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柿澤勇人 柿澤勇人

柿澤勇人俳優かきざわはやと

1987年、神奈川県出身。2007年に劇団四季公演のミュージカル「ジーザス・クライスト=スーパースター」でデビュー。主な出演作に「デスノート THE MUSICAL」「スルース〜探偵〜」「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」、映画『すくってごらん』、ドラマ『真犯人フラグ』『向こうの果て』など。NHKでは大河ドラマ『平清盛』『軍師官兵衛』、連続テレビ小説『エール』などに出演。『鎌倉殿の13人』では悲劇の将軍、源実朝を演じる。

大河ドラマ 平清盛(2012)

以仁王(もちひとおう)役

大河ドラマ 平清盛

インタビュー

 大河ドラマに対して、多くの方が思い描くような重厚感や歴史のある作品というイメージが僕にもありました。祖父母の代からずっと見てきましたから番組に出演が決まったときは、不思議な感覚を覚えると同時に身が引き締まりました。初大河となった『平清盛』では主演の松山ケンイチさんをはじめそうそうたるキャスト陣との共演に、すごく緊張しながら参加していたのを覚えています。

後白河法皇の皇子でありながら30歳になっても帝になれない以仁王は、我が身の不遇を嘆く

 演じたのは、悲劇の皇子とも呼ばれた以仁王(もちひとおう)。後白河法皇(松田翔太)の第3皇子でありながら、親王宣下を受けられず、帝になれなかった人物です。父、後白河法皇が平家によって幽閉された際に自らの所領も没収されたことに憤り、平家打倒の令旨(りょうじ)を発したものの、自らは平家に敗れて亡くなる運命でした。

養母である八条院暲子(はちじょういんあきこ/佐藤仁美)の財力を背景とした発言力のもと、父である帝に自身をアピールする以仁王

 役を演じるにあたっては京都にあるお墓にお参りしてクランクインを迎えました。「なぜ自分は生まれてきたのでしょうか」と問うセリフがあるほど不遇な人でしたが、そんな以仁王を誰よりも思って寄り添ったのが養母の暲子(佐藤仁美)。演じる佐藤さんとは初共演でしたが、とても温かく接してくださったので、令旨を出した後、屋敷に平氏の兵が押し寄せる場面での母上(暲子)とのお別れがとても印象的に残っています。

諸国に平家打倒の令示(りょうじ)を出し、自らも挙兵を画策した以仁王だったが、企てが発覚。養母・暲子の袿(うちき)を借り、女性の振りをして逃げるが…

 ただ、初大河で所作、衣裳(いしょう)など慣れないことばかりだったため、きちんとやらなきゃというプレッシャーのなか無我夢中でお芝居をしていたような気がします。以仁王は高貴な人物だったので、豪華な衣裳が重かったと思うのですが、それをさほど感じないほどでした。懐かしいですね。

大河ドラマ 軍師官兵衛(2014)

森蘭丸役

大河ドラマ 軍師官兵衛

インタビュー

 2度目の大河では織田信長(江口洋介)の小姓、森蘭丸を演じました。蘭丸については信長と同性愛の関係だったなど諸説ある人物ですが、『軍師官兵衛』ではそういう部分はフィーチャーされなかったので、右腕としてかわいがられている存在だという点を意識して演じたつもりです。

森蘭丸は武勇にも秀で、信長(江口洋介)の小姓として側近くに仕える

 この役で印象的だったのは、真っ赤な衣裳。『鎌倉殿の13人』でも同じ方が衣裳を担当されているのですが、久しぶりにお会いしたときに「すごかったよね」と話題になったほど、格好良くて目立つ衣裳がとても嬉しかったのを覚えています。

『軍師官兵衛』での蘭丸のテーマカラーは赤。画面上でもその存在感が際立ち、衣装だけでなく、甲冑も同じ赤で統一されていた

 また、本能寺の変での殺陣(たて)も印象に残っています。僕自身、初めて殺陣の稽古(けいこ)をやって「こんなに大変なんだ」と実感することに。普段からミュージカルなどで踊ることには慣れていますが、殺陣は踊りとはまた違う筋肉を使うというか、相手との間合いを見極めたり、息を合わせなくてはいけないという点で難しかったですね。そんな経験ができて有り難かったです。

