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新納慎也 新納慎也

新納慎也俳優にいろしんや

兵庫県神戸市出身。ミュージカル、ストレートプレイと垣根なく、名立たる演出家の舞台に多数出演。昨年デビュー30周年を迎え、musical「HOPE」では演出・上演台本・訳詞を手がけた。出演作に、舞台「日本の歴史」、「スリル・ミー」、「生きる」、「ラ・カージュ・オ・フォール」、「PARADE」等多数。映画『彼女』、『燃えよ剣』、『さんかく窓の外側は夜』など。テレビではNHK作品に多く出演し、大河ドラマ『真田丸』(豊臣秀次役)、『青天を衝け』(島津斉彬役)、正月時代劇『風雲児たち~蘭学革命篇~』(杉田玄白役)のほか、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では阿野全成役で話題に。

大河ドラマ 真田丸(2016)

豊臣秀次役

大河ドラマ 真田丸

インタビュー

 舞台を中心に活動していた僕に大河ドラマ出演のお話が来た時は驚きました。実は25年ほど前、『にこにこぷんがやってきた!』のうたのおにいさん時代に大河出演の可能性を探ったことがあったんです。そのとき指摘されたのは「顔立ちが和風ではないから難しい」ということでした。

秀次は、検地の意味を秀吉から尋ねられても答えられないなど、頼りないところもあるが、秀吉の正室・寧(ねい)にびわを届けさせる優しい心の持ち主

 そんな僕が豊臣秀次役。秀次といえば“殺傷関白”と呼ばれたほど狂気を感じさせる人物ということで、これまでの作品では、エキセントリックに演じられることが多かったと聞いています。僕自身、そうした人物を舞台で演じることが多かったことから声をかけていただいたのかなと思いました。

「譲り渡すにせよ、奪い取るにせよ、それは沼田城が真田の城であることを暗に認めていることにはならないか」 沼田城を巡る真田と北条の争議で指導者の片りんを示すが、自分は秀吉の子・棄(すて)の繋ぎと達観

 「なぜ僕なんですか?」と三谷さんにキャスティング理由をお聞きしたら「新納慎也はすごく悲しみを内包した役者で、僕はそういう役者が好きなんです」と言ってくださいました。秀次もまた悲しみを内包していて、「そこを前面に押し出すような感じで演じてほしい」ということでプロデューサーとも意見が一致したそうです。

 台本に描かれていたのは最新の調査を基にした新解釈の秀次でした。キャラクターは純朴で明るく人懐こい。平和で優しい秀次の日常が描かれたことで、最終的に切腹を決断したことの悲しみがよりいっそう深まったと思います。

秀次は秀吉(小日向文世)から関白の座を譲られるが、秀吉の世継ぎ・拾(ひろい)の立場を脅かす邪魔者と見なされるかも、という疑心暗鬼から、出奔。きり(長澤まさみ)に見つかり、たしなめられる

 撮影スタート当初はドラマの経験がほとんどなかったので緊張していました。幸いだったのは豊臣家のメンバーに舞台出身の方が多かったこと。みなさん、いきなりテレビの現場に来てとまどう僕にかつてのご自分の姿を重ねたようで(笑)、とても温かく家族のように接してくださったんです。一緒のシーンが多かったきり役の長澤まさみちゃんや秀吉役の小日向文世さんからも、いろいろなことを教えていただきました。もちろん小日向さんは先輩風を吹かせるわけではなく、「自由にやったらいいんだよ」と。おかげで自然にのびのびと演じられました。

出奔後も多くの人たちに支えられたものの、秀次が選んだ道は…

正月時代劇 風雲児たち
〜蘭学革命編(らんがくれぼりゅうしへん)〜(2018)

杉田玄白役

正月時代劇 風雲児たち〜蘭学革命編(らんがくれぼりゅうしへん)〜

インタビュー

 「『解体新書』が出来るまでの物語で杉田玄白を演じてほしい」と三谷幸喜さんから電話をいただいた時は、正直びっくりしました。そんなに大きな役をいただいて良いのかと、とまどったほど。三谷さんは「1日だけの放送だからカツラでいいですよ」と言ってくださったのですが、これは心意気を見せねばとすぐに髪を剃ろうと決意しました。

玄白は西洋医学書に書かれていることが本当か確かめようと、前野良沢(片岡愛之助)と中川淳庵(村上新悟)を誘い、腑分け(解剖)に立ち合う

 史上初の西洋医学書の翻訳に臨んだ杉田玄白と前野良沢(片岡愛之助)ですが、陽気で行動的な玄白に対して良沢は完璧主義で生真面目。医術のことを思う気持ちは同じでも、2人の性格の違いからぶつかり合うのもよく理解できました。

