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宇崎竜童 宇崎竜童

宇崎竜童ミュージシャン・俳優うざきりゅうどう

1946年生まれ、京都府出身。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドを結成し歌手デビュー。作詞の妻・阿木燿子とのコンビでも山口百恵ら多数の歌手へ楽曲を提供し、数々のヒット曲を生みだす。また、俳優としても演技力に定評があり多くの作品で活躍。NHKでは、向田邦子脚本の『阿修羅のごとく』シリーズ、大河ドラマ『獅子の時代』『北条時宗』、土曜ドラマ『ハゲタカ』『刑事の現場』、プレミアムドラマ『モンローが死んだ日』、よるドラ『阿佐谷姉妹ののほほんふたり暮らし』などに出演。土曜ドラマ『一橋桐子の犯罪日記』では“隠れ闇金”を営む怪しい男、寺田を雰囲気たっぷりに演じる。

NHK 花のステージ
(1977~1980のうち、79年度)

司会として

NHK 花のステージ

スタジオ制作の『歌のグランドショー』(1976~1977)のあとを受けてスタートした、NHKホールでの公開歌謡バラエティー。NHKホールの豪華さと舞台機能を生かした演出を行った。1979年度は出場歌手が、司会を務める植木等と宇崎竜童の2チームに分かれて、対抗歌合戦の形式でそれぞれの持ち歌を披露。勝負は観客の中から無作為で選んだ100人にボタンを押してもらい判定した。総合(水)午後8時からの50分枠で1978年1月にスタート。

土曜ドラマ 向田邦子シリーズ
阿修羅のごとく(1979)
阿修羅のごとく パートII(1980)

勝又静雄役

土曜ドラマ 向田邦子シリーズ 阿修羅のごとく 阿修羅のごとく パートII

インタビュー

 初めてのドラマ出演作でした。オファーをいただく前に脚本の向田邦子さんと演出の和田勉さんが、渋谷の公園通りにあった地下の小劇場に僕のライブを見にいらして、終わった後にお話させていただきました。和田さんから「あんたのライブはチャンバラみたいだね」と言われたのだけど、どういう意味が分からなくて何となく受け答えしていたら(笑)、向田さんが和田さんに「この人、素人だからハンデキャップを作りましょう」とおっしゃったのを覚えています。

興信所に勤める勝又は、父の浮気調査依頼をする滝子(いしだあゆみ)に惹かれ、やがて愛を告白する。同シーンでは宇崎がボーカルを務めるダウン・タウン・ブギウギ・バンドの楽曲「フィール・ブルー」が流れた

 つっかえるように話す勝又の個性は、この時、向田さんが出されたアイデアから生まれたもの。もしセリフがパッと出て来なくて詰まっても不自然に見えないだろうという配慮からのもので、実際にこの設定にはずいぶん助けられました。だから俺も安心して現場に行ったのですが、本読みの段階から和田勉さんがルックスだけでなく、声もでっかくて怖い感じで…。いざスタジオに入ったら、今度は副調からずっと出て来ず戸惑いました。1本だけ映画の出演経験がありましたが、映画はカメラの横に監督がいて「よーいスタート!」とカチンコを鳴らしますから、テレビはやはり勝手が違いました。

長女の綱子(加藤治子)、次女の巻子(八千草薫)とともにすき焼きを囲む勝又と滝子夫妻

 何台ものカメラと名優たちに囲まれる不慣れな現場でしたが、あまりにも皆さんの芝居がリアルだったので自然と役に同化していて、数日後には楽しんで演じられるようになりました。すき焼きを囲むシーンでは、皆さんのお芝居がナチュラルすぎて、演技ではなく本当に一緒に鍋を囲んでいるような気持ちになったこともあります。気が緩んで自分が話す番になっても、セリフが出てこなくなってしまったほどです。

竹沢家で暮らし始めた勝又はかつて恒太郎(佐分利信)の浮気調査をしていたことを告白。お詫びにもし自分が滝子と結婚したら浮気はしないと誓う

 演じた勝又は、四姉妹の三女、滝子(いしだあゆみ)の依頼で父親、恒太郎(佐分利信)の浮気を調査する興信所の男。それが次第に滝子とひかれ合い、彼女の実家での間借り生活を経て結婚することになります。そんな静雄が恒太郎と暮らしはじめたばかりのあるとき、自分がかつて浮気を調査していたことを告白する場面がありました。佐分利さんと一対一のシーンはこのときだけでしたが、ものすごく尊敬していた役者さんだったので、とにかく迷惑をかけてはいけないとカチンカチンに緊張して相対したのを覚えています。

