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星野利晴 星野利晴

星野利晴俳優ほしのとしはる

少年ドラマシリーズ 『幕末未来人』

少年ドラマシリーズ 『幕末未来人』

 『幕末未来人』は、僕が高校2年生のときに出演した作品です。お話をいただいたときは率直に、おもしろそう、ワクワクするという気持ちが大きかったですね。少年ドラマシリーズではこの作品の前に『なぞの転校生』に出演していて、そのときのプロデューサーの方が「前は宇宙人で頭が良くてスポーツ万能の役だったから、今度はまぬけでドジな真逆の役をやらないか」と声をかけてくださいました。『なぞの転校生』では宇宙人の役でしたし、いろいろな経験を積んで相当鍛えられていたので、本作で演じた和田については、難しいと感じたことはありませんでした。なんといっても普通の人間の役でしたからね(笑)。

 撮影は伊藤役の沢村正一さんといつも一緒で、沢村くんのことを僕は「正ちゃん」と呼んでいました。役柄的にはどちらかというと私がまぬけな役で、正ちゃんがかっこいい役でしたが、正ちゃんは当時からおもしろかったですね。たとえば、おたかさんが撃たれるシーンは、みんなで「おたかさん!」と涙ながらに言うシリアスなシーンだったんです。正ちゃんはそこで刀を抜いて竹を斬らなければいけないのに、刀がなかなか抜けなくてNGを出して笑いを誘ったり、殺陣の最後に短刀で相手を刺すシーンでは、途中で短刀がどこかに飛んでいってしまい、「あ! 短刀がありません!」とあわてて言ったり(笑)。正ちゃんのおかげで現場がすごく和みました。

  • 伊藤役 沢村正一さん
  • おたか役 万里昌代さん

凶弾に倒れるおたか

 一番大変だったことは、最終話で和田が昭和に戻ってくるときに、海の中から上がってくるシーンです。逗子マリーナのヨットハーバーの一角で撮影をしたのですが、その場所には大きな排水溝があって、汚れた水が流れてくるので、海がすごく汚いんです。でもなぜかカメラに映る海はきれいに見えるんですよね(笑)。僕はその汚い水の中で制服姿でかばんを下げて、靴も履いて、5秒前くらいからもぐって、アップアップしながら溺れるんです。ところが水中でスタンバイしている間に少しずつ流されてしまい、上がってきたときには固定しているカメラの場所からずれてしまい、何度もNGを出してしまいました。この日は海水を飲みすぎて気持ち悪くなり、食事はジュースを飲むのが精一杯。なのにスタッフはお構いなしにランチステーキを食べていたんですよ(笑)。

  • 昭和の海に戻った和田

 撮影で怖かったこともあります。それは昭和に戻る前、ピストルに撃たれて崖からのけぞって落ちるシーンです。最初に「スタントでやるか」と聞かれたのですが、スタントを使うと、遠くからカメラで映さないといけなくなり、本当に撮りたい画が撮れないのでは?と思ったんです。僕としてはそれは嫌だったので、崖の下に分厚いマットを敷いて自分で落ちることにしました。でも少し高所恐怖症気味だったので、本当は怖かった(笑)。何度も落ちる稽古をしてから臨んだ本番は、一発OKが出ました。あれはうれしかったですね。

 当時、大人気のクレイジーキャッツさんのことが僕も大好きだったので、仙吉役の犬塚弘さんのお部屋にはよく遊びに行っていました。僕と正ちゃんがそばを食べるシーンでは、犬塚さんが本番始まる直前まで笑わすんです。真面目なシーンなので、5秒前からなんとか気持ちを切り変えようとしたのですが、結局2人とも笑いが残ってしまって、ディレクターさんにすごく怒られました。それでも犬塚さんが笑わせ続けるので、これはもう耐えないといけないんだなと(笑)。

  • そば屋のシーン
  • 笑いをこらえて演じる

仙吉役 犬塚弘さん

 蟹江敬三さんとのシーンも印象的でした。蟹江さんに刀をつきつけられて、掛け合いで長セリフを言うシーンがあったのですが、今思うとよく蟹江さん相手にひるまずできたなと自画自賛したいくらいです(笑)。一度、蟹江さんとご一緒するシーンで早めに行ってスタンバイしようと思っていたら、小さく声が聞こえてきたので、なにかと思って横を見ると、すでに蟹江さんがスタンバイされていて驚いたことがあります。当然セリフの練習かと思って聴いてみると、ピンクレディーの「S・O・S」を歌っていらしたんです。本当に小さい声で歌っていたので、おもしろいなぁと思うと同時に、ああ、こうやって芝居の前にリラックスしているんだなと勉強になりました。

 僕にとって、少年ドラマシリーズの『なぞの転校生』と『幕末未来人』は人生で外せない作品であり、今だに僕のバイブルです。『なぞの転校生』で鍛えられ、『幕末未来人』で時代劇から現代劇、英語に歌、アクション、ナレーションまであらゆる体験をし、今の私の基本が創られたと思います。 ふたつの作品のスタッフの方々に心から感謝しています。

  • 浪士・樫岡役 蟹江敬三さん

少年ドラマシリーズ 『なぞの転校生』

少年ドラマシリーズ 『なぞの転校生』

 SF作家・眉村卓のジュブナイル小説のひとつで、中学生向けに書かれた物語であるにも関わらず、核戦争や放射能、宇宙などの深いテーマが描かれ人気となった。星野さんは、主人公の中学生・岩田広一が住む団地の隣部屋に引っ越してきたなぞの少年・山沢典夫を演じた。

 僕は以前、児童劇団に入っていて、NHKの道徳のドラマに出演していたんです。そこでほんの3カットくらいの短いシーンを演じているところを『なぞの転校生』のプロデューサーの方が見てくださって、僕をオーディションに呼んでくださいました。二次三次とオーディションに通ったのですが、最終的に「お前、変な顔しているから宇宙人やれ」と言われたことを覚えています(笑)。

 今から1年ほど前に少年ドラマシリーズのイベントに出演させていただいたのですが、岩田役の高野(浩幸)くんとみどり役の伊豆田依子さんに当時のオーディションの話をしたら、2人とも「え?」という顔をして、「オーディション受けてないよ」と言ってきたんです(笑)。実はあのとき、僕だけがオーディションを受けていたらしいんですよね。そのことを1年前に初めて知りました(笑)。

 大谷先生役の岡田可愛さんとは最後のシーンで握手をしたのですが、このテイクでOKが出るともう岡田さんと握手できないのかと思い、わざとNGを出したことがあります(笑)。当時、『サインはV』の放送も終わっていて、岡田さんは人気がありましたし、本当にお人形さんみたいで、こんなにきれいな人が世の中にいるのかと思うくらいすてきな方でした。

  • 謎の転校生・山沢を演じる
  • 岩田役 高野浩幸さん
  • 大谷先生役 岡田可愛さん
  • みどり役 伊豆田依子さん

 ドラマの前半はとにかく無表情で、セリフもへんに抑揚をつけてはいけなかった。それで抑揚をつけないで読むと「棒読みだ」と言われ、少し抑揚つけると「抑揚つけるな」と言われたので、すごく考えながら演じました。そのかわりOKをもらえるとすごくうれしかったですし、芝居についてものすごく鍛えられました。顔の表情がない演技についても「ぼうっとしていることじゃないよ」と言われたり、歩き方ひとつにしても、ゆっくり歩くのも駄目だし、ロボットのようにしても駄目。お手本にするものがなにもないので、監督のイメージに近づけることがすごく大変でした。

『なぞの転校生』最終回の1シーン

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