(オープニングタイトル)
力がはたらく、いろいろな場面。自動車の衝突実験、クレーンに持ち上げられたコンテナ、ビリヤード、野球、重量挙げ、貯金箱を割る…。力のはたらきには、どのようなものがあるのでしょう。
力のはたらき方はいろいろです。どんなものがあるか、分けてみましょう。力がはたらいている6つの場面を、力のはたらき方のちがいで分類してみます。まず、自動車の衝突実験、貯金箱を割る。この2つには、力のはたらき方に共通点があります。それは、どちらも物の形が変わっていることです。「物を変形させる」はたらきです。
持ち上げたバーベルを支える選手、荷物をつり下げているクレーン。この2つの力のはたらき方の共通点は、「物を支える」はたらき。どちらも、物が落ちないように支えています。
ビリヤード、野球。この2つの力のはたらき方の共通点は、どちらもボールの動き方を変えていること。これは、「物の動きを変える」はたらきです。このように、力のはたらき方は、物を変形させるはたらき、物を支えるはたらき、物の動きを変えるはたらきの3つに分類することができます。
力にはいろいろなものがあります。地球の周りを回る人工衛星の中では、物は落ちずに浮いています。一方、地上では物は下へ落ちます。物を下に引っ張る力がはたらいているのです。この力を「重力(じゅうりょく)」といいます。田植えをしている田んぼに足を入れると、柔らかい泥はからだを支えることができません。でも、あぜ道では普通に歩けます。このとき、下向きには重力がはたらいています。一方、直接ふれあうあぜ道からは、重力を打ち消す上向きの力がはたらいています。これを「抗力(こうりょく)」といいます。
トレイにのせたどんぶり。トレイが傾くと、重力のはたらきでどんぶりが動きます。トレイにすべり止めシートを敷くと、どうなるのでしょう。トレイを傾けても、今度は動きません。このとき、重力のはたらきでどんぶりが動こうとするのを妨げる力がはたらいています。「摩擦力(まさつりょく)」です。このように、力には重力や抗力、摩擦力など、いろいろなものがあるのです。
重力以外にも、離れていてもはたらく力があります。指輪のケースなどの表面に張り付けられている細かい毛。この細かい毛を付ける実験装置では、高い電圧をつくる装置が細かい毛の入った金属トレイにつながっています。高い電圧をかけると、毛が一斉に舞い上がって、上のボールに付いていきます。どんな力がはたらいたのでしょう。高い電圧をかけると、トレイに静電気がたまります。細かい毛は、静電気によって引き付けられていたのです。このときはたらく力は、電気の力です。
野球ゲームのボード。直球、ストライク! ところが第二球は、球が曲がりました。何か力がはたらいたようです。ボードの上で曲がったところに球を置くと、引き付けられました。秘密は、ボードの裏にあります。磁石が仕込まれていました。ボードの裏にある磁石に引き付けられて、鉄の球の動きが変わっていたのです。このときはたらいた力は、磁石の力です。このように、重力のほかにも、電気の力や磁石の力など、離れていてもはたらく力があるのです。
ほかの物に力を加えたときに受ける力もあります。ヘリコプターにはどのような力がはたらいているのでしょう。羽を回して、周りの空気を下向きに動かしています。空気に下向きの力を加えると、羽は、空気から上向きの力を受けます。空気を下に動かす力を「作用の力」、羽が押し上げられる力を「反作用の力」といいます。この反作用の力が、ヘリコプターにはたらく重力を上回ると、浮かび上がっていくのです。
たくさんの小さな力を合わせると、どんなことができるのでしょう。130トンもあるジェット旅客機。人の力で動かすことができるのでしょうか。みんなで力を合わせてロープを引っ張ると、ジェット旅客機が動き始めました。一人の力は小さくても、方向を合わせると、ジェット機を動かすほどの大きな力になるのです。