フランシス・デ・ゴヤ「我が子を食らうサトゥルヌス」を詩人・田村隆一が読み解く
その目は何を見つめるのか?我が子を食いちぎる神話の巨人サトゥルヌス。フランシス・デ・ゴヤ作「我が子を食らうサトゥルヌス」。詩人・田村隆一は「見る者に生命感覚を与える」と評する。生命感覚とは?
戦争を体験したフランシス・デ・ゴヤが描いた「黒い絵」
1808年、ゴヤ62歳。スペイン独立戦争勃発。市民を巻き込む泥沼の戦い。人々は怪物と化した。戦争を体験したゴヤは14点の「黒い絵」を描く。この絵は自宅食堂の壁に描かれた。
人間だけが同類を殺したり、虐殺したり、いじめをしたり、拷問にかけたりする悲惨さ
田村隆一は語る。「人間だけ同類を殺したり、虐殺したり、いじめをしたり、拷問にかけたり。人間はもっと生の根源、生は生きるです。生の根源に立ち戻ってね。人間は自然の一部、しかも微小なる一部」。
「ゴヤは人間の存在そのものの悲惨さを具象化した」と田村隆一
「映っているだけがリアルではない。ゴヤの表現によって人間の心の中に眠るものが目覚める。人間の存在そのものの悲惨さを具象化した、というふうに考えてはどうでしょうか」と田村隆一は読み解く。
ゴヤ「我が子を食らうサトゥルヌス」が描いた人間の悲惨さ
日曜美術館
一度見たら忘れられない衝撃的な絵画《我が子を食らうサトゥルヌス》、描いたのはスペインで王宮画家をしていたフランシス・デ・ゴヤ。なぜゴヤはこれほどまでに恐ろしい絵を描いたのか。詩人の田村隆一が、ゴヤの絵から「人間」を語る。(日曜美術館)