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名取裕子 名取裕子

名取裕子女優なとりゆうこ

神奈川県出身。1977年、TBS朝のテレビ小説『おゆき』でヒロインデビュー。以降、映画、テレビを中心に数々の作品で活躍中。主な出演作品は、映画『序の舞』『吉原炎上』『時代屋の女房2』『異人たちとの夏』『マークスの山』、テレビ『法医学教室の事件ファイル』『早乙女千春の添乗報告書』『京都地検の女』シリーズなど。NHKでは大河ドラマ『春の波涛』『八代将軍 吉宗』、連続テレビ小説『あぐり』『あすか』、土曜ドラマ『けものみち』『欅の家』『おごるな上司!』などに出演。

ドラマ人間模様「万葉の娘たち」(1981)

乾仁子役

ドラマ人間模様「万葉の娘たち」

インタビュー

 卒業を控えた女子短大の同級生4人が、それぞれの道を見いだしていく物語でした。脚本を担当されたのは、市川森一先生。1979年に放送された『風の隼人』で市川作品に出演させていただいており、以来、先生とよくお話するようになっていたんです。この作品では女子大生を主人公にしたドラマを描きたいということで、出演のお話をいただき、私は陶芸を専攻している仁子という役を演じることになりました。

 当時の私は大学を卒業したばかりで、まさに仁子は等身大の役。同年代の女の子のリアルな悩みや希望が4人それぞれに描かれていて、私自身も共感することばかりでした。例えば、就職の悩み。あの時代は一浪していたり、自宅通勤ではなく下宿していたりすると、女子は100社受けても受からないと言われていたんですよ。実際に私にもなかなか就職先が決まらず苦労している友だちがいました。私自身もまだ本格的に女優をやっていくと決めておらず、教職やお勤めを選択肢に入れている頃だったので、とても身近な問題に感じましたね。

 私が演じた仁子は陶芸を専攻していて、どこか田舎っぽさというか、土臭さのあるキャラクター。最終的に実家に戻り農業をすることになるのですが、土を通して自分を見つめ直していくような印象の役でした。自然の大切さに気づいて、自然のなかで生きて行こうとする姿を市川先生も描きたかったのだと思います。

大学では陶芸を専攻する

 同級生たちを演じたのは、伊藤蘭さん、田中裕子さん、森下愛子さん。みなさん女優として頭角を現してきた頃で、すごく魅力的でした。奈良でロケをした際には、同じホテルに泊まり、本当の同級生のようにいろいろな話をしたり、空き時間には奈良の観光地を訪れたりして、本当に楽しく過ごしました。あれからみんな、それぞれの道を歩き、万葉の“娘”が万葉の“おばちゃん”になったいま、同窓会をしたいようなイキイキした作品でした。

同級生・義子(森下愛子)と将来のことを励まし合う

松本清張シリーズ「けものみち」(1982)

民子役

松本清張シリーズ「けものみち」

インタビュー

 私の演じた民子は26歳の役でしたが、私自身は大学を卒業してすぐの23歳でした。民子役のオファーをいただいたとき、私は芸能事務所を辞めて、どこにも所属していなかったので、自宅の電話で話をして、直接民子役を引き受けたんです。演出の和田勉さんがつきっきりで見てくださって、朝、NHKに行くと和田さんが入口に立っていて、「今日の顔はダメだ!何点だ!」と採点してくださり(笑)、メイク室に行くとメイクさんの横で「そばかすは消さないで!そのまま!」と言いながら、ずっと見ているんです。撮影中も細かく指示してくださって、夫を殺すシーンでガソリンの瓶を投げて走って逃げるときは「今の2万倍の速さで走って!」と言われ、旅館に帰ってきたときは「今の38625倍の速さで!」というようなことを言われました(笑)。カメラから見切れて顔がきちんと映っていなくても「いい!この一回だけだ!もう一回はない!」と言うなど、とにかく和田さんの気迫がすごかったです。

松本清張ワールド、和田勉ワールドの中で民子を演じる

 鬼頭役の西村晃さんは演出もなさっていて、「このシーンは足を思いきりつねられて痛い!という顔をしてごらん」や、ベッドシーンでは「甘くておいしいもの、チョコレートを食べたときの顔をしてごらん」など、わかりやすく教えてくださいました。小滝役の山崎努さんは、「僕はきちんと芝居を組み立ててきているから、何度でも同じことができる」とおっしゃるくらい、全部の芝居を緻密に組み立てていらしたので驚きました。米子役の加賀まりこさんはとても意味深に、意地悪っぽく演じてくださったことを覚えています。そうやって私が特別なにかをしたというよりは、松本清張ワールド、和田勉ワールドの中で、ひとつの役割を周りのみなさんに作っていただいたのだと思います。

鬼頭役(西村晃)
小滝役(山崎努)と米子役(加賀まりこ)

