一覧に戻る

50音から探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行
小林綾子 小林綾子

小林綾子女優こばやしあやこ

連続テレビ小説 『おしん』

連続テレビ小説 『おしん』

 おしんの子役として7歳から10歳までの〈少女編〉を演じさせていただいたのですが、夏のオーディションから始まり、1月からは山形ロケ、奥多摩ロケ、そしてスタジオでの撮影と小学校4年生の夏から冬は“おしん一色”に染まっていたようなところがありました。

 おしんが生まれた時代や山形県の寒村の暮らしといった背景は、母や祖母から聞きました。母は新潟県の豪雪地帯で育ったので雪国の生活を知っていましたし、台本のト書きを読みながらその行間を「こんなことなのよ」と教えてもらいながら、二人三脚でできたことが大きかったと思います。

 たとえば、奉公先から逃げたおしんと脱走兵の俊作あんちゃん(中村雅俊)が、一緒に山の中で暮らした時期を演じたときのことです。少しだけ雪が溶けて「あんちゃん、ふきのとうが出てきた、春が来たんだ」というセリフがありました。雪の中の閉ざされた空間でひと冬を過ごすことが、どれほど気の重くなることか。そして、ふきのとうが顔をのぞかせたときの喜びがどれほど大きいものなのか。東北の雪国の方にとって春は本当に格別なもので、その象徴がふきのとうだということを教えてもらえたのです。もちろん現場でも、さまざまなことをていねいに教えていただきました。かつての日本人の暮らし、大変な時代を教科書ではなくドラマを通して体験することができたのです。

 ただ3月下旬には私の出番はすべて撮り終えていたので、放送してすぐにあれほど反響が大きくなるとはまったく想像していませんでした。まして何十年も経った今でもこの作品のことを覚えていただけているのは本当にありがたいことだと思います。

  • 無実の罪を着せられ奉公先を飛び出したおしんは脱走兵の俊作(中村雅俊さん)に助けられる

 山形の方言をほめていただくこともありましたが、東京生まれの私が山形弁と一緒に橋田先生の長いセリフを覚えることはとても大変でした。台本と一緒に方言の先生が吹き込んでくださったテープをいただくと、まずは台本のセリフを書き起こし、そこにイントネーションなどを記号で表します。それをもとに何回もテープを聞き返してセリフを覚え、そこからは私がおしんのセリフ、母がそれ以外の方たちのセリフで読み相手をしてくれたのです。私はいわゆる絶対音感があるせいか、テープを聞いたときに方言が音楽的な感じで耳に入ってくるので、それをコピーするような感覚で取り組んだことを覚えています。

 おしんが奉公に出ていじめられるシーン、私自身は一生懸命演じることだけに徹していたので、とくに辛いと感じたことはありませんでした。むしろ、いじめる側を演じた俳優さんたちのほうが辛そうでしたね。演出からもっときつくやらなければダメじゃないかと厳しく攻撃されたり(笑)、伊東四朗さんのお宅では奥様が表をそうじしていらしたら突然「おしんをいじめちゃだめじゃないか」と叱られたり、石を投げられたこともあったとか。役とはいえ、みなさんにご迷惑をおかけしたなと申し訳ない気持ちです(笑)。

  • 父・作造役 伊東四朗さん
  • 母・ふじ役 泉ピン子さん
  • 女中のつね(丸山裕子さん)はおしんに厳しくあたる…

 ただ撮影で大変だったことはありました。川の水で洗濯をするというシーンのロケがあったのですが、その水が雪解け水なので本当に冷たいんです。そこで、手先でちょろちょろ洗っていたら演出から「綾子、手首まで全部水に浸けて」「はーい」って(笑)。たしかに、そこまで手を突っ込まないと映像では冷たそうに見えないし、かわいそうにも見えないんでしょうね。手がかじかんでしまうのですが、カットがかかると照明さんがバッテリーライトを手にあてて温めてくれたり、メイクさんがドライヤーを持ってきてくれたり。みんなに気を遣っていただきました。

