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オープニング
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『もやモ屋』。それは、まぼろしの映画館(えいがかん)。みればみるほど、頭はモヤモヤ、心もモヤモヤ。さあ、ごらんあれ!

scene 01夏休みにシゲじいちゃんのところへ
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キャリーバッグを引きながら、フミが少し不安(ふあん)そうな顔で歩いています。ローカル線の無人(むじん)駅のホーム。この駅でおりた人はほかにはだれもいません。すると、「フミ!」とよぶ声が。軽トラでむかえにきたシゲじいちゃんがニコニコと手をふっていました。ホッとして笑顔(えがお)をうかべるフミ。じいちゃんの軽トラは山道を走り、どんどん山奥(やまおく)へ入っていきます。ちょっとくもった空をフミはだまって見上げていました。

scene 02お母さんにたのまれてしかたなく
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「フミ~、夏休みにシゲおじいちゃんのところに行ってくれないかな?」。キッチンで勉強しているフミにお母さんがそう言いました。「えー、何それ?」とおどろくフミ。「ママもパパも出張(しゅっちょう)でずっといないのよ」とお母さん。「リョウコちゃんたちと遊園地行く約束(やくそく)したもん」とフミは言いますが、「おねがい。おじいちゃん一人で心配なのよ。ほら、病気したでしょう」。お母さんにそう言われて、フミの心は、モヤモヤ…。しかたなく、フミは一人でシゲじいちゃんのところに遊びに来たのです。

scene 03空に向かって頭を下げるじいちゃん
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ゴム長をはいたフミが、つかれた様子で、じいちゃんについて田んぼのあぜ道を歩いています。田んぼに着くと、じいちゃんは何かつぶやきながら深々と頭を下げ、空を見上げました。ふしぎそうにそれを見ているフミ。カマを持ったじいちゃんは、フミに草かりのやり方を教えます。「こしを落として、手、気いつけてな」。しかたなく草かりを始めたフミ。「うわぁ!」とさけび声をあげました。「何か動いた!」。草むらを指さすフミ。じいちゃんが見ると、そこにいたのはカエルでした。「ここは山からきれいな水を引いてっから、生き物がいっぱいじゃ」とじいちゃん。

scene 04「うわっ! いやだ、虫!」
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「この草をな」。田んぼの中の草をぬきとりながらじいちゃんが言いました。「こいつをぬかねえと、イネは育たねえんだ」。すると、「うわっ! 虫! いやだ、虫!」とさけぶフミ。フミの顔のまわりを虫がブンブンとびまわり始めたのです。ひっしになって手で追いはらおうとするフミは、「あっ!」。バシャン! バランスをくずして田んぼの中にたおれてしまいました。どろ水だらけです。「もうーっ」。

scene 05「ワイファイ」「ワイワイ?」
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フミがざしきのつくえの上にタブレットとワイファイのセットを取り出しました。「何だそれは?」と聞かれ、「ワイファイ」。「ワイワイ?」。「ワイファイ。ママがじいちゃんちはワイファイないから持ってけって」。タブレットにお母さんをよびだします。「ママ!」。「フミ~!」と手をふるお母さん。「なんだ?」とふしぎそうなじいちゃんに、「お父さーん」とお母さんが手をふりました。「おぉー!」。じいちゃんはびっくり。「調子はどう? むりしちゃだめよ。それと、まさかとは思うけど、お父さん、お酒は飲んでないでしょうね」と言われると、「お? 何だ?」ととぼけます。見ると、となりの部屋にお酒のびんが…。

scene 06「東京でくらすよう説得してほしいの」
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「お医者さん、だめって言ってたでしょ」とお母さんがきつく言うと、じいちゃんは、「耳が遠うなってな」と耳に手を当てました。「聞こえないふりでしょ!」と大声で言うお母さん。するとじいちゃんは、「ばあちゃんにお茶でもいれてやっぺ」と、となりの部屋の仏壇(ぶつだん)のところに行ってしまいました。「おじいちゃん、ママの言うこと聞かないのよ。だからフミから、東京でくらすよう説得(せっとく)してほしいの。おばあちゃんが死んで、もう10年よ。おじいちゃん、一人ぼっちでかわいそうでしょ?」。電話の横には飲んでいないお薬が山づみになっていました。フミの心は、モヤモヤ…。