 ロケはすごく寒い時期にNHK界隈で撮り、民子と小滝が最後に追い詰められるシーンは緑山の造成地で撮りました。鬼頭の家や庭、門のシーンは、松本清張先生のご自宅で撮らせていただいたんですよね。先生もご家族もとてもすてきな方で、先生にはよく食事に連れていっていただきました。「まだまだ書きたいことがいっぱいある。何年経っても書き足りない」とおっしゃっていたので、すごくエネルギーがある方だなと思いました。一つの作品を書くにあたって、いろいろなことを調べ、ものすごい量の取材をなさっているお話も聞きました。本当に作家というのは大変な職業だと思います。

松本清張(1976年撮影)とロケに使われた松本邸(当時)

 この作品は、誰もが落ちてしまいそうな人生の落とし穴を描いています。清張先生の作品に出てくる人たちは一歩間違えたら全然違う方向に進んでしまう人たち。その一歩が犯罪に加担するようなこともあるかもしれない。そんな人間の弱い部分が描かれているから面白いんでしょうね。伊東四朗さん演じる刑事のセリフで、「悪いことをしている奴らがのうのうとしている。真面目にやっている俺らがちょっとくらいいい思いをしてもいいだろう」というようなものがありましたが、それも弱い人間の心情をよく表していたなと思います。伊東さんのお芝居もとてもすばらしいものでした。

久恒刑事役(伊東四朗)

 私は民子を演じていなかったら、女優をやっていなかったかもしれない。民子を演じたことで女優をやりたいという気持ちを刺激され、自分の中のスイッチを押されたのかもしれないと思っています。ただ当時は周りから『けものみち』のことばかり言われることが多く、セクシーだと言われることがすごく嫌でした。でも今、作品を見ると、クオリティが高く、すばらしい作品だったと改めて思います。私もあのときの若さがあったからこそ、当時できる精一杯のことを注いで演じることができたのだと思いますね。

大河ドラマ「春の波涛」(1985)

松井須磨子役

大河ドラマ「春の波涛」

インタビュー

 日本の女優第一号として活躍した川上貞奴(松坂慶子)を主人公に、明治、大正の政治、経済、文化の歴史を描いた大河ドラマでした。私が演じたのはまだ女優という職業が珍しかった頃に、一世を風びした新劇女優の松井須磨子。貞奴とはライバルになる役どころでした。

 役を演じるにあたって、さまざまな資料を読みましたが、須磨子はあの時代に鼻に整形手術をしていたり、演出家の島村抱月(山本学)との道ならぬ恋をして、抱月が亡くなると後を追って命を絶ってしまうなど、当時としては考えられないほどハチャメチャな人だったようです。気が強いイメージから私がキャスティングされたのかもしれませんが、自分には全くない要素ばかりで、実は真逆だなと思っていたんですよ。

演出家の島村抱月(山本学)と恋に落ちる

 『春の波涛』に出演したころは私も20代でまだ若く、演じながら須磨子のことを「面白いことを言う人だな」と思っていましたが、その後、渡辺淳一さんが書かれた「女優」などを読んで彼女の残したエピソードを知るうちに、とてもがむしゃらで紅蓮の炎のような人だと思うようになりました。そのエネルギーにはいまでも圧倒されます。

貞奴(松坂慶子)と初めて顔を合わせるシーン

 貞奴が知性と理性で道を切り開いて行ったのに対し、感情とパワーで押し切っていった須磨子。伊藤博文(伊丹十三)の寵愛を受け、岩﨑桃介(風間杜夫)と恋をし、川上音二郎(中村雅俊)と結婚して、世界に進出。女性としても全うに生きていった貞奴との対比が色濃く描かれていたと思います。『春の波涛』で、そんな須磨子のほとばしるような人生を駆け抜けてから随分と時間が経ちましたが、いまも朗読劇で演じさせていただいているご縁の深い役です。

抱月の命日に自ら命を絶つ

大河ドラマ「八代将軍 吉宗」(1995)

月光院役

大河ドラマ「八代将軍 吉宗」

インタビュー

 西田敏行さんが徳川吉宗を演じられた大河ドラマで、吉宗の才覚と治世が描かれるのと同時に、脚本を書かれたジェームス三木さんらしい大奥の艶っぽいエピソードも盛り込まれた作品でした。

 私が演じたのは第六代将軍・家宣(細川俊之)の寵愛を受け、第七代将軍・家継の生母となった月光院。もとは浅草の町医者の娘で、下町育ちらしさのあるチャーミングなキャラクターでした。町人出身で将軍の生母にまで昇り詰めたのですから、思えば夢がありますよね。

下町育ち町医者の娘

 ただ、月光院は将軍の生母という立場でありながら、軽率な行動が目立ち、事件を起こしては大奥を引っかき回す困ったちゃんでもありました(苦笑)。歌舞伎役者を大奥に引き入れ、お付きの江島(あべ静江)が役者の生島(堀内正美)と事件を起こしたり……。とにかく何にでも興味津々の町娘という雰囲気で、演じていて楽しかったです。

