
(オープニングタイトル)

ダムにためた水の位置エネルギーで電気を起こす、水力発電。電気エネルギーで光る、豆電球。引き絞った弓のエネルギーで飛び出す、矢。いろいろなエネルギーが、別のエネルギーに変わっています。どのように変わっているのでしょう。

エネルギーには、力学的エネルギー、光エネルギー、電気エネルギーなどさまざまなものがあり、別のエネルギーに変換できます。どのように変換されるのでしょう。自転車をこぐと光るライト。このライトは、回転するタイヤの運動エネルギーを電気エネルギーに変えているようです。自転車の発電機がどのようなしくみになっているのか分解してみると、中には磁石とコイルが入っています。コイルの中で磁石を回転させると、コイルに電流が流れます。電流と磁界の関係を使って、運動エネルギーを電気エネルギーに変えているのです。

引き絞った弓から、勢いよく飛び出す矢。変形した弓が元の形に戻ろうとする弾性エネルギーが、飛んでいく矢の運動エネルギーに変わったのです。木炭とアルミニウム箔(はく)で作った電池。モーターをつなぐと電流が流れて回転します。電池の中では、アルミニウムがイオンになることで電子を残し、電気エネルギーを生み出しています。電池の中では化学エネルギーが電気エネルギーに変わっているのです。このように、エネルギーはさまざまなしくみによって、別のエネルギーに変換されています。

あるエネルギーを変換した場合、逆方向にも変換できるのでしょうか。手回し発電機を使って調べてみましょう。回転という運動エネルギーが電気エネルギーに変わることで、豆電球が光っています。では、豆電球の代わりに別の手回し発電機をつなぐとどうなるのでしょう。つないだ発電機のハンドルが回りました。手回し発電機で運動エネルギーが電気エネルギーに変わり、その電気エネルギーが、もう一方の発電機のモーターで運動エネルギーに変わっているのです。このように、エネルギーは一方向だけでなく、逆方向にも変換することができます。

光エネルギーの場合はどうでしょう。電球に電流が流れると、電気エネルギーが光エネルギーに変わります。では逆に、光エネルギーを電気エネルギーに変えることはできるのでしょうか。光電池(こうでんち)は、回路につないだだけでは電流は流れません。しかし光電池に光を当てると電流が流れ、モーターが回転します。光エネルギーが電気エネルギーに変わっているのです。電気エネルギーを光エネルギーに変換することもできれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換することもできるのです。

音のエネルギーの場合はどうでしょう。スピーカーの磁石の周りにあるコイルに電流が流れると、コイルが振動して音が出ます。電気エネルギーが音エネルギーに変わっているのです。逆の現象が、マイクロフォンで起きています。マイクロフォンの中にある薄い振動板につながったコイル。このコイルは磁石を取り囲むようにしてあるので、コイルが音で振動すると、コイルに電流が流れます。このように、電気エネルギーは音エネルギーに、逆に、音エネルギーは電気エネルギーに変換することができます。

自然界には、石油・石炭などの化石燃料、太陽の光、風の力など、いろいろなエネルギー資源があります。これらは主に、電気エネルギーに変えて使用されています。電気エネルギーは、照明などの光エネルギーや、モーターを回す運動エネルギーなど、ほかのさまざまなエネルギーへの変換が簡単にできます。電気エネルギーは、最も利用しやすいエネルギーなのです。

ただし、電気エネルギーが、目的のエネルギーに100%変換されているわけではありません。たとえば加速している電車の場合、電車の運動エネルギーに変わる過程で、風や振動、音や熱などのエネルギーにも変わってしまいます。これら本来の目的ではないエネルギーへの変換は、エネルギーの損失です。しかし、この損失を含めたエネルギー全体の量は、エネルギーの変換前後で増えたり減ったりしません。ほかのエネルギーとの変換がしやすい電気エネルギー。電気の利用では、変換の際の損失をいかに減らすかが大事です。

私たちが利用するエネルギーの元をたどると何になるのでしょう。火力発電所では、石油や石炭などを燃やしてタービンを回しています。つまり、熱エネルギーを運動エネルギーに変え、それを電気エネルギーに変えているのです。石油や石炭などの化石燃料の多くは、元をたどれば大昔の植物です。植物は、光合成によって太陽の光エネルギーを化学エネルギーに変えながら成長していきます。私たちは、植物が太陽の光から作ったこのエネルギーを利用しているのです。

風力発電は、大気の動きという運動エネルギーを電気エネルギーに変えています。この大気の動きは、太陽の熱エネルギーで起こる対流によるものです。水力発電で使うのは、ダムにためた水の位置エネルギー。その元は、太陽からの熱エネルギーで水が雲となり、高い山に降った雨などです。つまり、私たちが利用している多くのエネルギーの源は、実は太陽なのです。