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内野聖陽 内野聖陽

内野聖陽俳優うちのまさあき

1968年生まれ、神奈川県出身。主な出演作に、ドラマ『JIN−仁−』『とんび』、映画『(ハル)』『罪の余白』『海難1890』、舞台「禁断の裸体」「東海道四谷怪談」「乳房〜天上の花となった君へ〜」「ハムレット」など。NHKでは連続テレビ小説『ふたりっ子』で注目を集め、金曜時代劇『蝉しぐれ』でモンテカルロ国際テレビ祭 ゴールデンニンフ賞を受賞。大河ドラマ『風林火山』では主演。『真田丸』では徳川家康を演じた。

連続テレビ小説 ふたりっ子(1997)

森山史郎役

連続テレビ小説 ふたりっ子

インタビュー

 森山が最初に登場したときは銀縁のメガネをかけた嫌みなキャラで、朝ドラのヒロインの相手役なのに、なんでこんな人を使うんだと苦情が殺到して不評でした(笑)。宇宙が好きで狭いアパートで黙々と自分の世界を広げているという設定も敬遠された一因だったようです。その後、メガネを外しコンタクトレンズにしてから女性の心にはまったようですが、僕は将棋の狭い盤上に無限の宇宙を見ているところが面白いなと思いましたね。

銀縁メガネの棋士・森山史郎

 脚本の大石静さんが書かれた少し暗い破滅キャラというのが元々大好きだったんです。将棋を指すシーンは、台本のト書きにさりげなく「駒を握る美しい指」などと書かれているんです。「俺、美しくねぇや!」(笑)と急いで爪をきれいにしてもらいに行きました。あとはピシッと指すときの美しさや踊るような指の動きを研究するために、ポケットには常に飛車の駒を潜ませて、ごろごろと手でこね回していました。

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将棋という絆で結ばれた史郞と香子(岩崎ひろみ)

金曜時代劇 蝉しぐれ(2003)

牧文四郎役

金曜時代劇 蝉しぐれ

インタビュー

 『蝉しぐれ』のなかで一番印象的なシーンと言われるのが、反逆の罪で切腹した養父・助左衛門(勝野洋)の遺骸を引き取りに行った文四郎が、坂道をひとり登っていくという切ないシーン。実は僕自身、父を亡くした直後に撮影をしていたので、父に対する思いが、ダイレクトにはまってしまって。文四郎の父への思いがすべて重なる感じでした。本当にひとつひとつが、ヒリヒリしていた記憶がありますね。

 助左衛門が切腹する前に面会を許されるシーンがあり、そのときに「言いたいことも言えなかった」というようなセリフがあったんです。それは、まさしく当時の自分で…。そんな風に『蝉しぐれ』は、極論を言うと演技力というよりも「当時の僕がいるだけ」みたいな気がします。もちろん芝居をしてはいるけれど、あのときの僕の魂を撮ってくださった作品だったので、ことさら思い入れがありますね。

 『蝉しぐれ』は藤沢周平作品のなかでも名作中の名作で、ファンも多い。当時はプレッシャーもありましたが、機会をいただいたのだから、とにかくワンシーン、ワンシーン大切にやっていこうと思っていました。また監督の佐藤幹夫さんがとても熱い方で、細やかに撮って下さり、僕のこの血に眠っているものをすごく引き出して下さったので、それが見ている方にも伝わったんではないかなとも今にして思います。そうした要素が絡み合い、実は地味な作品にも関わらず、予想外のすごい評価をいただいて。自分が驚いてしまったくらいでした。

お福(水野真紀)への淡い恋心はかなうことなく月日は流れ…

 当時の辛い気持ちがそのまま映し出された作品でもあるので、あまり思い出したくない気持ちにもなりますが、今でも映画のお仕事などで地方を訪れると地元のおじさんたちから「文四郎役、良かったよ」と声をかけていただけるのはうれしいです。そうした愛される作品になって良かったなと思います。

大河ドラマ 風林火山(2007)

