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大地康雄 大地康雄

大地康雄だいちやすお

1951年、熊本県出身。高校卒業後、就職のために上京するが役者を志し、故伊藤雄之助に弟子入り。79年映画『衝動殺人 息子よ』でデビュー。主な出演作に、映画『マルサの女』『ミンボーの女』『バカヤロー!私、怒ってます』『病院に行こう』『砂の上のロビンソン』『恋するトマト』(主演・脚本・製作総指揮)『じんじん』(企画・主演)、ドラマ『東京湾ブルース』『刑事 鬼貫八郎』『引っ越せますか』など。NHKでは大河ドラマ『太平記』『江~姫たちの戦国~』、『開拓者たち』『荒神』などに出演。

大河ドラマ 太平記(1991)

一色右馬介役

大河ドラマ 太平記

インタビュー

 私が演じた右馬介は、大河ドラマ『太平記』のオリジナルキャラクター。子どもの頃、家族を北条方に殺され、たったひとり足利貞氏(緒形拳)に助けられた過去がありました。以来、生涯にわたって足利家に尽くしていこう強い思いを抱き、守り役として尊氏を支えていきます。まさに一生の恩返しですね。ですから、こうした背景を大事にしながら、役づくりの根幹としていったのを覚えています。

 右馬介は常に主人公の尊氏に付き従うので、僕にとっては誰が尊氏を演じるかは、とても大事な要素。その尊氏を真田広之さんが演じられるとうかがい、それなら尽くしがいがあると思いました。というのも、この作品の前に映画『病院へ行こう』でご一緒しており、その誠実さ、優しさ、男らしさに好感を持っていたんです。1年以上にわたって真田さん演じる尊氏とともに役を生き、はじめて人に尽くす喜びを知りました。そして、尽くすことはこんなにも人間を豊かにさせてくれるんだ。いいものだなと感じたのを覚えています。

 印象的なシーンはいくつかありますが、尊氏と右馬介が会話をしながら浜辺で馬を走らせるシーンは特別です。静岡県の三保の松原でのロケでした。真田さんはご存知の通り、JAC(ジャパン アクションクラブ)のご出身で運動神経抜群。乗馬の腕前も相当で、スピードが半端ないんですよ。私は『太平記』を機に馬に乗れるようになったばかりでしたので、長いセリフを話しながら真田さんのスピードに着いていくのに必死でした。NGを出してしまうと体力が持たないと思い、覚悟を決めて本番に挑んだんですよ。僕が乗っていた“ポンタ”という馬が本当に頑張ってくれて、何とか一発OKを出せたのは、未だに忘れられません。

 私が演じた右馬介は尊氏とともに、ほぼ全編に登場したので、本当に長丁場の現場でした。撮影期間中は真田さんと交流を深め、オフの日も一緒にスポーツをしたり、飲みに行ったりして仲良くしていましたね。そんなあるとき、テニスをしていて転んでしまったんです。「大丈夫ですか?」と駆け寄る真田さんに私が返した言葉は「大丈夫でござる」(笑)。それほど役が染みついていたんですね。また、『太平記』のすぐ後に映画『ミンボーの女』でホテルマンを演じることが決まっていて、セリフのけいこをしていたら「当ホテルは○○でござりまする」と口をついて出てしまったことも。1年以上も演じたので、役を抜くのが大変でした(笑)。

大河ドラマ 江〜姫たちの戦国〜(2011)

柴田勝家役

大河ドラマ 江〜姫たちの戦国〜

インタビュー

 私が演じたのは武闘派のイメージが強い柴田勝家。『江』では脚本家の田渕久美子さんが新たな側面を加えてお書きになりました。随分と脚本に助けられましたが、なかでも役づくりでは重視したのは、信長(豊川悦司)との関係。信長は家族の愛情を知らずに育った人物で、勝家は60歳でお市の方(鈴木保奈美)をめとるまで独身を貫いてきた、やはり家族に縁の薄い男でした。ですから信長とは、そうした寂しさや痛みをどこか共有し合った間柄なのではないかと想像したんです。勝家は剛直で気が強く、信念を曲げない人物。戦は強いが、安らげる場を持っていなかっただけに、信長が唯一、通じ合える友であり、心の支えだったのだと思います。信長にしてみれば、勝家の戦術的手腕は天下を取るのに欠くべからざるもので、織田家の筆頭にまで引き揚げている。それは勝家を演じる上では大きな要素でした。

 信長亡き後、思いがけず市と夫婦に、茶々(宮沢りえ)、初(水川あさみ)、江(上野樹里)の父になりました。家族を持ったことのない勝家は、当初、妻と娘たちにどう対処していいか、自信もなく戸惑い、つい敬語を使ってしまったりもしていましたね。それが、行方不明になった江の頬を叩くシーン以降、ほかの娘たちも心を開いてくれ、家族の愛情を初めて知ることになりました。

