レンブラントは15歳で画家に弟子入りし、22歳で卓越した描写力を有していた
レンブラント・ファン・レインが生まれたのは1606年。製粉業を営む家の第9子。15歳で画家に弟子入りし、19歳で独立。22歳の自画像には対象を的確に捉えリアルに再現する卓越した描写力が見られる。
新しい表現に挑戦し続ける画家・レンブラント
一番重要な顔にあえて影を落とし、明暗表現の実験をする。光の反射を受けた巻き毛を筆の柄でひっかくように描き、固く細い独特のラインを生み出そうとする。抜群の画力を持ちつつ、新しい表現に挑戦し続けていた。
ルネサンスの画家たちと違い、あえて筆跡を残したレンブラント
28歳で描いたほぼ等身大の肖像画。靴の飾りに近づいてみよう。白い絵の具が不規則に、飛び散っているかのように施されている。筆跡が残らないように描いていたルネサンスの画家たちと違い、あえて筆跡を残すのだ。
レンブラントはラファエロより偉大だとドラクロワは言った
しかし離れて見ると、確かな存在感を持ってその形が表れる。後の画家ウジェーヌ・ドラクロワは言った。「いつか人びとはレンブラントがラファエロよりはるかに偉大な画家であることを発見するはずだ」。
レンブラント「夜警」画面全体が迫ってくるようなダイナミズム
画家として絶頂だったころ、市民団体の依頼を受け、描いたのが「夜警」。人々を今にも動き出しそうなポーズで配置し、ドラマチックな光と影を施すことで画面全体が迫ってくるようなダイナミズムを生み出してみせた。
レンブラントのクライアントにも配慮した粋な表現
それだけではない。真ん中より少し右の部分。楕円形の飾りのようなものが見えないだろうか。ここには肖像画の依頼主の名前が書かれているという。絵画の世界観を保ちつつ、クライアントにも配慮した粋な表現だ。
「夜警」の中に作者自身が。絵の一番奥から鑑賞者たちを見つめるレンブラント
レンブラント自身も描かれているという。一番奥にいる目だけ見える人物だ。白いハイライトが入れられ、瞳が輝いている。他の人物とは全く違う次元にいるかのよう。私たち鑑賞者を見つめるような眼差しだ。
科学的調査でレンブラントの厚塗りの秘密が分かり始めた~アムステルダム国立美術館
20年もの間、レンブラントの作品を科学的に調査してきたペトリア・ノーブルさん。アムステルダム国立美術館絵画保存部門責任者。立体的に見えるあの厚塗りの秘密が分かり始めたといいます。
酸化鉛を検出!レンブラントの厚塗りの原因が判明?
「調査で今までに検出されなかった鉛化合物が見つかりました。レンブラントは顔料を溶く油に酸化鉛を混ぜていたのではないか。こうすることで絵の具の粘着力が高まり、あの厚塗りが可能になったと推測できるのです」
レンブラントが毒性の強い顔料にあえて挑戦した理由は?
さらに今回の調査ではパラ鶏冠石が識別された。毒性の強い砒素を含む顔料に挑戦したのは、いままでにない黄金色を出したいと考えたからでは。若くして栄光を手にした後も、画家は挑戦し続けたのだ。
「夜警」の画家・レンブラントは新しい表現に挑戦し続けた
日曜美術館
「夜警」や肖像画などの絵画作品を描いた画家、レンブラント・ファン・レイン(1606~1669)。ヨーロッパ美術史における重要人物の一人として知られている。光を使い分け、新しい表現・色味を使ったレンブラント作品の注目ポイントを6分でお届けする。(日曜美術館)