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田口トモロヲ 田口トモロヲ

田口トモロヲ俳優たぐちともろを

1957年生まれ、東京都出身。78年、劇団「発見の会」参加、82年『俗物図鑑』で映画デビュー。85年、演劇集団「劇団健康」を結成。多数の映画、舞台、ドラマに出演するほか、パンク・ファンクバンド「ばちかぶり」のボーカリストとして音楽活動も行う。映画監督作品としては、2004年『アイデン&ティティ』、2015年『ピース オブ ケーク』など。NHKでは、『プロジェクトX〜挑戦者たち~』のナレーター、土曜ドラマ『外事警察』ほか。『植物男子ベランダー』では、ベランダで植物を育てることを無上の喜びとするバツイチの中年男を主演。

プロジェクトX~挑戦者たち~(2002~2005)

ナレーション

プロジェクトX~挑戦者たち~

インタビュー

 『プロジェクトX』というのは、教科書に載るような偉人ではなく、無名の日本人とそれを支えた人たちの業績を紹介する番組でした。僕も俳優として匿名性のある役柄を演じることが多かったので、この番組の内容には非常に共感を覚えました。同時に僕自身の共感を見ている方にどれだけお伝えできるのかを模索しました。そこからあのような形のナレーションが生まれたんです。

 ただ、初めからあの形だったわけではなく、最初のころはもっと原稿量も多く、ナレーションのタッチもけっこう強めでしたね。テレビは、番組を途中から見た方にもわかるようにと常に一から説明してしまうようなところがあるので、少し説明過多になってしまう。そこに僕の語りが追いつかないということもあり、現場でプロデューサーやディレクターの方たちが原稿をどんどん削っていったんです。もうすでにわかっている部分は説明しないなど、僕の語りのスピードに合わせてくださった。本当に共同作業の試行錯誤の末に『プロジェクトX』のナレーションが出来上がっていったのです。

台風被害から日本を守れ…富士山頂に気象観測レーダーを建設した男たちの物語

 ナレーションだけでなく、番組のスタイルも変化していきましたね。当初は、著名人の方がゲストで出演されたりしていた時期もありました。だけど、この番組が伝えたい芯はそこじゃない。無名だけれど偉業を達成した人たちを映すことが、この番組のハートなんだと。そこに導かれて僕のナレーションも変化していったということだと思います。

 ていねいに作られた作品はそれ自体が力を持ち、時代の人たちに訴えかけることができた。現場はかなり大変でしたが、やりがいのあるお仕事でした。こういう作品に出会えるということは、俳優だとかナレーターにとって、最高の幸せで、いま振り返っても良い作品に出会えたという思いしかないですね。

ミュージック・ポートレイト×小雪(2013)

ミュージック・ポートレイト×小雪

インタビュー

 小雪さんと人生と音楽について語り合うなんて恥ずかしいですよね。実は『ロング・グッドバイ』の宣伝だったんです(笑)。ヒロイン・上井戸亜以子を演じた小雪さんの指名と聞いたときには、銀座のナンバーワンから指名を受けたかのような幸福でした(笑)。本当に恥ずかしいけれど、それを断れる男なんていない。異色ではありますが、引き受けさせていただきました。

 僕は、小雪さんのデビュー作である映画『ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer』(1999年)で、ご一緒したのですが、その時の印象は繊細な方だなというものでした。同時に初々しい立ち姿の美しさ、素晴らしさも印象的で、いずれ第一線に立たれる方だと思いました。海外の映画『ラスト・サムライ』に出演されるなど、その後のご活躍はいうまでもないですよね。この番組でお話を聞いたとき、そこまでの足跡は作られたものではなく、ご自分の意志だったこと。ご自身の足でここまで歩いて来られた方なんだということがよくわかりました。

 僕と小雪さんとではまったく違う人生ですが、僕なりにいろいろ悩んで、少しでも接点のある音楽を選びつつ、自分の過去に嘘のないものを選んでみました。なかでも僕の人生にすごく大きな影響を与え、今も僕の核になっている一人が三上寛さんで、それがNHKで流れるというのはあまりないことなので、ちょっとおかしかったです(笑)。

土曜ドラマ ロング・グッドバイ(2014)

羽丘役

土曜ドラマ ロング・グッドバイ

インタビュー

 レイモンド・チャンドラーの小説『長いお別れ』のドラマ化といえば、僕の世代にとって忘れられないのが70年代の映画『ロング・グッドバイ』(監督:ロバート・アルトマン)でしたが、これがチャンドラーファンの間で賛否両論を巻き起こしたのです。エリオット・グールドが演じた主人公のフィリップ・マーロウは、新しい時代の空気を背負ったかのようなルーズでだらしない探偵で、そこが僕らから見るとすごくカッコ良かった。ところが、古典的なチャンドラーファンが支持していたのは、かつて『三つ数えろ』(1955年日本公開)でハンフリー・ボガートが演じたような探偵像だったので、この74年版の映画に対しては賛否の“否”が圧倒的でしたね。