 佐分利さんのお芝居はそれまでのどんなドラマや映画でも見たことがないような所作で、手の動きから目線の上げ方まで作品に登場するお父さんになりきっていらっしゃいました。そんな存在感に圧倒されていると佐分利さんの“気”がぶわーっと飛んできて、気持ちなんか作らなくてもセリフを言うだけでお芝居が成立するような感じでした。俺なんかみたいな役者でもないヤツを相手にリアルな芝居をしてくださり、肩が凝りそうなほど緊張しましたが、すごくためになった作品でもあります。

滝子との結婚式を控え、義弟の陣内(深水三章)に衣裳を汚されてしまった勝又は、恒太郎から紋付きを借りることになる

 もうひとつ印象的だったのは、滝子を演じたいしだあゆみさんとの共演。恋人役だったので仲良くしたいと思い、休憩時間にお昼ご飯に誘ったことがありました。そうしたらいしださんが「表へ出て全くふつうの日常に入って、この後のシーン大丈夫なの?」と断られたんです。何を心配されているのか分からないまま食事に出ましたが、いま思えば、いしださんはその前のシーンの気持ちを持続させたかったのでしょうね。いしださんも歌手でいらっしゃるので、近い感覚をお持ちかと思っていたのですが、そういう部分は役者さん独特の感性なのかもしれません。

 ミュージシャンが本業の俺は当時、ストーリー性のある歌を歌っていましたが、「ワン、ツー、スリー、フォー」とカウントしてイントロが始まった時点で歌の主人公になり、1曲終われば次の歌の主人公になることを繰り返していたので、一回一回素の自分に戻るのが通常。だから、休憩になれば役を離れたかったんです。でもこの時は食事をして戻ると、いしださんの言葉が蘇ってきてうまく勝又になることができませんでした。そうか、場の温度やキャラクターの心情をどこかでキープしていなきゃいけないんだと教えられましたが、結局いまも変わらず食事に出てしまいます(笑)。

お互いへの思いを否定しつつも、結局はひかれ合っていた、恋に不器用な勝又と滝子

 シリーズ化され2年にわたって演じた勝又役ですが、それまで俺のミュージシャンとしての側面を見てきたファンはあまりの違いに驚いたのではないでしょうか。後から考えてみると向田さんは、ステージではリーゼントにサングラスをかけ、突っ張ってやっているけれど、本当は気が小さくて情けないヤツだって本質を見抜かれたのでしょう。だから、素人のバンドマンが演じやすいのように、素を織り交ぜて書いてくださったのではないかと思います。とはいえ、それまでのイメージとは真逆の役を演じたので、うまい役者なんだと勘違いする人が大勢いらっしゃり、そのおかげで映画やドラマのお話をたくさんいただくようになりました。完全に宇崎竜童を捨てて演じさせていただいた勝又役のおかげです。

バラエティー・ゆかいな仲間(1979)

アーティスト他として

バラエティー・ゆかいな仲間

台本のない自然な会話から思わず笑いを誘う「トークコメディー」「NHKのど自慢・熱演賞受賞者2組の再演」の2コーナーを、正月から暇を持て余している4人の若者を中心にコメディーとヒット曲で送る、新形式のスタジオバラエティー。出演:日色ともゑ、沢田研二、野口五郎、宇崎竜童、ダウンタウン・ブギウギ・バンド、岡崎友紀ほか。司会:金子辰雄アナウンサー。

土曜ドラマ 市川森一シリーズ
「失楽園’79」 消えた風景(1979)

音楽担当として

土曜ドラマ 市川森一シリーズ「失楽園’79」 消えた風景

小さな夢を叶えようとする若者たちの欲望を、風刺と哀愁で綴るファンタジー。「消えた風景」「哀しみの都にて」「風の道化師たち」の3回で構成した。ヒーロー戦隊ものから社会派まで幅広い脚本を手がけた市川森一の作で、当初の脚本段階のタイトルは、旧約聖書に描かれた約束の地「乳と蜜の流れる地」と名づけられたが、放送時には「失楽園’79」とされた。(全3話)

脚本:市川森一 音楽:宇崎竜童

大河ドラマ 獅子の時代(1980)

音楽担当として

大河ドラマ 獅子の時代

明治維新前年のパリ万博で出会った、幕府随行員で会津藩の下級武士・平沼銑次。幕府に対抗して独自に参加した薩摩藩の苅谷嘉顕。近代国家樹立という志を掲げる架空の2人の生き様を軸に、幕末から明治にかけての激動の時代を描いた。作:山田太一。音楽:宇崎竜童。語り:和田篤。出演:菅原文太、加藤剛、大原麗子、鶴田浩ニ、大竹しのぶ、藤真利子、佐々木すみ江、尾上菊五郎、永島敏行、沢村貞子、日下武史ほか。