山本勘助役

大河ドラマ 風林火山

インタビュー

 山本勘助が武田家に仕官するまでの姿は、道ですれ違った視聴者の女性の方から「内野さん、もっときれいにしてください」と言われたこともありました(笑)。ただ、「汚い」ということは、僕の中でとても大事な要素でした。汚いだけでなく、目をそらすような男でないとドラマが生まれない。隻眼で異形の浪人ものが、外面ではなく人の器を見抜く信玄に見いだされ、力強くその人生を歩んでいく。そこにこの物語の魅力と素晴らしさがあると思ったのです。眼帯の内側の目にもこだわり、特殊メイクのスタッフさんたちと試行錯誤を重ねました。さすがに、これ以上やると映像的に見るに堪えないレベルに達しそうになったとき、プロデューサーからストップがかかりました(笑)。

 当時、就職氷河期といわれ“就職浪人”と呼ばれる人たちが巷にあふれていました。そんな人たちが、逆境やハンディキャップにくじけることなく生きる勘助を見て「いいぞ」と言ってくださったことを覚えています。今回、久しぶりにドラマを見直してみて、そこにあるパワー、「負けないぜ」というスピリットを画面から感じることができて、「ああ、いいじゃない」と自画自賛しました(笑)。

 共演者の方々も素晴らしかったですね。信玄役の市川亀治郎(現四代目市川猿之助)さんは、映像作品に出演されるのは初めてでした。歌舞伎の演技がどう映り込むのか、毎回、ご自身の芝居をモニター画面でじっと見られていた姿が印象に残っています。シーンのシチュエーションについても「これは、こういうことね」と、その理解力の早さに舌を巻いた思い出があります。古典の世界にはいろいろな物語が詰まっていることを改めて感じさせてくれました。

勘助は軍師として信玄(現・四代目市川猿之助)に尽くす

 上杉謙信を演じたGacktさんのことは“ガクちゃん”と呼んでいたのですが、とても頭の良いチャーミングな人でした。カメラが回っていないときは、亀ちゃん(亀治郎さん)と3人でいわゆるボーイズトークに興じて楽しかったですよ(笑)。一番、感心したのが音楽的アプローチです。僕らと違って、抑揚というか、音から入れるということにカルチャーショックを受けました。ご自身の世界できちんとカリスマを保っている姿や、きれい好きで完璧主義者なところ、さらに論理的な思考など、謙信に通じる部分も見えました。逆に武田はそうではないんだ。もっと地べたを這うように民の力を借りて生きてきたんだ。GACKTさんを見ていて、そんなことも感じさせていただきました。

“越後の龍”上杉謙信(Gackt)

 さらに素晴らしい大先輩のお歴々が集まってくださっていました。千葉真一さんしかり、仲代達矢さん、緒形拳さん、佐藤慶さん、石橋蓮司さん……と、お名前を挙げたらきりがないくらい大スターばかり。毎回、違う王者を相手にしたタイトルマッチを戦っているようで、気を抜く暇がありませんでした。いつも、「負けられない!」みたいな気持ちでいましたね。そんな中、この作品で女優デビューとなった由布姫役の柴本幸さんとのお芝居もまざまざと覚えています。お芝居は初めてということで、どうしても堅くなりがちな彼女の魅力を引き出し、いかにいいシーンにするのか。リハーサルでも家に帰ってからも、ほとんどプロデューサー気分で悩んでいました(笑)。

信玄の側室となる由布姫(柴本幸)は美しく気性の激しい女性

 勘助の最期は、御屋形様への愛と敬意を込めて散るということに尽きます。そんな最高の死に場所となった川中島のロケでは、いま生きている自分のエネルギーから、スタッフ、共演者はいうまでもなく、家族や自分のご先祖様にいたるまで、すべてのエネルギーをかけて、あの場所にいることが大事だったんだなと感じています。最初に『風林火山』のポスターを撮影するとき、プロデューサーと考案した「生きることは愛すること」というセリフに尽きる部分がありました。千住明さんの素晴らしい音楽の力も大きかったし、撮影中にものすごい勢いでガンガン攻めるように迫ってきたカメラマンなど、みんなの情熱と情熱がぶつかり合い、火花が散るような作品だったと思います。

大河ドラマ 真田丸(2016)