本能寺の変で信長を守り、共に戦った蘭丸。「ここは我らにおまかせを」と自ら盾となり、信長を逃す

 信長役の江口洋介さんはとても優しい方でした。当時の僕はまだ20代で若かったので、とあるシーンで監督から「声を張って欲しい」と要求されて、重厚な声を出すのが難しくて悩んでいたんです。そうしたら江口さんが「若いころは声が鳴らないから、そんなに気にしなくていいよ。俺も若いころに声のことですごく悩んでいて、ボイストレーニングにもよく行ってた」と声をかけてくださって、気持ちが楽になりました。その後も別の作品で少しだけですが共演でき、うれしかったです。

蘭丸は明智勢に囲まれるも怯むことなく最期まで戦う

連続テレビ小説 エール(2013)

山藤太郎役

連続テレビ小説 エール

インタビュー

 ゲスト的な出演でしたが、昭和の偉大な歌手である藤山一郎さんをモデルにした役を演じさせていただきました。喜びとともにプレッシャーも感じる役どころったので、残されている音源を何度も聴いて役づくりをしました。藤山さんは声の高い方ですが、朗々と歌うわけではなく、どちらかといえば語るような感じがしました。

「丘を越えて」を伸びやかに歌う山藤

 歌手であれば、どうしても自分の声を聴かせたくなったり、カッコつけてしまったりする部分があるのですが、藤山さんの場合はそれを一切排除して技術的に魅せようとせず、楽譜通りに歌っている印象。でも実はそうやってシンプルに歌うことが一番伝わるし、一番難しいことでもあるんですよね。

 藤山さんの歌声は軽やかに聞こえるときもキーはとても高くて、ふつうなら声を張らないと出ないほどの音域だったりします。もちろんご自身の恵まれた声帯のおかげもあるとは思いますが、おそらくすごく練習をしないとああいう感じは出せないのではと思いました。僕自身はあんなふうにうまくはできないけれど、できる限りの努力はして臨まないとと思い、練習を重ねたつもりです。そのかいあって、藤山さんのお孫さんから「若いころの祖父に似ている」とおっしゃっていただき、感激しました。

「今のあなたの叫びこそ、『若き血』です!」 山藤は慶応義塾大2年の時、応援歌・『若き血』は母校愛を込めて歌うよう応援団に熱血指導。その甲斐あって慶応は野球の早慶戦で連戦連勝する

 ドラマでは主人公の古山裕一(窪田正孝)が作曲した、戦争を体験した人たちのための鎮魂の歌「長崎の鐘」を歌いました。重いテーマとメッセージを持つ祈りのような歌ですから、生半可な気持ちではできないと思い、レコーディングの直前まで自宅近くのスタジオにこもって練習をしていました。ところが、レコーディングでは1、2回歌って終わってしまい、「大丈夫かな?」と不安になったのを覚えています。

歌手で唯一南方の最前線まで慰問し、捕虜も経験した山藤が、希望を込めて歌う「長崎の鐘」は、多くの人の心を打った

ドラマ10 群青領域(2021)

河西陽樹役

ドラマ10 群青領域

インタビュー

 圧倒的な人気を誇る5人組バンド「Indigo AREA」のボーカルで、主人公・ジュニ(シム・ウンギョン)の恋人役でした。初回から衝撃的な形でバンドを脱退することを発表し、同時にジュニにも一方的に別れを告げる役柄で、しかも「そんなこと言っちゃう?」と思うほど辛辣な人物だったので、演じる身としてはしんどかったです。

 人気ロックバンドのボーカルということで歌唱シーンもありましたが、僕のふだんの歌い方とも、ミュージカルでの歌い方とも違う感じを、監督やプロデューサーと模索しました。ただ僕はいつもプレッシャーを感じるあまり、歌の仕事で気持ちいいと思ったことがないので、フロントマンの立ち位置ではありましたが特別な感慨はありませんでした。屈折した思いを抱える陽樹を演じるにあたっては、それで良かったのかなと思っています。

