大河ドラマ 翔ぶが如く(1990)
有村俊斎役
インタビュー
懐かしいですね。生麦事件でイギリス人を刺し殺したことや、黒船にスイカを届けに行ったシーンなどは、今でも鮮明に記憶に残っています。有村俊斎は、維新後は海江田信義として明治政府になってからも活躍した人物だったので、1年間通して演じることができました。まさに大河ドラマならではの経験で、『翔ぶが如く』は、僕の出演作品の中でも特別な作品です。西郷隆盛役の西田敏行さんをはじめ、出演者同士、本当に仲が良くて撮影が終わるとよくみんなで飲みに行きましたし、実に一体感のある現場でした。当初は「幕末なんか当たらないよ」なんて声も聞かれましたが、そんなことなくてよかった(笑)。面白かったですよね。

それにしても大河ドラマというのはすごいですよね。同じ枠の中で一人の俳優がいろんな時代の人物を演じる。僕も、このときは幕府を倒そうという若者の一人でした。それが28年経って『西郷どん』では、幕府の大老・井伊直弼ですからね。誠忠組の若者たちの怒りや心情もよくわかります(笑)。大河ドラマの歴史を振り返ると、なぜ、あの時代に幕末を取り上げたのかが気になります。バブル経済まっただ中だったあの頃と現在との間で何か重なる部分もあるのではないか?危うさを孕(はら)んだこの国のあり方を問い直す“時代の鏡”といった側面もあり、大河ドラマを通して今の時代そのものが見えてくるような気もします。