 俊作あんちゃんと出会った吹雪のシーンも大変でしたね。おしんが母ちゃんに会いたくて奉公先から逃げ出し、山の中に向かっていくというシーン。猛吹雪になり行き倒れになるところまでをロケで撮影したのですが、スタッフがみんな雪を入れた買い物かごを持ち、大きな扇風機の前でいっせいに振るんです。それを私が歩きながら顔で受ける(笑)。ほとんど息ができなくなるし、まつげが凍って真っ白になりました。でも、本当の吹雪はこんなものなんだろうなと思いながらやっていました。足下はわら靴でした。ふつうは中に靴下を履いたり、長靴を履いた上にわら靴だったのですが、吹雪のシーンは足も映るからと素足に直かでした。でもスタッフの方もみんな同じでしたし、みなさんの意気込み、絆が強くて、その一生懸命さは映像にも表れていると思います。

  • 川でおしめを洗うのも子守の仕事

 『おしん』のドラマの魅力は、橋田壽賀子先生がお書きになられた脚本の素晴らしさだと思います。放送は30年以上前ですから、私より下の世代は知らない人のほうが多いでしょうね。そんな若い人たちにぜひ見てもらいたいんです。日本はこんな時代を経て今日にいたっているという礎の部分が、このドラマを見ることですごくよくわかると思うんです。いまは本当に便利な時代になりましたが、その一方、人とのコミュニケーションが苦手な方も多い。人との接し方、思いやり、優しさ、家族といったものをとても大事にしている作品なので、それらすべてを含めてドラマが教えてくれる。人として一番大事なことは万国共通です。だからこそ、日本だけでなく世界各地で反響があったというのは、そういうことだと思います。もちろん純粋にドラマとして面白いし、子どもが演じているので小学生が見ても楽しんでもらえると思います。

  • 撮影現場を訪れた橋田壽賀子さん
  • 田中裕子さんと

大河ドラマ 『いのち』

大河ドラマ 『いのち』

 終戦から現代 (放送時)に至る日本の戦後40年の歩みを時代背景に、「いのち」をいとおしみ「心」を大切に生き抜く女医・岩田未希(三田佳子)の人生を描いた。小林綾子さんは、岸本加世子さんが演じた津田征子(後の岩田征子)の少女時代で出演。

 青森から集団就職で東京に出てきて、その後、大学受験をして受かったというところまでを演じました。当時、私は中学生だったので、ほぼ等身大の自分から大学生までというのがずいぶん幅広い年齢だなと思いながらやらせていただいた記憶があります。ロケでは、集団就職のバスの車窓から見た青森の風景、リンゴ畑などが印象に残っています。

 この作品も橋田壽賀子先生で、まだ女性は男性の三歩後ろを歩くとか、絶対に男社会の中に入っていけないような風潮があった時代に、女性も頑張ればきちんと報われる。そんな強い女性を三田佳子さんが演じられた主人公に託して描かれていましたね。

  • 征子はのちに医師となり、三田佳子さん演じる未希の医院を継ぐ

金曜時代劇 『近松青春日記』

金曜時代劇 『近松青春日記』

 江戸初期の大阪・下町。芝居作家を目指す近松門左衛門の若き日、愛と人生に悩む多感な青春期を描いた。小林綾子さんは近松の妹・しのを演じた。

 NHK大阪放送局で撮影した連続ドラマで、私は高嶋政宏さんが演じた近松門左衛門の妹役でした。別所哲也さん、石橋保さん、若村麻由美さん、水野真紀さん、桂枝雀さんたちがレギュラーでした。本格的な時代劇の連続ドラマに出演するのは初めてだったので、撮影前に所作を習うために水野真紀ちゃんと一緒に表千家の茶道のお稽古に通いました。たしかに時代劇をやるためにこういうことを習わなければ、着物を着たときの身のこなしが自然にできないのだということがよくわかりました。そこからお茶を続けて、東京に戻ってずっと今の先生にお世話になっているので、私にとって茶道との出会いの作品でもありました。

 当時、私は京都の大学に通っていたので、大阪に通って撮影するというのもちょうど良い距離(笑)。私が18歳くらい、政宏さんたちも25、26歳。本当に若いメンバーばかりだったので空き時間には、みんなで道頓堀に映画を見に行ったり鶴橋に焼き肉を食べに行ったことなど、楽しかったことを覚えています。

  • しのは兄を助け、事件の解決に力を貸すことも…
その他の出演番組を見る ※類似の氏名が検索される場合があります。
一覧から探す