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片桐はいり 片桐はいり

片桐はいり女優かたぎりはいり

1963年生まれ、東京都出身。大学在学中に劇団で舞台デビュー。その後、CM、映画、テレビドラマなどで幅広く活躍。主な出演作品は、舞台『キレイ〜神様と待ち合わせした女』『小野寺の弟、小野寺の姉』、映画『かもめ食堂』、テレビ『Around40〜注文の多い女たち』『すいか』、著書に『グアテマラの弟』『もぎりよ今夜も有難う』など。NHKでは、『ママさんバレーでつかまえて』『時々迷々』『昨夜のカレー、明日のパン』『富士ファミリー』、連続テレビ小説『あまちゃん』『とと姉ちゃん』など。『炎上弁護人』では、SNSで炎上した主婦のフォロワー・内海ひろ子役で出演。

時々迷々(2009-2011)

時々迷々役

時々迷々

インタビュー

 私が演じた“時々迷々(ときどきまよまよ)”は、迷いを抱える子どもたちの前に現れ、どっちにするの?と問いかける不思議な存在でした。はっきりとした答えが出たり、落ちがつく物語ではなく、結局、どちらが良いのかわからないという結末が多かったですね。道徳の授業に使う教材ということでしたから、もしかしたら先生たちは教えるのに苦労されたかもしれないのですが、私は迷うことの大切さを伝えたいと思っていました。

どうしようか迷ったとき、“時々迷々”は現れる
そして子どもの心に呼びかける “迷ってるねえ…”

 子どもたちが迷っているときに、どちらが良いか教えることも重要だけれど、私は迷うことの方が健康だと思うんです。常に迷ったり悩んだりすることが大切で、「これしかないんだ!」みたいに迷わなくなった時の方が怖い。そんな時に悪いことが起きる気がするというのは、50年生きてきた私の実感です(笑)。

 私自身、子どものころの体験で今も印象深く残っているのは、腑に落ちなかったことや、謎だった出来事です。あれは、なんだったんだろうって、わからなかったことは大人になってからもずっと考えていますよね。逆にすぐにわかって楽しかったものは意外と覚えていません。だからこそ、この番組を見た子どもたちにも忘れがたいものを残したいという気持ちでした。

祖父とお墓参りに来たマサコだが、友達とピクニックの約束もしていて…
“途中でおやめになったら?もうこんな時間ですよ”

 この番組は、毎回そうそうたる方々が脚本を担当してくださっていました。また、予算も時間もないのでスタッフ各部がアイデアを出し合い、創意工夫が満載の番組でした。今回はこんな内容なら、木の陰に入る前と出てきた時では別の人物になっていようとか。歩いているうちにカメラから消えて次の瞬間には変装しているとか……。みんなが面白いことをやろうと熱心に取り組んでいたとても楽しくステキな現場でした。今見ても泣きそうになるような名作回も数々ありますよ。

 もし「代表作は?」と聞かれたら『時々迷々』をあげたいと思うほど大好きな番組で、本当はもっとずっと続けたかったです。

祖父を置いてバスに乗ったマサコだが…

連続テレビ小説 あまちゃん(2013)

安部小百合役

連続テレビ小説 あまちゃん

インタビュー

 実は『あまちゃん』の撮影期間中、私は5本の舞台に出演していました。ほかにも舞台に出演されている方が多く、撮影のスケジュール調整はとても大変だったと思います。舞台の休演日が月曜日というケースが多く、この日ならみんなが揃うから結婚式のシーンが撮れるといったこともありました。

 ただ宮藤官九郎さんが、その都度、「はいりさんが、ここでいなくなるなら、安部ちゃんは東京に行くことにしましょう」といった具合に、俳優のスケジュールに合わせた脚本を書いてくださったこともありがたかったです。仮に私が突然ケガをして撮影に参加できなくなっても、宮藤くんならきっと面白くしてくれると思えました。

それぞれが強烈な個性を放つ北三陸の海女さんたち
“あんべちゃん”は地元料理まめぶを愛する心優しい海女

 そして何より素敵だったのが、いま振り返っても本当にライブ感に満ちた素晴らしい現場だったこと。たとえば食事しながら会話をするシーンで、食器がふれてカチャカチャと音が出たからといって気にせず芝居を進められる。前のシーンと少しだけ違うものが映っていても、つながりを気にするより、その時のお芝居の盛り上がりを最優先させる。ライブ感という言葉が適切かどうかはわかりませんが、みんなが本当に楽しくお芝居ができて、その活気が画面に出ていたのではないかと思います。

 打ち上げの時、スケジュールのことも含めて「奇跡的だったね」と言い合いましたが、それは決して運が良かったという意味ではなく、フレッシュな生の感覚が生かされたからこそ。そしてその前提に周到な準備や計画があったからこそだと思っています。おそらく、もう一度『あまちゃん』のようなものを作ろうとしても難しいでしょうね。

震災から復旧した北三陸鉄道 試運転の列車に書かれていたのは…
大吉(杉本哲太)からの再婚のプロポーズ

正月ドラマスペシャル
富士ファミリー(2016/2017)

笑子バアさん役

正月ドラマスペシャル 富士ファミリー

インタビュー

 この役をいただいて、すぐに思い浮かべたのが私の父親の妹で独り暮らしだった“エミコおばさん”のことでした。たまたま名前も設定も同じで驚きましたが、子どももなく家庭もなく一人でいる。親戚の中にぽつんと存在していた未知の領域の人だったんです。子どもって、そういう人になつきやすいんですよね。だから、私としては違和感なく演じられたし、思い入れも深かったですね。私の中で“エミコおばさん”が、笑子バアさんのモデルなんです。