 とても色っぽい役だったのですが、共演シーンの多かった家宣の側用人・間部詮房役の石坂浩二さんからは、「色気がないな〜」とよく言われたものです(笑)。色っぽい仕草を指南されて、「こうですか〜?」なんて言いながらマネしていました。私の登場シーンは大奥が舞台だったので、いま思い出すと、石坂さんのほかはみんな女子ばかりの現場。とても華やかで楽しかったのを覚えています。

間部詮房(石坂浩二)に殿の相談をもちかける

連続テレビ小説「あぐり」(1997)

チェリー山岡役

連続テレビ小説「あぐり」

インタビュー

 ヒロインのあぐりは、女優としても先輩としても大好きな吉行和子さんのお母様がモデル。そんなあぐりさんの師匠の役を演じることになり、吉行さんから「裕子ちゃんが先生の役をやってくれるの、楽しみなのよ」と言っていただいて、本当にうれしかったのを覚えています。吉行さんとは何度か食事をご一緒したことがあり、時々お母様のお話もうかがっていたんですよ。

 吉行淳之介さん、和子さん、理恵さんを、美容師をしながら育てられたあぐりさんは「お客さんがいる限りは店に立つ」と、最晩年まで美容師を続けていらしたそう。英語のアグリカルチャーがお名前の由来とうかがったのですが、その名の通り、地に足をつけて根を生やしていくような、風雪に耐えて骨太に生きた姿が朝ドラでも描かれました。

洋髪の講習会にてあぐり(田中美里)と出会う

 私が演じたチェリー山岡は、日本の美容界の先駆者で、あぐり(田中美里)の師。モデルになった山野千枝子さんは、アメリカ帰りで当時の最先端ファッションを着こなしていたとうかがったので、衣装にはかなりこだわりました。

「あぐりさん、あなたね絶対洋髪が似合うわよ!」

 古き良きアメリカ映画に出てくるような洋装になるよう、衣装さんが海外の古着屋さんで集めてくださったり、どうしてもイメージ通りのものがない場合は、一から作ったりもしました。私も自分で材料を買って縫ったりしたんですよ。そういうふうに個性的なお洒落で衣装が楽しめた役でした。

日本で唯一の純アメリカ風美容室を経営する

 また、ヒロインを演じた田中美里ちゃんは、当時、演技の経験がなかったので、いろいろとアドバイスをしたことを覚えています。あるとき、あぐりが倒れるシーンがあったのですが、それがとても不自然だったのにオッケーが出ちゃったんですよ。そのままだと「美里ちゃんがかわいそう」と、スタッフに言って撮り直してもらったことがあります。美里ちゃんはとても真面目な子で、倒れる角度を少し変えてみたら?と提案すると、すぐにうまくできていました。

あぐりが肋膜炎で倒れるシーン
あぐりが一人でやる美容院を訪れて
「一人のための、たった一人の美容院か、素敵だわ」

大河ドラマ「利家とまつ」(2002)

つね役

大河ドラマ「利家とまつ」

インタビュー

 前田利家(唐沢寿明)とまつ(松嶋菜々子)が夫婦二人三脚で加賀百万石の礎を築いていく姿を描いた大河ドラマでした。私は利家の兄・利久(三浦友和)の妻・つねを演じたのですが、近江甲賀の出身で忍びの流れをくむという不思議な役(笑)。呪術のシーンがあったりして、かなりユニークだったと思います。

 実は『星と嵐』という映画で、三浦友和さんの相手役募集に応募してデビューしたので、友和さんとは懐かしい話をしながら、楽しく夫婦役を演じさせていただきました。つねの連れ子である前田慶次郎役のミッチー(及川光博)とも仲がよかったですよ。

前田利久(三浦友和)の前で「敵陣に火を放ってくる」と進言する
つねの連れ子・前田慶次郎(及川光博)

 唐沢くんを中心とした現場は和気あいあいとしていて、しょっちゅう親睦会をしていました。そんななか、撮影の合間にスタッフと出演者で熱海に一泊旅行をしたことがあったんですよ! 長い女優人生で初めての経験でしたが、歌って、踊って大盛り上がりでした(笑)。そんなふうに気の置けない仲間と作った作品だったので、現場でつねが家族に弓を引くシーンがあったときに「手が痛くて離しちゃいそう」と冗談を言うと、みんなが大げさに怖がったことも。本当に笑いの絶えないリラックスした撮影現場でした。

前田家に弓を引くシーン

 ハイビジョン放送が始まったばかりのころの作品で、それまで出演してきた大河ドラマとは撮影方法がかなり変わっていて、戸惑うこともありました。大河と言えば、スタジオ収録がメインだったのが、地方ロケが多く、広大なオープンセットでの撮影が多かったですね。スタジオのセットもそれまでは平面だったのが、まるで映画のセットのように家が一軒建っているような感じで作られるようになりました。また、4台の固定カメラで撮影していたのが、固定ではなくなり、台数が増えたりも。まだスタッフも手探りでハイビジョン撮影をしている状態だったと思いますが、フレッシュなキャストが揃っていたので、みんなの感性も柔軟で、うまく乗り切れたのかなと思っています。

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