一覧に戻る

50音から探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行
渡辺謙 渡辺謙

渡辺謙俳優わたなべけん

1959年生まれ、新潟県出身。演劇集団「円」の研究生時に受けたオーディションで蜷川幸雄演出の舞台『下谷万年町物語』の主演の座を射止めた。映画『ラストサムライ』『明日の記憶』『硫黄島からの手紙』『沈まぬ太陽』『インセプション』『GODZILLA ゴジラ』『怒り』、舞台『王様と私』など、国内外で活躍。大河ドラマ『独眼竜政宗』『炎立つ』では主演を務めた。『西郷どん』では薩摩藩11代藩主島津斉彬を演じる。

ドラマ 壬生の恋歌(1983)

畑中三郎役

ドラマ 壬生の恋歌

インタビュー

 この作品がほぼテレビデビューでしたから、まったく無知なころで、ひどいものでした(笑)。ただ、刀も差したことがなければ着物もきちんと着られない、礼儀作法もなっていない、そんな百姓の小せがれたちの話だったので役柄とマッチしていたところもあって、勢いみたいなものだけでやっていました。

山田(内藤剛志)、畑中(渡辺謙)らは武士に憧れ新選組の扉をたたく

 今もよく覚えているのは、僕が演じた畑中が斬首される前に命乞いをするというシーン。両手を後ろ手に縛られた状態で膝立ちになって、副長の土方歳三(夏八木勲)と伊東甲子太郎(竜崎勝)に「殺さないでくれ」と向かっていくんです。まだ芝居の強弱など加減がわからないころだったので、稽古の時から本気でダーッと向かっていったら思い切り顔から突っ込んでしまったんです。スタジオのコンクリートの床には砂がまいてあったので、顔をずりーっと擦りむいてしまいました(笑)。仕方ないので本番にはメークさんに傷を隠してもらって臨んだんです。

遊女殺害の罪に問われた畑中は土方(夏八木勲)らに潔白を訴えるが…

 そのシーンが終わったとき、夏八木さんが「いや、久々に元気のいい芝居を見ることができた。これからも頑張れよ」と声をかけてくださったんです。夏八木さんとはその後、何本も仕事でご一緒させていただきましたが、卵からかえったところを見ていただいたような気がしてすごく印象に残っています。

大河ドラマ 独眼竜政宗(1987)

伊達政宗役

大河ドラマ 独眼竜政宗

インタビュー

 時代劇の基礎中の基礎を全部たたき込まれたのが『独眼竜政宗』でした。歩き方、立ち居振る舞い、鎧の着方、キャラクターによって異なる刀の差し方など、あらゆるベースを教えていただきました。もちろん他の現場でも学ぶことはありますが、大河ドラマほど時間をかけて実践を学べる場所はほかにない。本当に良いチャンスに恵まれたと思いますし、その伝統はこれからも続いてほしいですね。

 共演者で鮮烈な思い出が残るのは秀吉を演じられた勝新太郎さんです。政宗が一揆を扇動したのではないかと秀吉から疑われるというエピソードを描いた回がありました。秀吉の手には政宗が書いたとされる密書があり、それに対して花押のセキレイの目の部分に針の穴が開いているのが本物。もし開いていないなら偽物だと申し開きをするというシーン。台本上では穴は開いていないということで秀吉が「許す」と書かれていました。ところが勝さんは「開いているかいないか、それは俺と政宗しか知らないことにしよう」と言って、実際、お客様にはどちらなのかわからないような芝居をしたんです。その時の緊迫感はすごかった。本当にいつ首をはねられるかわからない、もうダメかも知れない。そんなすさまじい緊張状態の中で芝居を続けていました。そうした状態を引っ張り続けるエネルギーが勝さんには満ちあふれていたんで1す。この回だけでなく、「よしよし」なんて空気は絶対に出しませんでした。常に緊張感を強いられている感覚がありましたが、それは今の現場でも生かすことができるのではないかと思っていますね。

豊臣秀吉(勝新太郎)
若き政宗にとって天下人・秀吉は大きな壁

大河ドラマ 北条時宗(2012)