ユーレイのナスミ(小泉今日子)が笑子バアさんにだけ見えたり…
アルバイトのぷりお(東出昌大)にときめいたり…
とっくみあいの大ゲンカをしたり…

 笑子は言いたいことを言って暮らしていますが、実際のおばあさんは、こんなふうに泣いたり笑ったり大騒ぎできない悲しさもあると思います、だからそれらを超越した笑子を演じるのは、とても楽しかったですね。私の中では、たぶん今でも笑子そのものになってフリートークができるくらい一つ個性的なキャラクターを持つことが出来たと思っています。ドラマを見てくださった方の中には、樹木希林さんのお名前を出してくださる方もいました。あの存在まではなかなか近づけないのですが、希林さんへのリスペクトあっての役柄ですし、あの時代のテレビの力を改めて感じました。

 演じるうえで意識したのは、こんなに背の高いおばあさんはあまりいないんだろうなということ。そこでずっと背中を曲げて体を縮めるように演じていたのですが、その姿を見た時、亡くなった母にそっくりで思わず「あ、お母さん」と言ってしまいました。おとなしい人でしたから、笑子のようなタイプではないんですが。歩いている姿などが母親を思い出させるんです。私が演じたいというより、私が画面で母に会いたいという気持ちから、脚本の木皿泉先生に続編をお願いしているほど(笑)。

 出演者がみんな「このセリフが好き」という感じで集まっていて、この作品も楽しい現場の雰囲気が伝わる幸せなドラマでした。

ドラマ10 この声をきみに(2017)

磯崎泰代役

ドラマ10 この声をきみに

インタビュー

 ある日、家族に捨てられた偏屈な数学教師・穂波孝が、人生を変えようと朗読教室に入り、自分を見つめ直すという物語でした。穂波を演じられた竹野内豊さんと朗読の講師・江崎京子役の麻生久美子さんのお二人がとても魅力的だったので、共演者が「穂波と京子、頑張って」みたいな感じになっていました(笑)。自分の演技がどうこうより、竹野内さんを見ているだけで泣けてきたり、すっかりファンになってしまいましたね(笑)。

京子(麻生久美子)の朗読教室に通い始めた感情表現の苦手な男・穂波(竹之内豊)
生徒たちが『雨ニモマケズ』の群読を始めると…
いつしか心は広い世界に

 朗読も難しかったけど楽しかったですね。ドラマなので映像がありますから、純粋な朗読の面白さとは少し異なりますが、その分、映像が凝っていてその素晴らしさもありました。朗読というか、声を出して本を読むと脳内に快楽物質のようなものが出るそうです。もちろん一人で音読してもいいのですが、人に伝えるというのがさらに良くて、運動をした後のような快感があります。舞台でやるとすごく疲れるのですが、それは気持ちのいい疲れなんです。みんなで音読や輪読をして合わせるというのも経験しましたが、まるで合唱をした後のような肉体的快感を味わうことができました。そのことに目覚めることができたことも嬉しかったです。しんどくて辛くて落ち込んでいる人に、「好きな本を声に出して読んでみたら?」と、声をかけたこともありました。

 そういえば、絵本に出てくる“かたつむり”役を演じたことも楽しかったですね(笑)。チャレンジングな作品だったと思うので、もう少し長くやっていたかったですね。

発表会に片思いの相手を誘った泰代は何を朗読するか悩む
京子が泰代に薦めたのは恋の詩

プレミアムドラマ 炎上弁護人(2018)

内海ひろ子役

プレミアムドラマ 炎上弁護人

インタビュー

 このドラマは、SNSでタレント並みのフォロワー数を誇る主婦・朋美が自作自演の放火をしたのではないかということでネットが炎上し、真木よう子さんが彼女の弁護を担当するという物語です。

 私は仲里依紗さんが演じる朋美の熱心なフォロワーという役どころで「こいつ、何かやりそう」「もしかしたら、この人が火を付けたんじゃない」といった雰囲気をまとって登場しました。結果的に犯人ではありませんでしたが、この人だったとしてもおかしくないという出方や、先入観を持たれるような感じというのが演じていて単純に楽しかったです。

SNSで大人気の“マザー・テレ美”こと朋美(仲里依紗)が放火を疑われ…
ネットトラブルを扱う弁護士の渡会美帆(真木よう子)が弁護に立つ
ひろ子は朋美の無実を信じ、応援する書き込みを続けてきた

 ただ、私自身はまったくネットの世界はわからないし、こういう人物のファン心理みたいなものも理解はできませんでした。今回の物語は、犯人のような危なげな人にも事情はあるという流れですが、「いや、それはわかりませんよ」というところも感じながら演じていました。その分、想像力で補わなくてはいけないのですが、難しいのはやり過ぎたり足りなかったりしてしまうこと。笠浦友愛ディレクターが、とてもていねいに演出してくださる方なので、そこは言ってくださいねとお任せしました。

 私自身が試みたのは、いつもとセリフの覚え方を少し変えてみたこと。この役の人物の発想がよくわからないので、あえて何も考えないで現場に入るようにしていたんです。真木よう子さんと仲里依紗さんに挟まれてお芝居する中で、あ、こんな時に感情が動くんだと思ったりしましたね。計画できないからこそ、いっそリアルな感じで出来たのではないかと思います。

“ネットは現実じゃないの?”とひろ子は問う
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