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林与一 林与一

林与一俳優はやしよいち

大河ドラマ 『赤穂浪士』

大河ドラマ 『赤穂浪士』

 豪華な出演者の中に入って、23歳の僕が生意気に演じさせていただいたことを思うと今はゾッとします(笑)。でも当時の僕は、主演の長谷川(一夫)の付き人だったので、こんな豪華な方たちを前にしても誰ひとり怖い人がいませんでした。長谷川以外は、ですが(笑)。この頃から淡島(千景)さんのことも「お姉ちゃん」と呼んでいましたし、滝沢修さんや宇野重吉さんとも親しくさせていただいていました。今思うとこの当時から34~35歳までずっと生意気でした。というのも、長谷川がすごく自信を持たせてくれたからです。「お前のほうが二枚目だ。自信を持て。傲慢は人に迷惑をかけるけど、自信は大きく持っていい」と。そのおかげで生意気になったわけですが(笑)。さらに『赤穂浪士』で人気が出て、芸能人全員を敵にまわしたと言われていました。長谷川にも「俺も敵にまわしたな」と言われましたね(笑)。あの長谷川一夫に「敵」として見てもらえたこと、あの言葉はいまだに自分の中の勲章です。

大石内蔵助役の長谷川一夫さん

  • お仙役 淡島千景さん
  • 蜘蛛の陣十郎役 宇野重吉さん

 長谷川と同じシーンはおそらく2シーンくらいしかなかったと思います。けれど僕は付き人だったので、長谷川のシーンはほとんど一緒にいました。忘れもしないのが新宿で討ち入りのシーンを撮ったことですね。撮影が8月だったのですごく暑く、雪を石灰と塩で作っていたので喉が痛くなり大変でした。いつも長谷川に夕食を持っていっていたのですが、討ち入りのシーンは夜中に撮影だったので、長谷川にみんなの夜食用におむすびを持ってこいと言われたんです。それで運転手さんと一緒にすごい量のおむすびを両手に抱えて届けた覚えがあります。長谷川はスタッフの方が一つでも何かを食べてから、自分も食べるようにしていました。それが礼儀だからと言っていましたね。スタジオに入るときは必ず一礼するなど、仕事に入る前と仕事中、普段の礼儀にいたるまで、いろいろなことを教わりました。撮影した一年間で10年分くらい成長できたと思います。

 僕が『赤穂浪士』の台本をいただいた後、夢の中に僕の演じる堀田隼人が出てきたんです。演じる前なので何の役作りもしていませんでしたが、無表情で何も動揺しない人物として出てきたので、こういう人物像というは面白いと思いました。そのことを演出の井上博さんとプロデューサー、大佛次郎先生と脚本家の村上元三先生に伝えたんです。「夢の中の堀田は、人を斬っても表情を変えず、笑いもしません。僕もこれだけのメンバーがいる中で堀田を演じるのなら何もしたくありません」と。それなら一度やってみようということになり、カメラリハーサルで無表情の堀田を演じてみたら、皆さんが「よし、それでいこう」と言ってくださって。僕は実際、長谷川の付き人がとにかく大変で疲れていたんですよね(笑)。その疲れ果てた雰囲気がそのまま堀田という役柄に合っていたのでしょう(笑)。

“ニヒルな浪人”を演じ、一躍人気俳優に

長谷川は演技については何も言いませんでした。あの方は自分の芝居が上手いとは思っていなかった。「俺はヘタだし声が悪いから」とよく言っていました。だからこそいかに自分がどうカメラに映れば役が良く見えるのかということを大事にしていました。スタジオのカメラの下にライトを付けて自分を撮らせたのは長谷川が初めてではないでしょうか。目に入れるキャッチライトや、扇を広げて顔の下に当て、レフ版のように使って綺麗に見せる。カメラへの顔の位置、視線や目の動かし方というのはすごく勉強になりました。堀田が屋根裏から部屋を見下ろすシーンがあったのですが、部屋の灯りが漏れて壁に一筋の光が映るというカットを撮りたくて、カメラマンさんと試行錯誤していたんです。すると長谷川が来て、「なにやってるんだ」と言ってチョークで壁に白く筋を書いたんです。それだけで灯りの漏れに見えたので驚きましたね。カメラマンも「恐れ入りました」と(笑)。長谷川は僕の衣装合わせのときも来て、モノクロで映ったときに見栄えがする柄や色を選んでくれました。本当にありがたいことです。