 しかし、勝家と一家の幸せな日々は半年で終を告げます。北ノ庄城の戦いで秀吉に敗れ、城に逃げ帰るんですよ。本来、武将なら戦地で自害するところを、家族の顔見たさに戻ってくるという。家族の温かさを知ったが故に、集中力が欠け、いつもの力を発揮できなかったのかもしれません。セリフでも「わしの人間の器の負けじゃ」と言っていますが、皮肉なものですね。

 ただ、城に火をかけて自害する直前、運命を共にするお市から思いがけないことを言われます。「お慕い致しております。あなた様と死ぬのは本望でございます」と。結婚当初、「少しでもいいから私のことを好いてもらったらありがたい」と市に語りかけていた勝家ですから、本当に人生の最後の半年が花だったのだと思いました。

大型ドキュメンタリードラマ 開拓者たち(2014)

早坂吾平役

大型ドキュメンタリードラマ 開拓者たち

インタビュー

 戦前、開拓者として旧満州(中国東北地方)へ渡ったものの、ソ連軍の侵攻によって過酷な逃避行を余儀なくされた人々を描いた作品でした。私が演じたのは主人公・阿部ハツ(満島ひかり)の先輩開拓民。逃避行では当初リーダー的な存在を担った人物でした。

 作品は実際の開拓民の方々にお話をうかがい、史実に基づいて作られたドキュメンタリードラマでしたが、演じていてもその逃避行は過酷でした。ソ連兵だけでなく中国人に見つかっても殺されてしまう恐怖のなかで、行くあてもなく、食べ物もなく逃げまどうのですから。赤ん坊が泣くと皆も見つかってしまうと、自分の子を殺した母親もいたそうです。川を渡る際には、流された子どもを見殺しにしたり、老人は足手まといにならないように自分から川に飛び込んで死んでいったというお話も聞きました。

 そんな想像を絶するような現実があったなかで、私が演じる吾平もまた、自ら死を覚悟して皆と別れることを決めます。子どものころから牧場の仕事を教えていたハツの弟・史郎(石田卓也)に全ての夢を託して…。本当は大好きな四郎と、日本に帰って牧場をしたかったのだと思います。でも、これ以上、皆の足を引っ張って危険が及んだら取り返しのつかないことになると、深い絶望のなか決断するんです。吾平は最後まで四郎を気遣い、励ましますが、演じていて人間愛を感じ、吾平の器の大きさに感動しました。そして、最後には「これまで楽しく過ごさせてくれてありがとう」という感謝の気持ちで別れのシーンを演じさせていただきました。

 戦争が引き起こす様々な悲劇が描かれた作品でしたが、なかでも印象に残ったのが、関東軍のトラックを見つけて助けを求めるシーン。しかし、関東軍はトラックにすがりつく開拓民たちを蹴落として立ち去ってしまいます。そもそも関東軍は残された開拓民がソ連軍に攻撃されることを知ったうえで、自分たちだけが逃げたんです。同じ日本人なのにこんなことができるのか、人間は自分が生き延びるためにどこまで残酷になれるのか、人の痛みにどこまで無神経になれるのかと、考えさせられた作品でした。改めて絶対に戦争をしてはいけない、犠牲になった人たちのことを忘れてはいけないと学ばせていただきました。

BS1スペシャル 開拓者たちの決断
「新幹線の父 不屈の闘い」(2016)

十河信二役

BS1スペシャル 開拓者たちの決断「新幹線の父 不屈の闘い」

インタビュー

 新幹線の生みの親、元国鉄総裁の十河(そごう)信二さんを演じさせていただきました。これだけスケールが大きく気骨があり、志の高い人を演じたことがなかったので、役づくりは難しかったです。そこで念頭に置いたのが「今まで生きてきて大抵のことは失敗している。ただ一つ成功したのは新幹線」という十河さんの言葉。十河さんは61歳で終戦を迎え、71歳のときに国鉄総裁になった人ですが、日本の敗戦は生涯最大の挫折でした。その挫折が大きい分、復興へ向かう情熱も大きかったのだと思います。

 十河さんは国鉄総裁を打診された際、最初は体調不良を理由に断っているんですよ。それが「祖国の難に赴くことを躊躇する不忠者」と言われて火がついた。そして国鉄総裁をひきうけ、私利私欲ではなく国のため国民のために働き、敗戦からの復興を成し遂げようと全身全霊で立ち向かいました。そんな十河さんの信念にはとても共感し、それだけ演技にも熱が入りました。

 明治生まれの頑固親父で熱血漢、非常にポジティブな方だったと言われる十河さんには、数々のエピソードが残されています。なかでも感じ入ったのは、政治家への根回しで夜討ち朝駆けをした話。建設大臣を務め道路族だった河野一郎さんを訪れた際には、何度足を運んでも会ってもらえず、アポイントを取っても一時間待たされた挙げ句、目の前をスーッと出て行ってしまった。それでも怒らず通い続けた姿に、河野さんが「老体にむち打ち朝駆けを繰り返す十河に根負けした。申し訳なかった」と、新幹線計画を内諾したのだとか。

