オープニング
磁石(じしゃく)を砂鉄(さてつ)に近づけると、砂鉄は飛びつくように磁石にくっつきます。では、くぎにコイルをまいて電気を通したものを近づけると…?
ホナちゃんがやってきたのは、鉄のスクラップ工場。見ていると、大きなクレーンから、丸い円盤(えんばん)のようなものが、ゴミの上に下りてきました。すると、丸い部分に鉄のごみがくっつきました。次から次へ、ピタッ、ピタッとすいつくように鉄のゴミがくっつき、そのまま運ばれていきます。重い鉄骨(てっこつ)も、ピタッ。いともかんたんに持ち上げます。
ホナちゃん、バッグから磁石(じしゃく)を取り出しました。磁石は、はなれている砂鉄(さてつ)を引きよせてくっつけます。クレーンから下ろされた円盤(えんばん)にも同じように鉄がくっついていきます。ということは、あの円盤は磁石? ところが、鉄は、あるところまで運ばれると、円盤からパッとはなれて下に落ちました。ホナちゃん、今度はバッグから鉄の筆箱を取り出しました。筆箱は磁石にピタッとくっつきます。でも引っ張らないとはなれません。ピタッとくっつけて、パッとはなす…。この円盤“ピタッ パッ”って、いったい何?
ホナちゃん、“ピタッ パッ”を作っているという工場にやってきました。「これがその機械ですよ」と見せてもらったのは、青い箱。これが“ピタッ パッ”のようです。箱の下には、鉄の板があります。工場の人が、青い箱を鉄板の上に下ろし、箱のレバーを回すと、鉄板がくっついて持ち上がりました。そしてレバーをもどすと、鉄板がはなれて落ちました。“ピタッ パッ”です! ホナちゃん、鉄板がくっついたりはなれたりするときに、箱のレバーを操作(そうさ)していることに気がつきました。このレバーは、電気のスイッチだそうです。
レバーは、電気のスイッチ。レバーの上にあるのは、電流を測るメーターです。レバーを操作(そうさ)すると、メーターの針(はり)が動きました。電流が流れるのです。レバーをもどすと、針がもどりました。電流が流れなくなったのです。電流を流さないと、箱を鉄の板におろしても鉄板はくっつきません。電流を流すと、箱に鉄板がくっつきました。磁石(じしゃく)になるかどうかの決め手は、電気!
電流を流すと磁石(じしゃく)になるとは、箱の中はどうなっているのでしょう。ホナちゃん、箱の中身を見せてもらいました。真ん中にある細長いもの。これは鉄でできています。そのまわりには、細い線のようなものがぐるぐると輪っかになっています。“ピタッ パッ”のヒミツ…、この輪っかがあやしい。ホナちゃん、輪っかを作るところを見せてもらいました。ぐるぐるまかれていたのは、「導線」でした。導線を300回以上もまきつけて、輪っかのできあがり。これを鉄の棒(ぼう)のまわりに置いて導線に電流を流すと、“ピタッ パッ”になるらしい。
鉄の筆箱で試してみましょう。導線に電流を流さないと…、筆箱はくっつきません。電流を流すと、筆箱は鉄の棒(ぼう)に引っ張られるようにして、ななめにくっつきました。ななめ立ったまま、たおれません。その状態で電流を切ると、筆箱は鉄の棒からはなれてたおれました。たしかにこれが、“ピタッ パッ”でした。
ホナちゃんも、“ピタッ パッ”を作ってみることにしました。鉄のくぎに導線をまいた、ホナちゃんの“ピタッ パッ”。青い箱の中身と比べると、真ん中が鉄の棒(ぼう)、まわりにぐるぐるとまいた導線、どちらもしくみは同じです。ホナちゃんの“ピタッ パッ”に電池をつないで電流を流すと…。