 最終回は堀田とお仙、蜘蛛の陣十郎が霧の中に消えていくのですが、長谷川の登場は放送3回くらいを残して終わっていました。長谷川に「与一くん、僕は撮影が終わっているけど、あと3本は何を撮るんだ?」と聞かれて。僕は台本を読んで知っていたのですが、まさか僕が最後まで出るとは言えないんですよ。最終回の放送を一緒に観たのですが、長谷川に「お前たちのために俺が出ていたのか」と言われて何も言えずに固まってしまいました。「『赤穂浪士』は大石が主役じゃないからな。『忠臣蔵』じゃないもんな」としばらく言われ続けましたね(笑)。僕が演じる堀田は原作だと早い段階で死んでしまいます。でもドラマが放送されると視聴者の方から「殺すな」という意見をたくさんいただいたらしく、最後まで残ることになったそうです。僕はこの作品で世の中の人に名前を知ってもらえました。“林与一”という俳優を生んでもらった大事な作品ですね。

朝の連続テレビ小説 『オードリー』

朝の連続テレビ小説 『オードリー』

京都を舞台に、ヒロイン・美月が女優、老舗旅館の女将、映画監督なるまでの生涯を描く。まだ無名の堺雅人や佐々木蔵之助が出演しており、若手俳優の出世作と言われた。林さんはモモケンの愛称で親しまれる大京のスター俳優を演じた。

 舟木一夫さんが東の御大、僕が西の御大という役柄でした。僕が出演をOKしたら舟木さんも出ると言っていたらしいです(笑)。忘れもしないですが、このとき僕は芝居で日本各地に巡業をしていたんです。その巡業の移動日を全部『オードリー』の撮影のため京都に行っていました。大変でしたが、僕が行った日はすべて晴れだったのでラッキーでしたね。役としては昔の大スターを演じるということで、ドラマの中でどんな役の扮装をしたいのかを聞かれました。「鞍馬天狗がやりたい」と言ったらその役の恰好をさせてもらえ、やりたい役を全部させていただいたのでとても楽しかったです。

  • 西の大スター 桃山剣之介(林与一さん)
  • 東の大スター 栗部金太郎(舟木一夫さん)

朝の連続テレビ小説 『あさが来た』

朝の連続テレビ小説 『あさが来た』

幕末から大正にかけて、銀行や生命保険会社、女子大学を女性で初めて作ったヒロイン・白岡あさを波瑠が瑞々しく演じた。話数が進むにつれてその年代にあった演技を見せたことでも話題に。林さんはあさの才能をいち早く見抜いた祖父・忠政を演じた。

 僕が演じた忠政は、僕の祖父、(二代目)林又一郎とそっくりの役でした。祖父は「自分のやりたいことをやれよ」といつも言ってくれていましたから。だから役作りは何も考えずに、祖父を思い浮かべながら演じましたね。祖父は忠政と最初から最後まで同じでした。あさの育て方も言っていることもすべて一緒なので、ゾクッときましたね。絶対に祖父がこの役を持ってきてくれたと思ったので、収録前は必ずお墓参りに行き、いつもワクワクして撮影に臨んでいました。ただ、幼少の頃のあさと一緒に木の上に座っているシーンだけは怖かったですね。あさ役の鈴木梨央ちゃんと二人で「怖いね」と言って頑張りましたが、着物が滑ってずり落ちそうになり、2回くらいセリフが飛んでNGを出しました(笑)。

 忠政については、演出家の西谷さんが自由に演じさせてくださいました。忠政が幽霊で出てくるときに、「あさと忠政は碁石で繋がっているから碁石を持って出たい。碁石は1カット映ったときにだけ持っていて、次のシーンには碁石はもうなくて、手を下ろしているカットにしたいんです」と話したら「それでいきましょう」と。頭に三角の布をつけて、白装束を着ることも僕から言い出したことなんですよ(笑)。

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