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上杉祥三 上杉祥三

上杉祥三俳優うえすぎしょうぞう

1955年、兵庫県出身。劇団「夢の遊眠社」の看板俳優として活躍。現在は演劇ユニット「トレランス」主宰。舞台、映画、ドラマと幅広く活動。主な出演作に、舞台『夏の夜の夢』『ヘンリー六世』『ジャンヌ・ダルク』、ドラマ『おかしな刑事』『下町ロケット』など。NHKでは、『鳴門秘帖』『不惑のスクラム』『家康、江戸を建てる』、連続テレビ小説『カーネーション』『あさが来た』など。『麒麟がくる』では、織田家の家老として信秀(高橋克典)を支え、信長(染谷将太)のもり役となる平手政秀を演じる。

大河ドラマ 翔ぶが如く(1990)

徳川家定役

大河ドラマ 翔ぶが如く

インタビュー

 この当時、僕は劇団「夢の遊眠社」の舞台が忙しく映像作品への出演は数えるほどでしたから、十三代将軍家定という少し難しい役に試行錯誤していました。そのうえ共演者もすごかったんです。家定の御台所として薩摩から嫁ぐ篤姫役が富司純子さん、篤姫の側近・幾島を樹木希林さん、さらに家定の生母・本寿院は文学座の新橋耐子さんと、映画界、テレビ界、演劇界の大女優に囲まれて、子どものような少しずれた振る舞いをしてしまう将軍役でした(笑)。

 家定は夭折している人物なので若い世代でないと出来ない役ですが、僕みたいな若造には難しい役でした。

次期将軍をめぐり、正室の篤姫(富司純子)は一橋、母の本寿院(新橋耐子)は紀州を推し…
家定は板挟みに苦しむ

 そんな中、演出の方は僕に「ここは、こうして、ああして」とかなり細かくダメ出しをされていたんですね。映像に不慣れなこともあり「はい。はい。」と聞いていたのですが、僕が考え込んでしまっているというふうに映ったのでしょうか。樹木希林さんが「気にしないの! このドラマで一番偉いのはあなたなのよ、あなたは将軍なんだから。それを忘れちゃダメ」と言ってくださったんです。演出に反論するというわけではなく、僕自身のポジションを明確にして「今のままでいいの、あなたが一番偉いのだから」と。俳優の側からすれば、そこだけは絶対に外してはいけないところで、ダメ出しは気にするなと。この言葉には本当に助けられたし、ものすごく勇気をいただけました。

篤姫は病弱な家定を優しくいたわる
篤姫付きの御年寄・幾島(樹木希林)

 主演の西田敏行さん(西郷隆盛役)とは今でも親しくしていただいていて、数年前には一緒に飲む機会があったのですが、そこで「あの時の上杉祥三は素晴らしかった」とほめてくださったんです。「あの将軍はピカイチだぞ」って。もう30年も前の作品なのに他の方からもいまだにほめていただけるのは嬉しいです。そして今でも希林さんの言葉が本当にありがたかった。やっぱり希林さんはカッコいいですね。そしてカッコよかったですね。

幾島は西郷隆盛(西田敏行)を通して薩摩藩に江戸城内の情報を伝える

大河ドラマ 風林火山(2007)

高遠頼継役

大河ドラマ 風林火山

インタビュー

 高遠頼継は、諏訪高遠家の城主で武田家と共に諏訪総領家を滅ぼしながら、その後、武田家と対立し最後は塩尻峠の敗戦で捕らえられ切腹となった人物です。この捕らえられた頼継が発した言葉が今でもネットなどで話題になっている「おのれおのれ!」です(笑)。「おのれおのれ!」と叫び続けて飯富虎昌(金田明夫)から「お主、幾度おのれと叫べば気が済むのじゃ」と言われ、もう一度「おのれ!」と発して膝をつくというね。馬上の虎昌があきれ果て、さらに「おのれ!」をより面白くするための演出がクレーン上のカメラから撮影するという俯瞰の映像でした。散々威張っていた人物が主役に負けるというのが痛快で典型的な敵役でしたが、このばかばかしいお芝居がユーモラスで楽しかったですね。

塩尻峠の戦い 頼継は小笠原長時とともに武田軍の奇襲を受け…
赤備えの兵に包囲されながら「おのれ武田!おのれおのれ…」と叫ぶ
飯富虎昌(金田明夫)は「幾たびおのれと叫べば気が済むのじゃ!」とあきれる
最後の「おのれ…」に無念がにじむ名場面!

