一覧に戻る

50音から探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行
佐野史郎 佐野史郎

佐野史郎俳優さのしろう

1955年生まれ、島根県出身。主な出演作に、ドラマ『ずっとあなたが好きだった』、『世にも奇妙な物語』シリーズ、映画『毎日が夏休み』、『太陽』など。NHKでも、『翔ぶが如く』『花の乱』『私が愛したウルトラセブン』『一路』など多くの作品に出演。『西郷どん』では、彦根藩15代藩主・井伊直弼役を演じる。

大河ドラマ 翔ぶが如く(1990)

有村俊斎役

大河ドラマ 翔ぶが如く

インタビュー

 懐かしいですね。生麦事件でイギリス人を刺し殺したことや、黒船にスイカを届けに行ったシーンなどは、今でも鮮明に記憶に残っています。有村俊斎は、維新後は海江田信義として明治政府になってからも活躍した人物だったので、1年間通して演じることができました。まさに大河ドラマならではの経験で、『翔ぶが如く』は、僕の出演作品の中でも特別な作品です。西郷隆盛役の西田敏行さんをはじめ、出演者同士、本当に仲が良くて撮影が終わるとよくみんなで飲みに行きましたし、実に一体感のある現場でした。当初は「幕末なんか当たらないよ」なんて声も聞かれましたが、そんなことなくてよかった(笑)。面白かったですよね。

俊斎は薩摩藩の改革をめざし大久保(鹿賀丈史)、西郷(西田敏行)らと誠忠組を結成する

 それにしても大河ドラマというのはすごいですよね。同じ枠の中で一人の俳優がいろんな時代の人物を演じる。僕も、このときは幕府を倒そうという若者の一人でした。それが28年経って『西郷どん』では、幕府の大老・井伊直弼ですからね。誠忠組の若者たちの怒りや心情もよくわかります(笑)。大河ドラマの歴史を振り返ると、なぜ、あの時代に幕末を取り上げたのかが気になります。バブル経済まっただ中だったあの頃と現在との間で何か重なる部分もあるのではないか?危うさを孕(はら)んだこの国のあり方を問い直す“時代の鏡”といった側面もあり、大河ドラマを通して今の時代そのものが見えてくるような気もします。

ザ・プレミアム おそろし
~三島屋変調百物語~(2014)

三島屋伊兵衛役

ザ・プレミアム おそろし~三島屋変調百物語~

インタビュー

 これは原作者の宮部みゆきさんが「百まで書く」とおっしゃっているそうなので、ドラマも命があるなら100本やりたいと思っている作品です(笑)。実際、制作スタッフは定期的にやろうとおっしゃっていたのですが、諸事情でいまだペンディング状態です。すでに原作(『三島屋変調百物語』)だけでも相当数あるので、一本でも多く進めていきたいですよね。

 監督は、映画『ガメラ』シリーズや『デスノート』などで知られる金子修介さん。金子監督とは何本かお仕事をさせていただいているのですが、初めてお会いしたときに同い年だということ、また怪獣映画など好きなものが本当に重なっていて、お互いに言葉にしなくても通じるものがあったんです。『ウルトラQ』などのウルトラシリーズもそう。僕はかつて、ドラマ『私が愛したウルトラセブン』で演じた円谷プロのチーフライター・金城哲夫に並々ならぬ思いがあるんですが、金子監督はこのドラマで“江戸版ウルトラQ”をやりたいとおっしゃった。百物語を蒐集(しゅうしゅう)する江戸の袋物屋と金城さんとが重なり、すぐに自分のなすべき役割がわかりました。

江戸・神田の袋物商“三島屋”の主人・伊兵衛

 三島屋伊兵衛は、江戸の町に隠されている不思議話、怪奇潭を百物語集めるよう姪のおちか(波瑠)に命じるという人物で編集者のようでもある。金城哲夫や、京極夏彦さんの『巷説百物語』を原案にしたドラマで僕が演じた戯作者にも重なる役柄でした。この役をご依頼くださった方や、この世界がお好きな視聴者のみなさんの中にも、そういうイメージがあるのかなと思いましたね。何より僕自身が妖怪好きで怪獣好きなので、演じていても本当に楽しかったです。

伊兵衛は姪のおちか(波瑠)に不思議な話の“聞き役”を命じる

 金子監督からは現場で、「佐野さん、波瑠ちゃんにいろいろ教えてあげて」と教育係に任命されました(笑)。『ウルトラQ』をはじめ、怪獣映画や幻想怪奇映画に出演されていた女優さんたちがいかに美しく、演技も素晴らしかったか。また、その方たちが長年ご活躍されていることなどをしつこくお話ししました(笑)。八千草薫さん、水野久実さん、亡くなられた白川由実さんなど、素敵な女優さんがヒロインをつとめていらっしゃいましたからね。こういう作品に出演することがいかに素晴らしいかということを力説しておりました(笑)。

BS時代劇 一路(2015)

