string(17) "QS responseなし" Cache-Control: max-age=600 Access-control-allow-origin: * Content-Type: text/html; charset=UTF-8 Last-Modified: Sun, 25 Sep 2022 00:00:00 GMT 池波志乃 | NHK人物録 | NHKアーカイブス

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池波志乃 池波志乃

池波志乃女優いけなみしの

1955年、東京都生まれ。五代目古今亭志ん生を祖父に、馬生を父に噺家一家で育ち、15歳で入った俳優小劇場の解散後、新国劇へ。連続テレビ小説『鳩子の海』や大河ドラマ『風と雲と虹と』、TBS系ドラマ『時間ですよ 昭和元年』などでの変幻自在の演技が注目されて出演依頼が殺到。90年代後半以降は演技から距離を置くが、2019年、大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺~』で自身の祖母で志ん生の妻・おりんを演じ、復帰した。

連続テレビ小説 鳩子の海(1974)

初音役

連続テレビ小説 鳩子の海

インタビュー

 俳優座から分かれた劇団俳優小劇場に15歳で聴講生として入り、翌年研究生になったんですが、劇団が解散したため団員になることはないまま、新国劇に入りました。舞台に通行人で出たりしながら、女優さんの付き人としてNHKにも出入りしていました。付き人は普段から着物を着ててきぱきと動くように言われていたんですが、大河ドラマの『国盗り物語』の収録の時は、目立つように中割れっていう、日本髪だけど真ん中が分かれていて男役をやる時の髪型を髪結いさんで結ってもらったんですよ。しかも、ちゃんとたすき掛けてキュッとした格好してね。そんな出演者みたいな格好して、てきぱきと動いていたら目立ちますよね(笑)。うちの先生に「お宅の劇団の子?」って聞いてきたNHKの人から「来年の大河で探している役がある。個人的に受けてみるかい」って言われて、何人かのプロデューサーがいる所に行って本を読まされて帰ってきました。そしたら劇団のマネージャーから「来年の朝ドラの『鳩子の海』で初音という役に決まったから」って言われてびっくりしました。それで、劇団では付き人もやりながら、『鳩子の海』にも出るという日々が始まりました。

戦災孤児・鳩子の放浪の軌跡を描いた連続テレビ小説第14作『鳩子の海』

 初音は夏八木勲さんの演じた兵隊さんと恋仲になるんです。ぼやかしていましたが、従軍慰安婦なんですよね。廓(くるわ=遊郭)の従軍慰安婦ではありましたけど、ずっと廓で働いていたわけではないんですね。普通、慰安婦っていうだけで、はすっぱな感じに演じるんですけど、私もいろいろと調べて、決してそうじゃない人もいるはずだって思い、もしはすっぱなら夏八木さんの兵隊さんもこういうふうにならないと考えて、わざとはすっぱに見えないようにきちっとやったんですよ。いやいやだけど、国のために一生懸命やっている女として演じました。そうしたら、結構匿名の手紙が届いたんです。「私は実はあなたと同じ立場だった」という方から。「いままでそういう慰安婦の役の演技を見ると、水商売上がりだったっていう固定観念の芝居をされてとっても悲しかった」と。「勝手に堕ちていった女みたいな描き方、芝居をされるのがとっても嫌で、それをあなたがああいうふうにきちっとやってくれて、本当に救われた思いです」と書かれていたんです。それに類似した手紙がいっぱい来て本当にびっくりしました。すごく考えさせられましたね。芝居はパターンに捕らわれてやっちゃいけないんだなってつくづく思いました。

昭和20年8月 脱走兵の天兵(夏八木勲)は幼なじみの初音と再会する

 私の初音の演技によって、視聴者だけでなく作家さんや(業界の)うるさ方の方たちも「あれは誰?」ということになったみたいですね。ちょうど洋物っぽいちょっとやせててぱちっとした演技がはやり始めていたころで、昔の日本人の風情を持ったままそんなふうに出てきた珍しい人だから絶対に変なふうにならないようにって言われましたけど、なんだか褒められているのかけなされているのか分からないですけどね(笑)。