 ただ、その前に頼継が安国寺の戦いに敗れて落ち延びていくところなどは気の毒だなと思いながら演じていました。やはり戦国時代は食うか食われるかですから。実はこの役に僕はある偶然と必然を感じているんです。高遠城址公園は“高遠小彼岸桜”という桜の名所として全国的に有名ですが、その小彼岸桜15本を高遠町から寄贈されたのが都内の芦花公園。かつて僕が住んでいたところだったんです。小彼岸桜はソメイヨシノとは対照的に濃いピンク色の桜で開花も少し早いのですが、その鮮やかさは見事で毎年大勢の人がお花見に訪れています。僕が頼継を演じたころはインターネットも普及していませんでしたから図書館で調べてそのことを知りました。

 門外不出の桜が家の近所にあったということにも驚きましたし、その花の色の由来にも感動しました。小彼岸桜が真っ赤な色をしているのは高遠城落城で亡くなった大勢の人の血を吸い取ったからだというのです。「桜の木の下には死体が埋まっている」という坂口安吾の小説『桜の花の満開の下』を思い起こすような逸話で、怖いけれど何ともロマンチックだと思いましたね。戦国時代の悲劇を語り継ぎ、大切にしなければいけない史実を象徴するような小彼岸桜。高遠頼継役との出会いは、やはり偶然であり必然だったと思っています。

連続テレビ小説 カーネーション(2011)

木岡保男役

連続テレビ小説 カーネーション

インタビュー

 僕は『カーネーション』は“朝ドラの奇跡”だと思っています。天才コシノ三姉妹のお母さんで91歳まで生きた小篠綾子さんの物語で、本当にすごいドラマでした。テーマは「生きること」、舞台地・岸和田のだんじりが象徴するように「一度曳いたら決して下がれない」。「ミシンはだんじりだ」という脚本の渡辺あやさんの発想がすごいと思いました。岸和田といえば関西でも一番気が荒い土地で知られていますが、それも一度だんじりを見たら納得します。岸和田の男たちは1年で3日間のだんじりのためだけに生きているようなもの。男が強いのはその時だけで後はすべて女性が支えている、とも言われているようです。

岸和田の呉服店に生まれたヒロイン・糸子(尾野真千子)はだんじり祭りが大好き
呉服店を営む善作(小林薫)と隣の履き物屋の主人・木岡はだんじり仲間

 そんな岸和田の下駄屋の主人というのが僕の役で、主人公一家を支える大好きな役でした。綾子さんをモデルにしたヒロイン・糸子(尾野真千子)も典型的な岸和田の女性であり、また怖いお父ちゃんの善作(小林薫)も最低だけど(笑)あれが岸和田の男なんです。

 そういえば、お父ちゃんが糸子を殴るというシーンがありました。尾野真千子さんは「ほんまに殴っていいですよ」と言い、小林薫さんもリハーサルの時から真千子さんのほほに真っ赤な手形がつくほどの芝居を見せてくれた。お互いの芝居に対する意気込みのすごさが伝わってくるシーンでした。同じシーンでクリスマスケーキがひっくり返ったところも最高でした。おばあちゃんのハル役の正司照枝さんがケーキを拾って「まだ食える」って。あそこは泣けましたね。

洋裁店を開くという糸子に善作の平手が飛ぶ
糸子のほおには善作の指の跡がくっきりと
なおも気の収まらない善作は糸子が買ってきたケーキをひっくり返す
泣き出す孫娘たちにハル(正司照枝)は崩れたケーキを分け…

 出演者もみんな魅力的でした。近藤正臣さん(三浦平蔵役)といえば、芝居に品がありしゅっとした関西を代表する俳優さん。薫さんは僕が舞台人としてもっとも憧れていた人です。子役の子たちも含めてみんなが本当に素晴らしかった。そしてなんと言ってもヒロインの尾野真千子さん! 田舎の子の純粋さと関西人の図太さを併せ持つ彼女が、岸和田の女性のエネルギーを見事に表現してくれていました。

