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舘ひろし 舘ひろし

舘ひろし俳優たちひろし

1950年生まれ。愛知県名古屋市出身。1975年、オートバイチーム「クールス」結成後、レコードデビュー。翌年には俳優デビューを果たす。1983年、石原プロモーションに入社。『西部警察』シリーズや『あぶない刑事』シリーズなど代表作多数。NHKでは、『新宿鮫』シリーズをはじめ、2006年の大河ドラマ『功名が辻』では織田信長役の熱演で話題に。そのほか『坂の上の雲』、連続テレビ小説『純と愛』、プレミアムドラマ『クロスロード~声なきに聞き形なきに見よ~』などで幅広い役柄を演じ、注目を集める。

大河ドラマ 功名が辻(2006)

織田信長役

大河ドラマ 功名が辻

インタビュー

 僕は名古屋市出身。尾張出身の英傑、織田信長に対しては、昔から作家・津本陽さんの著書『下天は夢か』を読むなど、格別の思いがありました。僕の演じた信長は、このドラマの中で異質の存在だったかもしれません。でもそれでいいのです。僕が目指したのは、エキセントリックな信長。これまで誰も演じてこなかった信長像だったんです。

 僕は信長のエキセントリックさや異質さを際立たせるため、細部まで意識して演じていました。例えば、姿勢は常に“斜め”。天下布武を実現せんと世の動きに目をこらし、仏法すら敵に回す信長のような武将が、床几の前に姿勢を正し泰然として座っているわけがないと思ったからです。また、衣装についても信長がのし上がるにつれ、次第に鮮烈な赤か黒や白などのモノトーンの着物しか身につけないように意識しました。安土城の天守閣のセットも、隅から隅まで真っ赤な朱塗り風にしてね。ここまでド派手で威圧感のある信長がいたかって感じですけど(笑)、あえてそれを徹底しました。戦の天才であり、茶の湯や南蛮文化にも理解を示したある種のアーティストでもあった信長ですが、その反面の非道さや、異質さに、明智光秀(坂東三津五郎)はじめ重臣たちは全員強い恐れを抱いただろうな、と演じながら改めて思いました。

信長の派手な衣装も話題に

 最期に本能寺を取り囲むのが光秀の軍勢だと聞いたとき、僕は信長として、思わず「ふっ」とほほ笑んだんです。信長は光秀には確かに厳しかったけれど、それは誰よりも目を掛けていたから……。「お前、そんなこともわからなかったのか」という諦念のほほ笑みでした。千代(仲間由紀恵)や一豊(上川隆也)の夫婦愛や立身出世の物語の中で、信長としてぜんぜん違う世界観を作り上げることができた思い出深い作品です。

お濃(和久井映見)とともに本能寺に散る

坂の上の雲(2009~2011)

島村速雄役

坂の上の雲

インタビュー

 私の祖父が海軍の軍医だったこともあり、この海軍軍人である島村速雄という役への思いもひとしおでした。島村は非常に優秀な海軍大将でありながら、現在ではあまり知られることのない人物です。どちらかというと、秋山真之(本木雅弘)や東郷平八郎(渡哲也)といった華々しい活躍を残した人々の、歴史の影に埋もれていたといっても過言ではないと思います。でもそれが、島村の実際のところだったようなのです。彼は智謀にずば抜けながらも、他人にその功績や手柄を譲ることを惜しまなかったそうです。まさに、幕末から明治を駆け抜けた男たちの精神性を体現したような人物だと思います。

秋山真之(本木雅弘・左)、東郷平八郎(渡哲也・右)

 演じている間はとても楽しかったのですが、島村の実年齢を考えたときに、ふと空恐ろしくすらなりました。彼が旅順閉塞作戦での失敗の責任を取るかたちで第一線を退いたときは、まだ40歳半ば。この若さでどれだけの偉業を成し遂げ、国の未来のために命を懸けて戦っていたのか――男としての引き際の見事さ、覚悟を含め、改めて明治の日本の男たちに圧倒されたドラマでした。

ドラマ10 全力離婚相談(2015)

水野豊彦役

ドラマ10 全力離婚相談

インタビュー

 主人公の美晴(真矢みき)の先輩弁護士であり、法律事務所の所長役でした。監督は『夏目漱石の妻』と同じ柴田岳志ディレクターでした。この作品はNHK名古屋放送局の制作だったので、僕にとっては故郷での撮影。撮影現場に、一、二度母が遊びにきて見学していました(笑)。いい親孝行をさせていただいたと思います。撮影が終わると真矢さんはじめ、スタッフたちと一緒にみんなで、名物のひつまぶしを食べに行ったりした思い出もあり、楽しかったですね。