北条時頼役

大河ドラマ 北条時宗

インタビュー

 北条時宗の父で鎌倉幕府五代執権・時頼を演じたのですが、確固とした政権を築くためにかなり強引なことをしてきた人物です。初回から第11回までの登場でしたが、その間で時宗に自分の人生をどれだけ叩き込めるのか。スパルタ教育でガンガンやった父親で、毒を盛られた臨終の床でも呪いのような遺言を時宗に残していました。

勇壮な流鏑馬(やぶさめ)を披露する時頼

 ドラマの舞台は鎌倉時代後期、白黒がはっきりしている時代ではないので、やりがいはあったけれど難しかったですね。ただ、北条ファミリーという一般にはなじみのうすい世界を描いていたこと、時頼は出家後もあまり僧の格好をしなかったという資料などがあったことから、衣装やメーク、小道具などは冒険しました。最後まで強烈な印象を植え付けて去っていくことが出来たと思います。

土曜ドラマスペシャル 負けて勝つ
~戦後を創った男・吉田茂~(2012)

吉田茂役

土曜ドラマスペシャル 負けて勝つ~戦後を創った男・吉田茂~

インタビュー

 この役のお話をいただいて興味を抱いたのは、政治家・吉田茂という大きな存在ではなく、吉田茂という一人の人物が抱えている悩みや家族の物語でした。坂元裕二さんの台本に書かれていたのは、非常に複雑な家庭環境で内縁の妻や息子、娘といった近親者に関する話で、それがとても厚みのある作品になっていたんです。総理大臣までつとめた政治家が、ある意味不揃いな家族に悩む姿など、そのギャップ感が非常に面白いし、そこにこそ人間・吉田茂の生きざまみたいなものがあるような気がして、演じていても楽しかったですね。

“戦争では負けたが、外交で勝つ”吉田はアメリカと渡り合う

 ただ、吉田茂という方はそれほど体が大きくなかったので、常に下から上を見上げていた。その目線というのが彼の思考回路に繋がるものなんです。だけど僕は体が大きいので、なかなかそういう思考回路にならない。いくら身を縮めて演じたところで無理だと思い、その部分はあきらめました。いいなと思ったところは、吉田茂が家に帰るとものすごい亭主関白だったこと。「ああ」とか「うー」と言うだけでいい。亭主関白という言葉を超えたようなところがあって、そこには憧れました(笑)。

小りん(松雪泰子)は妻に先立たれた吉田を陰ながら支える

 このドラマは昭和20年代の物語ですが、現代とは精神世界がまったく違うので、時代劇だと思っています。感覚としては幕末に近いかも知れません。日本人のものの考え方はバブルのころを境に大きく変化してしまったので、それ以前を描くときはある種のフィルターをかけないと無理なんです。国に対する思いや、夫婦観、親子観なども現代とは異なっていますからね。また、そのフィルターをかけたことをどうお客様に届けるのか。そこにまたギャップと面白さ、難しさがありましたね。

大河ドラマ 西郷どん(2018)

島津斉彬役

大河ドラマ 西郷どん

インタビュー

 これまで描かれてきた島津斉彬の人物像は、いろいろなことをスポンジのように受け止める温かくふくよかなイメージが大きかったように思います。だけど僕はこの方の生きざまを見ていると何か生き急いでいる気がしてなりませんでした。そこで脚本の中園(ミホ)さんとも事前にお話をしてエッジを効かせて演じることにしました。

 西郷に対しても、彼をお庭方にした後もなかなか距離は縮めません。上下の距離感を大事にしているからです。その一方、西郷が持っている直球勝負、ストレートに物を考え行動するところは近いと感じています。もちろん斉彬と西郷では抱えているものの大きさが違いますが、事業、農政など良い物はすぐやる。失敗してもそれを糧にどんどん先へ進めていく、その発想の距離感は近いものがあります。

斉彬は御前相撲で優勝した西郷吉之助(鈴木亮平)に勝負を申し込む

 斉彬は江戸で生まれて江戸で育った藩主ですから、薩摩では行き届かないところもあるけれど、それを西郷が埋めてくれるんだろうなと。西郷のデリケートな部分、情報収集する力は信じていたと思います。斉彬が先を走り、西郷がどんどん追いついてくる。そして、斉彬に触発されて次の世代に向かう。その根源的なエネルギーを渡したいと思っています。

その他の出演番組を見る ※類似の氏名が検索される場合があります。
一覧から探す