 現代に置き換えると玄白は営業部門、良沢は技術部門の人間なんですね。優れた技術を早く世の中に出そうとする営業マンに対して、不完全なものは出さないという技術者。その溝がなかなか埋まらず、結局、(「解体新書」の著者として記載されたのは)時代が求めているからと出版した玄白の名前だけ。本当は工場の人が作ったのに、営業マンが「僕が作ったんです」と言って出したようなもの (笑)。でも、どちらか一方だけでは「解体新書」は出来上がらなかったと思います。

大河ドラマ・真田丸にも出演していた山本耕史、中川大志、迫田孝也

 このドラマには『真田丸』メンバーが大勢出演していたので、撮影現場は顔を合わせれば思い出話に花が咲く同窓会のよう。みんなに坊主頭をはたかれながら(笑)、日々を過ごしていました。良沢役の片岡愛之助さんとは、『真田丸』の時はご一緒のシーンがなかったんです。お会いした時は、一瞬「あ、片岡愛之助だ!」となりましたが(笑)、ご自身はまったく飾り気のない方。穏やかな関西弁を話しながら、こちらを大きく受け入れてくださる感じで、僕も自由にやらせていただくことが出来ました。

 物語の中で特殊メイクの第一人者である江川悦子さんが、老けメイクを担当してくださったことも良い思い出です。65,6歳のころと80歳を過ぎた玄白という2パターンの老けメイクがあったのですが、江川さんは、現在の僕の顔をきっちりと分析したうえで年齢を重ねるとこうなるという顔を作ってくださったんです。顔だけでなく手も首もすべてですから、老けメイクにはものすごく時間がかかるけれど、そのプロフェッショナルなお仕事ぶりを間近で見られたことも楽しかったですね。僕はこんなおじいちゃんになるのかなと(笑)、たくさん写真を撮りました。

土曜時代ドラマ
そろばん侍 風の市兵衛(2018)

文蔵役

土曜時代ドラマ そろばん侍 風の市兵衛

インタビュー

 『真田丸』『忠臣蔵の恋』『風雲児たち』、そしてこの『そろばん侍 風の市兵衛』と出演させていただきましたが、一括りに時代劇と言っても撮影現場の雰囲気から作り方まで全然違う。それがとても興味深かったですね。
 ことにこの作品で演じたのは醤油問屋「広国屋」の手代。戦をしたり人を斬ったりというのではなく、市井に生きるごく一般人の日常生活を演じるという意味では、まったく別の時代劇を演じているような気分で新鮮でした。

「全く、欲の深いお侍様だ」 文蔵は、市兵衛(向井理)が潜入捜査をしているとは知らず、悪だくみの一員に加える

 店にはびこる悪だくみという設定そのものもすごく楽しかったんです。ステレオタイプではありますが、子どものころからコントで見ていた「お主も悪よのう、うひひひひ」と言いながら悪い顔が出来たことが嬉しくて(笑)。僕のイメージの中では商人が悪だくみをしている時には袖の中に手を入れて組むというのがあって、今まで披露する機会がなかったけれど、ここでようやく出来ました(笑)。

 一緒のシーンが多かったのは、この店の頭取で不正の中心人物である伊右衛門を演じられた渡辺徹さん。渡辺さんの奥様の榊原郁恵さんとは『プレイバックpart2〜屋上の天使』(2005年)という舞台で共演させていただいたことがあったのですが、あえてそのことを口にせず撮影に臨んでいました。そしたら最終日に渡辺さんから「毎年、うちのかみさんに年賀状ありがとうね」と言ってくださったんです。「僕のことを知っていたんですか?」って驚きました。「会った時から知っていたよ」って。嬉しかったし、すてきなご夫婦だなと思いました。

 市兵衛を演じられた向井理さんとは、撮影の合間によくお話しました。落ち着いたトーンでゆっくり話をされる方で、僕の方が年上なのに僕のほうがきゃぴきゃぴしているなと少し自分を恥じました(笑)。当時、向井さんは「舞台はチャンスがなくて」と言っていましたが、最近は舞台にも出演されているので、そうした場でまた出会えたらいいなと思っています。

大河ドラマ 青天を衝け(2021)

島津斉彬役

大河ドラマ 青天を衝け

インタビュー

 第6話のゲストで出演させていただいたのですが、正直に言うと最初は「島津斉彬?誰でしたっけ?」という感じだったんです。調べてみたら『西郷どん』では、あの渡辺謙さんが演じられていたんですね。一瞬、どうしよう!と思いました(笑)。でも島津藩と新納家との関わりで僕にお話がきたということで、そうしたご縁で役をいただけたのが嬉しかったです。

 第6話の1シーンのみの出番でしたが、やはり感慨深いものがありました。欲を言えばもう少し長く演じられたら、またいろいろと思い入れも出来たのではないかと思っています。