 ほかにもエピソードはたくさんありますが、とにかく十河さんには「新幹線が実現すれば日本は必ず復興する」という夢と志がありました。自分の名誉や地位、金のためではなく、あくまでも他を利する利他の心を持って国と国民に尽くした人。番組の最後に、十河さんが91歳で亡くなった際のエピソードが描かれました。親類が故郷の四国に遺骨を持ち帰るときの出来事です。新幹線に乗ろうとすると、ある車掌が「遺影を窓の外から見えるように置いてください」と頼んできたそうです。「十河さんは新幹線の生みの親です。沿線の国鉄マンに見送らせてください」と。実際、停車駅の全てで何十人といる国鉄マンが最敬礼し、十河さんを見送ったそうです。彼が命がけで新幹線計画を推し進めたことが伝わっていたんですね。たった一人の人間が日本の未来を変えた事実は、今の若者にも希望を与えるのではないでしょうか。

スーパープレミアム スペシャルドラマ
荒神(2018)

源一役

スーパープレミアム スペシャルドラマ 荒神

インタビュー

 宮部みゆきさん原作のドラマ『荒神』は、江戸時代を舞台に怪物と人間たちの死闘を、VFXを駆使して描いたエンターテインメント時代劇。私も最初は現実とは別世界のファンタジーだと思っていたのですが、実際に演じてみると、怪物は人間の欲望や怒り、恐怖が作り出したものだと感じるようになりました。現実世界でいえば、一番典型的なのがアメリカが作った原子爆弾。人間は本当に恐ろしいものを作り出しますね。この怪物もそれと同じだと思いました。

 私が演じたのは鉄砲打ちの源一。村が怪物に襲われて孫の簑吉(高村佳偉斗)と逃げたものの、生き別れになってしまうという役どころでした。後に主人公の朱音(内田有紀)の元で匿われていた孫と再会し、怪物に立ち向かうことになるのですが、怪物が全てVFXの合成だったので、見えない敵に向かってお芝居をしていたんですよ。助監督さんが長い棒を持って「これを怪物だと思ってやってください」とおっしゃって(苦笑)。まずは自分のなかに恐怖心を作り出し、それを怪物とダブらせて演じました。ほかの俳優さんも見えない敵を前に「ワ〜ッ」とよく反応されていましたね。

 実際にできあがった作品を見てみると、迫力満点の映像でビックリしました。だけど、実はお芝居で使った火縄銃が本物だったので、重くて大変だったんですよ。でも、役者って不思議で、いざ役に入ると重さを感じなくなってしまう。役づくりのポイントは“鉄砲の腕に自信を持つ”ということだったので、やっぱり何でも気の持ちようなんだと思いました。

 2020年に入り、コロナウイルスの流行で世界中が混乱していて、人間の浅はかな知恵が及ばない大きな力を感じます。今回のウイルスも自然破壊による野生動物との接触によるものが一因かもしれないと言われていますが、人間があまりにも自然を壊し続けると逆襲を受けるんだと身に染みます。『荒神』もまた人間が持つ傲慢さがとんでもない怪物を生み出してしまい、逆襲を受けるという物語。ですから見方によっては、教えられる部分が大きいですね。

BS時代劇 雲霧仁左衛門5(2022)

西海屋主・東蔵役

BS時代劇 雲霧仁左衛門5

インタビュー

 『雲霧仁左衛門』は第5シリーズまで続く人気作。そのなかで悪役にあたる西海屋(さいかいや)を演じさせていただきました。賄賂を使って有力者に取り入り、店を大きくしてきた西海屋は、人は金のためなら残酷になれることを知っている人物。一見、ただの悪徳商人に見えますが、実はお金で相当な苦労をしてきて、この人なりに真面目に金もうけをしていると解釈して演じさせていただきました。お店を4軒も経営して、雇用にも貢献していますしね。

幕府の御用商人・西海屋 東蔵

 セリフにもありましたが、お役人は雇い主からお金をもらえるし、足りなくなれば自分たちから搾取する。だから、世の中を動かしているのは自分たち商人ではないかと。いつの世の中にもお金の力でなんとか地位や名誉を維持している人はいますが、西海屋はその典型。自分自身の正義はあっても、結局は悪い事をして集めたお金ですから、やっぱり最後には全財産を雲霧に奪われて地獄の底に落とされます。若いころは悪役専門でやっていたので、そういう人物のなれの果てを久しぶりに演じさせていただきました。

金の力で若年寄・三好出羽守(筧利夫)に取り入る

 今作の撮影が行われたのは2020年のこと。コロナウイルス感染拡大防止のため細心の注意を払って進められていたものの中断を余儀なくされたため、ようやくの放送となりました。私の登場部分は2020年に撮り終えていましたが、監督さんも俳優さんも礼儀正しく、一瞬、コロナを忘れさせてくれるような気持ちがさわやかになる現場でした。さまざまな制約がありつつも、本物志向でこだわって撮影された作品ですので楽しんでいただければうれしいです。

雲霧一党の標的にされ散々な目に合う
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