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柄本明 柄本明

柄本明俳優えもとあきら

1948年生まれ、東京都出身。1976年、劇団東京乾電池を結成、座長を務める。98年、映画『カンゾー先生』で第22回日本アカデミー最優秀主演男優賞を受賞。映画のみならず、舞台やテレビドラマにも多数出演。2011年、紫綬褒章受章。2015年、第41回放送文化基金賞番組部門「演技賞」受賞。NHKでは大河ドラマ『太平記』『八代将軍吉宗』『元禄繚乱』『功名が辻』、スペシャルドラマ『坂の上の雲』、大河ファンタジー『精霊の守り人』などに出演。『西郷どん』では、愛加那の伯父・龍佐民役で出演。

大河ドラマ 功名が辻(2006)

豊臣秀吉役

大河ドラマ 功名が辻

インタビュー

 僕は自分が出た作品を見返すことはほとんどないのですが、ケーブルテレビか何かで『功名が辻』をやっていたのをちょこっと見たことがあるんです。そのとき、自分でも「すごいメークしてるな〜」と思いましたね(笑)。別にふざけていたわけではなくて、秀吉はすでにいろいろな方が演じられているので、何か違うことができないかと考えたんです。秀吉といえばサル!それをメークで表現できたら面白いと思って始めたのですが、だんだんエスカレートしていきました(笑)。だけど、そんなふうに作り手である俳優が楽しめるというのもいいですよね。もちろん見ているお客さんに嫌がられるようなことがあってはいけませんが、時代劇というのはある意味、作り物の世界ですから、そんな遊びも楽しいのではないかと思いながらやっていました。

 この作品で家康を演じたのが西田敏行さんで、お互いの腹の探り合いのシーンが楽しかったですね。西田さんとは古くからの知り合いですが、何より最初に西田さんの舞台を見たときの衝撃が忘れられません。まだ青年座研究所にいらしたころに発表会のようなものに出演されていた西田さんを見る機会があったんです。そのとき「子どもの中に大人がいる」と思ったほど、ずば抜けていた。すごいなーと心から思いましたよ。その西田さんが家康役でしたから、ふたりのやりとりがとても楽しかったことも記憶に残っています。

病床を見舞う家康(西田敏行)に秀吉は“秀頼を頼む”と訴える

 もう一つ忘れられないのは、この年におふくろが亡くなったことです。その知らせを聞いたのはリハーサルをしているときでした。それからまもなく秀吉が死ぬシーンを撮ったこともあり、いまも思い出に深く残っている作品です。

スペシャルドラマ 坂の上の雲(2009-11)

乃木希典役

スペシャルドラマ 坂の上の雲

インタビュー

 乃木さんを演じていて僕が思ったのは“死に場所を逃してしまった人”ということでした。乃木さんは近代の戦術に追いつくことができなかった。司馬遼太郎さんの原作では、そのことに対して“無能”と当てています。明治維新以降、さまざまな局面で「ここで死んでおけばよかった」と思うことがあったのではないかと思うんです。ところがそれを逃してしまったばかりか、そのキャラクターが御神輿(おみこし)として担ぎ出すにはよかったんでしょう。シナリオでは、すでに隠遁生活をしていたにも関わらず、児玉(源太郎)さんから日露戦争に引っ張り出されてしまうという展開でした。

日露戦争開戦、乃木は旅順要塞の正面攻撃を指揮するが…

 最後はどうにもならなくなって結果的に児玉さんが直接指揮を執ることになったわけですが、乃木さん自身は何が行われているのか、なぜここに連れてこられたのか。それが、わからなかったというふうに僕なんかは思ってしまうんですけどね。完全に責任をとるためには死ぬしかないし、そうできれば楽だけれど、自分がある象徴、御神輿として連れて来られたのだから先頭を切って死ぬこともできずにその場所にいなければいけない。最後には“軍神”にまで祭り上げられた人物ですが、非常に辛い人生だったと思います。

乃木に代わり、軍の指揮を執るため児玉源太郎(高橋英樹)が旅順へ

土曜ドラマ 足尾から来た女(2014)

田中正造役

土曜ドラマ 足尾から来た女

インタビュー

 田中正造というのは文献を見れば見るほど、「これはちょっと出来ないよ」と思ってしまう。そのくらいすごい人なんですね。エネルギッシュで使命感に燃えていて、いろいろなものを呑み込んでいる強烈な個性の持ち主。だけど、池端俊作さんのシナリオが大変に素晴らしいものだったので、それにインスパイアされてその人物を探す旅に出たという感じです。演じる方によってやり方は違うと思いますが、僕は何より本(=シナリオ)が面白いということが第一です。