作:山田太一 音楽:宇崎竜童 語り:和田篤

土曜ドラマ 追跡 妻たちの反乱(1983)

音楽担当として

土曜ドラマ 追跡 妻たちの反乱

東日新聞・熊本支局で事件記者としての腕を買われて東京本社に来た生島は、特別企画部の「女たちの反乱」シリーズに参加し、主婦の集団詐欺を取材することを命じられた。老人問題や教育問題などの社会問題を、新聞記者を通して掘り下げ、その背景にあるものを浮き彫りにしていく。第1回「妻たちの反乱」第2回「私にも定年をください」第3回「その手にさよなら」の3回で構成された。(全3話)

脚本:岩間芳樹 音楽:宇崎竜童

土曜ドラマ 青春スクランブル(1984)

音楽担当として

土曜ドラマ 青春スクランブル

大学受験の浪人2年目の玉井尚真は、周りの熱い期待に息苦しさを覚えていた。東大に入りさえすれば、世話になっている叔父の期待からも、親戚中の恥さらしと言われた母からも解放されるとがんばってきたが、重圧と不甲斐なさで苛立つ毎日。そんな尚真がボクシングに出会い爽快な満足感を得る。自分の道は自分で決めると思うが、複雑に絡み合う周囲とのしがらみは重すぎた。大学入試に揺れる若者たちの青春群像を描いた。(全3回)

脚本:岩間芳樹 音楽:宇崎竜童

芸を語る(1988)

アーティストとして

芸を語る

演劇から映画、古典芸能まで、幅広い芸と表現の世界から第一人者を選び、その人の芸を紹介するとともに芸の秘密に迫るトーク番組。下半期からは芸にこだわらず、現在、第一線で活躍している人に範囲を広げ、広い年齢層の視聴者にアピールした。主な出演者は森繁久彌、杉村春子、岩城宏之、宇崎竜童、森下洋子、桂枝雀ほか。総合(火)午後11時10分からの25分番組(前期)。後期は(水)午後10時50分からの放送。

笑いがいちばん
(1994~2011のうち、95~00年度)

音楽担当として

笑いがいちばん

『演芸ひろば』(1991~1993)の後継番組。落語、漫才からコント、マジックまで、よりすぐりの出演者の「芸」を味わう日曜午後の演芸番組。ベテランから注目の若手まで、毎回3~4組がネタを披露。さらにトークやミニコーナーなどで多彩な構成とした。番組は16年続く長寿番組となり、初年度の渡辺正行から始まり、柳家小三治、ヨネスケ、爆笑問題、林家正蔵などが歴代司会を務めた。総合(日)午後1時台の29分番組(初年度)。

音楽:宇崎竜童

土曜ドラマ ハゲタカ
ROAD TO REBIRTH(2007)

西野昭吾役

土曜ドラマ ハゲタカ ROAD TO REBIRTH

インタビュー

 次々と企業を買収する敏腕ファンドマネージャー、鷲津(大森南朋)と、彼に正面から挑むエリート銀行マン、柴野(柴田恭兵)を中心に、バブル崩壊後の日本経済の実態を浮き彫りにした作品でした。俺が出演したのは第1話のみ。老舗旅館「西乃屋」の経営者で、ゴルフ場の経営やビル建設に手を出し大きな債権を抱えてしまう役どころでした。

100年続く老舗旅館「西乃屋」の当主、西野昭吾は父の泰三(三谷昇)とは違い経営手腕に乏しく、旅館を傾かせる

 ぼんぼん育ちで経営手腕がない無能な主人で、最後には鷲津に債権のカタとして旅館を売却されてしまう頼りない人物。しかもショックで自殺同然の事故死を遂げるのですが、その情けない姿を演じるにあたっては、どこか俺自身の素の部分を投影していたような気がします。というのも、俺はもともと泣き虫で、幼稚園に一人で行けないほど情けない子だったんです。おふくろか姉が一緒でないと行けないと駄々をこねたのをまざまざと覚えているほどです。

鷲津(大森南朋)に債権のカタとして西乃屋を売却された西野は失意に暮れる

 成長するにつれ、人とコミュニケーションが取れるようになり、大学に入ると情けない自分を知る人がいない安心感から自身のキャラクターを成長させていったような気がします。そしてバンドを作ったときに宇崎竜童というキャラができた。でも実は自身を成長させたのではなく演じていくような感覚なので、『ハゲタカ』に出演しているときも「子どものころの俺が残っているから、そのまんまやればいいんだ」という気分でした。

