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どうして和食の食材は豊富なの?~日本の自然環境~

scene 01ユネスコの無形文化遺産「和食」

2013年12月、「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。ふだん私たちが食べている和食が、いま世界で注目を集めています。たとえばフランスのパリ。街角の行列の先は…、日本料理店。パリっ子たちも日本食が大好き。東京の市場でも、外国人観光客のお目当てはおすし。おすしにはいろいろな種類の魚が使われています。ほかにも、和食ではいろいろな野菜や果物など四季折々の食材が味わえます。ユネスコの無形文化遺産に登録されたのも、多様な食材を活用していることが高く評価されたのです。そこで今回の疑問、『どうして和食の食材は豊富なの?』。

scene 02砂浜海岸、リアス海岸、干潟…

日本の魚市場には、魚や海老、貝など、いろいろな魚介類が並びます。なぜ日本の海の幸は豊富なのでしょう。最初の見方は、「海」です。日本の海岸を見てみると、砂浜の海岸や複雑に入り組んだリアス海岸など、さまざまな海岸があります。まずは、長い砂浜が続いている砂浜海岸を見てみましょう。ここにはどんな魚がすんでいるのでしょうか。よく知られているのが、ヒラメやカレイ。ヒラメやカレイは砂地にかくれて、獲物が来るのをじっと待っています。浅瀬の砂地で獲れているのは、アサリ。砂地にはこうした魚介類がすんでいます。

scene 03海岸線の違いで獲れる魚が違う

一方、岬と湾が入り組んでいるリアス海岸。波が穏やかで水深が深く、養殖に適していて、カキやワカメなどの養殖が盛んに行われています。リアス海岸には砂浜とは違う魚がすんでいます。たとえば、“魚の王様”といわれているタイ。海岸線の違いで、すんでいる魚も違うのです。そして、日本でいろいろな種類の魚介類が獲れるのには、もう一つ理由があります。それは、マグロとサケ、この二つの違いを見ればわかります。マグロは、水温が高く温かい海で育つ南の魚。一方サケは、水温が低く冷たい海で育つ魚です。どうして、温かい海と冷たい海、違った環境にすむ魚が日本で食べられるのでしょう。

scene 04海流がもたらす恵み

それは、日本のまわりの海流が関係しています。南から温かい暖流を運ぶ「黒潮」。黒潮に乗って、マグロやカツオがやってきます。もう一つは、北の海から冷たい寒流を運ぶ「親潮」。親潮に乗って、サケやサンマがやってきます。そのため、北と南にすむ魚の両方が日本の近海で獲れるのです。「海」という視点から見てみると、魚介類が豊富なのは、さまざまな海岸線や海流があるからだということがわかります。また、魚介類以外にも和食の食材は豊富です。たとえば、お刺身に欠かせない本わさび。本わさびは日本原産ともいわれる“山の幸”です。きれいな川や湧き水のある山に生えます。そこで今度の見方は、「山地」。

scene 05四季折々の山の幸

日本の山の特徴を見てみましょう。世界には大きな山や山脈が連なる「造山帯」が二つあります。その一つ、環太平洋造山帯の中に、日本列島がすっぽり入っています。日本列島は山地や山脈が背骨のように連なっています。本州の中央には、日本アルプスに代表されるような3000m級の高い山々がそびえ立っています。なんと、日本の国土のおよそ70%が山地です。山の多い日本では、春にはたけのこやぜんまい、秋にはまつたけなどのキノコ類と、日本人は四季折々、山の幸を食べてきました。「山地」という視点から考えると、和食に山の幸を使うのは、日本には山が多く山の幸が豊富だからということがわかります。

scene 06さまざまな気候がもたらす多様な食材

次は、「気候」という見方から考えていきましょう。気候の違いから、和食の食材を見てみます。日本は南北に長く、山も多い地形です。そのため、季節ごとの気温や降水量の違いによって、六つの気候区があります。北海道、日本海、太平洋、内陸、瀬戸内、南西諸島の気候区です。たとえば北海道の気候は、冬の寒さが厳しい。沖縄など南西諸島の気候は、雨が多く、冬でも暖かい。実は、日本にはさまざまな気候があることも、和食に多様な食材があることの理由の一つです。

scene 07青森県の「雪下にんじん」

青森県も冬に雪が多い地域です。まだ雪の残る畑で、農家の人たちが何やら雪の中を掘っています。土の中から出てきたのは、ニンジンでした。実はこれ、青森県など寒い地方で作られる「雪下にんじん」です。一般的なニンジンは秋に収穫しますが、このニンジンは雪の下でゆっくりと熟成させます。すると、甘さが増しておいしいニンジンになるのです。ニンジンの原産地は中央アジアのアフガニスタン周辺とされ、冬はマイナス10℃にもなる寒さの厳しい地域です。ニンジンは、冬寒い青森の気候に適した作物なのです。

scene 08各地の気候に適した野菜栽培

一方、九州の宮崎県。ヤシの木が生える暖かな気候です。宮崎の名物野菜、「佐土原(さどわら)なす」。なめらかな口当たりと品のいい甘さで地元の人たちに愛されています。ナスの原産地はインドとされています。インドは一年を通して暖かい地域です。ナスは、宮崎の温暖な気候に合う野菜なのです。ほかにも、北海道では、標高の高いアンデス山脈が原産とされるジャガイモが多く作られ、高知県では、暖かい東南アジアが原産とされるショウガが栽培されています。日本にはさまざまな気候区分があるため、野菜の種類が多いのです。

scene 09果物と自然環境・地形との関係は?

「海」、「山地」、「気候」、それぞれの見方で考えると、今回の疑問、「どうして和食の食材は豊富なの?」の理由がわかります。日本の自然環境の特色は、ほかにどんなことがあるのでしょう。日本には果物を作っている地方も多くあります。これは自然環境や地形とどう関係しているのでしょう。みんなも考えてみてください。