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笹野高史 笹野高史

笹野高史俳優ささのたかし

1948年生まれ、兵庫県出身。71年より「自由劇場」に所属、82年の退団まで『上海バンスキング』をはじめ数々の舞台に出演。その後、テレビや映画でも幅広く活躍。主な出演作は、映画『男はつらいよ』『釣りバカ日誌』シリーズ、『武士の一分』『おくりびと』『次郎長三国志』、コクーン歌舞伎『夏祭浪花鏡』、ドラマ『交渉人』など。NHKでは、『大岡越前』『隠密秘帖』、連続テレビ小説『瞳』『わろてんか』、大河ドラマ『毛利元就』『新選組!』『風林火山』『天地人』など。

大河ドラマ 天地人(2009)

豊臣秀吉役

大河ドラマ 天地人

インタビュー

 秀吉というのは密かに心の中でずっと待っていた役でした。大河ドラマに秀吉が登場するたびに、誠に僭越ながら(笑)「どうして俺じゃないんだ」と。若いころから、秀吉の肖像画を見て「なんか、俺に似ているよね」「似てる似てる」と仲間と言っていたんです。だから勝手な思い込みで秀吉役が来るだろうと思っていたのですが、まだ無名の俳優でもあり、秀吉役をいただくようになるにはずいぶん時間がかかりました。

 僕は関西出身なので“秀吉さん“というくらい身近な人物でもありましたが、歴史上の人物というのは十人十色それぞれの頭の中にイメージがあり、どれが正しいということはないですよね。まして大河ドラマでもさまざまな方が演じていらして、その俳優さんを通じて作られたイメージもある。前年の『功名が辻』では、身近な友人でもある柄本明さんがやっていらっしゃったので、そのことも少しプレッシャーでした。作品それぞれで人物像が違ってきますから、僕が描いている秀吉が果たしてこの作品に合うのかということもありました。しかし、人物というのは切り取る角度、見る人によってさまざまな顔を見せるものです。だから僕が描いたイメージと若干の齟齬(そご)があったとしても、それは二の次だと考えました。書かれているセリフを俳優として忠実に演じることができれば最上だと思えた時に、あまりプレッシャーを感じなくなりました。嬉しかったことは、衣装さんが毎回素晴らしい衣装を用意してくださって、それだけで十分秀吉の気持ちになれたことです。

秀吉は上杉家の直江兼続(妻夫木聡)を高く評価し、家臣にと望む

 不安だったのは、信長様(吉川晃司)が現実世界では僕より年下だったことです(笑)。悪いことに僕は高校時代からずっと年上に見られるので、信長様と秀吉の関係性に違和感があり、見ている方の想像力を妨害してはいけないと思いました。幸いなことに吉川さんとの場面はそれほど多くなかったのですが、最初のころは申し訳ない気持ちでしたね。信長様が亡くなった後はいよいよ私の時代だと挽回することができたように思いました。そんな中で、大事にしていたことは、秀吉がどれだけ信長様を好きで憧れていたのかという気持ちです。信長様の影響を強く受けていた人物ですから、その思いに集中することを心がけていました。

織田信長(吉川晃司)

 家康を演じられた松方弘樹さんとの共演もありがたかったですね。あれだけの大先輩であり、長いことカメラの前に立ってこられた方が、家康役に入れ込んで工夫されて現場に入られると一気に濃厚な空気に包まれたものです。松方さんの本気、エネルギーが波のようにカメラマン、ディレクターにも伝わり、一気に熱を帯びる。畳が一ミリくらい浮いているんじゃないかと思わされたほどです。松方さんの居方、存在感は本当に勉強になりましたし、その場にいられたことが幸せでした。

秀吉に忠誠を誓う家康(松方弘樹)に…
喜んだ秀吉は自らの陣羽織を脱いで与える

土曜ドラマ 実験刑事トトリ(2012)

三船隆昭役

土曜ドラマ 実験刑事トトリ

インタビュー

 この作品の主演であるトトリ(都鳥)刑事役の三上博史さんとは、若いころにご一緒したことがありましたが久しぶりの共演でした。作品の魅力や重要度というのは、主役を演じる方の雰囲気や温度で面白さが決まってくるというか、そのパーセンテージが大きいものですよね。その点で三上さんは、お芝居、服装、風貌、髪型などをきちんと作って入られていて感心しました。もちろん監督も一緒に作りあげていくものですが、主役が出したい色、やりたいことが見えることで、僕らは非常にやりやすくなるんです。だからこそ、トトリの髪型に象徴されるような、とらえどころのない不思議な魅力を放つ刑事ドラマになっていましたね。