広島で天兵が助けた少女・鳩子(斉藤こず恵)は原爆投下のショックで記憶を失っていた
初音は本土決戦の日まで3人で逃げようと提案するが…

大河ドラマ 風と雲と虹と(1976)

小米役

大河ドラマ 風と雲と虹と

インタビュー

 ここでは、八幡大菩薩が憑依して、加藤剛さんが演じる平将門に帝になるよう命ずる巫女の役でしたね。いきなり加藤さんに食って掛かる役だったなっていうのを思い出しました(笑)。いきなり神懸かりになって、少ない言葉で(八幡大菩薩のお言葉を)言わなきゃいけない。目ヂカラを強くしてぐっと訴えなきゃ終わっちゃう。そんな演技でしたが、つくづく舞台をやっていてよかったなと思った記憶があります。当時はワイヤレスマイクなんてつけてないから、舞台ってああいうせりふを言わないと(客席に)届かないんです。だから神懸かりになる演技は楽だった気がします。とてもやりにくい役だと今は思うんですけど、当時はこういう役で良かったと思っていましたね。やるべき役のやるべきことがはっきりしていて、悩まないでできるって思ったことを覚えています。

将門の戦勝祝いの宴の最中、小米に異変が起こる

 そのシーンは将門が上野国(こうずけのくに=現在の群馬県付近)の国府を攻め滅ぼした時の祝宴で、坂東(関東地方)での勢力を拡大していた将門が不本意にも朝廷に反旗を翻すかたちになってしまうタイミング。確かに今思えば、ここは1年間の大河の中で、「将門の乱」につながるきっかけになるすごい重要なシーンです。でも、(私がやってきた)舞台では役の捉え方がこちょこちょしていなくて、ちゃんと張るべきところを張らなくてはいけないし、いろんな要素を煮詰めたようなことをやるっていう技術的なものが板の上(舞台での演劇)ってある。だから重要な役だっていう認識はあっても、自分にとってやりにくい役ではなかったんですよ。

 NHKの朝ドラでは、朝ドラで初めてテレビに出て主演をやる子たちに(演出家、俳優、声優で劇団俳小や早野演劇研究所の主宰を務めた)早野寿郎さんが最初の演技指導をされていたんですよ。早野さんだから、ギリシャ神話とかが教材だったので、「もっとぐわーっと(やれっ)。そんなもじゃもじゃしかセリフ言えないんだったら、やめちまえ」みたいなことを言われるんですね。(私も)そんな指導を散々受けてきましたのでね(笑)。

平将門(加藤剛)に〝帝になれ〟という小米 八幡大菩薩の神託なのか…?!

大河ドラマ 獅子の時代(1980)

松本ムツ役

大河ドラマ 獅子の時代

インタビュー

 私は丹波哲郎さんの演じる侠客の女房の役なんですけど、丹波さんはお芝居以外のところで、ずーっとしゃべっていました(笑)。あの世の話とか、地続きのお話。芝居は泥臭い話なんですが、そんな気分にならせてくれないんですよ(笑)。ちょっとこれも試練だなって思った記憶がありますね。

 侠客の女房って言ってもね、当時は民放も含めて時代劇の一回だけのゲスト主役みたいなのをたくさんやって、例えばやくざやとび職のおかみさんとか娘とかいろんな役をやっていました。(所属していた)新国劇でもやくざの話ばっかりですからね。だからこんな感じというのはあったんですけど、時代劇だとたいてい侠客ってかっこよく描いちゃうじゃないですか。そのおかみさんも、こんなにはすっぱにやっていいもんかって思うぐらいやる。まあもうパターンになっていましたからね。