蒔坂将監役

BS時代劇 一路

インタビュー

 『一路』で演じた蒔坂将監は、いわゆるベタな悪役ですがこれはこれでいいですよね(笑)。撮影が松竹京都撮影所で行われたことも意義深かったです。『座頭市』など、大映の時代劇の流れを汲むスタッフたちが残る映像の聖地で、若いスタッフたちもまた先人の教えを請うて現場に挑む。撮影方法がデジタルになっても、時代劇の伝統的な手法、技術や魂が受け継がれていることがひしひしと感じられる現場で、とても心地よかったです。

将監は蒔坂家当主・左京大夫の後見役
19の若さで参勤交代の差配を任された一路(永山絢斗)だが…

 将監は最終回で責任をとって切腹したのですが、あそこまできちんと切腹シーンを演じたのは初めてのことでした。それも所作指導の伝統があればこそで、時代劇に出演するのであれば一度はやってみたいと思っていたので、願いが叶いました。

 連続ドラマではあったけれど一話読み切りとしても楽しめ、非常に好評でしたよね。後に地上波でも放送されましたし、人気の高い時代劇でした。

“このお家を、家臣たちを、民を…頼みましたぞ!” 将監の最期

スペシャルドラマ 返還交渉人(2017)

西條公彦役

スペシャルドラマ 返還交渉人

インタビュー

 このドラマに限らないのですが、さまざまな作品との出会いは目に見えない力に動かされ導かれてきたような気がしてなりません。

 もちろん、何もしないで引っ張られてきたわけではなく、自分が興味を持つものに熱中してきた結果でもあると思います。その気配を受け取っていただけていたとしたら、俳優冥利に尽きます。『私が愛したウルトラセブン』で演じた沖縄出身の金城哲夫を通して太平洋戦争のこと、沖縄と本土との関係を体感できたこともその一つです。戦争中のことだけでなく、その後の沖縄の人々のこと、60 年代の終わりに繰り広げられた沖縄返還交渉。沖縄返還時のことはよく覚えていますし、その政治的背景にもとても興味があったので、今回、北米局長という役どころでそこに立ち合うことになったことには感慨深いものがありました。

“返してもらうのではない、取り戻すのだ”西條は千葉(井浦新)の熱意に動かされる

 主演の井浦新さんとは、若松孝二監督作品に出演している若松組の仲間ですし、かつては連合赤軍の映画で革命を志した間柄でもあります。今回は一変、彼も僕も外務省の人間で、国のために働く中で理想と現実のギャップに苦しみます。その葛藤についても撮影の合間によく話し合っていました。これまで数多くのドキュメンタリーを制作してきたNHKのドラマだけあって、一つ踏み込んだ歴史的な情報量など、バックボーンがしっかりしていてリアリティーが感じられました。個人的にもとても勉強になりました。

大河ドラマ 西郷どん(2018)

井伊直弼役

大河ドラマ 西郷どん

インタビュー

 井伊直弼といえば「安政の大獄」ですが、歴史は勝者の側の視点で語られることが多く、どちらが正しくてどちらが間違っていたのか、その判断は難しいですよね。ただ、幕府が倒され新政府が設立され、廃藩置県が行われ、現在に至っていることは良いも悪いもなく事実です。それでも想像するのは井伊直弼が殺されず、幕府が海外と折り合いをつけ、明治新政府ではない新たな幕藩体制、あるいは別の政治形態ができなかったかということ。安政の大獄は悪政と言われても仕方がないとは思うけれど、それも勝者の論理だからかもしれない。違う道を歩めば、明治以降の日清、日露、満州事変、太平洋戦争も避けられたのではないか?そんなことを想像したりもします。幕府は日米修好通商条約で、すでに開国していたも同然でしたし、尊王攘夷で始まったはずの倒幕派が桜田門外の変で井伊直弼を暗殺してから、そう時を経ずに新政府が開国していった歴史の流れを観ると、やむを得ずとはいえ、やはり釈然としない心持ちにもなります。
まあ、それほど、どっぷり井伊直弼に心酔しているということでご容赦ください。

 彦根に足を運んでわかったことは、直弼は禅を究め、武術を究め、能を極め、茶人としても利休に通じるほど茶の湯を極めた非凡な人物です。一期一会を旨とし、心乱さず、仏門にも帰依しようとした人物。そんな人が政の上で一喜一憂したり、うろたえたりするものだろうか。“荒ぶる赤鬼”という描かれ方をされることも多いけれど、その知識と世界観の広さ深さ、そして自分を律する端正な武士としての落ち着いた姿に強く心ひかれました。

 実は、ライフワークとしている小泉八雲の朗読会を昨年の3月4日に彦根の清涼寺で上演させていただいたんですが、清涼寺は井伊家の菩提寺です。それから間もなく今回の井伊直弼役のお話をいただきました。さらに、井伊直弼の『西郷どん』初登場は3月4日。僕の誕生日でもあり、これぞ直弼公のお導きと思わずにはおられませんでした(笑)。

その他の出演番組を見る ※類似の氏名が検索される場合があります。
一覧から探す