 このドラマはちょうどその中間というか、古典的ムードを残しつつ、時代背景や解釈も変えて新しいフィリップ・マーロウ像にチャレンジした作品だったのではないかと思います。

編集者の羽丘が探偵の増沢(浅野忠信)をホテルに呼び出し…物語が始まる
羽丘の心配事は人気作家・上井戸とその美しい妻 亜以子(小雪)のこと

 主演の浅野忠信さんとは映画『御法度』(監督:大島渚 1999年公開)でも共演していますが、今の時代の新しい演技のボキャブラリーを開拓した一人ですよね。「無理なことをやらない」というか、よけいなものを背負い込まない。もちろん年代とともに変化はしていると思うのですが、久々に共演してみてそこは変わらない。やっぱり立ち姿がすごく素直で素敵だなと思いました。

 僕自身の役作りに関しては、まず監督がどういう世界観を作りたいかということに的を絞っていきます。あとは脚本を読んで、自分なりに想像しバックボーンを考えて、それを衣装合わせと撮影の時に、監督とすりあわせて訂正したり、強化していくというスタイルですね。

SWITCHインタビュー 達人たち×松尾スズキ(2015)

SWITCHインタビュー 達人たち×松尾スズキ

インタビュー

 僕と松尾さんとは同族思想というか、小雪さんのときのような異色の顔合わせということではなかったですね。ただ面白かったのは、最初、松尾さんがこの番組の構成を理解していなかったこと(笑)。本当は松尾さんが質問をするところから始まるのに、逆に聞かれる側だと勘違いされていたんです。だからカメラが回っても二人ともしゃべらない。「あれっ?」となってカメラが止まった時点で、松尾さんが「あ、そうだったの」と。自由ですね(笑)。

ともに俳優、映画監督として活躍する松尾スズキとの対談

 お互いに昔からの知り合いではありましたが、改めて顔をつきあわせ目を見て語り合うということはなかったので、それが恥ずかしくもあり、いまさらという思いもありました。その一方で、カメラの前だからこそ話せる、聞けることもあり、こういう機会が生まれたことはラッキーだなとも思いました。テレビカメラが介在することで、人見知り、照れ屋の二人が頑張って話したという対談になったかと思います。

 松尾演出の演劇に出演したこともありますが、そこで深いことをシリアスに話すという時間はないですから。松尾さんの演技の作り方が子ども時代の経験に基づいていたことなど、演技の秘密を聞けたことも面白かったです。

よるドラ 植物男子ベランダ−(2014~)

よるドラ 植物男子ベランダ−

インタビュー

 僕はその時々で演じる役に、生活自体もかなり影響されることが多いんです。だから、この番組が始まったころは、撮影時に使ったお花を持ち帰り家で愛でるなど、僕自身が“ベランダー”になっていました。ベランダー流というのを原作者のいとうせいこうさんにいろいろ教えていただいたことも良かったですね。それまでは、せっかくの植物を枯らしてしまうことに罪悪感みたいなものを感じていたんです。でも、育てて枯れたらまた次を手に入れてと循環させることが大切で、それが普通のことだと、せいこうさんに言っていただいたんです。せいこうさんは、それをご自分の植物の先生だった故柳生真吾さん(園芸家・タレント)から教えていただいたそうです。僕もそれを聞いて肩の荷が軽くなり、やってみることができました。

原作はいとうせいこうのエッセイ『ボタニカル・ライフ 植物生活』

 このドラマのベランダーのイメージといえば、僕の中でせいこうさんでしたが、それでは演技の間口を狭めてしまうのかなという思いもありました。そこで、あえて原作を読まずに脚本と現場でのグルーヴで作っていくという方法論で取り組んでいました。

 この番組が多くの方の支持をいただいてシーズン3まで続いたのは、植物に関してのドラマがいままでなかったこと、それも都会のベランダという等身大のサイズの中で孤独なバツイチの中年男が自分の心を植物で潤していく。そんな構造が初めてだったことが見ている人たちの共感を呼んだからではないでしょうか。あ、自分にも出来そうだなとか、気ままな感じが良かったんでしょうね。だから僕は「ちょうどいい湯加減の番組」と言っているんです。

 本当は、シーズン4、5とまだまだ続いてほしいんですけどね。いとうせいこうさんも「どんどん、やって」とおっしゃっていたし、参加していたレギュラー出演者もみんなやる気満々、ゲスト出演された方もみなさん「出たかったんですよ」と言ってくださる。何より僕自身がやる気満々、僕にとって代表作だと思っているので、またシリーズを続けていってほしいと思っています。

水やりはテキトーに、がベランダー流
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敬称略

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