 恋人でバンドのキーボードを担当するジュニが才能あふれる女性なのに対し、陽樹は自分の才能が足りないのではないかと常に焦りを抱えていました。その思いを払拭すべく、ハリウッド系のレーベルの力を借りて自分のステータスを上げようとしますが、結局それが自分のやりたいことではなかったことに気づきます。ずっと何かを踏み台にしなければ自分を保っていられないような精神状態だったので、僕自身も演じながら辛い時間が続いたのかもしれません。

「ありがとう、さようなら」
「さようなら」
ジュニ(シム・ウンギョン)と陽樹は、自分の気持ちと向き合い認め合いつつも、別々の道を歩むことに

 ジュニを演じたシム・ウンギョンさんは優しくて、繊細な方。役に入り込むタイプなのか、お芝居についても、いろんなアプローチを提案されて、1シーンで何パターンか試すこともありました。最終回でジュニと和解するシーンを海辺で撮影したのですが、僕自身はそれまでスタジオのなかで悶々とした気持ちのシーンを撮影してきていたので、海が見られて癒やされました。実はほかのメンバーが海辺で撮影しているのが、ずっとうらやましかったんですよ(笑)。

大河ドラマ 鎌倉殿の13人(2022)

源実朝役

大河ドラマ 鎌倉殿の13人

インタビュー

 当初は実朝に教科書で見知った程度の知識しかなかったのですが、最新の研究や番組の時代考証にあたっている坂井孝一さんの著書を読んで、一般的に知られている実朝のイメージよりももっと掘り下げて演じられる役なのではと思うようになりました。

 クランクイン前には脚本の三谷幸喜さんのお誘いで、一緒に鎌倉を歩き、鶴岡八幡宮でご祈祷もさせていただきました。その際に役についてもいろいろとうかがえたのは大きかったですね。一般的に実朝には政から逃げ、和歌や蹴菊(しゅうぎく)に走った文弱な人というイメージがありますが、三谷さんの考える実朝像は少し違っていたんです。

 後鳥羽上皇と手を組むことで、より力を発揮できると考えていたり、幕府を維持するために力でねじ伏せ、血を流してきたやり方を、違う方向に持っていきたいと思ったのではないかとおっしゃって。当時としてはセンセーショナルだったのかもしれないけれど、人間として考えると正常でピュアな精神の持ち主で、すごく頭の良い人だったのではと役への思いをうかがい、多くの資料を読む中で僕自身のなかに新たな実朝像が出来上がっていきました。

祖父・北条時政(坂東 彌十郎)に頼まれ、内容を確認せずに畠山重忠追討の御下文に署名した実朝は、軽率な行いを後悔。次に時政が鎌倉殿の座を平賀朝雅に譲るよう迫った時は、刀を抜かれても屈しなかった

 存在は広く知られていても、これまであまり映像作品でフィーチャーされてこなかった実朝を「鎌倉殿の13人」では深く描いていきます。そういう意味では新たな実朝像をじっくりとお見せできるのではないでしょうか。実際にどんな人物だったのか、正解はありませんが丁寧に取り組むことが楽しいですし、責任を感じながら大切に演じさせていただいています。

「お前の悩みはどんなものであっても、それはお前独りの悩みではない。遥か昔から同じことで悩んできた者がいることを忘れるな。この先も同じことで悩む者がいることを忘れるな」

 そんななかで印象に残っているのが第35回で描かれる歩き巫女(大竹しのぶ)とのシーン。実は撮影にいらしていた三谷さんから「泣いてくださいね」と言われていました。正直、泣けるかどうか分からないなと思いながら芝居に入ったのですが、いざしのぶさんと対峙したら吸い込まれるような感じがあって、気づいたら涙があふれていて…。実朝を演じるなかで感情をあまり表に出さずにきたので、それで良かったのか分かりませんでしたが、三谷さんから「すべてが見えました。ありがとうございます」とメッセージをいただき安心しました。史実で知られる通り、実朝は鶴岡八幡宮での最期に向かっていきますが、実朝イコール柿澤と思っていただけるような人物像を作れればと思っていますので、じっくりとご覧いただければうれしいです。

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