2022年2月21日 (月)お祭り評論家 山本哲也の 一度は行きたい! この祭り「キリコ祭り」(石川県)


キリコ祭り(石川県)

キリコ祭り(石川県)

 お祭り評論家 山本哲也さんが一度は行きたい全国各地の祭りを「みちしる」の動画の中から厳選。その魅力を語ります。今回は、石川県能登町宇出津(うしつ)地区で毎年7月に行われる「キリコ祭り」。コロナ禍で2021年は中止となってしまいましたが、山本さんの見どころ解説と、とっておきのアーカイブス映像をご覧ください。

山本哲也さん

山本哲也

 1970年大阪府東大阪市生まれ。近畿大学理工学部卒業。お祭り評論家。学生時代に行った青森ねぶたで祭りの楽しさに開眼、以来全国300か所以上の祭り・イベントを訪問。自ら趣味で制作したお祭り情報サイトがきっかけで、旅行雑誌で祭り情報の連載を担当。編集プロダクション勤務を経て、現在テレビやラジオ・雑誌・インターネットなど各種メディアで活躍。一般参加者の視点から、祭りの楽しさ・奥深さを伝えている。

 奥能登で、キリコが登場する祭りを「キリコ祭り」とよびますが、ある一つの祭りをさすのではなく、代表的なものだけでも30前後、地域で行われる小さな祭りも含めると200もの祭りがあると言われています。
 「キリコ」とは、前後方向に担ぎ棒がついた灯籠。祭りによって大きさは異なりますが、「石崎奉燈祭」(七尾市)では高さ15m、「寺家キリコ祭り」(珠洲市)では高さ16mにも及ぶキリコがあります。
 筆者が実際に見たキリコは、1999年に行った「石崎奉燈祭」と、2019年に行った能登町宇出津地区の「あばれ祭」です。動画はこの「あばれ祭」で、今回はあばれ祭について紹介します。
 神聖な神輿(みこし)を海や川へたたきつける、火中に投入するといった激しいお祭りとして知られていて、キリコが主役となる日は1日目で、神輿が主役になるのが2日目です。昼間からキリコが町を行き交い、午後8時ごろからは動画で見ていただいたように、大松明(たいまつ)のまわりでキリコを担いで勇壮に乱舞、花火もあがって、祭り最初の山場を迎えます。
 実は今回の祭り見物で、ある大失敗をしました。
 祭りが行われる宇出津には宿が少ないため、和倉温泉観光協会加盟の旅館宿泊者限定で「キリコ見学バス」が用意されていて、自家用車がなくても夜の祭りを楽しむことができるのです。しかし、私が泊まった宿は、観光協会非加盟のホテル。見学バスを利用できず、1日目の山場であるキリコを見逃すことになりました。わずかな宿泊費の差額でお金をケチってはいけないという教訓を得ました。見に行く人は注意してください。

(写真1)キリコの昼間の巡行
(写真1)キリコの昼間の巡行

 あばれ祭りの現地に着いたのは、翌2日目のお昼前。神輿が海に飛び込むという決定的な瞬間に間に合わなかったという痛恨のミスはあったものの、炎に投げ込まれる神輿をながめつつ、神輿巡行の隙間を縫って、男たちが担いで町を練り歩くキリコの昼間巡行を見たり(写真1)、宇出津の町並みを見ながら、夜の巡行に備えて待機しているキリコを眺めたりしていました。写真2を見ていただけると分かるように、灯籠を照らす提灯(ちょうちん)が入っていて内部構造はシンプルで、とても薄いのがキリコの特徴といえるでしょう。
 宇出津ではこのように、高さ約7mのキリコが全部で約40本登場します。

(写真2)真横から見たキリコ
(写真2)真横から見たキリコ

 2日目夜は、あばれ神輿の山場。大通りに各町内から多数のキリコが勢ぞろいして灯籠に明かりがともり、お囃子を激しく打ち鳴らし町中をおはらいするかのよう巡行し、暴れ神輿が到着するのを今かと待ち構えています(写真3)。

(写真3)あばれ神輿の到着を待つキリコ
(写真3)あばれ神輿の到着を待つキリコ

 やがてあばれ神輿は、川へ何度も放りこまれ、炎を浴びながら神社へ。その間キリコは、夜の大通りにいたり、街角を練り歩いたりして、深夜2時頃まで、祭りが終わるのを惜しむかのように、宇出津の町内にお囃子を響かせていました。筆者も、金沢行き始発のバスを待っている間、にぎやかさと祭りが終わるさみしさの入り交じるさまを、夜通し眺めていました。

写真撮影:山本哲也


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