水野は美晴(真矢みき)の奮闘を見守る良き理解者

 真矢さんもとても力を入れていた作品。彼女は、離婚したうえに娘の親権も奪われた美晴の孤独さや孤立感を理解するために、わざわざ自分で小さなアパートを借りて実際に一人暮らしをしてみたというほどでした。シビアな面もありながら、どこかチャーミングさもあるストーリー展開が魅力的な作品でした。それにしても、僕はNHKでいろいろな役を演じているものですね(笑)。俳優としては、ありがたいチャレンジをさせて頂いているなと思います。

土曜ドラマ 夏目漱石の妻(2016)

中根重一役

土曜ドラマ 夏目漱石の妻

インタビュー

 夏目漱石の妻となった主人公・中根鏡子(尾野真千子)の父親役です。尾野さんがとてもすてきでね。蝶よ花よと育てられた娘時代の初々しさや自由さを、はじけるような笑顔で表現していて見事でした。この鏡子の父も、『坂の上の雲』の島村速雄同様に“明治の男”です。貴族院書記官長を務めていながら、政権交代のあおりを受け、官職を辞することになってしまう。その転落ぶりたるや、でした(笑)。でもね、僕はその零落した後のほうが演じていて好きだったんです。当初は心配していた夏目家との結婚でしたが、もう娘の鏡子のところに借金を頼みに行くしかなくなる。恥も外聞もなくね。卑屈なまでの借金の申し込みの姿は、まるでちょっとした詐欺師のようですらありました。しかし、娘にきっぱりと「貸せません」と言われると、それを全部受け止めて、娘に静かにお辞儀をするんですね……。あそこの場面がとても好きでした。貴族的な優雅さから落ちぶれゆく落差、そして、彼が抱えた卑屈さのようなものは、なかなかこれまでにない役どころでとても印象深いです。

中根は娘婿に借金の保証人になってもらいたいと頼み込む
娘・鏡子(尾野真千子)の返事は…

 それにしても、明治の男は美しいですよね。僕はやはり、明治の男や戦国武将の役は好きですね。必死で生きる覚悟と男としてのプライド、達観したまなざしが彼らにはある。それらを表現することは決して簡単ではないのですが、演じるうえではとても楽しいハードルなのです。

プレミアムドラマ クロスロード
~声なきに聞き形なきに見よ~(2017)

尾関辰郎役

プレミアムドラマ クロスロード~声なきに聞き形なきに見よ~

インタビュー

 2016年に放送されたドラマの続編です。こうした大人が楽しめる骨太な、見ごたえのある作品が支持されるのはうれしいものですね。私の演じる尾関辰郎は、元警視庁捜査一課のエリート刑事でしたが板垣公平(神田正輝)への情報リークをきっかけに転落。以後は所轄を転々とする運命でした。今回は尾関がついに定年を翌年に控え、大森臨港署に異動になったところから物語がスタートします。続編ではありますが新たな物語として楽しめるというか、自分自身が脚本を読みながら「この先どうなるのか」と、ハラハラしたほど面白い展開でした。ストイックでロマンチストでもある尾関という男と、僕との間に共通点は全くありません。だからこそ演じていて楽しかったですね。しかも、男にとって定年を目前とした“最後の1年”とはどんなものかと、その万感の思いを尾関の中に探しながら演じていました。

 僕と(神田)正輝とは共演作が多くはないのです。今回も僕が刑事であちらが記者なのでそんなに2人のシーンはないのですが、打ち合わせをしなくても阿吽の呼吸というか、この作品を通じてどんどんやりやすくなっていく感覚がありました。実は僕、セリフを忘れるなどNGが多いんです(笑)。それを知っている正輝が美術スタッフを巻き込み、「セリフ覚えろ!」と書いた特注の布地をジャケットの裏側に仕込んで、僕がNGを出したら見せてやろうと待ち構えていたらしくて。そんなときに限って、僕がなかなかNGを出さなくてね! タネ明かしされたときは大笑いしましたけれど。本当に毎日の仕事が楽しい現場でした。

刑事の尾関と記者の板垣(神田正輝)は因縁の関係
反目しあう二人が同じ事件を追う
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