scene 07じいちゃんを説得しようとしても
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ばんごはんのしたくをしたじいちゃんが、ざしきのつくえにおかずをならべました。トマト、ピーマン、ポテト…。『うえっ、野菜(やさい)ばっか』と思うフミ。「じいちゃん、あのね、東京の家ならね、スーパーも近くだし、アイスもコンビニで買えるし、電車もバスもすぐ来るし、すっごくべんりなんだよ」と話し出しました。「そうか」。「だからさ、東京でいっしょにくらそうよ。ママも安心するし。おじいちゃんもきっと楽しいよ」。一生けんめい説得(せっとく)します。するとじいちゃんは、「このラッキョウのつけものな、ばあちゃん作るのうまくてな。フミ、食べてみな」と話をそらしてしまいました。

scene 08じいちゃんは夜おそくまで起きている
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フミのふとんをしいているじいちゃん。外から、「ブォー、ブォー」とぶきみな音が聞こえます。「何の音?」と聞くと、「ウシガエル」とじいちゃん。「夜に大きな音出すと、うちのマンションだったらおこられちゃうよ」とフミ。すると、「ウシガエルは東京のマンションには住めんな。はっはっは」とじいちゃんがわらいました。夜中になっても「ブォー、ブォー」という声がつづいてフミはねむれません。起き上がって、「ウシガエルさん! 何時だと思ってるんですか!」とさけぶフミ。ふととなりの部屋を見ると、まだ起きているじいちゃんのすがたが見えました。やせて丸くなったせなかが、少しさびしそうです。

scene 09みんな町へ出てしまった
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次の朝。田んぼへ向かう坂道を登っていくと、急にじいちゃんがむねをおさえてしゃがみこみました。「どうした?」。「いや、なんでもない」とじいちゃんは立ち上がりました。すぐ横の草地を見て、「昔はここも田んぼだったんだ」と言います。「え? ここ?」。フミはおどろきました。あれ地です。「みんな町へ出て、田んぼはあれた。でも、これもしょうがないことだな」とじいちゃん。田んぼで草取りをしながらフミがつぶやきました。「草取り、こんなたいへんだと思わなかった」。「ちゃんと手をかければ、ちゃんと実る。あとはお天道(てんと)様のごきげん次第だ」とじいちゃん。青空にお日様がかがやいています。

scene 10「じいちゃん、ここがすきなんだな」
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二人があぜにすわってお茶を飲んでいます。「じいちゃん、ねられないの? きのうの夜さぁ」と言いかけると、「ああ、だいじょうぶだ」とじいちゃんは言います。「じいちゃん、一人でさびしくないの?」。するとじいちゃんは話し始めました。「フミのママな、ちっちゃいころ田んぼが大すきで、よくここで遊んでた。ばあちゃんはそれを見ながら、一生けんめいはたらいてた」。目の前に広がる田んぼを見つめるじいちゃん。そして、「じいちゃん、ここがすきなんだな」と言いました。フミは何も言えません。向こうから村の人がやってきて声をかけました。「シゲさーん! スイカ食べっか?」。「おぉ~」。

scene 11ばあちゃんと話をしてる?
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だんだんフミはシゲじいちゃんとの毎日が楽しくなりました。ある日、いつものように田んぼの前でぶつぶつ何か言っているじいちゃんに聞いてみました。「じいちゃん、いつも何してるの?」。すると、「ばあちゃんと話してるんだ」と言います。「え? どういうこと?」。「じいちゃん、ばあちゃんのことが見えるんだ。じいちゃんがつらいときは、この空の上からばあちゃんがなぐさめてくれる。だからじいちゃん、ここでだいじょうぶなんだ」。空を見上げるじいちゃん。フミも空を見上げました。田んぼの上に青空が広がっています。

scene 12フミの気持ちがかわった…
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フミがじいちゃんにタブレットの使い方を教えていると、「おとどけもので~す」と配達(はいたつ)の人が来ました。「はいはい」と出ていくじいちゃん。そこへ、お母さんからメッセージが来ました。『おじいちゃん、説得(せっとく)できた? おじいちゃんは、東京でみんなとくらすのが幸せなんだからね!』とあります。「どした?」。じいちゃんがもどってきました。「ううん。何でもない」。じいちゃんに何も言わなかったフミは、なんだかすっきりした表情(ひょうじょう)です…。

もやモ屋
シゲじいちゃんのソラ【伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度】
小3のフミは夏休みにシゲじいちゃんの田舎に一人で泊まることになった。ママからは病気なのに一人で故郷に留まるじいちゃんに一緒に暮らすよう説得してほしいと頼まれる。
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