ミクロワールド 水中の射撃手 ヒドラの秘密 オープニング
水の流れのない穏やかな池。落ち葉などがたまった、池の縁を見てみましょう。落ち葉の上に小さな生きものを見つけました。ヒドラです。体の長さは1cmほど。イソギンチャクの仲間で、長い「触手(しょくしゅ)」とチューブのような形の体を持っています。自在に伸び縮みする長い触手。触手をクモの巣のように広げて、獲物が来るのを待ち構えています。この触手には、驚くべきしくみが隠されています。
ヒドラは、ミジンコなど小さな生きものを食べます。ヒドラの触手に触れると、ミジンコはすぐに動かなくなりました。体がまひして動かなくなったのです。触手が触れたあたりに、何かが刺さっています。これは、ヒドラの触手から飛び出したものです。風船のような丸いものから、糸のついた針が突き出ています。糸のついた針で、獲物を一瞬に仕留める触手。一体、どのようなしくみになっているのでしょうか。
触手に刺激を与えてみます。いっせいに糸が飛び出してきました。獲物をまひさせる毒をもった糸です。糸が飛び出すしくみをくわしく見てみましょう。触手の表面に並んでいる丸い細胞。糸はこの細胞から飛び出してきます。中に針と糸が入っています。針と糸は細胞の中に押し込まれ、発射を押さえつけられている状態です。
獲物が触手に触れると、針と糸が一気に飛び出し、獲物に刺さります。その発射スピードは、なんとピストルの弾丸の速さにも匹敵します。毒を持った長い糸が体内に入り、獲物をまひさせます。そして、とらえた獲物を口に運ぶのも触手。口は触手の付け根にあり、触手を縮めて口を開け、丸飲みにしていきます。
ヒドラは、触手を使って移動することもできます。精巧なしくみを持つ、長い触手。ヒドラは触手を自在に使い、獲物を確実に仕留める射撃の名手なのです。