オープニング
春から観察してきた里山。季節が変わると、生き物の様子も変わっていきました。1年をふりかえってみましょう。
ひとみちゃん、里山にまたやってきました。これまで観察してきた生き物をさがしてみます。かれた草むらで見つけたのは、カマキリの卵(たまご)です。1年前もここで見つけました。春、あたたかくなると、小さなカマキリが生まれました。暑い夏には大きくなりました。すずしくなる秋、卵を産みました。そして、寒い冬、親のカマキリは死んでしまいましたが、卵が残ったのです。
ヘチマはどうだったかというと…。1年前の春、種をまきました。夏になると、葉がしげって、たくさんの花がさきました。秋、葉や実がかれはじめました。冬、ヘチマはかれてしまいましたが、種が残りました。
ツバメはどうだったかというと…。1年前の春、ツバメが巣にやってきました。そして、卵(たまご)を産みました。夏まで、巣で子育てをしていました。秋になると巣をはなれ、さかんに虫を食べていました。そして、寒い冬が来る前に、南の国へわたっていきました。だから、冬の日本にはツバメがいないのです。生き物たちは、季節の変化に合わせて、すがたを変えたり、すむ場所を変えたりしていました。
春から冬まで観察してきた里山。このあと、どうなっていくのでしょうか。ひとみちゃん、自分の服を見て、あることに気がつきました。季節によって着ている服がちがっていたのです。春は、長そで。夏は、半そで。秋は、また長そで。冬は、あたたかそうな上着。ひとみちゃん、今のかっこうは…、春と同じです。もしかして…、温度? はかってみると、今の気温は13℃です。
1年の気温をふりかえってみましょう。春にくらべて、夏は高くなりました。そして、秋に少し低くなり、冬は、もっと低くなっていきました。今の気温は、冬より高くなっています。ということは、また春に近づいている?
またあたたかくなると、生き物はどうなるのでしょう。サクラの木は何か変わったのでしょうか。1年前の春は、きれいな花がさいていました。冬は、かれ木のようになりました。でも、えだには固い芽がありました。芽の中には、葉のようなものがありました。そして今は、芽が少しふくらんでいます。やっぱり、あたたかい春が近づいているようです。
ひとみちゃん、農家のおじさんに手伝ってもらって何かしています。「よし、できた!」。今まで観察してきた生き物の1年の様子をまとめたのです。ヘチマ、サクラ、カマキリ、ツバメの写真を、春→夏→秋→冬とならべました。それを見ていたひとみちゃん、考えこんでいます。冬と春、はしとはし? 春、夏、秋、冬、その次は?…また春! 季節はくりかえし続いていくのです。ひとみちゃん、何かひらめきました!
ひとみちゃん、生き物の1年の様子をまとめた紙を、四角い箱にまきつけました。はしとはしをくっつけて、テープでとめます。冬のあとは、また春。季節がつながりました。生き物は…? 毎年、毎年、こうして命をつないでいるんですね。