ミクロワールド 葉っぱのゆりかご オトシブミ オープニング
7月。青々とした葉の生い茂る林。枝の先に、何かがぶら下がっています。植物の葉を巻いて作ったもののようです。一体、だれが作ったのでしょうか。近くに小さな昆虫がいました。体長は7mmほど。ヒメコブオトシブミです。葉を巻くのは、オトシブミの仲間たちです。
オトシブミが葉を巻く様子を観察してみましょう。葉脈をかじるのは、葉を巻く準備です。口には鋭い大あごがついています。この大あごを使って、葉脈に等間隔に傷をつけていきます。こうすることで、大きな葉が巻きやすくなります。次は、左右のあしでふんばって、葉を2つ折りにします。いよいよ巻き始めです。あしを巧みに使って、少しずつ巻き上げていきます。
あしをよく見ると、鋭いつめがついています。しかもつめは、2か所にあります。このつめで葉をひっかけます。つめと大あごで葉をひっぱり、力を入れて引き寄せます。今度は反対側へ移動します。葉の縁を頭で押し込み、形を整えながら折り込んでいきます。少し巻いては反対側へ移動し、同じ作業を繰り返します。作業を始めてから2時間ほどで、葉っぱの巻物が完成しました。
オトシブミは、なぜこんなことをするのでしょうか。秘密は、葉っぱを巻いている途中にあります。その様子をもう一度見てみると…、少し巻いた葉に頭を押しつけ、大あごで食いちぎって穴を開けています。続いて、穴に腹の先を当てました。黄色がかった丸い粒が中に入りました。卵です。オトシブミが葉を巻くのは、中に卵を産み付けるためだったのです。
葉は幾重にも巻かれ、その中で卵がしっかりと守られています。幼虫は、まわりの葉を食べて成長します。3週間後、中から成虫が出てきました。オトシブミが巻いた葉は、子どもを守り、育てるためのゆりかごなのです。