• ドイツの哲学者カントの『純粋理性批判』0:00

    ドイツの哲学者カントの『純粋理性批判』

    ドイツの哲学者イマヌエル・カントが、人間の物事に対する認識の仕組みを追究した哲学書『純粋理性批判』。認識の方法については当時、「イギリス経験論」と「大陸合理論」の2つの哲学の学派があった。

  • 人間の主観が認識を構築する「イギリス経験論」0:53

    人間の主観が認識を構築する「イギリス経験論」

    イギリス経験論は「人間が主観的に経験したものをゼロから積み上げて認識を作る」という考え。しかしこの考えに立つと、人間は主観の外に抜け出せなくなり、自然科学の客観性をも疑うことになる。

  • 人間の先天的能力を信じる「大陸合理論」1:33

    人間の先天的能力を信じる「大陸合理論」

    大陸合理論は「人間は合理的に物事の真理を捉える知的能力を先天的に備えており、世界を理詰めで認識できる」という考え。しかし「頭でこしらえただけ」との批判が生じ、2つの学派は対立。哲学は存亡の危機に陥る。

  • 2つの学派の間に立つ哲学救済策『純粋理性批判』2:17

    2つの学派の間に立つ哲学救済策『純粋理性批判』

    そこでカントが書き上げたのが、2つの学派の間に立つ哲学救済策ともいうべき『純粋理性批判』だった。人間には判断できる領域とできない領域があり、知ることのできる限界がどこかを吟味するのがその内容だった。

  • 人間は生まれつき外せない眼鏡で物事を見ている3:03

    人間は生まれつき外せない眼鏡で物事を見ている

    例えば人間はリンゴを赤色と認識するが、猫は赤色が見えないため、その概念はない。カントは「人間は生まれつき外せない眼鏡でリンゴを見ていて、実際にそれがどうなっているか誰も知ることはできない」とした。

  • カントの新説は「コペルニクス的転回」3:36

    カントの新説は「コペルニクス的転回」

    カントは「物自体は人間が認識する姿とは別の姿で存在しており、実体を決して知ることはできない」とした。この発想をカントは地動説を唱えた天文学者になぞらえ「コペルニクス的転回」と呼んだ。

  • 正義も個人の主観の中にある4:20

    正義も個人の主観の中にある

    この発想は現代にも生かせる。「例えば『正義』も『絶対的な正義は無い』と考える。正義の感覚は人によって違うから、それぞれの主観の中に探っていくという考え方です」と東京医科大学哲学教室・西研教授は解説。

カントの哲学書『純粋理性批判』そのコペルニクス的転回とは!?

100分de名著

哲学の歴史に金字塔を打ち立てた哲学書「純粋理性批判」。この本でドイツの哲学者イマヌエル・カントは認識の仕組みを解明した。これは、当時対立していた2つの哲学学派「イギリス経験論」と「大陸合理論」の間に立つ哲学救済策ともいうべき本であった。物事の本当の姿とは?現代に生かす哲学を読み解く(100分de名著)