徳川家康役

大河ドラマ 真田丸

インタビュー

 家康といえば三英傑の一人として崇められ、非常に忍耐強く、少しくらいのことで感情を乱したりしない男というイメージでした。そんな人物でも究極のシチュエーションでは、もっと取り乱していたのではないか。それが三谷(幸喜)さんの切り口なんです。実はもっと情けなくて弱くてビビり症なところが絶対にあったはずで、そこを三谷さんが広げている。最初に台本を読んだときはびっくりしましたが、今までの何を考えているのかわからなかった家康に比べて一番共感しやすい人物になっていて、そこが面白いし楽しませてもらっています。

秀吉(小日向文世)が提案した仮装大会“やつしくらべ”に家康も真剣…

 基本的に、秀吉の前では猫を被ってるというか、良き部下を演じているのですが、その裏の心情がふと出るところがポイントかもしれないですね。秀吉の前ではいい子ちゃんなので、秀吉がいない時の家康を見つめてほしいかな(笑)。お互いにニコニコしながら裏で何考えているのがわからない。そんなスリリングな探り合いを楽しんでいただけるよう、台本を一生懸命読んで演じました。

特集ドラマ どこにもない国(2018)

丸山邦雄役

特集ドラマ どこにもない国

インタビュー

 主人公の丸山は旧満州に取り残された150万人を超える人々の帰国を実現した人物。成し遂げたことだけを聞くと、どんな英雄的人物かと想像しますが、学者肌で理想主義なところがある面白いキャラクターで、決してヒロイックではありませんでした。それが、こんなにも無謀で勇気のある行動に出てしまうというのが、物語としておもしろいじゃないかと思ったんです。

 しかも、当時の日本人は戦争に負け、敗者としての時代のにおいのなかにいたでしょうから、そのなかで民間人にも関わらず決して負けない魂を持って立ち上がり、仲間とともに不可能に近いミッションを実現させてしまったパワーはすごいなと。演じながら、自分の信念だけを頼りにひたすら突き進むことのできる人物として映ればと思って役作りをしていきました。マッチョなキャラではなく、なるべく華奢なイメージで、欠けているところは新甫八朗(原田泰造)と武蔵正道(満島真之介)にフォローしてもらうような、アンバランスな丸山像を目指したつもりです。

建設会社社長の新甫(原田泰造)、英語の得意な丸山、中国語の堪能な武蔵(満島真之介)がチームを組む

 今回、丸山を演じるにあたって、まず満州について学ぶことから始めました。僕は戦争を知らない世代の人間なので、戦争の悲惨さは学習していても、満州の引き揚げについての知識が皆無だったんです。まずは知ることから始めようと、たくさんの方が書いた手記を読み始めました。いろんな資料を読む中で、満州では寒さと飢えと暴力がまん延して、まさに生き地獄が展開されていたんだということが分かりました。手記を読みながら、もし自分の家族にこれが起こったらどうなんだろうか。愛する娘や両親を荒野に置いていくとしたら…と。これはすさまじいお話だなと身の引き締まる思いがしました。

満州に進駐してきたソ連軍は丸山の家にも…

 とはいえ『どこにもない国』は、悲惨な史実を描きながらも、ハラハラドキドキのエンターテインメント性あふれるドラマとしてお楽しみいただけるのではないかと思っています。特に前編は、あまり難しく考えず丸山たちの冒険をスリリングに感じていただければいいですね。また、後編で丸山たちは日比谷のGHQに談判に向かうのですが、事実の材料を使いながら、いかに丸山たちが戦ったのかをご覧いただける構成になっていると思います。初共演でしたが、吉田茂を演じた萩原健一さんの役づくりは非常に細やかで、眼鏡やステッキ、椅子などさまざまなこだわりが詰まっています。初めて現場に入ったときは「吉田茂がいる」と思ったほど、そんな吉田茂の登場シーンも見どころのひとつです。

外務大臣・吉田茂(萩原健一)

 『どこにもない国』は見る者にエネルギーをくれる作品。過去の悲惨な事実も伝えていますので、戦争を学び、平和について考えるきっかけにもなってもらえたらいいですね。

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