹・市

 私が演じたのは織田信長(反町隆史)の妹・市。10代のころから市を演じたので、最初はおてんばで、薙刀を持って勇ましく利家と対決シーンがありました。台本上では、市がこてんぱんに負けるという設定でしたが、お稽古のときに、私が一手早かったか遅かったかで勝ってしまったことがあったんです。その時、唐沢さんは「うっ」と倒れて、死ぬまでの演技をやってくださいました。「なんでオレが負けてるんだよ(笑)」とツッコまれて。そんなユーモアあふれるお人柄に、いつも撮影現場は笑いがあふれていました。

利家(唐沢寿明)との対決シーン

 市は歴史上、絶世の美女とされている役だったので、演じるにあたって「私でいいのかな」とすごく迷いがありました。でも、松平健さん演じる柴田勝家と最期を共にするシーンで勝家さんの微笑みを見て「あ〜幸せだな」と思えたんですよ。市としては、最初の夫である浅井長政を亡くしたときの後悔があり、今度は絶対に夫と離れないという決意があったと思うんです。そうした思いが松平さんと向き合ったときにあふれてきて、言葉に表せないような心境になれたので、市を演じられたことは忘れられない思い出になりました。

柴田勝家(松平健)とのラストシーン

金曜時代劇
「転がしお銀〜父娘あだ討ち江戸日記」(2003)

お銀役

金曜時代劇「転がしお銀〜父娘あだ討ち江戸日記」

インタビュー

 内館牧子さんが江戸・深川の長屋を舞台に描かれた時代劇。ヒロインのお銀は、兄の敵討ちを誓って町娘に姿を変えている武家の娘でした。江戸っ子を装っているので、言葉はちゃきちゃきの江戸ことば。キャラクターも気っぷが良くて、こんな役を演じるのは初めてで、とても楽しめました。

父・八十吉(伊東四朗)と兄の仇を討つべく江戸へ出る

 私自身があまり話すのが早くない方なので、江戸ことばでの掛け合いは、まるで早口言葉をしゃべっているような感覚でした(笑)。しかも、泣いたと思ったら笑って、すぐにまた怒るような、感情がころころ変わるシーンが多く「この気持ちが追いついていないのに、もう怒ってるの?」と思うようなことも。最初は戸惑いましたが、よく考えてみるとリアルだな〜と感じるようになっていきました。

江戸・深川の長屋の住人たちとの生活がはじまる

 泣いていても、何かのきっかけでおかしくなってしまったり、急に怒りがわくことってあるじゃないですか。だから、実は究極にリアルな物語かもしれないなと。ドラマには妖怪が出てきたりもしますが、人の感情のリアルを内館さんならではの視点で描かれていたので、私も感情を切り替えていく速さをこの作品で学んだような気がします。

トッタントッタン近づいてくる豆腐小僧

 ドラマは長屋のメンバーを中心に展開しますが、父の八十吉を演じた伊東四朗さんをはじめ、池内淳子さんや風吹ジュンさんといったベテランの方から、舞の海さん、井岡弘樹さんといった元格闘家の方々まで、キャストが色とりどりでにぎやかでした。登場人物たちは皆、暮らしぶりは豊かではないけれど、いつも楽しくパワフルで前向きで、私も撮影の度にパワーをいただいていました。「どんな出来事も前向きに転がしていくしかない」というニュアンスのセリフがあり、そういうお銀の姿勢が大好きでした。

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