斉彬は篤君(後の天璋院/上白石萌音)に、13代将軍家定の正室となり、家定に慶喜を後継として認めさせるよう密かに命じる

 鹿児島の伊佐市には、実家のお墓とは別に島津時代の新納家代々のお墓があります。何年かに一度は島津家に仕えた新納忠元のお墓や忠元記念館、忠元公園を訪れていたのですが、ちょうどお参りをした翌年に『青天を衝け』のお話をいただきました。改めて先祖のお墓参りが大事だなと実感しました。

 また実在した方を演じた時も必ずお墓参りをするようにしているのですが、残念ながらコロナ禍でもあったことから斉彬公の墓所にはまだ行くことができていません。折を見て必ず訪れようと思っています。

大河ドラマ 鎌倉殿の13人(2022)

阿野全成役

大河ドラマ 鎌倉殿の13人

インタビュー

 撮影に入る前に三谷幸喜さんから、阿野全成は“悪禅師”と呼ばれたアクの強い人物で『真田丸』で演じた豊臣秀次とは対極にあるような役だと言われたんです。まだ台本も数話分しかいただいていなかったので、最初のころはセリフの後にちょっと企み顔をしてみたり (笑)。当時の映像を見ると、頼朝に従順なようでいて「兄上、見ておけよ」みたいな裏のある顔を残しています。あれは一体何だったんだろうというほど全成のキャラクターが激変 (笑)。全成と実衣(宮澤エマ)の夫婦がドラマの中の“癒やし”的な役割を果たすことになっていったのです。

「臨!・兵!・闘!・者!…」 実衣たちが平家に与する僧兵に襲われそうになった際、自分が風を起こす隙に逃げよと、九字を切る全成。結果、風は起きなかった

 鎌倉の陰謀や裏切りが描かれる現場はやはりピリピリとした空気が漂っているのですが、全成と実衣のシーンになるとスタッフさんたちもふっと肩の力が抜けるようなところがありました。2人のやりとりがコメディーのようでカメラマンが笑いをこらえながら撮影していたり、僕自身、大河ドラマではなく『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』を撮影しているのかなと思ったほど(笑)。

「あなたには赤が良く似合う」 互いに目を逸らし、空気をごまかす全成と実衣(宮澤エマ)

 でもオンエアが始まると視聴者のみなさんが全成と実衣の夫婦をとても愛してくださっていることが伝わってきました。たとえ戦時下でも多くの人は極力ふつうの生活を送ろうとするはずです。怯えながらも自分たちなりの幸せを見つけて暮らしていきたい、そんな願いを抱く一般の人たちの代表のように映ればいい。頼朝を支えることは仕事であり、鎌倉で実衣と幸せに暮らしたいと思っている。そんな全成を意識しながら演じました。

全成は奥州の藤原秀衡が鎌倉に攻めて来ないよう祈祷するが、そこに怪僧・文覚(市川猿之助)が加わり、激しい読経合戦が繰り広げられる

 大変だったのはお経を覚えることでした。撮影の3日くらい前にその週に覚えなくてはいけないお経が3つくらい届くんです。セリフなら3日あれば良いのですがお経は意味がわからないから本当に時間がかかる。それでも必死に覚えて真剣に演じていたのに、SNSなどで「このお経、本当に合っている?」「間違っているんじゃない」なんて書かれてしまう(笑)。真面目にやっているのにそう思われてしまうというのが、まさに全成というキャラクターであり、みなさんに育てられていることを実感しました(笑)。

「実衣ー!!」 2代将軍頼家を呪い殺そうとした罪を着せられ切り付けられる全成。手についた血から、赤が似合う愛妻を思い、叫ぶ

 最期は壮絶でしたが、それ以降の陰謀渦巻く世の中は全成には耐えられなかった気がします。あの段階で死んだことで辛い思いをしなくてすんだのではないかと。ただ一つ心残りは実衣のことです。出番が終わったら僕のところには台本が来ないので、一視聴者として楽しんでいるのですが全成の気持ちになって見ているところがあります。全成が「赤が似合う」と言っていたからと赤い着物を着た実衣を見た時には、「実衣ちゃん、赤を着てくれるのは嬉しいけれど、その赤は怖いよ。血の色のような赤は着ないで」なんてね(笑)。

実衣と出会った時には何も起こらなかった九字を再び切る全成。結果、激しい雷雨を起こす

 1年近い撮影期間、体の中にどんどん全成が蓄積し染み渡っていく実感がありました。日常生活が役に影響されることはないのですが、この1年は少し穏やかに過ごしていたような気もします。人間として豊かになれたようでもあり、また演技の技術を深める良い機会にもなりました。

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