西乃屋を救う術がないと悟った西野。撮影時にはカットがかかった直後に宇崎の目から涙がこぼれ、その瞬間を撮影できなかったことを大友啓史監督が悔しがっていた

 撮影に入ってびっくりしたのは、大友啓史監督の撮影方法。それまで経験してきたドラマの撮り方とは全く違い、通常は動くことのないメインカメラが、グッと走ってきて足元から映したりするので「なんだこれは!」と衝撃でした。その後、映画化もされた話題作でしたが、演出の仕方が常識的ではなく、演じている役者たちが驚くようなダイナミックさがあったので、それがとても印象に残っています。

斬新な演出と撮影手法が話題を呼びさまざまな賞を受賞した同作。「足元からのアングルには驚いた」と宇崎

 息子役を演じた松田龍平くんとの共演にもワクワクしました。親父の(松田)優作とは仲良くさせてもらっていた時期があって、(松田)みゆきさんのお腹が大きかったころに自宅に遊びに行ったこともありました。それが十数年経って一緒にお芝居をしているなんて、何とも言えない気持ちでした。ワンシーンしか絡みはありませんでしたが、自分のなかに熱い思いが湧き起こって、プクプクあぶくを立てるような感じがしたんです。優作がそこにいるような気分でね、彼の息子と芝居をしていることにすごく感動しました。

情けない父の姿に怒りを露わにする治(松田龍平)。宇崎と松田が絡んだのはワンシーンのみだが、熱量の高い印象的な場面になった

土曜ドラマ 刑事の現場(2008)

守本真二役

土曜ドラマ 刑事の現場

インタビュー

 団塊世代の大量退職で起こる警察の世代交代をテーマにした作品でした。主役のベテラン刑事、伊勢崎を演じたのは寺尾聰さん。寺尾さんとは「ルビーの指輪」が流行った頃も歌番組でご一緒した覚えが全くなく、一度、大阪のホテルでばったりお会いしたときに、昔なじみのように接してくださって「いい人だ」いう印象を抱いていました。そんな寺尾さんと一緒にお芝居できることになりとても嬉しかったのを覚えています。

鑑識係巡査部長・守本、捜査一係係長・伊勢崎(寺尾聡)、捜査二係係長・野下(石倉三郎)は、無理をしない若い人たちに歯がゆさや責任を感じている定年間際の団塊世代

 また、同じく共演の石倉三郎さんはあの高倉健さんに見いだされた方。ベテランの刑事を演じられましたが、みんな同世代だったので、共通の話題も多く休憩中にはよくみんなで色んな話をして盛り上がっていました。バリアフリーに接してくださる寺尾さんのおかげで距離が近づいて、撮影が終わった後もときどき食事に行く仲に。そんな交流のなかであるとき、石倉さんから「レコードを出すんだけど、歌を書いてくれないか」と頼まれ「燻し銀の唄」という演歌調の曲を提供したこともあります。
 そんなふうに関係性を築いていたこともあり、守本が退職する日に同世代で並んで敬礼するシーンは、本当に自分が引退するような気分になりましたね。

 現場では寺尾さんの提案で、皆がノーメイクで撮影していたのが新鮮でした。また彼が、森山未來くんら若手を集めて演技の話をしていたのも印象に残っています。なかでも森山くんは寺尾さん演じる伊勢崎とコンビを組む新人刑事の役でしたが、お芝居を見ていると、リアリティーともナチュラルとも違う独自の存在感が圧倒的で、すごい役者だなと思いました。きっとブレイクするだろうなと思っていたら、その予想が当たりましたね。

主婦が神社の境内で殴打される事件が発生。守本は、新米刑事の啓吾(森山未來)らに、現場に凶器はなく被害者の財布が残っているので、物盗りの可能性は低いなど、鑑識で得られた情報を伝える

 また、女性刑事の瀬戸山を演じた池脇千鶴さんとは、この作品の前に映画で親子役で共演し、いいキャラクターの子だと思っていました。そうしたら、今度は居るだけで安心するような存在感の役を演じていらして、そんな姿に驚きと発見がありました。

「お子さんは?」 宿直勤務の瀬戸山(池脇千鶴)の子を誰が面倒を見ているのか心配する守本

よるドラ
阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし(2021)

村野英明役

よるドラ 阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし

インタビュー

 阿佐ヶ谷姉妹(渡辺江里子/木村多江・木村美穂/安藤玉恵)の日常をドラマした作品では、彼女たちが通う中華料理屋「朝來」の大将を演じました。ふだん料理なんか作ったこともないので、レバニラ炒めやニラ玉の作り方を特訓したんですよ。街中華の親父らしく見えるよう、中華鍋の振り方からガスの加減、手際よく調味料をパパッと入れる感じなど、ひとつの料理ができる工程を叩き込まれました。

