毛髪 十万本の秘密
さまざまなスタイルで個性を豊かに演出してくれる髪の毛。私たちの体の一部でありながら、意外に知らない髪の毛の秘密に迫ってみましょう。寒さや衝撃などから頭を守ってくれる髪の毛。その数、およそ十万本。1本の寿命は3年から6年くらいで、一定の周期で生え替わります。普通、一つの毛穴から3本ほど伸びてきて、そのなかの1本が太く育ちます。
太さは、平均0.08mm。拡大して見ると、表面がギザギザしていることがわかります。特殊な顕微鏡で詳しく観察すると、魚のうろこのようなものが見えてきました。髪の毛を保護している、「キューティクル」という薄くて硬いタンパク質の膜です。厚さ1000分の1mm。薄いキューティクルが重なりあって、髪の表面を覆っています。
キューティクルの内側は、顕微鏡でも見えないくらい細いタンパク質の繊維が集まって束になっています。髪の毛の中心付近は空洞のようになっています。小さな黒っぽい粒は、メラニン色素。メラニンがたくさんあると髪は黒く見えます。黒い髪と白髪を比べてみましょう。白髪にはメラニン色素がほとんどなく、中心部分の空洞がはっきりと見えます。
髪の毛を作っているタンパク質は、指のつめと同じ、硬いケラチンです。しかし、熱や強い薬品によってダメージを受けることもあります。高い温度にさらされて破裂してしまった髪の毛。色を抜く薬品によってキューティクルが溶けてしまったものもあります。一度傷んだキューティクルは、元に戻りません。髪の毛は裂けて枝毛になったり、途中で切れたりしてしまいます。
私たちが日ごろ行っているシャンプー。髪の毛の汚れのもとは、整髪料や、頭の皮膚から出た脂、ほこりなどです。シャンプーに含まれる界面活性剤は、こうした汚れを包み込み、はがす役割をします。丸い気泡が集まった細かな泡は、毛と毛のあいだに入り込み、キューティクル同士が強くこすり合わされて傷むのを防いでくれます。はがれ落ちた汚れは、丁寧にすすぐことで、泡とともに洗い流されます。健康な髪を保つには、まず髪の毛がどのようなものかを理解し、日ごろから傷めないようにすることが大切です。