番組エピソード
「大河ドラマ」の歴代“秀吉”
大河ドラマで戦国時代を描く作品は多い。そのため、天下統一に導いた織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という“三英傑”が登場することも必然と多くなる。
その中でも日本史上最大のサクセスストーリーを実現した英雄・秀吉の人気は高い。そこで今回は、過去の大河で、秀吉を誰がどう演じたのか。エピソードとともに紹介しよう。
なお、緒形拳は、13年後に第16作『黄金の日日』で、2度目の秀吉を演じている。ただし、『黄金の日日』では打って変わって、堺の商人を糾弾する悪役としての秀吉を熱演。この時、信長は『太閤記』に引き続き高橋幸治が演じ、コンビの復活も話題になった。
竹中直人も緒形拳同様、18年後に第53作『軍師官兵衛』で、2度目の秀吉を演じている。このときの秀吉は、織田信長(江口洋介)の家臣・木下藤吉郎として登場。“本能寺の変”の直後、信頼する黒田官兵衛(岡田准一)にあおられ、天下統一へと動き出す。女好きで茶々(二階堂ふみ)におぼれていくさまや、官兵衛を恐れるようになるさまなど、次第に狂気をまとう秀吉を熱演した。
2度目の秀吉を演じることについて竹中は、「『秀吉』では豊臣秀吉の“光”の部分が描かれましたが、『軍師官兵衛』では“闇”の部分を演じることが出来て、ありがたかったです。
というのも『秀吉』のときに、大河ドラマの主役はみんなヒーローだけど、最後は墜ちてゆく秀吉を演じたいと話していたんです。でも、柔らかな印象で終わっていきました。どこか自分のなかで演じ足りない気持ちが残っていたんです。それが奇しくも『軍師官兵衛』で同じ豊臣秀吉役をいただき、別の角度から演じる機会を得たことは素晴らしい経験でした」と語っている。
見た目でなり切る
秀吉は、脇役でも重要な役どころ。個性派俳優たちが、それぞれに秀吉に対する思いやこだわりをもって演じてきた。
第27作『春日局』(1989年)で秀吉を演じた藤岡琢也は、役が決まったとき「本当にうれしかったですね。俳優になって32年、その総決算のつもりで自分をこの大役の中に全部投げ込んでみようと思ったんです」とまで話している。
藤岡は役作りを考えるうえで「新書太閤記」(吉川英治著)全8巻を読み直してみたそうだ。そこで外観をそれらしく見せる手がかりとなったのが、「藤吉郎が赤毛だ」という描写だった。幼少年期、貧しかったために栄養のバランスがよくなかったからではないか。それならきれいな直毛であるはずもない。そんな推理の末に、チリヂリに縮れた赤毛のかつらを作ってもらい、それによってのりにのって演じられたという。
第45作『功名が辻』(2006年)の秀吉役・柄本明がこだわったのはメーキャップだった。メイクで秀吉のサル顔に近づけたいとスタッフに希望したのだ。
若いころは、おでこからほおにかけてハート型の赤みを入れ、丸く大きな弧を描く眉でサル顔を強調。出世とともに日焼けを表す赤みは抑えめなったが、今度は鼻の下の“人中”と呼ばれる部位に縦の黒い線を薄く入れるようになった。全体の印象がぼけてくるので、鼻の下の線でサル顔を維持したのだ。
これまで暴君として捉えられてきた信長(緒形直人)。その生涯を、ヨーロッパから布教にきた一宣教師の目を通じてその内面まで掘り下げ、新しいタッチで描いた作品で、イケメン秀吉も新しい世界観づくりに一役買った。なお、仲村トオルは、第31作『琉球の風』の初回でも、同じ秀吉役で1シーンのみ出演している。
“恐怖の”秀吉No.1は
一方、人懐っこいイメージとはうって変わり、恐ろしい天下人として、強烈な印象を残したのが、第25作『独眼竜政宗』(1987年)の勝新太郎だった。
そのほかの秀吉も、最初はごく粗末な麻の着物で登場する。第41作『利家とまつ~加賀百万石物語~』(2002年)で秀吉を演じた香川照之は、「猿と呼ばれていた時代の扮装があまりに汚くて、マネージャーが僕だと気づかなかったんですよ」と笑っていたほど。
それが、身分が高くなるにつれ直垂や道服を着るようになり、太閤になってからは金箔銀箔などがふんだんに使われるようになる。
茶々にいちずに恋する秀吉
第50作『江~姫たちの戦国~』(2011年)の岸谷五朗は、宮沢りえ演じる茶々を敬いながらも純粋に思い続ける秀吉を演じた。沈着冷静な茶々が、側室といる秀吉を見て思わず秀吉のほおをたたくシーンは印象的。恋に翻弄される秀吉と、かたくなだった心が解けていく茶々。2人の関係性が次第に変わっていく様子が丁寧に描かれた。
新しい恐怖の秀吉像
2016年の第55作『真田丸』で秀吉を演じたのは小日向文世。愛きょうがあり、無邪気に見えて、目の奥が笑っていなかったり、ちょっとした家臣の動きを目でちらりと見ていたりと、どこか背筋がゾッとするような恐ろしさを感じさせる秀吉を演じた。また、老いた秀吉が認知症の症状を見せるシーンが描かれたことも注目された。
小日向は「最初に“秀吉をやってもらえますか”と電話がかかってきたときは、プレッシャーもありました。今までにない秀吉、と言われたこともあって。無邪気な秀吉、おそろしいぐらい嫉妬に狂う秀吉、そしてその間にいる政治的な部分で冷静さを持つ秀吉。この3つの秀吉を意識しつつ、(脚本の)三谷幸喜さんの秀吉像を頭に描きながら演じていました」と話している。
秀吉が登場する『大河ドラマ』一覧
- 1965年(3作目) 太閤記
- 秀吉:緒形拳(※主役)
- 1969年(7作目) 天と地と
- 秀吉:浜田光夫
- 1971年(9作目) 春の坂道
- 秀吉:中村芝鶴
- 1973年(11作目) 国盗り物語
- 秀吉:火野正平
- 1978年(16作目) 黄金の日日
- 秀吉:緒形 拳
- 1981年(19作目) おんな太閤記
- 秀吉:西田敏行
- 1983年(21作目) 徳川家康
- 秀吉:武田鉄矢
- 1987年(25作目) 独眼竜政宗
- 秀吉:勝新太郎
- 1989年(27作目) 春日局
- 秀吉:藤岡琢也
- 1992年(30作目) 信長 KING OF ZIPANGU
- 秀吉:仲村トオル
- 1993年(31作目) 琉球の風
- 秀吉:仲村トオル
- 1996年(35作目) 秀吉
- 秀吉:竹中直人(※主役)
- 2002年(41作目) 利家とまつ~加賀百万石物語~
- 秀吉:香川照之
- 2006年(45作目) 功名が辻
- 秀吉:柄本明
- 2009年(48作目) 天地人
- 秀吉:笹野高史
- 2011年(50作目) 江~姫たちの戦国~
- 秀吉:岸谷五朗
- 2014年(53作目) 軍師官兵衛
- 秀吉:竹中直人
- 2016年(55作目) 真田丸
- 秀吉:小日向文世
※なお、2000年(第39作)『葵 徳川三代』の第2回「秀吉の遺言」で、秀吉が息を引き取るシーンがあるが、寝ている姿を遠目で映しただけなので省略。2017年(第56作)『おんな城主 直虎』では名前と存在が語られるシーンはあったが登場はしなかった。
※NHKアーカイブスブログ(2009年9月4日)より転載、加筆
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