秩父の農家に生まれ育ったムツは松吉親分(丹波哲郎)の妻

 だけど、このドラマではNHKの方とも一緒に考えて、リアルだとこんな感じだろうという演じ方をしました。田舎のリアルな農民の話で秩父の出の侠客は、いい女はどっかで外で調達してきて、おかみさんはよく働くけどきれいにしているわけでもないだろうと。だから顔なんか真っ黒に汚い色だけ塗って、何にもメイクしてません。「侠客の女房」だからどういうイメージっていうのは抱かないようにしました。(先入観やパターンに基づいて)つくっちゃいけないって思っていましたから。『鳩子の海』での演技のおかげですよ。この人どういう出で、どういう育ち方して、どういう状態で今この侠客の女房になっているんだろうということを考えたんですよね。きっと旦那も、かっこいい女房じゃなくて山出しのまんまだからおかみさんとして置いていたんだと思いますね。あのころの男はそう考える。そういうふうに役をつくっていきました。

会津藩の武士・銑次(菅原文太)が松吉を訪ねてくる

ドラマ人間模様 あ・うん(1980)

三田村禮子役

ドラマ人間模様 あ・うん

インタビュー

 『あ・うん』は向田邦子さんの本(台本)ですから、しっかりしていましたね。私が出演したTBS系の『時間ですよ 昭和元年』や『寺内貫太郎一家』も向田さんでしたから。とても読み込みやすかったです。よくできた話です。門倉修造(杉浦直樹)と君子(岸田今日子)夫妻に子どもが出来なくって、修造がよそで作って。ミルクホールの女給・三田村禮子役の私の所に修造の親友が「別れてくれ」と言いに来てお金を差し出すんです。これもなんか分かりやすい役ですよね。今だったら大騒ぎ、訴えてやる、でしょうけど(笑)。それこそやってくれたらやってくれたことに感謝してそれをのまなきゃいけないっていうみたいな時代だったなっていう。まあ、ひとつの女の生き方だと思います。

修造(杉浦直樹)と仙吉(フランキー堺)は大の親友
修造の愛人・禮子も親しく仙吉の家を訪ねるようになる

 これが本当の現代劇だったら、感情の持って行き方が違うんですよね。でもこれはこの時代だからっていうことを一生懸命に頭に入れないといけません。こういう商売やっていて、こういうダンナさん(面倒を見てくれる援助者)がいて、その結果妊娠させられてっていうお話。現代劇の感覚でこの立場っていったらちょっと芝居が変わっちゃう。それを考えないようにして、自分じゃないって。こういう時代に育ってきたミルクホールの女給を現代の喫茶店やキャバクラの女性に置き換えて考えるとだめだなと。時代背景を考えないといけません。台本には書いていませんけど、たぶんそんなに遠くない田舎から出てきて、でも自分から出てきたというよりも売られるに等しいぐらいの出稼ぎ状態から始まっているのかなとか。それで今があるのかなと想像しました。お金をもらったら、ここでおしまい。認知させようとしていたことは全部おしまい。捨てられるわけですよ。そうしないとどうにもならないという時代背景を追わないとだめだなと思って演じましたね。自分や現代に惹きつけることってやっちゃいけないケースもあると思います。背景を調べる(考える)のは大事だなと感じました。

 それにやはり向田脚本への信頼がベースにありますよね。向田さんはとっても細かいところを埋めていますし、「この食器この時代にないでしょ」とか言われることもあったし、そういうところをものすごく大事にされる先生だったから。調べておかしいことは絶対に言わせてないなと感じていました。

禮子が来ているときに限って修造の妻・君子も訪ねてきて…
禮子は仙吉夫妻の一人娘・さと子(岸本加世子)の部屋に隠れる

大河ドラマ いだてん 〜東京オリムピック噺〜(2019)