妻子ある紳士服職人の周防(綾野剛)にひかれてゆく糸子

 コシノ三姉妹とは今でもおつきあいさせていただいていますし、だんじりには当時のスタッフ、出演者も集合します。岸和田のおっちゃんたちも「よう来たなー」と心から歓迎してくれます。みなさん、いまだにこの作品を大切にしてくれているんです。これからも永遠に語り継がれ見続けてほしい作品ですね。

大河ドラマ 花燃ゆ(2015)

三条実美役

大河ドラマ 花燃ゆ

インタビュー

 吉田松陰の妹・文(井上真央)を主人公に幕末から明治を描いた作品で、僕は尊皇攘夷・倒幕派の公家の中心人物・三条実美役で出演しました。実美は「八月十八日の政変」で長州へ落ち延びる「七卿落ち」で知られていますが、明治政府でも素晴らしい業績を残されて国葬にまでなった方です。この役にも思いがあり、僕はプライドを持って演じました。

三条実美は長州藩とともに尊皇攘夷を進めた公家
八月十八日の政変で失脚した三条ら公家衆が長州へ逃れてくる
「眠れんのや。鴨川のせせらぎが聞こえんと」
文(井上真央)は三条のために京菓子を再現する

 また、この作品で実美を演じるというお話を聞いたのが、たまたまBSプレミアム『京都人の密かな愉しみ 夏』(2015)の撮影で井戸職人の役で京都ロケに参加していた時でした。僕自身のシーンはなかったのでロケバスで待機していたのですが、そのロケ地が京都三名水の一つで唯一現存している「染井の水」がある梨木神社の境内だったんです。実は梨木神社というのは三条邸跡にある神社で、なんと御祭神が三条実満・実美親子だというのだから驚きました。まさか、そんなゆかりの地で実美役が決まるとは……。すごいことだと思いましたし、いっそう役を身近に感じることができました。

大河ドラマ 麒麟がくる(2020)

平手政秀役

大河ドラマ 麒麟がくる

インタビュー

 『麒麟がくる』に登場する戦国武将は主人公の明智光秀(長谷川博己)をはじめ、これまでのイメージを覆すような人物像になっていて面白いですね。僕が演じる平手政秀が仕える織田信秀(高橋克典)、信長(染谷将太)親子もずいぶん印象が異なると思います。まず染谷さんの信長がかわいらしくてキュートなんです。母親の土田御前(檀れい)が弟の信勝ばかりかわいがるので、ちょっとすねたりしているんですよ(笑)。平手は信長のもり役として献身的に仕えますが史実にあるように自害してしまう。追い詰められた感のある信長が“窮鼠猫を噛む”ではないけれど、一気に本来持っていたエネルギーを爆発させていく。そんな描き方になっています。

光秀(長谷川博己)は戦災孤児の駒(門脇麦)と出会い「麒麟」の伝説を聞く
斎藤道三の娘、帰蝶(川口春奈)は光秀とは親戚で幼なじみ
織田家では嫡男・信長(染谷将太)よりも弟の信勝(木村了)が期待されており…

 平手が自害するのは、史実では60代の時なんですね。その年齢で切腹するというのはとんでもない体力だったんだろうと想像してしまいます。また信長も大切な側近の死は辛かったようで、名古屋にある平手の墓所・政秀寺は信長が創建したもので、鷹狩りをするたびに鷹を供えていたとの説もあります。あと10年、平手が生きていたら……なんてことをつい想像しながら演じています。

尾張に根を張る織田信秀(高橋克典)は斎藤道三のライバル
平手政秀は信秀を支える織田家家臣、信長の守(も)り役でもある

 注目していただきたいのは織田家の衣装です。衣装デザインを担当されている黒澤和子さんからうかがったのですが、侍から農民まで一番おしゃれだったのが戦国時代だったそうです。絶えず戦が繰り返され敵味方が入れ替わり、いつ命を落とすのかわからない大変な時代。だからこそ下着にいたるまで常に身ぎれいにし一張羅の衣装を身にまとっていたとか。現代でいえば大災害に備えるように、いつ死が訪れても恥ずかしくないようにと準備していたんですね。そんな中、前半で一番お金のかかった衣装を着ているのが織田家の人々です。なぜなら織田家は商売がうまくてお金持ちなんです。信長の時代になってもそうですが、戦争がうまいだけでは天下を目指せない。武器を買うにもお金がかかりますからね。そんな視点も交えて織田家の行く末、物語の先を見ていただくのも楽しいかと思います。

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