三船が部屋長をつとめる捜査一課に異色の刑事がやってきた
動物学者から警視庁に“転職”した都鳥(三上博史)、43歳の新人刑事
三船は正義感の強い28歳の安永(高橋光臣)を都鳥の教育係に任命する

 実は現場で三上さんから、「主役論」「主役哲学」のようなことをうかがって非常に興味深かったことを覚えています。それというのも僕は若いころから演劇をやっていたのですが、そのころは「いつか僕も主役をやれるかもしれない」と思っていたんです。笑わないで聞いてほしいのですが、みんながそう思っているから『ハムレット』の独白も当然のように暗記して、いつかできるかもと思っていました。そんな時、ある演出家に「あなたは脇できらりと光るタイプで、主役の俳優ではありません」と言われたんです。まだ25,26歳のころでしたから、その晩はさめざめと泣きました(笑)。今のように「脇役でやっている人間です」と堂々と言えるまで何年もかかったんです。そのことと結びついて、三上さんの「主役」に対する思いの強さ、覚悟をうかがえたことが強く印象に残っています。

タレントのマコリン(栗山千明)は三船のお気に入り

 僕ら役者は一つドラマが終わると最後のあいさつで「パート2で会いましょう」と言うのですが、なかなか実現することはありません。この作品はパート2もあって嬉しかったですね。

プレミアムドラマ 小暮写真館(2013)

須藤役

プレミアムドラマ 小暮写真館

インタビュー

 この作品で須藤という役を演じられたのは嬉しかったですね。職業は不動産屋の社長ですが、のんびりといかがわしい商売をやっている感じといい、年齢といい、さらに主人公の英一(神木隆之介)や事務員の順子(成海璃子}など若者に向かって能書きを言っているあたり(笑)。ああ、役者をしていなかったらこうなっていたかもなと思えたほど、自分にぴったりする部分があったんです。だからとても居心地が良くてこの役が大好きでしたね。

 ロケ現場に通うのも楽しかったな。新宿の高層ビル群の近くでしたが、平屋や昔僕らが住んでいたアパートのような建物が残っていて、まだこんな場所が残っていたのかというほど懐かしい空気が満ちていました。

4人家族の花菱家に元・写真館の古い家を紹介した須藤だが
花菱家の長男・英一(神木隆之介)が1枚の写真を持ち込む
その場にいなかった女性の顔が映り込む、いわゆる“心霊写真”
事務員の順子(成海璃子)は“その女は泣いている”と言い…
小暮写眞館にはかねてから幽霊の噂があった

 そんな中で、僕がいまだに覚えているほど印象深かったセリフがあります。それは英一の質問に答えた「生きている人間には、死んだ人間が必要になる時もあるんだよ」というセリフでした。たとえば母親が生きていたら何て言うんだろうとか誰にも思い当たることがある言葉だと思います。何かに悩んだりすると「あの人なら…」と考えたりする。まさに死んだ人と会話をしていることがありますよね。すごくいいセリフだと思ったし、それを若い人に教えているというところも好きでした。とても含蓄のある大人のセリフなので神木くんが覚えていてくれると嬉しいですね。

 神木くんとは彼が幼稚園のころ、民放でご一緒したことがあります。あれからずいぶん経ちましたが、本当にいい役者になっていてすごいですね。素敵な力のある役者さんで、そのことも嬉しく思いました。

写真の謎を調べ始めた英一は“心霊写真探偵”とあだ名される
写真を通して過去・現在の人々の思いがあぶり出されるヒューマンミステリー

BS時代劇 子連れ信兵衛(2015)
BS時代劇 子連れ信兵衛2(2016)

折笠五郎左衛門役

BS時代劇 子連れ信兵衛

インタビュー

 イクメン侍の信兵衞を演じた主演の高橋克典さんとは、実は昔からのご縁があったんです。というのも高橋さんはデビュー前に、僕がもといた劇団(自由劇場)の舞台『もっと泣いてよフラッパー』のボクサー役でゲスト出演してくださったことがあるんです。この作品は何度か再演を繰り返していますが、彼がこの役に一番ぴったりの人でした。

長屋住まいの浪人・松村信兵衛(高橋克典)は剣の達人
亡き隣人から預かった赤ん坊・鶴之助の育児に奮闘することに

 初めて高橋さんが稽古場に現れた時、女性に使う表現ですが「掃き溜めに鶴」という言葉が浮かびました(笑)。僕らのようなアングラの劇団に彼のような美男子はあまり来たことがなかったので、「君みたいな人はどこかよそへ言ったら、いっぱい仕事あるからそっちへ行きなさいよ」「なんで僕らのところ来ちゃったの」なんて言いましたよ(笑)。目元はジェームス・ディーンみたいで、奥の方に隠れて正体がわからない。「いい男だな」としみじみ思いましたね。彼はとても謙虚で、音楽をやっていたそうですが、芝居も学びたいということで僕らの劇団に来たそうです。その姿勢がまたとても気持ちが良くて、みんな彼のことが好きになり、ファンになっちゃいました。「お前絶対に売れるな、ああ、うらやましい」って毎日のように言ってました(笑)。