おりん役

大河ドラマ いだてん 〜東京オリムピック噺〜

インタビュー

 最初に出演のお話をいただいた時には「おじいちゃん(志ん生)の話をやっていただきありがとうございます、何でも協力します」という思いでしたが、10年以上も演技の方はやめていましたからお断りしました。バラエティー番組に出ていたのは中尾彬の奥さんとして。だからお断りしてそのまま帰っちゃったんです(笑)。そしたら、帰ってから中尾に「お前ばかか、自分でやった役を他人にやられて嫌じゃないの」って言われまして。これまでNHKが志ん生を採り上げた番組内のドラマで一度、フジテレビ系の「おりんさん」という祖母が主役の昼ドラマで一度。あわせて二度、祖母を演じているんです。だから中尾はそんなふうに。それで、宮藤官九郎さんの台本を読んでみたら、面白くてね。やらないわけにはいかないと思うようになりました。断った後から「やる」って答えたんです(笑)。

 収録ではみんな張り切って本気でやっています。でも本気でやらないと追いつかない。この本、軽そうに見えて、演じるのはめちゃくちゃ難しいです。時代は飛ぶは、架空は入るは、ちゃんとした歴史的なものも踏襲しているし。時代の飛び方もすごい。コメディーに持ってったり、シリアスにやったり…。だから(役者が)みんな真剣にやらないと伝わらないと思う。おもしろがって真剣にやってますよ。でもそんな中で私の役と小泉今日子さんが演じる長女の美津子の役はちょっと違って、自分の役割をきちんと果たして、周りに引きずられないようにやらないといけない役。みんながわーっとやっているからって一緒になってやっちゃうと、全部がいっしょになる。だから一番普通でいようとしています。私の家族や家庭を描くこのドラマは私にとって日常なんです。だから普通を心掛けていますね。

昭和35年 古今亭志ん生(ビートたけし)は東京の落語家を代表する大名人
風変わりな弟子・五りん(神木隆之介)がやってくる
おりんは弟子をとることに反対するが…

 私は貧乏で生活が大変だった時期を超えちゃったおばあちゃんも知っています。若いころの大変だった時期の志ん生夫婦は夏帆ちゃんと森山未來さんがやってくれていますけど、腰巻ひとつで裁縫して「父ちゃん!」ってやっていた時代を乗り越えてきた後のおばあちゃんは、あんなことを乗り越えてきたとは思えないぐらいに普通っぽかった。昔は貧乏だったからできなかったけど、落ち着いてからはやたらと祝儀を切ったりするところも、昔はそうしたかったけどできなかったことの反動なんでしょうかね。

若き日のりん(夏帆)は志ん生(森山未來)の才能を信じ、内職で極貧生活を支える

 志ん生は倒れた後、病気を癒して高座に復帰して安泰になった時に東京オリンピックが来ているんですが、その後おばあちゃんが倒れ、最終的にはおばあちゃんが先に亡くなりました。おじいちゃんは怖がって亡骸(なきがら)を見ないんです。「顔見てやんなよ」って言っても怒っちゃう。自分がずっと悪いことしてきて、もっといたわってやりゃあ良かったって思って顔を見られなかったんだろうと思いますね。

志ん生は脳出血で倒れ、昏睡状態に…

 このドラマには古今亭一門の古今亭菊之丞さんが落語監修と江戸ことば指導で入っているんですが、現場で相談した上で時々、「これはおかしいです」みたいなことをNHKのスタッフに言うこともあります。噺家って歌舞伎俳優と違って、(落語界全体ではなく)その師匠の流儀なんですよ。だからおうちのやり方、いろんな師匠との関わり方がある。それが一派の常識なんですね。お正月の場面で、このころの芸人さんのやり方は違うと思ったから、「こういうふうにやった方が良いのでは?」って言って、実際そうしてもらったりもしました。(そういう面でも)ちょっとはお役に立てたかなと思います(笑)。

 おばあちゃんは今の私を見てどう思うでしょうね。「また、やってるの?」って言ってるかもしれませんね(笑)。「歳をとった私までやんなくていいよ」ってね。

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