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ジェームス三木 ジェームス三木

ジェームス三木脚本家じぇーむすみき

1935年、旧満州奉天(瀋陽)生まれ。小学生の時に大阪府に引き揚げる。高校を経て、劇団俳優座養成所に入る。55年、テイチク新人コンクールに合格。13年間歌手生活を送る。67年に「月刊シナリオ」コンクールに入選。野村芳太郎監督に師事し、脚本家の道に進む。NHKでは連続テレビ小説『澪つくし』、大河ドラマ『独眼竜政宗』『八代将軍 吉宗』をはじめとするヒット作を数多く手がけている。

銀河テレビ小説 愛さずにはいられない(1980)

脚本

銀河テレビ小説 愛さずにはいられない

インタビュー

 NHKで脚本を手がけた最初の作品でした。僕は1969年から脚本の仕事をしていたので「なんで声がかからないのだろう?」と思っていたんですよ。『愛さずにはいられない』は1980年の作品ですから、デビューからかなり年月が経っているでしょう(苦笑)。でも、この作品が好評を博して、その後は次々とお仕事させていただくようになりました。

麗子(根岸季衣)のアパート 壊れた棚を修理しに大工の勝利(川谷拓三)が訪れて…

 ドラマは36歳のうだつの上がらない大工・落合勝利(川谷拓三)と、無愛想で気位の高い定時制高校の女教師・小坂麗子(根岸季衣)の恋愛もの。落合が麗子にプロポーズするラストシーンは、満員のバスのなかで彼女を探しても見つからないものだから大声で結婚を申し込んでしまい、乗客が笑い出すという、こっけいで印象的な場面になりました。

“聞こえますか先生!結婚してください!”
満員バスの中で叫ぶプロポーズ

 いかにも恋愛ドラマに向かない2人を主人公にしたところがウケて、『愛さずにはいられない』は、4部作のシリーズになったんですよ。続く3作は『煙が目にしみる』『夢見る頃を過ぎても』『あなたに首ったけ』。僕が歌手だったこともあって、4つの作品すべてに歌を元にした題名をつけました。歌には良いタイトルがたくさんありますからね。

連続テレビ小説 澪つくし(1985)

脚本

連続テレビ小説 澪つくし

インタビュー

 タイトルの『澪つくし』は僕が付けました。澪つくしとは船の往来の目印になる杭のことなんです。「澪」は水脈を意味していて、船が浅瀬に乗り上げないように打ってある「杭」が櫛のように見えることから「澪つくし」。僕が通っていた高校の校歌の歌詞にもあったのだけど、「身を尽くし」にかけて古くは万葉集にも詠まれている恋愛を象徴する言葉なんです。すてきなタイトルでしょう。

ヒロイン かをる(沢口靖子)

 実は当初、ヒロインがなかなか決まらなかったんですよ。そんな中、僕がたまたま見た『刑事物語3 潮騒の詩』で武田鉄矢さんの妹役の子がかわいくて、出演者の一人にどうかとプロデューサーに言ったんです。それが沢口靖子さんでした。プロデューサーは、すぐに映画を見に行って「ヒロインに決めた!」とおっしゃられた。オーディションで選ばれた相手役の川野太郎くんもほぼ新人に近く、素人の2人が物語の中心となったので、このドラマの土台を津川雅彦さんと草笛光子さんが支えてくれました。

 津川さんは醤油醸造元・入兆の当主、草笛さんは網主・吉武家の女傑という役どころ。彼らを中心とした家同士の対立を背景に、かをる(沢口靖子)と惣吉(川野太郎)のロミオとジュリエットのような恋物語を描き、多くの反響をいただきました。

惣吉の母・とね(草笛光子)とかをるの父・九兵衛(津川雅彦)
惣吉(川野太郎)とかをるの幸せな日々は長くは続かず…

 かをると惣吉は周囲の反対を押し切ってようやく結ばれたのですが、それも束の間、惣吉の漁船が遭難。かをるは入兆へ戻って手代の梅木(柴田恭兵)と結婚しました。ところがそこへ記憶をなくした惣吉が戻ってくるという筋書きで…。実はラストをどうするか、僕も困ってしまって再婚した梅木が戦死したというところで何となく先をぼやかしたら、投書がスゴかったんです(笑)。結局、その年の『紅白歌合戦』でコーナーを設けて、2人がまた一緒になるという結末を加えました。

第36回NHK紅白歌合戦の一場面

ドラマスペシャル 父の詫び状(1986)

