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前田吟 前田吟

前田吟俳優まえだぎん

大河ドラマ 『功名が辻』

大河ドラマ 『功名が辻』

 『功名が辻』は10年前の作品ですが、大変皆さんに好評をいただいた思い出深い作品のひとつです。原作は司馬遼太郎さん。脚本は、数々のヒット作を手掛けてきた大石静さん。脚本を手にし、“これは面白いドラマになるかもしれない”と、なぜだか撮影に入る前から直感がありました。“寅さん”シリーズこと、映画『男はつらいよ』をはじめ、これまでにたくさんの作品に出演させていただいたせいか不思議と勘が働くようです(笑)。そして、僕は脚本を読んだら、徹底して役について研究する方。時代背景や、その人の出身や生い立ち――いろいろな要素を調べ、役柄を作り上げていきます。同じ原作で過去に映画やドラマに取り上げられていれば、なるべくそれを見ますし、さらに“侍役”なら、黒澤明監督の映画『七人の侍』の中の誰がこの役に当てはまるか、なんて考える。幅広く情報を収集し、自分なりに咀嚼(そしゃく)することで、演じたときに画面から少しでも役のリアリティを伝えることができたらと考えているのです。

脚本を手がけた大石静さん

 僕が演じた祖父江新右衛門、そして、武田鉄矢さん演じた五藤吉兵衛は、上川隆也さん演じる山内一豊を幼少から見てきた“じいや”的な存在。家臣というよりはむしろ家族のような人物でもあります。父である先代に先立たれ、若く不器用で頼りない主君・一豊を、いつかは一国一城の主にしたい――そんな大きい夢を持つ家臣の吉兵衛と新右衛門は、大きな戦乱で名を残す武将とは違い、僕らは半農半士という感じで素朴なんですよ。それだけに、一豊を筆頭とした吉兵衛、新右衛門の3人のチームワークが、ドラマを楽しんで見ていただくための重要な鍵になると思いました。武田さんは、何度も共演していて気心も知れた仲。上川さんは、初めてだったのでどうかなと思っていたのですが……。これが蓋を開けてみたら、僕と武田さんだけじゃなく上川さんも演技の“好き者”でね(笑)。俳優という仕事を心底愛していて、演じることに対する探求心やテンションが、世代も何もかも超えて“一緒だな”と思えたんです。だからこそ、山内家がいろいろな波乱を乗り越えて、徐々に登りつめていく姿を3人で演じることは、本当に楽しくてしかたなかったですね。でも決して、細かく演技プランを打ち合わせるというわけではないんですよ。例えば武田さんが「俺はこう行くからな」と言えば、僕自身もすぐに「ならばこちらはこうしよう」と、あ・うんの呼吸で息が合う。それが上川さんを交えた3人でも、ピタリと一致していた。まさに演技のうえでも“山内家”は一致団結していたんです。

小言の多い吉兵衛(武田鉄矢さん)と明るい新右衛門はいいコンビ

  • 一豊と千代に娘が産まれ、大喜びする新右衛門

 それにしても、上川さんのように才能があり、役柄に対して誠実に取り組む若い俳優さんと1年もの間共演させてもらうことは、僕にとってもとても刺激になりました。それは、一豊を一国一城の主にまで導いた賢妻・千代を演じた仲間由紀恵さんについても同じです。その後のお二人の輝かしい活躍ぶりを見ながら、つくづくそんなことを思いました。また私自身も、このころは62歳と老齢でもなく、だからといってもう若くもない。いただく役柄が過渡期にあった時期でした。それが、祖父江新右衛門として、老いてなお一豊に寄り添う役をいただいたことによって「前田吟はこういう老け役もやるのか」と、思っていただけたようです。私の俳優人生をより豊かにしてくれた、この作品には感謝をしています。さらにはこの時期、禁酒・禁煙を6年間続けていたせいで、72歳の今も元気で仕事ができているんです。次の時代に向けて、体を見直していた時期でした。今? 今はもうお酒も適宜いただいていますけどね(笑)。

  • 一豊が土佐二十万石の城持ち大名になるまで苦楽を共にした

連続テレビ小説『マッサン』

連続テレビ小説『マッサン』

 日本初の本格ウイスキーの開発に燃える“マッサン”こと亀山政春と、その妻・エリーの奮闘を描き爆発的ヒットとなった連続テレビ小説。前田吟さんはマッサンの父、亀山政志を演じた。

 マッサンの生家、亀山酒造は広島県にあるという設定です。僕の役は亀山酒造の社長ではあるけれど、泉ピン子さん演じる亀山早苗の婿。早苗の父に認められ、丁稚奉公から社長まで務めたいわば亀山酒造に人生を捧げた苦労人です。僕はこの“政志”という人物像を深めるために、裏設定で“山口出身の人”ということにさせてもらったんです。僕が山口出身なのもあるけれど、このドラマのひとつの特徴でもある広島弁だけでなく、同じ中国地方でも山口弁を入れることで柔らかな空気感を少し漂わせたかった。そして、そんな政志の山口なまりの柔和な語り口に、亀山酒造を担うはずの“マッサン”のウイスキー造りという冒険を許す、厳しくもあたたかな父親像を表現したかったんです。地方の言葉というのは、人をひきつけるものがありますよね。美しいロケの風景や、立派なセットの背景に負けない、リアリティのある人物像を作り上げるには、そういう細かな設定が役立つことがよくあるのです。

  • 「日本で初めての男になるんじゃろうが!」弱音を吐く政春を投げ飛ばす

大河ドラマ『おんな城主 直虎』

5月の出演者発表会見から(上段右端が前田さん)

  • 主人公・井伊直虎役の柴崎コウさん

 柴咲コウ主演の大河ドラマ『おんな城主 直虎』。柴咲さん演じる直虎の曽祖父・井伊直平を前田吟さんが演じる。

 『功名が辻』から10年ぶりの大河ドラマの出演ですが、お声を掛けていただいて本当にうれしかったです。直虎の曽祖父で、今川家に激しい敵意を燃やす血気盛んな人物。直虎に大きな影響を与えた、と聞いています。人生60年の戦国の世に、65歳を過ぎても馬に乗ったり、本当にやんちゃなようですね(笑)。私もどんな風に演じようか、今からその井伊直平という人物の“第一声”を命がけで探っているところです。偶然ですが、僕は『竜馬がゆく』(1968年)に岡田以蔵役で出演した以外は、『おんな太閤記』(1981年)、『春日局』(1989年)、『功名が辻』と、女性の主人公になる大河ドラマが多いですね(笑)。この作品も、どのように皆さんに楽しんでいただけるか、僕自身が期待に胸をふくらませています。

  • 蜂須賀小六役の前田さん
    『おんな太閤記』より
  • 『春日局』では家康の忠臣・本多正純役
その他の出演番組を見る ※類似の氏名が検索される場合があります。
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