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緒形直人 緒形直人

緒形直人俳優おがたなおと

大河ドラマ 『信長KING OF ZIPANGU』

大河ドラマ 『信長KING OF ZIPANGU』

 信長役で主演!? この仕事の依頼が来たとき、マネージャーと電話口で互いの話が噛み合わないほど僕自身が驚いたことが忘れられません。「来年(1992年)の大河ドラマが『信長 KING OF ZIPANGU』だそうですが、NHKから“お願いできますか”と話が来ています」というマネージャーに、「その『信長』で僕は誰の役を演じるの?」と、聞き返したほどです。記者会見でも「信長とどこか似ているところありますか?」と質問された際に、僕は「イニシャルぐらい」なんて答えたくらい。「O (織田/緒形)・N(信長/直人)」ですから(笑)。それほど僕自身がイメージとかけ離れた信長という役柄に戸惑っていた、というのが本当のところでした。

 『信長 KING OF ZIPANGU』は原作・脚本が田向正健先生、演出は重光亨彦さんという1988年の大河ドラマ『武田信玄』(主演・中井貴一)などを手がけられたお二人でした。田向先生や重光さんから、僕を起用した理由を直接聞いたことはなかったですね。ただ、田向先生から演じる前に「君はこれから信長についていろいろ調べるだろうけれども、一切何も見ずに、台本だけで自分の力で信長を作り上げていってほしい」と言われたんです。戦国武将のカリスマであり、ある種のイメージが定着していた織田信長に対して、田向先生なりに新たな光を当てて描きたいという思いがあったのでしょう。ルイス・フロイスという宣教師を語り部にしたり、架空の人物として信長の側近に祈祷師・加納随天を登場させたりと、とても斬新な切り口の信長の物語だったと思います。

  • ルイス・フロイス
  • 祈祷師・加納随天

撮影現場に入ってからは、ひたすら演じるのみでした。僕は俳優デビューから3年目というところで、時代劇もまだこれが3作目。本格的な殺陣や時代ものの所作に慣れてはいませんでしたし、何しろ主人公なので出ずっぱり。当時睡眠時間は、連日2時間あるかないか。さらにこの作品は、脚本の一言一句を変えずに丁寧に撮るというのが前提でスタートしたので、ベテランの方でさえ“て・に・を・は”を間違えば大汗をかくような場面もあったほど緊張感漂う現場だったんです。僕は主役として一番セリフも多い分、周囲に迷惑をかけてはいけないと夢の中ですらセリフを覚えるような状態でした。今だからお話しできるのですが、信長の内面の狂気めいたものをどこかに漂わせられたらと僕なりに考え、演技中にはほとんどまばたきをしないようにしていたんです。もし今回改めてこのドラマをご覧になる方がいたら、そんな細部の表情にもご注目いただけたらと思います。

そういえば当時、映画や民放の作品の撮影も重なるような多忙な日々で、なかなか信長のお墓参りに行くことができなかったんです。なんとか岐阜でのロケがあるからそのタイミングで、と考えていました。ところが大雨でスケジュールが大幅に変更になってしまって、スタッフから突然「明日だけ休みが取れます」と言われたんです。急でしたけど、“ようやくご挨拶ができる”という思いで墓所に伺いました。すると、お寺のご住職に「緒形さん、やはり今日でしたか!」と、声を掛けられて。何のことかわからず戸惑っていると、その日が6月2日――偶然にも信長の命日だったんです。信長に呼ばれたのでしょうか。時代を超えた邂逅という感慨がありました。そんなことがもう24年も前のことなんですね。悩み苦しみながらも、懸命に演じた僕なりの信長でしたが、運命的なものがあったのかなと、ふと思い返しています。

大河ドラマ 『翔ぶが如く』

大河ドラマ 『翔ぶが如く』

司馬遼太郎原作。脚本家・小山内美江子が他の司馬作品と再構成し見事に脚色した。西田敏行さんが西郷隆盛、鹿賀丈史さんが大久保利通というW主演。緒形さんは西郷隆盛の弟役を好演した。

1990年、僕にとって初の大河ドラマ出演作です。僕は西郷隆盛の弟役、西郷従道を演じました。こちらの現場もとても熱気にあふれていましたね。また、薩摩藩士で登場していた内藤剛志さん、佐野史郎さんといった方々が独特の雰囲気を生み出して、僕もいつかこんな俳優になりたいと、憧れの眼差しで見ていたことを覚えています。薩摩弁は難しかったのですが、僕は好きでしたね。指導いただいた薩摩弁のテープを車の中で繰り返し聴いて、セリフを覚えた思い出があります。また現場が白熱するがゆえに撮影に時間がかかることが度々で、大久保利通の鹿賀丈史さんが冗談めかして「もう大河ドラマは絶対やらないぞ」なんておっしゃって、僕も「10年はやらないです!」なんて笑い話をしていたのに、その2年後に『信長』の主演の話をいただくとは人生はわからないものですね。

正月時代劇 『荒木又右衛門~決戦・鍵屋の辻』

正月時代劇 『荒木又右衛門~決戦・鍵屋の辻』

『翔ぶが如く』と同年の90年放送の正月時代劇。仲代達矢さんが、気迫に満ちた演技で主人公の荒木又右衛門を演じた。幕府と大名の確執で義弟を殺された又右衛門が、復讐の剣をふるう。

 『信長 KING OF ZIPANGU』で2年後に再びご一緒する脚本・田向正健先生、演出・重光亨彦さんのタッグの作品です。僕はこの中で、河合又五郎役を演じました。日本三大仇討ちとも言われる、鍵屋の辻の決闘を描いたストーリーもおもしろいですが、ワンシーンワンシーン演出も撮影も丁寧に積み重ねられたすばらしいドラマでした。殺陣なども初めてで、刀を持たせてもらって、この現場で初めていろいろと教えていただきましたね。また、僕とちょうど同い年の保阪尚希さん(当時・尚輝)が渡辺数馬役で、すごく輝いて見えて。彼は僕より先に芸能界で活躍していたので、そういう意味でも背中が眩しく見えたのだと思います。今でも、もう一度演じてみたいと感じるほど大好きなドラマです。

銀河テレビ小説 『新橋烏森口青春篇』

銀河テレビ小説 『新橋烏森口青春篇』

小説家・椎名誠の原作をもとに、昭和40年代の新橋烏森口を舞台に展開する青春ドラマ。業界新聞の駆け出し記者である“シーナ君”こと椎名誠役を21歳の緒形さんがさわやかに演じた。

NHKでは、現代劇も思い出深いものが多いです。この作品もその一つ。僕は1988年に公開された映画『優駿 ORACION』デビューしたのですが、もともと俳優志望ではなく大道具とか現場のスタッフ志望。デビューしたのはいいものの、自分としては俳優として未熟だという思いで、少しでも何かを学ぼうと一生懸命でした。そんな中、同じ88年にテレビドラマ初出演となったのがこの作品です。映画と違って、ドラマの現場はマルチカメラ。カメラが何台もあり、どれが自分を映しているのかわからなかったりした記憶が(笑)。伊東四朗さんやコロンビア・ライトさん、イッセー尾形さんらと共演させていただきましたが、僕は自分のシーンがなくても、皆さんの演技をソデで拝見したりね。芝居をもっとよくしたい、そんな思いで必死にもがき、歩んでいたころの自分を思い出します。

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