折笠五郎左衛門は大名家にも剣術を指南する道場主だが
ある晩、殺しの現場を目撃してしまい…
身の危険を感じた折笠は信兵衛に用心棒を依頼する

 そんな古い知り合いと久しぶりにちゃんと仕事ができて、僕の役も面白かったので京都に行くのがとても楽しみでした。彼が信兵衞を演じるにあたってとても努力しているところも伝わってきましたし、何年もいろんな主役をつとめてきたことが体にしみ込んでいる。カメラの前での居方など、俳優の財産というのはこういうことかと思いました。時たま、お芝居で何かにぶち当たったとき、電話がかかってきて相談にのることもあったので、その成長にまるでおじさんのような喜びを感じました。よかったよかった、よく育ったって(笑)。

 何年に一回しか会わなかったとしても、演じるという共通の仕事をしているからいつも身近にいる気がするし、彼の作品も見続けていたので感慨ひとしおでした。

連続テレビ小説 わろてんか(2017)

喜楽亭文鳥役

連続テレビ小説 わろてんか(2019)

インタビュー

 落語家の役というのはこの時が初めてでした。プレッシャーはありましたが、プライベートなお付き合いで一度高座に出させていただいたことがあったので、少しだけ気が楽ではありました。とはいえ芸事の世界というのは本来何年もかかって身につけるものですし、僕が演じた「時うどん」も前座噺とはいえきちんと覚えなくてはいけない。お芝居のセリフのように相手がいて助けられるものではなく、果たして一人で覚えられるのかと不安でした。

喜楽亭文鳥は150名以上の門下を抱える上方落語の大看板
てん(葵わかな)と藤吉(松坂桃李)は寄席の命運をかけ文鳥に出演を依頼する

 いよいよ収録が近づき、覚悟を決めて大阪に向かいました。自分ではそこそこ覚えたと思い、落語指導の林家染左師匠の前で「時うどん」をやったのですが、そこでとても恥ずかしい思いをしたんです。話し終えると師匠が「よう覚えましたな」と言ってくれたのですが、続けて「けど、それは“うどん”やのうて“そば”ですな」と。「しまった!」と、顔から火が出る思いでした。うどんはそばと違って太いので、ズズズーッとすするところの音が違うことに気づいていなかった。「失礼しました」と言って東京に帰り、また一から覚え直し。そんなことを2,3回繰り返して「もう明日でも本番できますよ」と言ってくださるのですが、「いや他に何かおかしなところがあったら」と聞くと次々出てくる(笑)。前座の噺だけでこれほど大変なのだから落語家さんは大変だと思いましたが、同時に面白いなとも思いましたね。芸とはこういうことか、役者と違って座布団一つでどこでも演じられる。そこにうらやましさも感じました。

『時うどん』は主に前座を務める若い落語家の演目だが…
名人の芸にお客たちも大喜び!

 監督やプロデューサーものって「カットなしのワンカットでいきましょう」と言ってくださった。僕と心中覚悟だったのでしょう(笑)。さらに嬉しかったのは信頼する何人かの役者さんたちから、「よかったよ」とおほめの言葉をいただいたことです。津川雅彦さんはよくほめてくださったけど、ふつう役者同士は照れくさいし、ウソっぽくなるから互いをほめたりしないものです。それがメールでの短いひと言でもほめてくれたり。ミッキー・カーチスさんは落語の名前も持っていらっしゃる方ですが、そのミッキーさんからもほめていただけて、ありがたかったですね。その後、不思議と落語家の役が続きました。もちろん、これからもお話をいただいたら嬉々として演じさせていただきたいと思っています。

連続テレビ小説 かりん(1993)

本間洋一郎役



男女共学の始まった1948年~1964年(昭和23年~39年)までの時代を背景に、信州諏訪の老舗みそ屋の一人娘・千晶(細川直美)が、恋や友情、そして家族との葛藤を経て成長し、傾きかけた生家を盛り返す半生を描く。「連続テレビ小説」の第50作目に当たり、十朱幸代、石坂浩二、岸田今日子など、豪華な顔ぶれだった。

作:松原敏春 音楽:渡辺俊幸、井上陽水 語り:松平定知

連続テレビ小説 かりん
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