脚本

ドラマスペシャル  父の詫び状

インタビュー

 向田邦子さんがご自身の少女時代をつづった同名エッセーをドラマ化した作品です。彼女のお父さんを描いた物語で、向田さんの少女期の1年というスタイルで描きました。

 父を演じたのは杉浦直樹さん。杉浦さんはとてもいい俳優さんで、すごく信頼していました。懐かしいなぁ。お母さん役は沢村貞子さん、少年時代の市川染五郎さん(現・十代目松本幸四郎)もお出になっていたんですよ。

15歳の恭子(長谷川真弓)の視点で頑固一徹な父・柾一郎(杉浦直樹)の姿を描く
恭子の初恋の人、吉岡少年は当時13歳の市川染五郎(現・十代目松本幸四郎)

 監督を務めたのは深町幸男さんでした。元々新東宝の映画監督で、倒産後テレビのお仕事をされるようになった深町さんは、監督には珍しい真面目な方。和田勉さんと並ぶNHKの二大巨頭でした。向田作品を数多く手がけておられ、向田さんが飛行機事故で亡くなって5年後に制作された同番組の演出も担当された。『父の詫び状』は、そんな深町さんの演出のおかげで、高い評価を受けて、第24回プラハ国際テレビ祭プラハ金賞、第13回放送文化基金賞を受賞。本当に思い出深い作品になりました。

演出・深町幸男(1995年撮影)

大河ドラマ 独眼竜政宗(1987)

脚本

大河ドラマ 独眼竜政宗

インタビュー

 当時の僕は主役を務めた渡辺謙さんを知らなかったんですよ。事務所に訪ねてきてくれたのが初対面で「大きいな」というのが第一印象でした。僕が「渡辺謙という名前は地味だから、芸名を付けてあげる」と言ったら、言葉を濁していましたが、後で聞くと「ジェームス三木に名前を付けてもらったら、チャーリー何とかみたいな名前になるんじゃないか」と心配していたんだって(笑)。

伊達政宗(渡辺謙)

 そんな渡辺くんが登場したのは第8話から。それまでは2人の子役が幼少期の政宗を演じていたんです。幼年期を演じた藤間遼太くんの「梵天丸もかくありたい」というセリフが流行しましたが、あれは何気なく書いたんだよね。梵天丸時代を演じた2人はとてもいじらしくて、かわいかったので、本役に変わるのがもったいないくらいでした。

幼くして右目の視力を失った梵天丸(藤間遼太)

 伊達男って言葉は、伊達政宗から来ているんですよ。すごいオシャレでね、パリのファッションみたいな鎧(よろい)とか、兜(かぶと)も三日月の前立てですごくカッコ良かった。その鎧が渡辺くんによく似合って、いい配役だったなと思いますね。

 伊達政宗の人生は5歳のときに疱瘡(ほうそう)で右目を失明したことに始まり、母に毒殺されそうになったり、父が殺されるのを見殺しにしたりと壮絶です。それを描く上で大事にしたのは登場人物の劣等感と自尊心でした。この2つは誰もが持っている感情なので、それをうまく描こうと思っていたのを覚えています。

水曜シリーズドラマ 存在の深き眠り
~誰かが私の中にいる~(1996)

脚本

水曜シリーズドラマ 存在の深き眠り~誰かが私の中にいる~

インタビュー

 多重人格※に悩む主婦の苦悩と克服までを描いたドラマでした。主人公の漆原市子は平凡な主婦ですが、彼女の肉体のなかには派手で自由奔放な朝倉直美、残忍凶暴な性格のテリー、5歳の幼児・チーという3人の人格が存在しており、何かの拍子にそれぞれの人格が出現してしまうのです。

※ 精神疾患の一つで専門的には解離性同一性障害という

 この難役に挑戦したのは大竹しのぶさん。即座に人格が変わる演技には感心させられました。時々パッと豹変する、その迫力がすさまじくて役柄にぴったりでしたね。大竹さんは、いまお会いしても「存在の深き眠りみたいな人だな」って思わされるような方(笑)。それくらい色んな表情や側面のある魅力的な女優さんだと思います。

買い物帰りの市子(大竹しのぶ)に声をかけてきた見知らぬ男・塚本(片岡鶴太郎)
塚本は“市子の中に住む別の女”を知っていた…

 大竹さん演じるヒロインの夫を演じたのは中村梅雀さんでした。梅雀さんはこの前年に僕が脚本を手がけた大河ドラマ『八代将軍吉宗』で徳川家重を演じて話題になりましたが、この時は病気の妻を愛情で包む夫の役。梅雀さんとは彼の初舞台を見て才能を感じ、NHKの作品で出てもらってからのご縁。色んな作品でご一緒して、今やすっかりベテランになられましたね。

夫の隆一(中村梅雀)は殺人事件の容疑者になった市子を信じ続ける
1995年の大河ドラマ『八代将軍吉宗』で家重を演じる中村梅雀
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