足尾銅山鉱毒事件の追及に生涯をかけた政治家・田中正造

 そのうえで現場では、演出、カメラ、メークさん、衣装さんなどが、それぞれの目線で作り上げていく。俳優一人で人物を作るのではなく、みんなで創造していくということが面白いんです。そして、見てくださる方からも「面白い」と言っていただければ、それが嬉しい。『坂の上の雲』もそうでしたが、この『足尾から来た女』もNHKでないとできないような作品です。こういうものをやらせていただいてありがたいと思っています。

サチ(尾野真千子)は銅山の鉱毒に苦しむ栃木県谷中村の娘

大河ファンタジー 精霊の守り人(2016-18)

スファル役

大河ファンタジー 精霊の守り人

インタビュー

 壮大なスケールのファンタジーで、呪術師という役どころもこれまで演じたことがない。異質といえば異質だったし、扮装もかなり大変でした。ヒゲをつけたり、衣装を何枚も重ねて着るのが面倒だったり(笑)。役作りというのはとくに考えなくても、あの格好でセリフを言えばそのような感情も入るということですね。

スファルはロタ王国の呪術師
バルサ(綾瀬はるか)が助けた少女アスラ(鈴木梨央)には恐ろしい力が…

 またセットが素晴らしかったでしょう。最初にスタジオで見た瞬間、驚いたのと同時に、思わずスタッフの人が大変だなと思ってしまいました(笑)。あれだけのセットを組み上げると、カメラさんも照明さんもすごく苦労されますからね。僕らはこういう格好でセリフを言うだけだからいいけれど、引いた画を撮るのも難しいだろうし、逆に洞窟の中のシーンなんかもどこにどう配置するのかとか、画面を作るのが本当に大変だと思います。もちろん綿密な計算の中でやられていたと思いますが、時間もかかる。そうやってあれだけの壮大な映像を作っていったのだから、それはすごいことですよね。演じているこちらは時々、何をやっているのか分からないこともありましたが(笑)、リアルを求めるというよりファンタジーなのだから、それはそれで良かったんだと思います。

 こういった最新の機械や技術を駆使した作品はこれから増えていくんでしょうね。その一方で、僕なんかは昔の映画のフィルムの感じが好きだったり、白黒の画面を見ると非常に落ち着くものがあったりする。両方が共存していけばいいんじゃないでしょうか。

大河ドラマ 西郷どん(2018)

龍佐民役

大河ドラマ 西郷どん

インタビュー

 僕が演じている龍さんは、西郷さんが流された島の長のような人で、わりあいきれいな格好をしている偉い人ですが、偉い人だけに大変なご苦労があったのではないかと推察しますね。時代の状況を考えると日本だけでなく大陸からの干渉を受けながら、サトウキビという産業があったから、その土地で生き延びるために必死だっただろうと。

薩摩へ納める砂糖づくりのために奄美大島の人々のくらしは困窮していた
“甘い匂いだけかがされて…ここは地獄かい”

 今回は薩摩に対してですが、もちろん恨みはあったと思いますよ。だけど、それを前面に出したら戦争になり負けてしまうことがわかっている。生き延びるために何を選択するのかということです。そんな中で島にやって来た西郷さんが、いい人だということもなかなか判断がつかないんじゃないでしょうか。セリフにもありますが、ずっと虐げられてきているから、とりあえず薩摩の人間は信用できないとなってしまうんです。龍さんは一応、階級的にも教育的にも教養も備えていたから、一番早く西郷さんのことは気づいていったんじゃないかと思いますけどね。

島送りとなった吉之助(鈴木亮平)は龍佐民らに助けられる

 ロケは奄美大島と沖永良部島に行きました。個人的なことですが、その前に仕事でヨーロッパに行っていたんです。滞在中ロンドンもベルギーも寒くて、沖永良部に行ったら暖かいんだろうなと思いながら帰国。家で一泊して島に着いたら、これがまた寒かった(笑)。撮影場所が海岸に近いからもっと寒い。衣装も薄いし、満ち潮なんかすごいんですよ。こんなに来るのかというほど潮がきて寒くて寒くて。だけど、やっぱり島でロケをしたことは良かったと思います。スタジオのセットも美術さんが頑張って作っているので、砂浜までは無理ですが雰囲気は一緒で素晴らしいですよ。

 セリフは島の言葉です。僕個人はわかりにくくても、その土地の言葉を使うのがいいと思っています。わからせることばかりになるとニュアンスのようなものが伝わらなくなる。むしろ、この言葉は何だろうというところから広がるものがすごくあると思うので、わからないことが重要なんじゃないかな。テレビの役割はわからせることも一つあるでしょうが、僕個人としてはそのままの言葉を使うほうが好きですね。

名を変え流人生活を送る吉之助の心を佐民の姪・とぅま(二階堂ふみ)が癒やしてゆく
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