阿佐ヶ谷の街中華「朝來」を妻の孝代とふたりで営む村野

 撮影で苦労したのは、カウンター越しにお芝居をしている相手の声が聞こえないこと。厨房横の冷蔵庫から「ウ〜ン」と音が鳴っていて、本番は電源を切ってくれるもののリハーサルのときはほとんど何を言っているのか分かりませんでした。シーンの段取りは把握していても、どのタイミングで料理を出していいのかが分からず、何度かNGを出して皆さんにご迷惑をおかけしてしまいました。

村野は常連客の阿佐ヶ谷姉妹(木村多江・安藤玉恵)の名付け親を自称するが、孝代(いしのようこ)からは勘違いを指摘される

 一緒にお店を切り盛りしていた奥さんの孝代(いしのようこ)が亡くなって、納骨の際にお墓に入ろうするお芝居がありました。きっと愛していた奥さんが亡くなったら、こんなふうに狂ったようになるだろうなと、短いカットでしたが感情を込めてリアルにやらせていただきました。親族役の役者さんたちに手が当たったりしたかもしれませんが、謝って許してもらおうという覚悟で演じたのを覚えています。

亡くなった孝代の納骨の際、喪失感から、骨を食べて孝代と同化しようとした村野だったが、親族に止められ慟哭する

 お悔やみに来てくれた阿佐ヶ谷姉妹の2人に妻との思い出を話すシーンは、実はワンカットで撮影しています。もともと監督はカット割りするつもりだったようなのですが、リハーサルでするするとセリフが言えてしまったので「ワンカットでいきましょう!」ということになり焦りましたね。先に彼女たちの表情を撮るまでは良かったのだけど、俺側を撮る段階になって詰まってしまって。悪いクセなのだけど「カット」がかかるとセリフがリセットされてしまうので、立て直すのに苦労しました。

お悔やみに訪れた阿佐ヶ谷姉妹に、孝代との馴れ初めを語り涙する村野

 ドラマのラストシーンではトルコ行進曲を皆でハモりながら歌うシーンがありました。それぞれに歌うパートが振り分けられていて、譜面をいただき、音源ももらったのですが、自分がどのパートを歌うのか覚えられなくて。ふだんから譜面通りに歌うクセが付いていないので苦労しました。だから、セリフを覚えるよりもあのシーンのハモりを覚えることにエネルギーを注いだような気がします。

ドラマのラストを飾った「トルコ行進曲」の大合唱

土曜ドラマ
一橋桐子の犯罪日記(2022)

寺田一男役

土曜ドラマ 一橋桐子の犯罪日記

インタビュー

 親友を亡くして生きる希望を失った主人公の桐子(松坂慶子)が終の住みかを刑務所に設定し、「人に迷惑をかけずにつかまる道」を探るお話。俺が演じるのは隠れ闇金を営む怪しい男で、桐子が務めるパチンコ店の常連。回を追うごとに桐子との関係に変化が訪れるところが見どころです。

「お待ちしておりましたよ、ご婦人♪」

 初登場シーンから「お金に困ってんじゃないの?いつでも貸すから言って」と怪しい登場の仕方で、皆さんのなかの宇崎のイメージのままで演じればいいかと思い、楽しく演じさせてもらいました。特に寺田がお金を貸した桐子から「返せないから掃除をさせて欲しい」と頼まれるシーンは印象的でした。お金を貸すときにはお客様として接していた寺田が、彼女がサインするや否や態度を豹変させて雇う側として上から目線になる。監督からの注文で表情や態度はもちろん、発声の仕方も変えていてギャップが面白いのではないかと思っています。

「利息を考えると、半年以上かかるかもしれねぇが、それでもいいな?」

 松坂さんとは『上海バンスキング』という映画以来30年ぶりの共演。再会したときはすっごく懐かしくて、ふたりで「うわ〜!」と立ち上がって喜びました。久しぶりにご一緒してみて、彼女の思いきりのいいお芝居にはとても助けられました。桐子役にはユーモラスの雰囲気あって、コメディーの要素も随所に見られます。松坂さんは、例えば俺を見て驚くシーンで気取った役者なら「はっ」くらいのところを「あぁぁ!!!」と思い切り演じていらして、なんだか覚悟が決まっているなと感じましたし、何より一緒にお芝居するのが楽しかったです。

「まあな、事務所が綺麗になりゃ、金回りも良くなりそうだしな。明日から来てもらおうか」
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敬称略

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